2015年8月20日 大家さんは日本人?

くちきデイリーニュース
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2015 年 8 月 20 日(木)
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大家さんは日本人?
東京オリンピックが一因か?
東京オリンピック開催を控えた都心部の
地価上昇への期待を背景に、アジアの富裕
層などが投資を目的に東京のマンションを
買うケースが増えている(日経新聞、2014
年 11 月 27 日)。
と言った記事が出るほど外国人(特にア
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ョン等を借りる場合です。
通常、個人が住宅として非居住者所有の
マンション等を借りる場合は、源泉徴収義
務はありませんので、仲介する不動産業者
も全く源泉徴収に関して留意しておりませ
ん。源泉徴収をせずに全額を支払っている
ような場合、数年後の税務調査で指摘され
ると、高額な追徴課税となります。
その時になって、大家さんに返してくれ
と言っても、非居住者ですから交渉も大変
です。既に契約を解除してしまっている場
ジア人)の日本不動産への投資は増えてい
合などは、追徴された源泉徴収税額を取り
ます。
戻すのは全く困難になります。
また日本の多くのマンションデベロッパ
ーも、台湾や中国に支店や出張所を設けて、 交渉は納税管理人を通して?
非居住者が国内の不動産を賃貸する場合、
投資マンションの販売に乗り出しています。
必ず国内に居住者である納税管理人を置く
大家さんが外国人だとどうなるの?
こととされております。税金のことですか
法人や個人事業者(士業の方々等)の源
ら交渉するとなれば、納税管理人を通して
泉徴収義務を負っている者が、非居住者(国
と言うことになると思います。
外に居住している者、所謂外国人)が所有
する不動産の家賃を払う場合、20.42%の源
泉税を徴収して支払わなければなりません。
具体的に言えば、20 万円の家賃を支払う
場合概ね 4 万円を差し引いて支払い、4 万
円は支払った翌月の 10 日までに源泉徴収
税額として国に納めなければなりません。
企業の寮は要注意
企業がオフィスビルを借りる場合、所有
者が非居住者であれば、仲介する不動産業
者も毎度のことなので、心得て留意してく
れますが、問題は企業の寮として、マンシ
この辺のビルはほ
とんど外国人に買
われました。
補足と解説
おける外国人不動産取引の動向
No.2880
政府統計調査る外国人不動産取引の動向
たとき
(海外投資家による不動産取引実態)
東京オリンピック開催を控えた都心部の地価上昇への期
待を背景に、アジアの富裕層などが投資を目的に東京のマ
ンションを買うケースが増えている(日経新聞,2014 年
11 月27 日)。新築物件が建設費の高騰で値上がりして
非居住者等に不動産の賃貸料を支払っ
不動産の賃貸料に対する源泉徴収
非居住者や外国法人(以下「非居住者等」といいま
す。)から日本国内にある不動産を賃借して、日本
国内で賃貸料を支払う者は、非居住者等に対して賃
契約率が低下する一方で、「外国人投資家などが購入に動
貸料を支払う際に、20.42%の税率で、所得税及び
き、都市部を中心に割安な中古物件を検討する人が増えて
復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
ここでの源泉徴収の対象となる「不動産の賃貸料」
いる」(日経新聞,2014 年11 月21 日)。
外国人投資家らが都心部で購入したマンションを賃貸し
の範囲は、次のとおりです。
て収入を得るほか、将来の売却を視野に入れた動きがみら

れる。為替円安で日本物件を買いやすくなったこと、台湾
や香港では不動産の価格高騰で投資のチャンスが減少し
ていること、これまで投資先だった中国も従来のような利
回りは期待できないこと、などの経済事情が外国人投資家
の都心マンション購入行動に影響している。
2014 年8 月に国交省が発表した「海外投資家アンケー
ト調査」の結果によれば、海外投資家の投資先としての日
国内にある不動産、不動産の上に存する権利の
貸付けによる対価

採石法の規定による採石権の貸付けの対価

鉱業法の規定による租鉱権の設定による対価

居住者又は内国法人に対する船舶若しくは航
空機の貸付けの対価
なお、個人の方が自己又はその親族の居住の用に
本の評価は、「不動産市場の規模」(45.9%)
供するために、非居住者等から不動産を借り受けて
「不動産投資関連制度の安定性」(41.5%)についての
いる場合には、その個人の方は、支払の際源泉徴収
評価が高く、次いで「不動産投資リスクの水準」
(40.2%)、
をしなくてもよいことになっています。
「不動産市場の流動性」(39.9%)の順となっている。
一方、「税制優遇等の不動産投資におけるインセンティブ
の充実度」(11.7%)、「不動産市場における商品(不
動産)の多様性」(18.1%)については、低い評価結果
となった。特に、日本を除くアジア諸国との比較では、
「不
動産投資関連制度の安定性」で日本の評価が高く、総じて
また、我が国が締結している多くの租税条約では、
土地等の不動産の賃貸料については、不動産の所在
する国においても課税できるとする規定を置いてい
ます。
したがって、非居住者等に対して日本国内にある
市場成熟度への評価が高い結果となっている。
不動産の賃貸料を支払った場合には、租税条約にお
投資実態としては、投資対象は「実物不動産」(62.7%)
いても、その非居住者等が受領した賃貸料について、
が高く、以後「私募ファンドへの投資」(27.5%)、「不
我が国で課税できることになっていますので、国内
動産を裏付けとする債権」(23.5%)、「J-REIT」
法どおりの課税をすることになります。
(17.6%)となっており、この結果からも、外国人投資
家が実際に不動産を購入している実態がみえる。
国税通則法
(納税管理人)
第百十七条
個人である納税者がこの法律の施行地に住
所及び居所(事務所及び事業所を除く。
)を有
せず、若しくは有しないこととなる場合又は
この法律の施行地に本店若しくは主たる事務
所を有しない法人である納税者がこの法律の
施行地にその事務所及び事業所を有せず、若
しくは有しないこととなる場合において、納
税申告書の提出その他国税に関する事項を処
理する必要があるときは、その者は、当該事
項を処理させるため、この法律の施行地に住
所又は居所を有する者で当該事項の処理につ
き便宜を有するもののうちから納税管理人を
定めなければならない。