申請・承認を効率化するワークフローを導入 直感的に利用

松尾産業株式会社
申請・承認を効率化するワークフローを導入
直感的に利用できるユーザーインターフェイスを生かし
アジアの各拠点にも横展開を進める
導入の狙い
申請処理の却下率の低減
ワークフローのアジア拠点への横展開
外出先や出張先からも申請・承認業
務を実現
導入システム
統合型グループウェア
『eValue NS ワークフロー』
導入効果
ワークフロー処理の却下率を約半分
に削減
直感的なユーザーインターフェイス、
英語でシンガポール支店に横展開
基幹システム連携で管理が容易に
プロジェクトコストの把握が容易に
現地に根ざした組織を構築し、アジア全域にネットワークを拡大
松尾産業株式会社は、塗料原材料・光学部品・自動車部品を中心に取り扱う専門商社だ。
シンガポール支店、中国・タイ・インドネシア・マレーシアに現地法人を設立し、経営資源を
アジアに集中させている。ITの進展と共に営業スタイルも変化し、従来の社内イントラ環
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
松尾産業株式会社
●業種:商社
●事業内容:塗料原材料・電子機能材・光
境のグループウェアでは情報共有のスピードが課題に。そこで、ワークフローはユーザー
インターフェイスが重要と捉えて『eValue NS ワークフロー』を採用。社内の申請業務
そのものの見直しと整備に取り組み、承認の却下率を改善。英語表記切替機能を活用し、
海外アジア拠点への利用拡大で、グループ全体の情報共有とビジネスを加速させた。
学部品・自動車部品等の輸出入および
国内販売
●従業員数:217名
(2015年4月現在)
ワークフローシステムの導入で、申請・承認の却下
率を改善した松尾産業株式会社
2015年5月取材
不可欠な顔料であり、高度経済成長
現地に根ざしたネットワークを
アジア全域に拡大
ニウムペーストを主力製品に、ガラス
松尾産業株式会社(以下、松尾産業
フレークやパール顔料などの光輝顔
)は、塗料原材料を中心に、電子機能
料も提供。自動車・電機メーカーなど
材、自動車部品、光学部品などを取り
の多様な塗装ニーズに応えている。
扱う専門商社だ。1938年に創業し、
そのほか、ステアリングホイールやエ
期に爆発的にヒットした。このアルミ
アルミニウムペーストを日本に初め
アバッグなどの自動車部品、ガラスレ
て紹介した会社である。アルミニウム
ンズ・樹脂レンズなどの光学部品も幅
ペーストは、自動車のシルバー塗装に
広く取り扱っている。
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松尾産業株式会社
インターネットの普及などにより、
1997年頃からメールや掲示板を利
仲介事業を行う
「商社不要論」がたび
用してきた。
たび唱えられる時代背景の中で、これ
「社内の情報共有を強化するため
からの商社には、営業マン一人ひとり
に、2001年には、グループウェア『サ
の質と、海外ネットワークが求められ
イボウズ』を導入しました。しかし、最
ている。
初はなかなか社内に浸透しませんでし
総務部 部長代理の山根 啓治氏は、
たね」
と山根氏は振り返る。
「 当 社 は 以 前 、プリント基 板 のレー
当時のパソコンはそれほどスペッ
ザーマーカーを製造開発していた経
クが高くなく表示に手間取るため、ホ
緯もあり、ものづくりを行うメーカー
ワイトボードや回 覧 板を物 理 的に確
側の気持ちも理解できる商社だと自
認するほうが好まれていた。そこで、
負しています。営 業マン一 人ひとり
同社が取り入れたのが、サイボウズ
が、販売力とあわせて技術的な知識
のワークフローによる申請業務のI T
も兼ね備えており、時代と共に変化す
化だった。
るお客様ニーズに迅速に応えること
「ワークフローで申請業務をやると
が可能です」と同社のアドバンテージ
なれば、否応なしにグループウェアを
を語る。
見ざるを得ません。最初は思うように
早くからアジア諸国の将来性に注目
行きませんでしたが、2005年に経費
してきた同社は、1970年に開設した
精算をシステム化し、現金支給から銀
台湾事務所を起点に、シンガポール支
行振込に変更したことで、全社員に浸
店、中国・タイ・インドネシア・マレーシ
透していきました」
と山根氏。
アに現地法人を設立。日本人による日
その後、グループウェアは定着化し
本流の経営ではなく、現地スタッフによ
ていくが、2010年頃に国内・海外拠
る現地に根ざした組織を構築し、アジ
点が一気に拡大していく中で、さまざ
ア全域にネットワークを拡大している。
まな問題が生まれてきた。
「日本の優れた商材をアジアに展開
「時代と共に営業スタイルが変化し
することで、アジア地域と共に成長し
ていき、営業担当者は一日中外出する
てきました」
と山根氏が語るように、グ
ことも多く、時には一カ月も海外にい
ループ従業員217名のうち、142名
ることもあります。社内イントラにアク
はアジア地域の外国人従業員となっ
セスしなければメールや掲示板、スケ
ており、海外売り上げも順調に推移し
ジュールを見ることができなかったた
ている。近い将来、形成されるであろ
め、情報共有が滞っていたのです」と
うアジアの一大貿易・経済圏の実現に
山根氏。
向けて、現地密着型のネットワークの
一時的にSSL-VPNサーバーを立
拡大を着々と進めている。
ち上げて社外からも閲覧可能にした
が、どうにも利便性が悪い。また、海外
の現地社員が増えてきたにも関わら
海外事業展開による
情報共有レベルの格差を解消
ず、外国語に対応しておらず、情報共
松尾産業のIT化の取り組みは早く、
こうした課題を解決するために、サ
有に差が生じていた。
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総務部 部長代理
山根 啓治氏
「『eValue』
のことを理解するうちに、どんど
ん夢が膨らんで、短期開発にも関わらず大
塚商会さんにはいろいろ無理難題を言いま
した。マスター登録申請といった人の判断
を介す必要がない承認は、バッチ処理で回
してもいいと思います。ミスや漏れをなくす
ためにも、自動化を追求していきたいです」
総務部
吉村 真樹氏
「『eValue』のサーバーはオンプレミスです
が、ほとんど手が掛かっていません。困った
ことがあれば、リモートメンテナンスで画面を
見ながら回答してもらえるのですごく助かっ
ています。充実したサポート体制も大塚商
会さんを選んだ理由の一つです」
総務部 田村 寛子氏
「大塚商会さんの担当SEは知識も豊富
で、私たちの課題に的確に答えてくれまし
た。導入後は各支店へ勉強会にまわりまし
たが、問題なく受け入れられました」
イボウズ更新のタイミングでグルー
た」
と、山根氏は経緯を語る。
プウェアの見直しを検討。真っ先に候
『eValue NS ワークフロー』
にも、
補に挙がったのが、Office 365だ。
不安要素はあった。オンプレミスで
手軽なクラウドサービスにより、最新
サーバーを設置する必要があるため、
のOffice環境やメール、情報共有、オ
保守の負担が増える恐れがある。
ンライン会議などの機能が、必要な
「サイボウズ時代もサーバーを自前
時に必要な場所から必要なデバイス
で用意しており、5年ほど経過すると
で利用できる。今後の拠点追加時の
故障が頻発し対応に苦慮していたた
拡張性を考えても、最適なサービス
め、サーバーを自社で持つことに疑問
だった。
を感じていました」と吉村氏は当時の
しかし、O f f i c e 365のグループ
不安を語る。しかし、その点は大塚商
ウェア『SharePoint』のワークフロー
会の充実した保守サービスと、リモー
は、同社にとってはユーザーインター
トメンテナンスを利用することで解決
フェイスがシンプルすぎたのだ。
された。
「ワークフローは、日本の社員には
最終的に『 e V a l u e N S ワークフ
定着していましたが、ワークフローの
ロー 』であれば、投 資 対 効 果が見 出
概念が根付いていない海外に横展開
せると確信した山根氏が、提案資料
するには、誰もが直感的に利用できる
のワークフロー製品を差し替えたの
ように、ユーザーインターフェイスに
は、役員に提案を上げる前日のこと
こだわらなければいけません」
と、
ワー
だった。
クフロー導入の実務に携わった総務
部の吉村 真樹氏は説明する。
の導入を検討することに。複数のベン
業務自体の見直しにつながり
内部統制強化と業務効率化を実現
ダーの製品を比較する中で選ばれた
2014年4月に
『eValue NS ワー
のが、大塚商会の『eValue NS ワー
クフロー』の採用を決定し、8月に運用
クフロー』だ。
を開始するまでの4カ月の間、毎週の
「もともと、別のベンダーから提案を
ように大塚商会と打ち合わせを開催。
受けていた製品で検討を進めていま
吉村氏と共に打ち合わせに参加した
した。一つはOffice 365との連携や
総務部の田村 寛子氏が「産みの苦し
ユーザーインターフェイス、機能的に
みを味わった」
と言うように、検討課題
も申し分なかったのですが、大企業向
は山積みになった。
けの製品であり、200名ほどが利用す
『eValue NS ワークフロー』は組
る当社ではコストが掛かり過ぎます。
織の階層構造の定義から始めていく
また、もう一つ別の製品は、コストは問
が、以前のグループウェアには組織と
題なかったのですが、英語対応してい
いう考え方はなかった。複数部署を兼
ませんでした。そこで、顧客管理シス
務している人間も多いため、どのよう
テムの提案で当社に来ていた大塚商
に定義すれば、案件ごとの適切な承認
会さんに相談したところ、紹介された
ルートを選択できるか、非常に苦慮し
のが『eValue NS ワークフロー』でし
た。しかし、この取り組みにより、組織
そこでワークフローだけは、別製品
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松尾産業株式会社
のあり方や個人の権限が明確になり、
次に同社は、申請処理の却下率の
こだわり抜いたユーザーインターフェイスを
グループ会社へ展開
低減を目指した。
「4カ月という短期
ワークフローによる申請承認はあく
間での構築の中で、何より優先したの
まで内部統制の一環であり、申請内容
は、申請に関わるミスや漏れを軽減す
を受けて実際に経費を支払ったり、会
ることでした」と吉村氏。以前は、日
計システムにデータを連動させる必要
付や科目選択、承認経路を間違えて
がある。
申請されたものは差し戻しするしかな
この点において山根氏は「以前は、
く、社員は一から申請をやり直す必要
C S Vに書き出したファイルを加工し
があった。吉村氏は「管理側からする
て利用していましたが、小口、出張旅
と、お金の話を断るのは精神的に気を
費、経費の精算でフォーマットが異な
使います。しかし、申請のたびに社内
るため、一 括で取り込 むことができ
規程を確認する人はほぼいないので、
ず、手 間が掛かっていました。そ の
なかなかミスは減りませんでした。そ
点、
『eValue ワークフロー』はSQL
こで、金額に応じて承認ルートが自動
Serverなので、データ抽出・加工ソフ
で分岐するよう設定を検討しました」
トを利用して一発でデータを基幹シス
と言う。
テムに取り込めるため、大変重宝して
あわせて申請書記入項目の見直し
います」
と利便性を語る。
を図り、本当にチェックが必要な内容
また、抽出したデータをもとに、プロ
を洗い出すことで、入力・承認業務の
ジェクト単位の工数を毎月集計して、
簡略化を図った。さらに、承認のルー
プロジェクトリーダーがチェックできる
ルも見直し、科目の選択間違いなどの
ようにもしている。
イージーミスは、承認者側でも訂正を
ワークフローは現在、国内はもとよ
可能とするなど、柔軟性の高い運用に
り、英語に変更してシンガポール支店で
変更した。
も利用しており、現地の社員から好評
運用開始にあたり、田村氏は本社、
を得ている。また、従来はシンガポール
内部統制の強化につながった。
支社をまわり
『eValue ワークフロー』
支店内で完結していた承認業務を本社
の勉強会を開催。以前と比べて入力
で行うことで、現地業務の負荷軽減や
項目が減っていること、乗り換え案内
内部統制の強化にもつながっている。
などの機能が追加されていることをア
今後は中国・タイ・インドネシア・マレー
ピールし、利用促進を図っていった。
シアのグループ会社にも展開していく
導入後、半年が経過し、却下率はお
方針だ。その際「今回こだわって作った
よそ半分に低減され、業務負担が大き
ユーザーインターフェイスが、必ず生
く軽減された。専用ファイアウォール
きてくるはず」
と山根氏は胸を張る。
を経由することで、ノートPCやスマー
お互いを尊敬し学び続けるという
トフォンでの外出先からのアクセスが
「Matsuo’
s way」の企業理念のも
可能になり、長期間、帰社できない場
と、本社もグループ会 社も、全 員が
合でも、経費精算が行えるため、締め
Win-Winになれるように、ITのさらな
処理の早期化に貢献している。
る活用を進めていくのだ。
ノートPCやスマートフォンでの外出先から
のアクセスが可能になり、長期間、帰社
できない場合でも、経費精算が行えるた
め、締め処理の早期化に貢献している
松尾産業株式会社のホームページ
http://www.matsuo-sangyo.co.jp/
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2015年8月に作成されました。
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