平成26年度帰国報告書① - 国立大学法人 北海道教育大学

平成 26 年度
カルガリー大学教育事情短期研修
報告書
北海道教育大学 札幌校
教員養成課程 特別支援教育専攻 2年 3121 本間愛州佳
➀はじめに
私は 2015 年 2 月 23 日から 3 月 25 日の1か月間、本学と協定を結んでいるカナダのアルバータ州にあるカル
ガリー大学へ行ってきました。アルバータ州はカナダの中でも東側に位置し、カルガリー市は州都ではないもの
の、石油産業で盛んな都市でした。広大な土地に、たくさんの自然と広い空が印象的でした。カルガリーは天気
が変わりやすく、一日に氷点下から10度以上へと変化するところでした。しかし、今年は暖かい日が多く、雪
が少し降ったとしてもすぐ溶けてしまうほどでした。さらに、カルガリーは標高が高いため、1 週目は何もしな
くとも体がなんとなく怠かった記憶があります。
今回は札幌校から私一人の参加であり、他校の学生と合計 10 人で研修を行いました。私は本校の短期プログ
ラムの参加は二回目でしたが、初めての英語圏への渡航であり、戸惑うことも多かったように思います。このプ
ログラムに参加した理由は、
「赤毛のアン」が好きだということや、中学生の時のALTがカナダ在住であること
より、長年カナダに行きたいという思いを持ち続けていたからです。また、今回のプログラムではカナダの教育
事情を知ることや、実際に学校へ見学にも行けると言うことで、自分自身の視野を広げ、多面的に物事を見るこ
とにできるようになるのではないかと考えました。
【毎朝集合したEDT202】
【カルガリーの春の訪れ】
(ホームステイ先の近く)
【カルガリー大学の中で天気によって姿
を変える私の一番好きな道~雪~】
➁カルガリー大学でのスケジュール
私たちは普段教育学部の塔である EDT、EDC で講義を受けたり、カフェテリアで昼食を食べたりしていまし
た。カルガリー大学では、多くの学生が図書館や廊下などでコンピュータや本、乾燥が激しいため水やコーヒー
を片手に勉強していました。カナダでは卒業するために、日々の学習を一生懸命にしている学生の姿が大変印象
的でした。
月曜日から金曜日まで毎日9時から 16 時まで講義や研修がありました。基本的には午前中、ESLというア
カデミックな英語力を身に付けるための授業で他の留学生と共に学びました。さらに、私たち 10 人だけの英語
に関する授業や発音の授業、そして午後からはカルガリー市内の小・中学校、高校を見学するなどといったスケ
ジュールでした。水曜日はエクスカーションということで、カルガリー動物園、ドラムヘラーという恐竜の化石
発掘で有名な場所や、バンフというカナディアン・ロッキー山脈を臨みに行くなど、カルガリーの自然の美しさ
に触れる機会がたくさんありました。
英語でカルガリー大学の教授の先生方が教育のことについていくつか講義をしてくださることがありました
が、その度に「もっと英語が出来れば理解できるのに…」という歯痒い思いをしました。私は、英語教師の免許
を取得するべく、本学で講義を受けていますが、高校時代に暗記ばかりの英語が辛くなり、英語に対する壁を厚
く立てるようになりました。したがって、大学に入学してからは、講義の時しか英語は勉強せず、他の言語に力
を注いできました。しかし「英語に対する壁をなくしたい」という思いもありつつ、カナダではホームステイ先
のお母さんに英語の発音や言葉のニュアンスの違いを教えてもらい、楽しく英語に触れる日々を送ることができ
ました。
③カルガリー市内の学校を見学して
カナダは移民の国であり、公用語も英語とフランス語です。街中を歩いていても様々な国の人がいて、多言語
が聞こえてくるのが普通の国です。特にカルガリーは石油産業が大変盛んなため、移民が多く、小学校に行って
も様々な国の子どもたちがいました。フランス語やスペイン語のバイリンガル教育を行う学校もあり、さらに英
語を母語としない子も多いため、ESL といった英語を母語としない英語力にハンディーを抱える子への支援も
あります。しかし英語力に支援は必要でも、その子は他言語を話せるということです。カナダはバイリンガル、
マルチリンガルの多い国です。よって、何ができないのかではなく、何ができるのかということが大切だという
ことを知りました。
カルガリーの学校は、児童・生徒が作ったアートが多く飾ってあり、小学生からメイクをしている子や、マニ
キュアをしている子が多く、また髪の毛を青など奇抜に染めている子もいました。さらに、高校ではオプション
といって専門的な知識を学ぶ授業もあり、本人の「個性」
「好きなこと」を生かすということが重要なのだと思い
ました。現職の先生や、教育実習生の方々の実際の様子も見ることができました。スーツの人もいますが、基本
的には動きやすい服装であり、アクセサリーもそのままで、靴もブーツのままというような姿でした。このよう
な自由な環境ですが、生徒たちは皆一生懸命勉強していて、グループワークや自分で考え意見を言うことや調べ
てまとめるなど、日々学ぶことが自分の将来に関わってくることを良く理解しているように思いました。
また私の専攻は特別支援教育ですが、カナダでは「インクルーシブ教育」といって基本的には障害を持ってい
る子も通常学級の中で学んでいます。ある学校では、一人の障害を持った男の子がどのように理科の授業に参加
するのか、数十分その子を見ることもできました。
【スーパーの大きな冷凍食品売り場】
【足し算を教える際の教材】
【とある小学校一年生の教室】
④ホームステイ・休日などについて
一か月間、各家二人ずつホームステイをしました。今までホームステイといっても二泊三日しかしたことがな
かったため、一か月という長期間のホームステイは私にとって挑戦であったと思います。私のホームステイ先は
大学で働くホストマザーの家であり、本当に毎日幸せに過ごすことができました。犬4匹、猫2匹という大家族
であり、私はペットを飼ったことがないので、初めてのペットがいる生活でした。しかし、このペット達が私の
癒しであり、何度も私のことを救ってくれました。長女の猫は夜中になると、私の部屋に来て、一緒にベッドで
横になることが何度かあり、本当に愛しい存在でした。またホストマザーにはいつも話を聞いてもらい、今日自
分がうまく言えなかったこと、新しく経験したことを伝えていました。また、私は食文化を大切にしていますが、
ホストマザーと何度もスーパーマーケットに行き、食べ物を選んだり、カナダらしい食べ物を教えてもらったり
しました。ホストマザーにはいくら感謝をしても仕切れないほどでした。カナダは、ジャンクフードを代表とす
るアメリカ食、中華料理、メキシコ料理、タイ料理、韓国料理、そして日本の sushi など世界各国の料理を食べ
ることができます。したがって、カナダらしい料理というのはなかなかありませんでしたが、プーティーンとい
うフライドポテトの上にチーズとグレイビーソースをかける料理や、ハスカップの味ですがブルーベリーのよう
な形のサスカトゥーンベリーなど、カナダらしいものをしっかりと知ることができました。
平日の講義後や土日は自由にダウンタウンにショッピングに行くことや、カルガリー市内を散策するなど、楽
しく過ごしました。私は日本でまだ公開されていなかった「シンデレラ」を映画館に見に行きましたが、日本と
は異なる映画館のシステムや観客の様子など発見がたくさんありました。また、私は音楽やミュージカルに興味
があるため、ホストマザーの家でミュージカル映画やアメリカの某オーディション番組を見ることや、ディズニ
ーオンアイスにも行ってくることができました。さらに、ホストマザーの近所の犬友達の家族と親しくさせても
らい、夕食を食べたり、アウトレットモールにショッピングに行ったり、犬の散歩にいったり、まるで自分の叔
母や叔母といるかのような気分でした。
【プーティーン】
【カナダオリンピックパ
ークで体験したボブスレ
ー】
【サスカトゥーンベリーのパイ】
⑤番外編~トロント
私はこの研修期間に、カナダの最大の都市であるトロントに行ってきました。トロントは西側に位置し、カル
ガリーからは飛行機で約3時間40分、時差は二時間ほどあります。トロントには私の中学時代のALTが住ん
でおり、その先生に会うために行くことを決めました。トロントの景色はカルガリーとは全く異なり、カナダの
広さを改めて感じました。トロントは地下鉄や市電などが町中にあるため、大変移動しやすく、観光しやすい場
所でした。私は、トロント大学、ロイヤルオンタリオ博物館、チャイナタウンなどを巡りましたが、カルガリー
の方が様々な国からの移民が多いように感じました。また、世界に三番目に高いCNタワーやディステラリー地
区という元はウィスキー蒸留所であったレンガ調のアンティークな観光地などにも行き、短い間でしたが存分に
楽しむことができました。
⑤最後に…
この四週間で私は本当に数えきれないほどの体験をしました。新たな出会いや、発見の毎日で、自分の視野が
どれだけ狭かったのだろうと日々思いました。私は、札幌校で留学生と交流するサークルに所属していますが、
自分自身が「留学生」となり感じたこと、思ったことをこれから生かしていきたいと思いました。カナダでの毎
日をより良いものとしてくれたホストマザーのエイブリル、ドレッスラー先生、英語を教えてくださった先生方、
教育について教えてくださった日本人の先生方、また同じ英語のクラスで助けてくれた留学生の友達、ホストマ
ザーのたくさんのお友達、そしてトロントで会うことのできた先生、カナダで会った全ての人に感謝したいです。
また、カナダへ行くにあたり、今回も「いっておいで」と応援してくれた家族や友達、本校の留学生の皆さん、
そして支えてくれた方々に感謝します。ありがとうございました。
【トロントのチャイナタウン】
【CNタワーから見るトロントの風景】
【ディステラリー地区】