高齢者モデルを用いた前突スレッド解析による 乗員

JARI Research Journal
20150903*
【研究速報】
高齢者モデルを用いた前突スレッド解析による
乗員挙動と胸部応答に関する研究
Kinematics and Thoracic Deformation of an Elderly Size Human FE Model
in Front Impact Sled Analysis
山本
義洋
*1
Yoshihiro YAMAMOTO
江 島
ハコボ *1
アントナ‐マコシ
晋
Jacobo ANTONA-MAKOSHI
*2
Susumu EJIMA
独古
加藤
良祐 *1
Ryosuke KATO
泰裕
*3
Yasuhiro DOKKO
安 木
佐藤
房子 *1
Fusako SATO
剛 *3
Tsuyoshi YASUKI
Abstract
The amount and rates of the elderly fatally injured in traffic crashes in Japan are
increasing. These tendencies are especially sensitive for thoracoabdominal injuries. In order
to investigate this problem, a finite element model of an average size Japanese elderly
person with age-specific thoracic characteristics was developed. The thoracic response of the
model was validated against age-dependent corridors developed from post mortem human
subject pendulum impact tests. Full body trajectories and thoracic deformation were also
assessed against frontal impact sled tests. The model shows a good full body kinematics
response as well as sensitivity to age-dependent characteristics.
Moritaら2)によって高齢運転者の事故状況におい
1. まえがき
車両安全対策の向上により,自動車交通事故に
ては前面衝突の形態が多いことが報告されており,
おける死者数は,年々減少傾向にあり,2013年に
交通事故総合分析センター3)の事故分析結果によ
は4,373人となった.しかしながら,急速な少子高
り前面衝突時の高齢者乗員の死亡重傷例における
齢化により,65歳以上の高齢者の死者数は2,303
受傷部位として,胸部が多いことが明らかになっ
人(54%)となっており,一昨年から3年連続で増加
ている(図2参照)
.Morrisら4)は前面衝突事故に
している.また,負傷者数も減少傾向を示してい
おける乗員の傷害は,シートベルトやステアリン
るが,依然として年間781,494人と多く,65歳以
グハブなどが加害部位となり肋骨,および鎖骨に
上の高齢者の割合は増え続けている.今後は,高
骨折が多く見られ,高齢者ではその傾向が顕著に
齢者の死者数だけでなく,負傷者数の低減も含め
現れると報告している.以上より,高齢者胸部の
た更なる交通安全の取り組みが急務となっている.
衝撃耐性の低下が胸部傷害の発生状況に影響する
本研究では,図1に示した警察庁1)発表による高
ことから,高齢者乗員の胸部傷害メカニズムに関
齢者の状況別自動車交通事故死者数のうち歩行者
する議論と対策が必要であると考えられる.
の次に割合が多い“自動車乗員”に着目した.
従来,車両の安全対策では,衝突試験用ダミー
(以下,ダミーとする)を適用し,安全性の評価
*1 一般財団法人日本自動車研究所 安全研究部
*2 元一般財団法人日本自動車研究所 安全研究部 博士(工学)
*3 一般社団法人日本自動車工業会
を行っている.しかしながら,ダミーは人体との
構造の違いや,ダミーで評価することが困難な傷
* 本速報はJSAE著作権規則に基づくJSAE 20154039の転載である.
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害内容が多い点が指摘されている.そこで,既存
技術の限界を補完するツールとして,近年は計算
機技術の向上により,人体を模擬したコンピュー
タモデル
(以下,
人体コンピュータモデルとする)
が進展し活用されつつある.人体コンピュータモ
デルは,人体の解剖学的な構造的,および機械的
特性をコンピュータ上で再現することができる特
徴を活かし,傷害発生メカニズムの解明や車両の
衝突安全性の評価に応用(Kitagawaら5))されて
Decease Case
Fig.2 Constitution of the Injury Part in the Decease Case
(3)
おり,自動車の安全性評価のための効果的,かつ
効率的なツールとして期待されている.一般社団
法 人 日 本 自 動 車 工 業 会 (Japan Automobile
Manufacturers Association, Inc:JAMA)では,
既存のTHUMS(株式会社豊田中央研究所,トヨタ自
動車株式会社)ならびにH-model(日本イーエスア
イ株式会社)
を改良したモデル(株式会社本田技術
研究所)を基に,これまでに最新の知見,および各
Serious Injury
According to the Age Group
2. 高齢者乗員 FE モデルの開発と検証
2. 1 高齢者乗員モデルの構築
Antona ら
の高齢者人体 FE モデル(以下高
(9)
齢者モデルとする)は,日本人高齢者の体型をタ
ーゲットとして作成されている.図 3 にモデル開
発全体の流れを示す.
種のバイオメカニクス実験により衝突時の人体挙
動,骨格の損傷の評価・再現が可能な成人男性用
前面衝突6),後面衝突7),歩行者形態8)の人体コン
ピュータモデル(JAMA人体FEモデル)を開発して
きた.本研究ではこれまでの研究から得られた知
見を踏まえ,JAMA人体FEモデルを基にした高齢
者乗員モデルを開発し,高齢者ドライバーの胸部
傷害発生メカニズムの検討,ならびに傷害評価が
できるツールを得ることを目的としている.なお,
解析に用いた動的汎用解析コードは,LS-DYNA
Fig.3 Elderly Human FE Model
971 R5.1.1(MPP単精度版)とした.
高齢者モデルの作成手順は,まず胸部について,
供試体を用いたテーブルトップ試験から得られた
胸部の衝撃耐性を反映させるために,高齢者体型
に合致する供試体 CT 画像から高齢者胸部人体 FE
モデルを構築(図 3(a))した.胸部以外の部位に
ついては,既報の JAMA 人体 FE モデル (6)(身長:
175cm,体重:75kg)を基本形状として,日本人高
齢者の平均的な体型 10),11)(身長:160cm,体重:
60kg)となるようにスケーリングした(図 3(b)).
Fig.1 Fatality Ratio According to the Situation of Elderly
(1)
People (> 65 yo) in Japan
最後に,スケーリングした全身モデルに高齢者特
性を持つ胸部モデルを組み込んだ(図 3(c)).なお
図 3(c)に示した高齢者モデルは,基本姿勢として
JAMA 人体 FE モデルと同じく UMTRI 姿勢をと
っている.
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2. 2
Kroell 試験を用いた胸部衝撃応答に関する
(Arm are not Visualized)
検証
高齢者モデルの胸部の衝撃特性の生体忠実度に
ついて検証するために,Kroell試験を模擬した解
析を実施した.また,高齢者と成人(標準)の胸部
衝撃特性を比較するために,独古ら12)の示した高
齢者(平均年齢75歳)と成人(平均年齢48歳)に
対する胸部衝撃特性コリドーを参照し,生体忠実
度の検証を実施した.なお,比較解析に用いる成
(a)
人の標準人体FEモデル(以下標準モデルとする)
Fig.5 Kroell Test Corridor
は,高齢者モデルの体型を標準体型(AM50)にス
(b)
(14)
(Left: Elderly, Right: Adult)
ケールアップし,胸部にモデル化されている身体
3. 高齢者モデルを用いた前突スレッド解析
各部位の特性は,文献データ9),13),14) を参照して得
3.1 スレッド解析条件
Kroell試験結果より高齢者の胸部衝撃応答につ
た年齢影響に関する知見を用いて,肋軟骨と肋骨,
および体表軟組織の材料特性を変更したモデルで
いて確認したことから,ここでは,自動車の衝突
ある.
時における全身挙動および胸部応答について前面
Kroell試験を模擬した解析条件を図4に示す.解
析では,実験と同様に23.4kgの円柱インパクタを
衝突を模擬した供試体実験の結果を用いて高齢者
モデルの前突挙動について検証した.
初速度6.7m/sで胸骨に対し水平に衝撃し,インパ
Shaw ら15)は衝突前後の車両速度の差(ΔV)
クタの荷重と胸部の潰れ量の関係をF-S線図とし
40km/h 相当で前面衝突した場合を想定し,表1
て評価する.図5(a)からも判るとおり高齢者モデ
に示すような標準体型(AM50)に近い供試体3体を
ルは,高齢者のコリドー内に収まる結果となって
用いた前突スレッド試験を行い,主要部位の加速
いる.また,図5(b)に示す標準モデルから得られ
度,および3次元的な外観軌跡を計測している.
た結果についてもコリドー内に収まっており,胸
ここでは,高齢者人体FEモデルを用いて前突スレ
部応答に関する年齢影響を表していることがわか
ッド試験の再現シミュレーションを実施し,前突
る.両者とも計算安定性を向上させるために内臓
時における乗員挙動の妥当性について検討する.
器が潰れるのを防ぐ設定を軟組織に組み込んでお
なお,実験では標準体型に近い供試体を用いてい
り,60mm以降においてインパクタ荷重の急激な
ることから,比較のために,高齢者モデルを標準
立ち上がりが見られる.高齢者モデルと標準モデ
体型にスケールアップしたモデル(以下,高齢者
ルの最大荷重,および最大変形量は同程度である
AM50モデルとする)を作成し,同様に検討した.
が,胸部の変形量が60mmに達するまでの平均荷
前突スレッド解析に用いたスレッドモデルは,
重は,高齢者モデルのほうが低い傾向をしており,
実験の仕様に基づいて作成した.スレッドモデル
成人に近い胸部特性を有する標準人体FEモデル
は実験と同様にシート,フットプレート,ニーボ
の方が高齢者モデルより高い胸郭剛性を示してい
ルスター,ペルビスブロックから構成されており,
ることがわかる.
モデル上では剛体として定義した.乗員の拘束装
置として,ショルダーベルトとラップベルトを再
現しており,試験条件と同様に独立した2系統の
ベルトとして再現した.また,ベルトの力学的特
性については,ベルト単体の材料試験から得られ
たウェビングの特性をモデルに反映した.なお,
本解析ではSAE J173316)に準拠して図6に示すス
Fig.4 Kroell Impact Test FE Model
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レッド座標系を使用し,スレッドが移動する前後
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方向をX軸,スレッド面に垂直な方向をZ軸,XZ
面に垂直な向きをY軸と定義する.
15)
Table 1 PMHS Information
Gender
Age
Stature [cm] Weight [kg]
PMHS 1
Male
54
177
78.5
PMHS 2
Male
49
184
76.2
PMHS 3
Male
57
175
63.5
Fig.7 Measurement Items for Definition Posture
Fig.6 Sled FE Model
3. 2 着座姿勢とベルトパスの関係
本研究で開発した高齢者モデルは,実験に用い
た供試体と体型が異なることから,実験時におい
Fig.8 Spine Posture
て定義された脊柱座標,およびベルトパスの座標
から図7に示すショルダーベルト角度①・③,大
4. 前突スレッド解析結果と考察
腿骨角度②,を算出し着座姿勢を決定した.図8
4.1
高齢者モデルの乗員挙動の比較
に高齢者モデルの骨盤位置を基点とするX-Z平面
図9に供試体と高齢者モデル,および高齢者
上での着座姿勢を体幹の代表点(Head,T1,T8,
AM50モデルの外観挙動,図10に前突スレッド試
L2,L4,Pelvis)を用いて示す.
“PMHS Ave”
験およびシミュレーションから得られた肩ベルト
のラインは供試体の着座姿勢であり,体型の違い
荷重を示す.高齢者モデル,および高齢者AM50
による影響はあるが,供試体の着座姿勢に近いこ
モデルの前屈挙動,ならびに体幹上部の回旋挙動
とがわかる.高齢者AM50モデルについても同様
は,供試体と同様に動きを示していることがわか
の手順で着座させたところ,供試体の着座姿勢に
る.供試体の体型に合わせた高齢者AM50モデル
一致していることがわかる.
の肩ベルト荷重の履歴は.供試体コリドーに入っ
ており,供試体実験におけるベルト負荷の状況を
良く再現していると考える.
図11および図12に供試体の身体挙動を表す代表
点(Head,T1,T8,L2,L4,Pelvis)の移動軌
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跡を示す.また,モデルの挙動を定量的に評価す
るため,表2に示すように高齢者AM50モデルにつ
いて全身挙動を移動量に関して評価した一覧を示
す.解析結果の評価方法に関しては,Rhuleら17)の
評価スケールを用いており,評価点の時刻歴を用
いて供試体試験コリドーとの差を算出している.
具体的には,対象とする区間毎のコリドー内標準
偏差に対して対象とする時刻暦の値を比較してお
り , 正 負 双 方 向 に 1 S.D. 以 内 の 差 で あ れ ば
"Excellent"の評価となり,差が大きくなるに従い
"Good","Moderate","Poor"の順に評価が変化す
るスケールとなる.
表2より,高齢者モデルのPelvis,および高齢者
AM50モデルのT1とPelvisのZ方向の移動量の評
価は"Poor"となった.その要因としては,図8や図
11からもわかるように各椎体の初期位置が全体
的に低いこと,ならびにZ方向の移動量において
体幹上部の伸び上がりの挙動が十分に再現できて
Fig.9 Occupant Motion on Sled
いなことが挙げられる.特に,体幹上部の伸び上
がりに関しては,供試体実験および高齢者モデル
はフットレスト,ニーボルスター,およびラップ
ベルトで下半身が拘束されているため,脊柱のZ
方向変位は骨盤の移動,または,股関節を軸とし
た骨盤の回転挙動によって生じると考えられる.
モデルにおける骨盤の軌跡は,主にX方向変位が
顕著に現れ,Z軸方向の変位が見られなかった.
骨盤の回転の軸となる股関節に対するモデル上で
の仙骨の位置が高いことにより,骨盤の回転によ
ってZ方向変位が生じなかったと考えられる.
PelvisのZ方向変位が供試体と同様に再現するこ
とができれば,脊柱全体のZ方向変位が改善され
るものと考える.
X-Y平面における変位については,高齢者モデ
Fig.10 Loading History of Shoulder Belt
ル,高齢者AM50モデルともに供試体に近い傾向
を示している.供試体は肩ベルトを軸に上半身が
回旋挙動を示しており,図12に示す比較的に移動
量の大きい頭部,左肩のY方向変位は供試体実験
結果を良く再現できている.
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4. 2 胸郭変形量の比較
本研究では,高齢者乗員保護に関する基礎的検
討として,年齢,および体格の影響を考慮した人
体FEモデルを用いた数値シミュレーションを実
施し,各因子が胸部傷害におよぼす影響について
検討した.以下に本研究のまとめを示す.
図13に前突スレッド解析における高齢者モデ
ルから得られた胸部変形量を示す.なお,比較の
ため高齢者AM50モデルの結果も同様に示す.変
形量は第8胸椎に対する胸骨(第4肋骨接合部中央)
の距離の変化を時刻暦で示しており,3体の供試
体から得られた変位の時刻暦を示している.
図13において,高齢者AM50モデルの胸骨変位
は最大約40mmとなり,PMHS 2の結果とほぼ一
致している.一方,高齢者モデルは34mmとなっ
Fig.11 History of Motion Marker (X-Z plane)
ている.この変位量の差は,図10に示されている
ベルト荷重の差(約17%)に関係していると考え
られ,高齢者モデルと高齢者AM50モデルの体格
差(体重差)による慣性力の差が胸部変位に表れ
ていると考えられる.
Fig12 History of Motion Marker (X-Y plane)
Table 2 Evaluation of Occupant Motion
Fig.13 Comparisons of Chest Deflection at Sternum
4. 3 胸郭のひずみ分布と供試体骨折の比較
シミュレーションにおいて肩ベルトが最大荷重
値を示す時刻(100ms)でのシミュレーションモ
デルの胸郭硬組織において,肋骨皮質骨の最大主
ひずみが0.8%以上,肋軟骨の最大主ひずみが
25.9%(Itoら13),Formanら18)を参照)以上を満
たす箇所に印を付けた図を図14の上段に示す.ま
た,図14下段には,供試体試験終了後の剖検で確
認された骨折発生箇所を示す.肋骨皮質骨の最大
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主ひずみの定義は,Subitら19)が実施した,供試体
(1) 高齢者モデルはKroellによる胸部衝撃試験の
を用いたテーブルトップ試験において骨折時に肋
高齢者の荷重変位特性を示すコリドー内に対
骨に生じたひずみ量8,000 μStrainを参照した.
応した.
また,胸骨や鎖骨のひずみ量の閾値は,既報の
(2) 供試体を用いた前突スレッド試験条件に合わ
JAMA人体FEモデル6)において採用されている破
せて高齢者モデルをスケールアップした高齢
断ひずみ値を用いた.
者AM50モデルは,前突スレッド試験における
図14より,高齢者モデルはひずみの閾値を超え
供試体コリドーに対し外観挙動は概ね"Good"
る箇所は,供試体の骨折箇所に近い位置で発生し
以上の評価であった.
ていることがわかる.前突スレッド試験に用いた
(3) 高齢者AM50モデルの胸骨位置のたわみ量は
3体の供試体の平均年齢は53歳であり,比較的に
約40mmとなり,3体の供試体中の1体と同等
高齢者に近い胸部衝撃特性を有すると考えられる
の結果となった.
ことから,シミュレーションにおいて同様の傾向
(4) 高齢者モデルは,供試体を用いた前突スレッ
がみられたと考えられる.
損傷の形態については,
ド試験において胸郭に発生した骨折状況に近
右上位肋骨を中心とした範囲,および右腕側の肋
い傾向を示しており,傷害予測の議論が可能
軟骨が肋骨や胸骨に接続する箇所で破断するなど
なツールであると考える.
の状況が一致する.これらの結果より,高齢者モ
デルは前突挙動におけるベルト負荷による供試体
の胸部変形を再現できているものと考えられる.
今後の方向性としては,実事故に即した境界条
件におけるモデルの妥当性について事故データ等
を用いて議論するだけでなく,衝突用ダミー等で
評価することが困難な加齢による人体耐性値の影
響について引き続き検討する必要がある.
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FE Models
5. まとめ
本研究では,高齢者乗員の前面衝突における胸
部外傷の予測評価ツールとして,高齢者モデルを
開発した.高齢者モデルの生体忠実度については,
年齢別の生体コリドーを参照して胸部衝撃応答を
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