耐震診断・耐震改修業務における対処方針(H27.9.1 改訂)

耐震診断・耐震改修業務における対処方針
H27.9.1改訂
①
RC 系(RC,SRC,RC+SRC)建築物の耐震診断における診断次数は第2次診断と
する。ただし、下記のような場合においては、第3次診断を行い、その結果を反映
して第2次診断法を部分修正する。
(1) 10 層程度の以上の中高層建築物の場合
(2) 明らかに梁耐力が柱耐力より小さい場合
(3) 1スパンの塔状建築物の場合
(4) 耐震壁に縦方向の開口壁があり、開口上の梁耐力を詳細に評価する必要がある
場合
②
耐震壁、鉄骨ブレース補強架構(内付け、外付け(アウトフレームを除く))の終局
強度は、曲げ破壊時又は、せん断破壊時の水平せん断力とする。
③
建物の転倒に対する検討
建物フレーム(桁行方向、梁間方向)のアスペクト比(GL から最上階の梁天端までの
距離/GL での柱外面の距離)が4以下の場合は、耐震診断(2 次診断)において、
フレームの転倒(基礎の浮上り・圧壊)に対する検討を必要としない。
④
雑壁の剛性および耐力計算
架構内の耐力壁以外の壁部分および架構外の厚さ10cm 程度以上で、かつ、長
さ45cm 以上の鉄筋コンクリート造の壁(いずれも上端および下端が構造耐力上
主要な部分に緊結されたものに限る)については、剛性及び耐力の計算に算入して
も良い。ただし、耐力計算には、計算結果の数値に適当な1以下の係数を乗じる。
(例えば、上下端が大梁や小梁の場合は0.5、上下端の一方が大梁や小梁で片一方
が床の場合は0.25、左記以外は0)。この係数については診断方針などに明記す
る。また、壁式構造で本体部分から突出した階段部の壁のように本体と床が十分な
長さで緊結されていない場合も、同様にその耐力を減ずる。その他、架構内や架構外
の雑壁後からの伝達に疑問がある場合は、剛性および耐力の計算に算入しない。
上記以外に参考とする文献あるいは計算などにより十分な説明ができる場合はこ
の限りではないが、この場合も診断方針などにその根拠を記述する。
⑤
袖壁の取り扱い
「2001 年版
「付則
既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・同解説」の中の.
部材の終局強度、終局変形(靭性指標)
、降伏変形の算定」のうち、「付則3
柱と壁が連続する場合」
「(1)基本仮定」の「解説」
「本項の規定では、柱と壁が連続する鉛直部材に適用するが、柱に連続する壁の長
さが30cm 以下、かつ壁厚の3倍以下の壁については影響が少ないため無視して
も良いこととする。但し、柱が小さな場合には影響を無視できないため考慮するこ
とが望ましい」(P.231)を適用する。
⑥
塔屋の検討方法
局部震度(K-1.0)を適用する。
⑦
認定工法の適用
認定条件の適用範囲内においてのみ認める。
⑧
形状指標SDの算出における偏心率等の算出
建築基準法施行令による『逆数』による算出と診断基準の略算法のどちらでも可と
する。
⑨
コンクリート強度関係
(1)平均強度を適用するもの
・認定工法の適用条件における強度
・改築における補助嵩上げ要件における強度
(2)診断強度を適用するもの
・診断(改修計画も含む)における強度
(3)標準偏差の範囲外を除いたものの平均値
※文科省施設助成課長事務連絡:20.12.10 の算定例
・適用を可とする。
(4)低強度コンクリート
(診断強度 10.0N/mm2 以上 13.5N/mm2 未満)の場合、
Is値を補正するか否か及び補正する場合以下のどちらを採用するかは設計者判断と
する。
・ Is 補正値 =
Is x 診断強度/ 13.5
・「既存建築物の耐震診断・耐震補強設計マニュアル 2003 年版増補版 2007
年」
(
(一社)建築研究振興協会)2.3(1)ⅳ(a)に基づく方法(せん断柱のみ耐力
低減を行う)
⑩
図面がない場合の鉄筋・鉄骨強度の取り扱い
図面がない場合は強度の割り増しを行わない。
図面がない場合であっても、明確な根拠によって使用材料の強度が確定できる場合
は、図面があるものとして強度を採択する。その場合は、その根拠を診断方針に明
示する。
⑪
重力単位系のSI単位への変換
変換係数は0.980665を原則とする。
⑫
屋体の屋根面における水平力
Kn=0.55×Ai係るFesi(=0.55×1×1)を適用する。
※屋体の屋根面に限る。
⑬
垂れ壁、腰壁付き柱の開口長さ
開口上下において D/4を限度として開口長を加算することについては診断者の判
断とする。
⑭
耐震診断における鉄骨ブレースの取り付け箇所の設計については鉄骨ブレースを
取り付けるためのスチフナ-及びガセットプレートを既存の梁又は柱に現場溶接で
取り付けようとする場合で、溶接作業の環境、条件等により、スチフナ-又はガセッ
トプレートの両面から隅肉溶接ができない箇所については、裏当て金を用いたレ型
開先突き合わせ溶接とし、強度計算上は、片隅肉溶接の場合の強度とみなして安全
性を評価するものとする。
ただし、この場合において、工事仕様書において、現場で行う完全溶け込み溶接
の要件とされている超音波探傷検査については、正確な検査が難しい箇所であるこ
と、強度計算上は隅肉溶接として取り扱っていること等から、超音波探傷検査の対
象外とすることができるものとし、下図の溶接記号表示とする。
裏当て金
UT 検査査対象外
⑮
RC造建物における帯筋フックが 90°の場合における帯筋間隔の低減について
は本県内においては 1.5 倍とする。
⑯
2m以上の突出部材(片持ち梁は柱の外面から、片持ちスラブは梁の外面から、
また、目隠し壁等については梁上端から)に対する追加検討をする。
⑰
屋内運動場等の耐震性能診断基準の鉄骨造梁継ぎ手部耐力算定式のウエブ耐力係
数については、耐震性能診断基準 付-3 接合部の終局耐力 3.5.2 式のとおり 0.5
とする。
⑱
変動軸力(NS=NL +α
NE における α)の取り扱いについては、建物の規模に
応じて診断者が判断する。
⑲
ラーメン架構内に新設筋違を設ける場合のその架構の保有水平耐力は、「既存鉄
骨造建築物の耐震診断及び耐震改修指針・同解説」4.2(4)(p43~)による。
⑳
靱性指標については、いわゆるビルものの場合、
「既存鉄骨造建築物の耐震診断及
び耐震改修指針・同解説」4.6(p72~)による。
なお、屋内運動場等の靱性指標については、「屋内運動場等の耐震性能診断基準」
(平成 18 年版)による。
㉑
下階壁抜け柱の検討については、「学校施設の耐震補強マニュアル(RC 造校舎
編)2003 年版」6.3.5(p261~)の検討フロ-等の診断基準に従って対応するものと
する。
㉒
現地調査における柱ハツリおよびシュミットハンマー試験の実施箇所数について
は、原則 3 箇所/階とする。場合によっては 1 箇所とすることも可とする。