研 究 課 題 太平洋− 南極海における放射性核種の

平成26年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書
学科・資格 化学科・教授
申請者氏名
研 究 課 題
研究目的
お よ び
報
研究概要
告
研 究
の
の
永井 尚生 ㊞
太平洋− 南極海における放射性核種の分布
[目的]大気中において宇宙線により定常的に生成する極微量の宇宙線生成核種(7Be,10Be) および原
子力発電所事故起源の放射性核種(137Cs,129I) について海洋中の分布を明らかにし、大気− 海洋におけ
るこれらの物質の移動に関する知見を得る。
[概要]平成 26 年度に予定されている学術研究船白鳳丸航海(東京大学大気海洋研究所共同利用)に
参加し、太平洋− 南極海において海水の採取を行う。採取した試料についてBe同位体,137Cs,129Iの分離
精製を行った後、7Be,137Csはγ線測定により、10Be,129Iは東京大学MALTにおいて加速器質量分析(AM
S)により海洋中の濃度分布を求める。さらにこの分布から、7Be,10Beについては大気から海洋への移
動速度を推定し、137Cs,129Iについては、これまでに得られているデータとの比較から海洋における挙動
を推定する。
2014.12.2~2015.2.26 に行われた白鳳丸KH-14-6 次航海に乗船し、西部北太平洋− 南極海において、
海水および海底堆積物試料の採取を行った。137Csについては船上で海水 20LからCs担体と共にCs-AMP
沈殿の形で回収し、7Be,10Beについては海水 250(20)LからBe, Fe担体と共に鉄沈殿の形で回収し、129Iに
ついては海水 1LをPP瓶に採取し、それぞれ陸上に持ち帰った。その後鉄沈殿からBeの分離精製を行
い、7Beγ線測定を開始した。また、ハイボリュームエアサンプラーを使用して、航走中連続的にペーパーフ
ィルター上に採取した大気エアロゾル試料について、7Beのγ線測定を行い南北両半球において 30°付近の
濃度極大、60°Sおよび 10°N付近の濃度極小を確認した。極大域および 60°Sの極小域はこれまで報告さ
れた位置とほぼ同緯度であったが、10°Nの極小域はこれまでより北に 20°程度移動した位置であった。
概
結 果
要
研
究
の
航海後半において、7Be,10Beについて予定した海水試料採取が行えなかった。これは、航海前半に予
定外の試料採取を行わざるを得なくなり、Be担体溶液が欠乏したためである。今後は更に余裕を持った
担体・試薬を準備する必要があると思われる。また、他の研究機関と共同で試料採取を行っているので、
事前の打ち合わせにおいて、試料採取計画の確認を十分に行っておく必要があると思われる。
考 察
・
反 省
※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項について御記入ください。
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
研究成果物
テーマ
誌 名
巻・号
発行年月日
発行所・者
( 研究発表)
1.小野崎大地、山形武靖、村上恵理、松崎浩之、永井尚生, "東部南太平洋における 10Be 濃
度の深度分布", 第 16 回環境放射能研究会, つくば (2015.3)
2.吉田伊吹、辻田一樹、山形武靖、永井尚生、松崎浩之, "2013 年 5 月の福島県沖海水中
の 134Cs, 137Cs, 129I 濃度", 第 16 回環境放射能研究会, つくば (2015.3)