JAPAN LIFELINE PERIPHERAL MARKETING REPORT 全 完 Vol.11 先生 (近江八幡市立総合医療センター 循環器内科) 足背動脈を介した SuperCross FT 併用逆行性アプローチによる 前脛骨動脈慢性完全閉塞病変に対する治療戦略 年齢:77 歳 性別:男性 Fig. 1 主訴:左第 1 指難治性潰瘍(Rutherford 5) 診断名:重症虚血肢 ターゲット病変(下腿動脈病変)情報 足背~前脛骨動脈(ATA)の高度石灰化を伴う長区域完全閉塞病変(Fig. 1)。 足背~前脛骨動脈全域と後脛骨動脈の長区域完全閉塞を認め、腓骨動脈(PeA)の穿通枝 より前脛骨動脈末梢への側副血行路を認める。後脛骨動脈や足底動脈は末梢もランオフは はっきりしない。 手技手順 • 方法 左鼠径部より 3.3Fr の Parent Plus 55cm ガイディングシースを挿入し、SuperCross FT をサポート下に Cruise で ATA 閉塞断端までワイヤリングし Wizard PV 3g と 6g を用い て閉塞近位端を穿通しワイヤリングを行ったが、閉塞部より若干遠位へ進んだ後は操作困 難となった(Fig. 2)。そのため、逆行性アプローチを併用することとし、ATA のマイクロ カテーテルを Corsair PV 135cm に変更した後に造影ガイドで足背動脈を穿刺し、先に使 用していた SuperCross FT を直接ガイドワイヤー越しに挿入したが全く抵抗なく進めら れた。Wizard PV 10g を SuperCross FT サポー ト下に逆行性ワイヤリングを行い、順行性ガイド Fig. 2 ワイヤーの近位部まで進め(Fig. 3)、最終的には 順行性の Corsair PV 内へランデブーすることに 成功した(Fig. 4)。順行性の Corsair PV を逆行 性ガイドワイヤーに沿わせ進めようとしたが不可 能であり、またガイディングカテーテル内で逆行 性ガイドワイヤーをバルーントラップし逆行性 の SuperCross FT を進めようとしたが高度石灰 化を伴う硬い閉塞病変を通過させることは困難 であった。そこで、逆行性のガイドワイヤーを できるだけガイディングシース内に深く挿入し、 SuperCross FT を少しずつ抜いて約 50cm 長に なるぐらいの時点で切断した。その結果、ガイド ワイヤーをさらに深くガイディングカテーテル内 に挿入することが可能となり、プルスルーシステ Fig. 3 Fig. 4 JAPAN LIFELINE PERIPHERAL MARKETING REPORT ムを構築することが出来た。その後は Amphirion Fig. 7 Fig. 5 Deep 2.0mm/150mm で前拡張を行い、一部拡 張不十分な箇所に対しては Sapphire NC PTA 2.0mm/40mm で 高 圧 拡 張 後 も indentation が 残るため(Fig. 5)、冠動脈用のスコアリングバ ル ー ン 2.0mm/13mm で 14atm 拡 張 す る こ と で indentation は消失した(Fig. 6)。Amphirion Deep 2.0/2.5mm/210mm で再度拡張を行い足 背動脈への one straight line の確立に成功した Fig. 6 (Fig. 7) 。その後は潰瘍も完全に治癒した。 考察 CLI 症例の下腿動脈における長区域閉塞病変では ガイドワイヤー通過に難渋することが多く、逆行 性アプローチの併用が時に必要となる。逆行性に ガイドワイヤーが通過しても病変越しにマイクロ カテーテルがどちらかに通過しなければディバイ スデリバリーシステムの構築は困難となる。しかし、本症例のように同側順行性アプ ローチを用いれば、190cm 前後のガイドワイヤーでも逆行性にプルスルーシステムを 構築することが可能であるが、その際に挿入しているマイクロカテーテルの長さが問 題となる。SuperCross FT は現在 130cm しかラインナップが無く不利であるが、他 のマイクロカテーテルでも同様の問題が生じ得るため機械的に切断しカテーテル長を 短縮させるアイデアは知っておいて損はない。SuperCross FT は、先端のテーパリン グ加工と Proximal 側の高いシャフト剛性によりシース代わりの穿刺に有効であるた め、今後有効長のサイズバリエーションが増えることを切に望む。 術者紹介 1997 年 京都府立医科大学卒業 旧第二内科入局 近江八幡市立総合 医療センター 循環器内科 1999 年 朝日大学歯学部附属村上記念病院 循環器科 助手 2001 年 京都府立医科大学大学院 循環器病態制御学講座入学 2005 年 博士号取得 全 完 先生 2005 年 4 月 近江八幡市立総合医療センター(旧 市民病院) 循環器科 医長→現在部長 日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、CVIT 指導医 2010 年 4 月 京都府立医科大学臨床講師 2014-07-08-01
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