「入院をした時に、治療費以外にかかる費用」 (2015年7月1日)

FP通信
入院をした時に、治療費以外にかかる費用
vol.30( 2015.7)
いつもFP通信をご覧いただきありがとうございます。病気やケガで入院をした時、治療費以外
にもかかる費用もあることを後から知り資金面で大変な思いをする方もいらっしゃいます。そこ
で今回は、「入院をした時に、治療費以外にかかる費用」というテーマでお伝えをしていきます。
入院をした時には 1 日あたりいくら必要か?治療費以外の費用は?
皆さんは高額療養費制度という制度をご存じでしょうか。公的医療保険の制度で、これにより 1 カ月あたり
に個人が負担しなければならない医療費の上限額が決まります。
(例)高額療養費制度を利用した場合の自己負担限度額の計算式
一般所得者の自己負担限度額 = 80,100 円+(医療費-267,000 円)×1%
※ ただし医療費の内、食事療養費と差額ベッド代は除く
<例>30 日間入院した場合のイメージ図
1日あたりの必要な費用=(①+②+③+④)÷30 日=9,561 円
入 院をした経験のない方 の多 くは、上記図の右 側にある食 事代や差額 ベッド代や雑費の金額 的なイメー
ジを持っていない方がいらっしゃいます。このような費用も治療費以外にかかります。こちらを理解した上で
の準備が必要になります。
また、高 額療 養 費 制度は、年 齢 や、健 康 保 険料 を支 払っている人の年 収 などによって制 度が異 なります
のでよく確認することが必要です。このような制度を知った上での対策が必要です。
ローンを組んでいる人は注意が必要
治療費、食事代、雑費などは誰にでも平等にかかる費用でしょう。一方、その他にも注意が必要な方がい
ます。例えば、住 宅 ローンやマイカーローンを組んでいる方です。こちらは収 入の有 る、無 しにかかわらず
支払の時期がやってきます。この他にも、自宅のある方は固定資産税など税金関係もあります。
このような場合に、どのような対策がとれるでしょうか。
所得損失を補うために知っておきたい公的制度
まず、このような時に知っておかなければいけないのが、社会 保障 制度です。そして、社会 保障制 度 で対
処しきれない部分を民間の保険でカバーする。という流れが一般的です。
社会保障制度の代表格は、既に前のページでも触れた①高額療養費制度と②傷病手当金です。
①高額療養費制度
高額療養費制度とは、公的医療保険における制度の1つで、医療機関や薬局窓口で支払った額が、歴月
(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
<70 歳未満の被保険者の自己負担限度額 概算表>
所得区分
年収約 1,160万~
年収約 770~1,160万円
年収約 370~770万円
~年収約370万円
住民税非課税者
1月あたりの自己負担限度額(円)
252,600+(医療費-842,000)×1%
167,400+(医療費-558,000)×1%
80,100+(医療費-267,000)×1%
57,600
35,400
②傷病手当金
傷病手当金は、健康保 険(国民健康保険は除く)に加入している被保険 者とその家族の生活を保障する
ために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのため会社を休み、事業主から十分な報酬が得られな
い場合に支給されます。支給される期間は、支給開始日から原則として 1 年 6 カ月、支給される額は、1
日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額です。
なお大手企業などには会社側で自己負担額の軽減を図るための上乗 せ給付の制度がある場 合もありま
す。会社の福利厚生制度を確認してみることも大切です
所得損失を補うために活用可能な民間の保険商品
民間の保険でカバーする場合は、以下のような商品があります。
①所得補償保険
病気やケガで就業不能になった場合、その間所得を補償する保険です。社会保険制度の補完として活用
することができる商品です。特に、住宅ローンなどローン支払いがある人は検討すると良い商品です。
企業の福利厚生制度として組まれている任意加入型の保険を活用するのが最も安価で良いでしょう。
②入院保険
病気やケガで入院した時、入院日数に応じて入院給付金が受け取れます。手術をした場合には、所定の
手術給付金が受け取れます。
当然、すでに貯金が十分にある場合は貯金で医療費を賄うという選択肢もあります。必ず、民間の保険に
加入しなければならないわけではありませんが、早いうちからの想定と準備が重要です。
執筆
エフピー研究所