情報論理学 第8回講義 復習問題

2015 年 6 月 9 日
情報論理学 第 8 回講義 復習問題
問題 1 シグニチャ L = h{+2 , 00 , ×2 , . . .}, {<2 , ≤2 , . . .}i を 考え る . こ のと き , 自然
数集合の L-構造 N およ び整数集合の L-構造 Z のそれぞれについて, [[∀x∀y(x×x ≈
y × y → x ≈ y)]]v を 求めよ . (根拠も 示せ. )
以下では, P(X) は X のべき 集合 (部分集合全体の集合) を 表わすも のと する .
問題 2 シ グニチャ L = h{g1 , h2 }, {P2 }i を 考え る . こ のと き , L-構造 M を M =
hP(N), gM , hM , PM i, gM (X) = N\X (X の補集合), hM (X, Y ) = X∪Y , PM (X, Y ) =
{hX, Y i | X ∩ Y = ∅} と 定める . こ のと き , 以下の値を 求めよ . (根拠も 示せ. )
(1) [[∃x ∀y (h(x, y) ≈ y)]]v
(2) [[∀x P(x, g(x))]]v
問題 3 シグニチャ L = h∅, {P1 }i を 考え る . こ のと き , 述語論理式 ∀x ∀y (P(x)∧x ≈
y → P(y)) は恒真と な る こ と を 示せ.
問題 4 シ グニチャ L = h∅, {P1 , Q1 }i を 考え る . こ のと き , 述語論理式 ∀x (P(x) ∧
Q(x)) → ∀x P(x) ∧ ∀x Q(x) は恒真と な る こ と を 示せ.
問題 5 以下の述語論理式に 対する 反例を 与え る と と も に , そ れが反例に な っ て い
る こ と を 示せ.
(1) ∀x (P(x) ∨ Q(x)) → ∀x P(x) ∨ ∀x Q(x)
(2) ∃x P(x) → ∀x P(x)
(3) ∀x P(x, x) → ∀y ∀z P(y, z)
問題 6 以下の述語論理式に 対する 反例を 与え る と と も に , そ れが反例に な っ て い
る こ と を 示せ.
(1) ∀x P(x)
(2) ∀x (P(x) → Q(x)) → ∀x Q(x)
(3) ∀x ∃y P(x, y) → ∃x P(x, x)
問題 7 下記のハッ セ図 (ア )∼ (カ ) で表わさ れる 半順序集合の L-構造のう ち , 以下
の述語論理式のモデルと な る のはど れか答え よ .
(1)
(2)
(3)
(4)
∃x ∀y (x ≤ y) ∧ ∃x ∀y (y ≤ x)
∃x ∃y (¬(x ≤ y) ∧ ¬(y ≤ x))
∃x ∀y (x ≤ y ∨ y ≤ x → x ≈ y)
∀x ∀y ∀z (x ≤ y ∧ y ≤ z → x ≈ y ∨ y ≈ z)
b
b
b
b
b
b
b
b
b
b
b
b
b
b
(ア )
(イ )
b
b
(ウ )
(エ )
1
b
b
b
b
b
b
b
b
(オ )
(カ )
問題 8 ハッ セ 図 (ア )∼ (オ ) を 以下のよ う に おく .
b
b
b
b
b
b
b
b
b
(ア )
b
(イ )
b
b
b
(ウ )
b
b
(エ )
(オ )
こ のと き そ れぞれのハッ セ 図で表わさ れる 半順序集合の L-構造のう ち , こ のう ち ,
以下のそ れぞれの述語論理式に ついて , モデルと な っ て いる も のを 全て 挙げよ .
(1) ∃x ∀y (x ≤ y)
(2) ∃x ∀y (x ≤ y) → ∃x ∀y (y ≤ x)
(3) ∀x (¬∃y (x < y) ∨ ¬∃y (y < x))
問題 9 シ グニチャ を L = h∅, {P2 }i と する と き , L-構造 Mi = h|Mi |, PMi i (1 ≤
i ≤ 5) を 以下のよ う に 定める .
M1 = hZ, {hx, yi | x < y}i
M2 = hN, {hx, yi | x ≤ y}i
M3 = h{2n + 1 | n ∈ Z}, {hx, yi | x + y = 2}i
M4 = h{n ∈ N | n は素数, n ≥ 5}, {hx, yi | x × y 6= 0}i
M5 = h{2n | n ∈ Z} ∪ {3n | n ∈ Z}, {hx, yi | x 6= y}i
以下の (1)∼ (4) の述語論理式そ れぞれに ついて , M1 ∼ M5 のう ち でそ のモデルと
な っ て いる L-構造を すべて 挙げよ .
(1) ∃x ∃y P(x, y)
(2) ∃x ∀y P(x, y)
(3) ∀x ∀y (P(x, y) → P(y, x))
(4) ∃x (P(x, x) → ∀y P(x, y))
問題 10 シグニチャ L = h∅, {<}i を 考え る と き , 半順序集合の L-構造上の付値 v
にも と づく 解釈が, v(x) よ り 大き い要素が高々 1 つし かな いこ と を 意味する 述語論
理式を 記せ.
問題 11 シグニチャ L = h{f1 , ×2 , 00 , 10 }, {<2 }i を 考え る と き , 自然数集合の L-構
造 N 上の解釈が, 関数 fN が単射である こ と を 意味する 述語論理式を 記せ.
2
情報論理学 第 8 回講義 復習問題解答
問題 1
N のと き .
N では, f (n) = n2 な る 関数 f は単射であ る た め, 任意の n, m ∈ N に つ いて ,
[[x×x ≈ y×y → x ≈ y]]v[n/x][m/y] = T. よって, [[∀x∀y(x×x ≈ y×y → x ≈ y)]]N = T
と なる .
Z のと き .
−1 × −1 = 1 × 1 だ が −1 6= 1 な ので, [[x × x ≈ y × y → x ≈ y]]v[1/x][−1/y] = F.
よ っ て , [[∀x ∀y (x × x ≈ y × y → x ≈ y)]]Z = F と な る .
問題 2 (1) 任意の集合 Y ⊆ N に ついて , ∅ ∪ Y = Y と な る から , [[∀y (h(x, y) ≈
y)]]v[∅/x] = T. よ っ て , [[∃x ∀y (h(x, y) ≈ y)]]v = T と な る .
(2) 任意の集合 X ⊆ N に ついて , X ∩ (N \ X) = ∅. よ っ て , [[∀x P(x, g(x))]]v = T
と なる .
問題 3 任意の L-構造 M と , L-構造 M への任意の付値 v について , [[∀x ∀y (P(x) ∧
x ≈ y → P(y))]]v = T と な る こ と を 示す.
M を L-構造, v を M への付値と する .
こ のと き , 解釈の定義よ り , 任意の a, b ∈ |M| に つ いて , [[P(x) ∧ x ≈ y →
P(y)]]v[a/x][b/y] = T, つま り , [[P(x)]]v[a/x][b/y] = [[x ≈ y]]v[a/x][b/y] = T と な る な ら ば,
[[P(y)]]v[a/x][b/y] = T と な る こ と を 示せばよ い.
[[P(x)]]v[a/x][b/y] = [[x ≈ y]]v[a/x][b/y] = T と 仮定する . こ のと き , [[P(x)]]v[a/x][b/y] = T
よ り , a ∈ PM が成立する . ま た , [[x ≈ y]]v[a/x][b/y] = T よ り , a = [[x]]v[a/x][b/y] =
[[y]]v[a/x][b/y] = b が成立する . よ っ て , b ∈ PM . し た がっ て , 解釈の定義よ り ,
[[P(y)]]v[a/x][b/y] = T. 以上よ り , [[∀x ∀y (P(x) ∧ x ≈ y → P(y))]]v = T が成立する . 問題 4 任意の L-構造 M と , L-構造 M への任意の付値 v に ついて , [[∀x (P(x) ∧
Q(x)) → ∀x P(x) ∧ ∀x Q(x)]]v = T と な る こ と を 示す.
M を L-構造, v を M への付値と する .
こ のと き , [[∀x (P(x) ∧ Q(x))]]v = T な ら ば, [[∀x P(x) ∧ ∀x Q(x)]]v = T と な る こ と
を 示せばよ い.
[[∀x (P(x) ∧ Q(x))]]v = T と 仮定する . こ のと き , 解釈の定義から , 任意の a ∈ |M|
に ついて , [[P(x) ∧ Q(x)]]v[a/x] = T, つま り , a ∈ PM かつ a ∈ QM が成立する . よ っ
て , PM = QM = |M| が成立する .
し たがって, 任意の a ∈ |M| について [[P(x)]]v[a/x] = T と なる ので, [[∀x P(x)]]v = T
と なる . ま た, 任意の a ∈ |M| について [[Q(x)]]v[a/x] = T と なる ので, [[∀x Q(x)]]v = T
も 成立する .
よ っ て , [[∀x P(x) ∧ ∀x Q(x)]]v = T が成立する .
以上よ り , [[∀x (P(x) ∧ Q(x)) → ∀x P(x) ∧ ∀x Q(x)]]v = T が成立する .
3
問題 5
(1) 解答例
L-構造と し て M = h{0, 1}, PM , QM i, PM = {0}, QM = {1} を と る . こ のと き ,
[[P(x)]]v[1/x] = F よ り [[∀x P(x)]]v = F. [[Q(x)]]v[0/x] = F よ り [[∀x Q(x)]]v = F. 一方,
[[P(x)]]v[0/x] = T よ り [[P(x) ∨ Q(x)]]v[0/x] = T, ま た , [[Q(x)]]v[1/x] = T よ り [[P(x) ∨
Q(x)]]v[1/x] = T. よって, [[∀x (P(x)∨Q(x))]]v = T と なる . よって, [[∀x (P(x)∨Q(x)) →
∀x P(x) ∨ ∀x Q(x)]]v = F. 以上よ り , [[∀x (P(x) ∨ Q(x)) → ∀x P(x) ∨ ∀x Q(x)]]M = F
と な り , M は与式の反例.
(2) 解答例
L-構造 M = hN, PM i, PM = {2n | n ∈ N} を と る . する と , [[P(x)]]v[0/x] = T よ り
[[∃x P(x)]]v = T. 一方, [[P(x)]]v[1/x] = F よ り [[∀x P(x)]]v = F. よ っ て , [[∃x P(x) →
∀x P(x)]]v = F. 以上よ り , [[∃x P(x) → ∀x P(x)]]M = F と な り , M は与式の反例.
(3) 解答例
L-構造と し て M = hN, PM i, PM = {hn, ni | n ∈ N} を と る . する と , 任意の
n ∈ N に つ いて , hn, ni ∈ PM よ り [[P(x, x)]]v[n/x] = T. よ っ て , [[∀x P(x, x)]]v =
T. 一方, [[P(x, y)]]v[0/x][1/y] = F であ る から , [[∀z P(x, z)]]v[0/x] = F と な る . 従っ
て , [[∀y ∀z P(y, z)]]v = F. 以上よ り , [[∀x P(x, x) → ∀y ∀z P(y, z)]]v = F. よ っ て ,
[[∀x P(x, x) → ∀y ∀z P(y, z)]]M = F と な り , M は与式の反例.
問題 6
(1) 解答例
L-構造と し て , M = h{0, 1}, PM i, PM = {0} を と る . こ のと き , [[P(x)]]v[1/x] = F
よ り , [[∀x P(x)]]v = F. よ っ て , [[∀x P(x)]]M = F と な り , M は与式の反例.
(2) 解答例
L-構造と し て , M = h{0, 1, 2}, PM , QM i, PM = {0}, QM = {0, 1} を と る . こ
のと き , PM ⊆ QM よ り , [[∀x (P(x) → Q(x))]]v = T と な る . ま た , こ のと き ,
[[Q(x)]]v[2/x] = F よ り , [[∀x Q(x)]]v = F. よ っ て , [[∀x (P(x) → Q(x)) → ∀x Q(x)]]v = F.
以上よ り , [[∀x (P(x) → Q(x)) → ∀x Q(x)]]M = F と な り , M は与式の反例.
(3) 解答例
L-構造と し て , M = hN, PM i, PM = < を と る . N 上で , 任意の n ∈ N に 対
し て , m = n + 1 ∈ N が存在し て [[P(x, y)]]v[n/x][m/y] = T と な る . よ っ て , 任意
の n ∈ N に 対し て , [[∃y P(x, y)]]v[n/x] = T. 従っ て , [[∀x ∃y P(x, y)]]v = T. 一方,
0 < 0 と はな ら な いので, [[P(x, x)]]v[0/x] = F. よ っ て , [[∃x P(x, x)]]v = F. 以上よ
り , [[∀x ∃y P(x, y) → ∃x P(x, x)]]v = F. よ っ て , [[∀x ∃y P(x, y) → ∃x P(x, x)]]M = F
と な り , M は与式の反例.
問題 7
(1) エ , カ
(2) ア , イ , ウ , エ , オ
(3) イ
(4) ア , イ , オ
4
問題 8
(1) イ, ウ, エ, オ
(2) ア, イ, エ, オ
(3) ア, イ. ウ
問題 9
(1) M1 ,
(2) M2 ,
(3) M3 ,
(4) M1 ,
M2 , M3 , M4 , M5
M4
M4 , M5
M2 , M4 , M5
問題 10 ∀y ∀z ((x < y) ∧ (x < z) → (y ≈ z))
問題 11 ∀x ∀y (f(x) ≈ f(y) → x ≈ y)
関数 f が単射である と は, f (x) = f (y) な ら ば x = y と な る と き を いう こ と に注意.
5