2014年 12月 第 72 号 身近な地産地消!! 家庭菜園

2014年 12月
第 72 号
身近な地産地消!!
家庭菜園
フードマイレージとは、食品の生産地から消費される食卓までの輸送にかかる「距離×重さ」か
ら出される環境負荷のことです。この輸送の過程の車両や船舶などの燃料使用に伴い、地球温暖化
の原因となる CO₂が発生しています。これをいかに縮小するかが重要で、できるだけ産地が近場の
ものを選んで食べるという「地産地消」が注目されています。
家庭菜園は、産地が自宅になるのでフードマイレージ削減につながり、
「究極の地産地消」といわ
れています。
また、前回号では日本の食料自給率の最新値が 39%で、このままでは輸入先の天候不順などによ
る不作などのリスクが高いことを紹介しましたが、家庭菜園は、CO₂排出量の削減策だけでなく、
食料自給率向上への貢献にもつながります。
家庭菜園は他にもここがエコ!!
害虫駆除
殺虫剤などの化学薬品は、自然への悪影響も心配されています。最近は、農薬使用の履歴がみら
れる野菜なども出回ってきましたが、販売されているもののほとんどが農薬の使用状況まではわか
りにくいものです。しかし、家庭菜園は殺虫剤などを使うか使わないかを自分で選択できます。な
るべく使わずに済むように、害虫の発生を予防するための工夫が重要です。工夫の第一は、プラン
ターを活用すること。露地植えよりも害虫が発生しにくくなります。第二は、アブラムシにはテン
トウムシといったように益虫を利用すること。第三の工夫が、害虫が嫌うハーブなどの植物と一緒
に植えることです。
グリーンカーテン
日差しを遮ることで夏場の室温上昇を緩和し、冷房の利用効率をよくするグリーン
カーテンも、家庭菜園の一環でもあります。これで、キュウリやゴーヤなどの輸送で発生する分だ
けでなく、冷房による電力使用によって発生した CO₂まで削減できるという効果があります。
まだまだ使える!! 使用済み食用油
使用済み食用油(以下「食用廃油」
)は、油凝固剤で固めたり、古紙にしみこませたりして燃える
ゴミとして処理する方が多いのではないでしょうか?しかし、食用廃油はまだまだ活用することが
できます。これから紹介する内容は、福岡県田川市環境対策課のホームページに掲載されている石
けんの作り方です。次頁に、同ホームページから一部を抜粋した作り方の概要を紹介します。
食用廃油の石鹸は、油汚れに強いので、皿洗いや換気扇などの台所汚れ、洗濯では靴下の泥汚れ
などの部分洗いに向いているそうです。しかし、品質が安定しないことなどから浴
用石けんにはあまり向かないそうです。
(次頁に続く)
食用廃油からの石けんの作り方
準備するもの:深めの鍋(材料が膨張するので一斗缶位の大きさがあったほうがよい)、バット、
しゃもじ、長めの棒、計量カップ、石けんを入れる型枠(1ℓ牛乳パックを応用可)
材料:食用廃油(500mℓ)
、粉石けん(非合成。45g)、オルト珪酸ナトリウム(113g)、水(135mℓ)
➀鍋に水を入れ、お湯を沸かす。→ ②強火で加熱しながらオルト珪酸ナトリウムと粉石けんを入
れて棒でかき混ぜる。→ ③十分解けたら、食用廃油をかき混ぜながら入れる。→ ④塊ができな
いようにかき混ぜる。中身の膨張に注意する。→ ⑤膨張した中身が収縮し、餅状になったら(約
10 分)水を張ったバットに中身を少量出し、油分が浮かないかどうか確認する。浮いていたら、油
分がなくなるまで混ぜる→ ⑥油分が浮かなくなり、石けんができたらすぐに火を消す。ある程度
冷めたら型枠に入れる→ ⑦3 日ほど、日なたで乾燥させ、好きな大きさに切って出来上がり。
食用廃油を再利用するとどうして環境にやさしいのか
第一に、汚れを落としながら水質保全も両立できるからです。石けんは、天然成分でできている
ため、流した後は微生物に容易に分解されてしまいます。
第二に、食用廃油は、石けんのほかにも、バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel。以下 BDF)と
いったバイオ燃料などの材料にもなるからです。BDF は、自動車の CO₂を発生しない燃料として注
目されています。
「CO₂を発生しない」とは、BDF の材料は植物なので、燃焼させても植物が育っ
た分の CO₂しか発生せず、CO₂の排出はプラスマイナスゼロとみなされるからです。そのため、BDF
を含めたバイオ燃料は地球温暖化抑制につながります。また、BDF の他、バイオエタノールも含め
たバイオ燃料は、BDF はダイズ、バイオエタノールは小麦といったように、本来は食料となるもの
を原料とする製法もあり、そうなると食料との競合が問題になりますが、食用廃油で BDF を精製す
れば食料との競合を避けられます。
日立市では、家庭や公共施設の調理場から発生した食用廃油を BDF に精製して、公用車などの燃
料として利用しています。そのため、市内の交流センター(公民館)に BDF の原料となる食用廃油の
回収箱を設置しています。食用廃油を、交流センターの回収箱に持っていきたい方は、空きペット
ボトルなどに詰めて下さい。食用廃油だけでなく、賞味期限が切れてしまった未使用の食用油でも
受け付けています。
(日立市環境衛生課 HP http://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/007/002/005/p036708.html)
食用廃油は、様々な用途があるため、燃えるゴミにしてしまうのはもったいないことです。
食用廃油は、ゴミ減量や水質保全などの環境問題につながっています。食用廃油の再利用
なかでも特に石けん作りは楽しみながら身近にできる環境対策のひとつでもあります。
(担当:酒井)
今回の 2 つの記事は、日木産業㈱から提供いただいた「環境一般情報」から取り纏めました。
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