京都府立医科大学で行われ

留学レポート CMC
京都府立医科大学 6年 東 貴大
序
昨年、京都府立医科大学で行われた医学教育 FD で京都大学 放射線医学教
室の武田先生がご講演され、講演後お話しを伺った際、インド留学のお話しを
いただきました。隣の大学ではありますが別の大学の学生の留学手続きを快く
進めてくださった武田先生、また、留学を後押ししてくださった京都府立医科
大学の先生に感謝の気持ちを述べたいと思います。
今回のレポートは、1.申し込みから入国まで 2.実際の実習・寮生活の様子 3.
インド国内旅行についての三部構成で作りました。少しでも今後インドに渡る
後輩の役に立てればと考えています。
1.申し込みから入国まで
今回は武田先生に、まず寮の確保・プログラムのアプライをお願いしました。
寮は世界中から来る International student のための寮を利用することができ、
多くの友人を作ることができます。そのため非常に人気で少なくとも留学半年
前の予約をすすめられました。
次に、ビザの申請を行います。インターネット上から簡単に申し込むことが
でき、最終的に郵送でパスポートを郵送しビザを取得します。(Google 検索すれ
ばすぐに出てきます)ここまで終えれば、それ以上の準備なく初日を迎えること
ができます。が、事前にビザ・パスポートのコピー・必要書類を CMC の Sheela
に送ることをお勧めします。また、まわりたい科も事前に分かる範囲で送って
おくとよいでしょう。(実習が始まってからでも変更可能です)私たちは、割とフ
レキシブルに 1 日の見学も認めていただいたので、よく考えて科と日程を決め
てください。私は、2週間の実習の中で、ほぼ二日刻みで新しい科をまわりま
した。(科のお勧め等は 2 を参照)
あとは、CMC から日本に留学に来る交換留学生をもてなして仲良くなってお
きましょう。Dr.Samuel とともに、インドで強力な味方になってくれます!
2.実際の実習・寮生活の様子
初日の朝に CMC の門をくぐってすぐ右手にみえる事務所でオリエンテーシ
ョンが行われます。ここで、授業料の支払いの説明から実習中の注意点等、他
の留学生と一緒に説明を受けます。授業料は 4 週間以内であれば一律 10000Rs
でした。
その際、以下のように科と日程の暫定版の紙をもらえます。前述しましたが
いつでも変更可能です。
実際の実習は、海外の大学らしく本人のやる気に任されています。全力で実
習している学生もいれば、何日か Skip する学生もいます。また実習中も、患者
さんに問診をとったり、(患者さんはタミル語なので sister に translate しても
らえば話は聞けます。が、その前に十分 sister と人間関係を構築しておく必要
がありあす)採血する学生もいれば、1 日中先生のそばで、ぼーっとしている学
生もいます。勿論、僕たち日本からの学生も例外でなく私たちの自主性を尊重
していただきました。
僕がまわった科について少し説明します。
CHAD(2 日間):郊外の地域医療を担当している科です。
1 日目は、Out Patient と救急を見学しました。患者さんの多くは糖尿病・高血
圧のフォローで、医師が診察し薬を買いに行ってもらって戻ってきてもらうシ
ステムや日本との違いが非常に面白いです。
2日目は、sister について周りのスラムに訪問診療に行きました。
ここでも、糖尿病・高血圧のケアが主で、何をどう食べるかでここまで疾患が
偏るのかと衝撃を受けました。その他、実際の住民の生活を覗け非常に充実し
た時間を過ごすことができました。
LCECU(2 日間): 市街の地域医療を担当している科です。
1 日目は、家庭医療の外来と訪問診療でした。
ドクターの熱血指導もあって非常に勉強になりました。また、医者たるもの病
気ではなく患者さん本人を見ろ!と医療に対する心構えなども非常に勉強にな
りました。実際の症例も、心不全を既往にもつ中年男性が貧血を主訴に来院し、
その貧血の精査を実際にリアルタイムでレクチャー兼ワークアップが始まり面
白い一例を経験しました。
2日目は、Out Patient でした。こちらも実際の患者さんの目の前で熱血指導し
ていただきました。心電図を読む際の君の system を教えて?呼吸数の正常値を
年齢別にあげて?呼吸数があがる病態は?発熱の患者さんがきた時どんな診察
するか順番にやってみて?等。
Emergency Departmant (3 日間):外来・緊急処置室・50 床のベッド・Trauma
center を 1 日 100~150 人の患者さんが利用する。
多くの患者さんが来院し、その都度自分で診察して病歴と照らし合わせなが
ら指導医と議論する。時には、採血や CV 挿入の手伝い等やる気次第でいくら
でも参加できる。私は、そんな救急室のスピード感が好きで当直を志願しまし
た。本当にびっくりします。患者さんが夜中ひっきりなしに運ばれてきます。
交通事故から呼吸困難、意識障害、胸痛、腹痛…症例が多彩で寝る暇がありま
せん。ドクターは、暇を見つけては論文を読み非常に忙しくされていました。
インド特有の症例があるとすれば、次のような患者さんが 3:00AM に運ばれ
てきました。患者さんは、生来健康の 20 歳女性の方が意識障害で救急搬送され
てきました。食事後、急に意識状態が悪くなり、そのまま意識障害を呈したよ
うです。体温 38℃、身体所見としては、pin point pupil を呈しているがその他
目立ったものはなく神経内科の当直医が呼ばれました。その後、両側の Babinski
陽性、人形の目現象陰性とわかった。すると医師たちが、あ〜といって皆病態
を把握した様子。病名は tick bite paralysis。耳の後ろにかすかに虫刺されのあ
とがありそれが脳に波及したらしい。このように、インドでは、感染症による
意識障害やてんかんが非常に多いです。(その日から数日は、インド料理を食べ
る時こわかったです…)
OBGY(3 日間): CMC の創設者が OBGY の医師で非常に大きな棟にある
1 日目は婦人科外来見学。2 日目は婦人科オペ日。3 日目は産科で Labor Room
でお世話になりました。
私は、産科に興味があるのでまわってみましたが、非常におすすめです。
特に婦人科のオペは THA から dermoid cyct まで多彩なオペに入ることができ
外科/産婦人科志望の方におすすめです。(CMC のオペ室は、薄暗く医師にスポ
ットライトがあたっているようでかっこよかった!) 婦人科だけでオペ室を 5
室もっている。(他の棟に一般的なオペ室があり 25 部屋あるよう)
産科は一ヶ月に 1000 例以上のお産がある。
CTGN の取り付けや BP check を手伝い、お産があれば介助した。基本的に研
修医 1 年目にあたる intern がお産をとる。
寮での生活
A/ C 付き、Wifi 付きの二人部屋で精算は最終日。
そこそこの綺麗さだが、周りに international student がいるので仲良くなって
毎日大学外でご飯を食べに行きました。毎週水曜日に international party があ
り積極的に他国の学生と絡むことが毎日の生活の Quality を決めます!朝・昼・
夕のご飯は、大学構内の Canteen か外のホテルで食べに行きます。もちろん、
基本的にカレーです。
3.インド国内旅行について
私は南インド1週間、北インド1週間の順でまわりました。
南インドは概して穏やかな人柄で、十分対策すればそこまで危険な思いをす
ることはないと思います。私は、IT 都市 Bangalore, ミナクシー寺院で有名な
Madurai, 旧フランス領の Pondicherry, 南インド最大の都市 Chennai を訪れ
ました。特に、Madurai のミナクシー寺院は一見の価値ありです。
北インドは、首都 Delhi、タージマハルの Agra、ガンジス川の Varanasi を
訪れました。北インドは南インドとは別世界です。立ち寄る人は十分気をつけ
る必要が有ります。というのも、空港タクシーすら信用できず、架空の旅行会
社に連れて行き高額のツアーを申し込みさせられます。私は、同様の被害にあ
った方にお会いしましたが、詐欺後の対応等で衰弱し、心身ともに疲れきって
いる様子でした。これでは、折角の留学体験が台無しです。北インドに行く時
だけでも、空港から市内のいき方(宿の空港 pickup や空港メトロがオススメ)や、
ありがちな犯罪を調べておく、また犯罪に巻き込まれた時の対処法をまとめて
おくをオススメします。しかし、犯罪を起こすインド人はインド人全体の一部
です。私はインドで数人信頼できる友人を見つけることもできました。万全に
準備し、インドの文化・死生観に触れるチャンスを逃さず楽しみましょう!最
後に、Varanasi に行く方は、マザーハウスと焼却所に行って下さい。僕は、そ
こで医療に対する考え方が変わりました。何か私たちの心を揺さぶる何かを感
じることでしょう。
4.最後に
インドの留学は、アメリカやイギリスへの留学と違いいわゆる‘かっこいい
留学’ではないけれど、実際に感じて動ける素晴らしい留学先だと思います。
素晴らしい医療者を目指すための考えが詰まっていると思います。一人でも多
くの後輩が、同様の、いやそれ以上の経験ができることを願っています。