転移性乳癌に対する ドセタキセル1次化学療法+ラムシルマブ併用療法

海 外 最 新 文 献
メディカルカスタム(編集協力 HealthDay) 2015-04
転移性乳癌に対する
ドセタキセル1 次化学療法+ラムシルマブ併用療法の評価
―第III 相二重盲検比較試験 ROSE/TRIO-12 の主な結果
Primary results of ROSE/TRIO-12, a randomized placebo-controlled phase III trial evaluating the addition of ramucirumab
to first-line docetaxel chemotherapy in metastatic breast cancer.
Mackey JR.: J Clin Oncol, 33(2):141-8, 2015
背 景
抗血管新生薬は、腫瘍への血液供給を遮断することで腫瘍を休眠状態にすると考えられている。この効果は大腸癌、
腎細胞癌、肺癌、卵巣上皮癌などのいくつかの固形腫瘍において示されている。しかし転移性乳癌患者においては、こ
れらの薬剤による QOL または生存期間の改善効果はまだ示されていない。血管内皮細胞増殖因子受容体 -2(VEGFR-2)
は転移性乳癌と関連があり、血管新生の主要なメディエーターと考えられている。ラムシルマブ(RAM)は、ヒト免疫
グロブリン G1 モノクローナル抗体であり、VEGFR-2 を遮断する。RAM により、進行胃癌および非小細胞肺癌患者の全
生存期間(OS)が改善している。
目 的
今回の ROSE / TRIO-12 の目的は、切除不能な、局所再発または転移性の乳癌患者におけるドセタキセル(DOC)に
RAM を併用した療法の無増悪生存期間(PFS)または OS が延長するかを検討することとした。
方 法
本試験は、第 III 相国際二重盲検比較試験であり、細胞障害性化学療法または生物学的製剤の投与を受けていない
HER2 陰性で、再発または転移性の進行乳癌患者を対象とした。2008 年 8 月∼ 2011 年 12 月に 1,144 例を RAM+DOC
またはプラセボ+DOC のいずれかを投与する群に2:1 の割合で無作為に割り付けた。RAM+DOC 群が 759 例、プラ
セボ+DOC 群が 385 例となった。進行や許容できない毒性発現、または脱落がないかぎり、これらの薬剤を 3 週間に 1
回投与した。主要評価項目は治験責任医師の評価による PFS であった。有害事象および毒性を両群間で比較した。
結 果
PFS の中央値は、RAM+DOC 群で 9.5 カ月、プラセボ+DOC 群で 8.2 カ月だった。OS の中央値は、RAM+DOC 群で
27.3 カ月、プラセボ+DOC 群で 27.2 カ月だった。QOL は両群とも同等だった。有害事象および毒性の発現率は、RAM
+DOC 群のほうが有意に高かった。有害事象および毒性として、疲労、発熱性好中球減少症、高血圧、口内炎、手足症
候群がみられた。
結 論
DOC に RAM を併用しても、HER2 陰性進行乳癌患者の PFS、OS の有意差はなかった。乳癌は他の固形腫瘍よりも抗
血管新生戦略に対する感受性が低いと考えられる。乳癌患者に対する抗血管新生療法の有用性を証明するには、これら
の治療に対する乳癌の反応について理解を深める必要があり、また、重要なバイオマーカーを特定するためのより良い
分析も必要である。
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