7/4, 5 スーパー耐久レースシリーズ2015 第3戦(富士スピードウェイ)

KONDO Racing
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日産自動車大学校
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スリーボンド
~私たちのスーパー耐久参戦記~
スーパー耐久シリーズ 2015 第 3 戦 富士 SUPER TEC
レポート 日産横浜自動車大学校 学生広報
2015 年 7 月 2 日~5 日 富士スピードウェイ
このプロジェクトは下記のパートナー企業に支えられています
RACE REPORT
平成 27 年 7 月 4・5 日、静岡県にある富士スピードウェイにて、スーパー耐久シリーズ 2015 第 3 戦 富士
SUPER TEC が開催されました。
私たちの通う日産自動車大学校が KONDO レーシングとタッグを組み、学生がレース活動に参戦する「日産
自動車大学校×KONDO レーシング 学生参加共同プロジェクト」。このプロジェクトに参加した学生たちは、
ひとりひとりが様々な壁にぶつかり、もがきながらその壁を乗り越えることで、大きく成長していきます。本来
ならば、ひとりひとりの成長を余すことなくお伝えしたいのですが、このレポートではすべてをお伝えすること
はできないため、今回は総リーダーと副リーダーの二人にスポットを当てました。
二人が壁を乗り越えていく姿から、このプロジェクトに参加し成長していく学生たちの姿を感じ取っていただ
ければと思います。
今回の FUJI 戦には、全国に 5 校ある日産自動車大学校のうち、
横浜校の学生が参加しました。参加学生の中から、総リーダーに 3
年の石山くん、副リーダーに 2 年の丹呉さんが抜擢されました。
二人共、課題や問題を一人で抱え込み、解決しきれなくなってし
まうことう傾向があるので、「一人で抱え込まない」を目標にこの
プロジェクトに取り組みました。
サーキットへ行く前に行う最初のミーティングに向け石山くんと丹呉さんの二人は、みんなにどういった意識
でこのプロジェクトに取り組んでほしいか、昨年の反省点をどうすれば改善できるかなどを連日話し合いました。
サーキットでは、6 名程度の班ごとに担当する仕事を決めて活動します。
サーキットへ出発する 20 日前の 6 月 12 日、
この各班のリーダーを招集し、
最初のミーティングが行われました。
石山くんと丹呉さんの二人は、このプロジェクトの目標と、その目標を
達成するために各班のリーダーにやって欲しいことを伝えました。しかし、
二人の熱意や思いはうまく伝わらず、各班のリーダーたちは、決まったこ
とをただ押し付けられている印象を受けました。
それは、このプロジェクトを石山くんと丹呉さんの二人で抱え込んでしまっているともいえる状態でした。
石山くんはこの問題に気付き、自分の思いを伝えるにはど
うしたらよいのか考え、その後のミーティングではどうして
こう決まったのかも伝えるよう努力したり、LINE を活用して
各班のリーダーと積極的にコミュニケーションをとるように
したりしました。
その後、4 回のミーティングを実施し、サーキットへ出発す
るまで残り数日になる頃には、各班のリーダーたちとの距離
は縮み、石山くんと丹呉さんの二人で決めたことも素直に受
け取れるようになりました。
RACE REPORT
7月2日
サーキットでの活動初日、翌日から本格的に始まるレース活動に備え、主に各班のリーダーたちが PIT で
KONDO レーシングのメカニックの方々と、自分たちが担当する作業の確認などを行いました。
また、持ち込んだホワイトボードやパーティションなどの資材を運びだし、設置する作業も行いました。
まだ慣れない部分が多いにもかかわらず、自分たちができることを探しキビキビと動く学生の姿がサーキット
にありました。
この日、石山くんと丹呉さんは新たな問題に直面していました。
依頼された仕事を二人がそれぞれで抱え込み、うまく連携が取れず、一
つの作業に対して二人が別々の指示を出すので、他の学生たちを困惑させ、
チームワークを乱してしまう事態が何度か発生していたのです。
この日の活動を終え、宿泊先で行われたミーティングでは他の学生から
もリーダー二人の連携が取れていないと指摘されてしまいました。
7月3日
明日から来られるお客様をお迎えするためのホスピタリティテントの設営を行いました。一人ではできない作
業も多いので、みんなが協力し合いながら作業を進める必要があります。
石山くんと丹呉さんは昨日の反省を踏まえ、この日は全体のスケジュール管理を石山くんが、忙しいテント設
営の指揮については丹呉さんが専門的に担当するなど、学生たちの中で役割を明確化することにしました。
朝から天候が不安定で、雨の中作業を行うことは危険なためスケジュールの変更が相次ぎましたが、それぞれ
の役割が明確になったことにより、
「この仕事を誰に任せられるか」も明確になり、優れたチームワークを徐々
に発揮できるようになりました。
その結果、雨により作業時間が予定より短くなったにもかかわらず、ホスピタリティテントの設営は遅れるこ
となく完了させることができました。
RACE REPORT
PIT では、KONDO レーシングのメカニックの方々の作業をサポートします。タイヤ交換や給油作業、車両の
清掃を手伝わせていただきました。明日の予選に向けて、自分の作業内容をきちんと把握できるように心がけま
した。
明日からは学生たちが実際にお客様応対を行うので、スリーボンドさんがお客様応対に関する授業を行ってく
ださいました。学生たちはお客様をお迎えするうえでの心構えなどを教わりました。
7月4日
ついに予選日です。PIT は独特の緊張感に包まれ、学生たちの気も引き
締まります。自分たちが実際に関わった 24 号車が予選中サーキットを全開
で走り抜ける姿を見て、
自分は 24 号車を走らせているチームの一員である
こと、自分のミスがチーム全員に影響を及ぼしてしまうことを実感し、責
任感も強く感じるようになりました。
ホスピタリティテントにはこの日から多くのお客様が訪れました。実際
にお客様を相手に応対をさせていただき、大変緊張しながらも学校の授業
ではなかなかできない体験をすることができました。
さらにこの日は、スリーボンドさん、JVC KENWOOD さんが学生へ向け授業を行ってくださいました。
スリーボンドさんの授業では、接着剤やシール材などの種類や特徴、接着剤で物が接着できる仕組みなどを、
実際に体験しながら詳しく教えていただきました。
JVC KENWOOD さんの授業では、カーナビが現在地を把握し案内する仕組みや、今話題の“ハイレゾ”を含
めた様々な音響技術について詳しく教えていただきました。また、JVC KENWOOD さんは最新のカーナビを装
着したデモカーも用意してくださり、CD 音源とハイレゾ音源の違いを実際に体験させていただきました。
RACE REPORT
公式予選では、開始直後に車両のトラブルが発生し、
思うようにタイムを縮めることができず A ドライバー
星野選手は 7 位という結果になりました。しかし、メカ
ニックの方々の迅速な作業により、B ドライバー藤井選
手の予選が開始するときには車両は完全に修復され、期
待通りの快調な走りを見せ、見事 2 位に入ることができ
ました。続く C ドライバーの高星選手、D ドライバー
の佐々木選手も、明日の優勝を期待できる走りを見せつ
けました。
予選結果は A ドライバーと B ドライバーのベストタ
イムを合算し競われます。結果は 4 位、決勝では 4 番手からのスタートとなります。
天候:(A ドライバー)小雨、(B ドライバー)雨 路面:ウェット
Pos
No
Car
A、B Driver
A+B Time
1
8
ARN AMG SLS GT3
永井 宏明、佐々木 孝太
3’27.358
2
16
REAF REAL ESTATE KiiVA BMW
HIROMASA NISHIDA、片岡 龍也
3’27.903
3
1
GTNET ADVAN C-WEST GT-R
GAMISAN、星野 一樹
3’28.585
4
24
スリーボンド日産自動車大学校 GT-R
星野 敏、藤井 誠暢
3’29.010
7月5日
ついに決勝日となりました。
PIT では朝から、決勝日ならではの強い緊張感に包ま
れ、まさにプロの仕事場の雰囲気になっていました。し
かし、PIT にいる学生からは、自分がレースに関わって
いるという意識や責任感を強く感じ、KONDO レーシン
グのメカニックの方々と同じ PIT の中で学生が作業し
ていることに何ら違和感はありませんでした。
KONDO レーシングの近藤真彦監督も来てくださり、
学生たちへ決勝への意気込みを語り、
「優勝するために
皆さんの力を貸して欲しい」と学生たちを激励しました。
RACE REPORT
ホスピタリティテントには、昨日以上に多くのお客様に来ていただき、学生たちは精一杯のおもてなしをさせ
ていただきました。
サーキットでの活動 4 日目となり、総リーダーの石山くん、副リーダーの丹呉さんをはじめ、各班のリーダー
や班員など、参加している全員が経験を積み、お互いに理解し合うことで大きな信頼感が持てるようになってい
きました。課題や問題があっても、みんなで抱え、みんなで協力して解決する、大きなチームワークを築くこと
ができました。そこには、ひとりで抱え込みがちな石山くんと丹呉さんの姿はありませんでした。二人はこの活
動の最初に掲げた、
「一人で抱え込まない」という目標を達成することができました。
決勝レース
この日の天気予報は 1 日中雨、どのチームも当然のよ
うにレインタイヤを履いてグリッドに並びました。レー
ス直前にはグリッドウォークが行われ、私たちもその手
伝いをします。大変な盛り上がりを見せていたグリッド
ウォークの途中、なんと天気予報では降り続くはずだっ
た雨がやみ、コースの路面は徐々に乾き始めました。
8 時間耐久となる決勝レースがスタート、コースを車
両が走り始めたことで路面が急激に乾き始めましたが、
参加している全車がレインタイヤを使用しているため徐々にタイムが落ちはじめました。レース開始後 23 周目、
雨が再び降り始める可能性もある中、24 号車は他のチームに先駆けてスリックタイヤに交換するためピットイ
ン、順位を 7 位まで下げます。しかし、すぐに路面は完全に乾き、慌ててスリックタイヤに交換する他のチーム
を横目に 24 号車は一気にペースを上げ、ついにトップへ躍り出ました。
レース中盤、富士スピードウェイは濃い霧に包まれ、視界不良によりセーフティカーが導入されました。この
セーフティカーをうまく利用し、セーフティカーが解除された直後、24 号車は 2 位との差を大きく作ることに
成功します。しかし 2 位の 3 号車がこの後驚異的な追い上げを見せ、24 号車はトップを奪われてしまいました。
その後、他のクラスの車両がコース上で故障し 2 度目のセーフティカーが導入され、今度はトップの 3 号車との
差を大きく広げられてしまいました。レース後半、24 号車はドライバー交代のためピットインしたときにメカ
ニックの方がタイヤの状態を瞬時に見極め、タイヤを交換しないことでピットタイムを縮めるなどの作戦を実行
し、一時はトップ 3 号車との差を約 8 秒まで縮めました。しかしその後も差はじりじりと開き、トップを奪い返
すことができずにチェッカーフラグを受けることとなりました。
RACE REPORT
レース結果
天候:雨、くもり、小雨 路面:ウェット、セミドライ、セミウェット
Pos
No
Car
Lap
Total Time
Gap
1
3
ENDLESS・ADVAN・BMW
246
8:01’15.130
2
24
スリーボンド日産自動車大学校 GT-R
246
8:02’13.056
57.956
3
5
MACH MAKERS GT-R
243
8:02’42.916
(8:02’02.916+40 秒)
4
16
REAF REAL ESTATE KiiVA BMW
243
8:02’56.880
3Laps
※5 号車は黄旗区間での追い越し違反により競技結果に対し 40 秒のペナルティが科せられています。
悔しい結果ではありますが、ゴールの瞬間には PIT では自然と拍手が巻き起こり、表彰式では今シーズン 2
回目の表彰台を獲得できたことを学生たちは大いに喜びました。
シリーズポイントランキングでは 2 位となり、シリーズチャンピオンを狙える位置につけています。
RACE REPORT
終礼では 4 人のドライバーにも参加していただき、表
彰台を獲得できたこと、この活動を成し遂げた喜びを全
員で分かち合いました。
普段の授業では感じることのできない、大きな達成感
や仲間との一体感を感じることができました。
こうして、私たちのスーパー耐久シリーズ第 3 戦 富
士 SUPER TEC は幕を閉じました。
このレポートでは、総リーダーの石山くんと、副リーダーの丹呉さんにスポットを当てて、この活動で二人が
成長していく姿をお伝えしました。しかし、この活動では参加する全員が、二人と同じようにそれぞれ自分の課
題と向き合い、壁にぶつかり、乗り越えて成長していることを、忘れないでいただきたいと思います。
この活動を支援・応援してくださるすべての方に感謝申し上げます。
学生一同、これからも精一杯取り組んでいきますので、今後ともよろしくお願いします。
レポート作成 日産自動車大学校 一級自動車工学科 3 年 扇谷 圭介、小澤 奎也
1 年 金垣 勇哉、込山 昇平