101 【皮膚感覚】 ≪触-圧覚≫ ・神経線維の文字式分類…Aβ ・2 点弁別

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【皮膚感覚】
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≪触-圧覚≫
・神経線維の文字式分類…Aβ
・2 点弁別閾・・・2 点に加えられた刺激を 2 点と感じる最小距離
最小の部位:指尖
,舌
*触-圧覚は,識別性触圧覚と粗大触圧覚に分けられる
≪温覚と冷覚≫
・神経線維の文字式分類…Aδ
・温点より冷点の方が多い
≪痛 覚≫
◆一次痛と二次痛に分けられる
『一次痛』
・受容器…機械的
侵害受容線維
・神経線維の文字式分類…Aδ
・機械的な侵害刺激のみに応じる
・痛み刺激の特徴…速い痛み.はっきりした.鋭い.局在明確
『二次痛』
・受容器…ポリモーダル
侵害受容線維
・神経線維の文字式分類…C
・すべての侵害刺激に応じる
・痛み刺激の特徴…遅い痛み.うずくような.鈍い.局在不明確
◆皮 膚◆
『構造』
:表面から,表皮 → 真皮 → 皮下組織
『付属器』
:毛,爪,皮膚腺(脂腺,小汗腺[エクリン汗腺],大汗腺[アポクリン汗腺],乳腺)
≪主な感覚受容器の分布場所≫ *解剖学教科書参照
・表皮:メルケル触覚円板
・真皮:マイスナー小体
・皮下組織:パチニ小体
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【深部感覚】
◆意識にのぼる深部感覚:運動感覚と深部痛覚
≪運動感覚≫
・固有受容感覚
ともいう
・受容器:筋紡錘
…筋の伸長を感知
ゴルジ腱紡錘
…筋(腱)の張力を感知
ルフィニ小体…関節の位置と運動
パチニ小体…関節の動きと方向
*筋紡錘とゴルジ腱紡錘からの情報は意識にのぼらない
≪深部痛覚≫
・受容器…自由神経終末
・神経線維の文字式分類…C
・鈍い,うずくような,局在不明瞭な痛み
【新皮質体性感覚野】
・一次体性感覚野は中心後回(ブロードマンの地図の 3,1,2 野)に相当
・体部位再現:脳から見て体のどこが脳のどこに対応しているのかを示す
・機能円柱:同じ働きをするニューロンが脳の表面に垂直な円柱構造を形成
【内臓感覚】
・多くの場合,内臓感覚情報は大脳皮質に達していないため知覚されない
・大脳皮質まで達し知覚される場合,渇き・悪心・便意・尿意・性感覚などの
臓器感覚や内臓痛覚となる
≪内臓痛覚≫
・受容器…自由神経終末
・神経線維の文字式分類…C
・鈍い,うずくような,局在不明瞭な痛み
≪関連痛≫
・放散痛
:内臓痛とまったく離れた場所に痛みを感じること
*皮膚節の規則:自律神経の求心性線維は脊髄後根に入ると体性感覚と同じ伝導路を上行し,
大脳に達する.このため,内臓痛が体性感覚と混在し,同じ脊髄分節の
体表(皮膚節)に痛みが現れる.
*三叉神経の伝導路:・一次ニューロンは橋で二次ニューロンに変わる.
主感覚核:(識別性)触-圧覚を伝える.後索路に相当 両側性
脊髄路核:温・冷覚,痛覚,(触圧覚)を伝える.脊髄視床路に相当 対側性
*中脳路核というのもある:深部感覚に相当
*他に,舌咽神経は咽頭部の温度覚・痛覚・触圧覚,
迷走神経は外耳道の表在覚(温・痛・粗大触覚)があり,どちらも三叉神経核に入る.
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【感覚の伝導路】
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1.脊髄視床路:痛覚
,温冷覚
,粗大触圧覚の伝導路
・1 次ニューロンは後根から脊髄に入り,後角で 2 次ニューロンに移行
・2 次ニューロンは反対側へ交叉してから脊髄の前側索を上行し視床へ
・視床で 3 次ニューロンに変わる
(前索 or 側索)
2.後索路:深部感覚
,識別性触圧覚の伝導路
・1 次ニューロンは脊髄に入ると,そのまま後索を上行し延髄下部へ
・延髄下部で 2 次ニューロンに変わり,反対側へ交叉してから上行し視床へ
・視床で 3 次ニューロンに変わる
*脊髄小脳路:意識されない深部感覚.筋紡錘・腱紡錘からの情報
*嗅覚などを除く感覚の情報は視床で中継される
*深部痛覚は皮膚感覚(痛覚)に含めてしまう.
①識別性触圧覚:深部感覚に相当②粗大触圧覚:皮膚感覚に相当
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【聴覚器・平衡器の構造】
[耳小骨]
①ツチ骨
②キヌタ骨
③アブミ骨
[内 耳]
④蝸牛
⑤前庭
⑥半規管
【聴
覚】
≪伝音系≫:外耳と中耳
1.外 耳
・耳介と外耳道.鼓膜より外側
・機能:集音と伝達
2.中 耳
・鼓膜より内側で前庭窓まで
・耳小骨
,耳管
,鼓室
・機能:音の増幅と調節
≪感音系≫:内耳の蝸牛
1.前庭階
と鼓室階
・外 リンパで満たされる
2.蝸牛管(中央階)
・内 リンパで満たされる.
・膜迷路
3.コルチ
器官
・聴覚の受容器.蝸牛管の基底膜上にある
◆音圧(音の強さ)は振幅の大きさ,音の高低は周波数による◆音の強さを表す単位:デシベル(dB)SPL
◆可聴周波数:15~20000Hz◆音圧のもっとも感度が良いのは 500~3000Hz
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≪音の伝達≫ 気体→液体→固体
1.音波(空気中の振動)が外耳道を通り,鼓膜を振動させる
2.ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨を介して前庭窓
に伝わり,
3.前庭階
の外リンパを振動させる
4.前庭階の振動(波)は蝸牛管
[内リンパ]に伝えられ,
5.基底膜上のコルチ器官
の有毛細胞を刺激する
6.有毛細胞の興奮は,蝸牛神経へと伝えられ,上オリーブ核→…
…→中脳の下丘
→視床の内側膝状体
を通り,一次感覚野へ
*高音は前庭窓よりで振幅最大.低音は蝸牛頂まで伝播して振幅最大
∴高音は前庭窓よりで感じ,低音は蝸牛頂よりで感じ取る
【前庭(平衡)感覚】
◆平衡感覚系とは…体を常にバランスよく保つ機能
前庭感覚・深部感覚・触圧覚・視覚などが関与
≪前庭器官の構造≫
・内耳の半規管
と前庭[耳石器]
・内 リンパで満たされる
『半規管』
・受容器:膨大部稜
の有毛細胞.クプラに覆われる
・機 能:回転
加速度を感知
『前庭(耳石器)』
・受容器:平衡斑
の有毛細胞
・機 能:直線
加速度を感知
*卵 形嚢は水平
*球 形嚢は垂直
方向の直線加速度を感知
方向の直線加速度(重力加速度)を感知
≪伝導路≫
・前庭神経を伝わり,橋と延髄にある前庭神経核に至る
・前庭神経核からは様々な神経線維が出入りする(小脳・筋紡錘・視神経など)
*蝸牛神経と前庭神経は両神経をまとめて内耳(聴)神経という
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【視
覚】
≪構 造≫ p304
①角膜
②水晶体
③硝子体
④網膜
⑤虹彩
⑥毛様体筋
⑦毛様体小帯
①最も前方にある.光の入り口.屈折力高い
②屈折力の調節
③99%は水
④光受容器(視細胞)がある.杆状体
細胞と錐状体
細胞
⑤光量調節.瞳孔括約筋
[副交感神経支配]と瞳孔散大筋
[交感神経支配]
*対光反射の中枢:中脳
⑥収縮すると…水晶体の厚みが増す
⑦水晶体の保持.毛様体筋が収縮すると小帯は弛緩する
・眼房:眼房水で満たされる.眼房水は毛様体で分泌されシュレム管で吸収される
・黄斑:中心窩は最も視力のよいところ
・視神経乳頭:視細胞がないので盲点となる
≪通光器官≫
・角膜 → 眼房水 → 水晶体 → 硝子体 → 網膜
≪受容器細胞≫:網膜にある視細胞
を感じ取る.特に暗
1.杆状体細胞:明暗
2.錐状体細胞:明るいところで色彩
を感じ取る
*黄斑部の中心窩は錐状体細胞のみで,ものを注視する時はここに像を結ばせる
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≪結像の機序≫ p305~◆レンズの屈折力はジオプトリー(D)で表す.
*近くでものを見る時(6m 以内),水晶体の厚みを変えることによって,屈折力を調節する
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・屈折力が大きい…角膜
・屈折力を調節する…水晶体
◆ヒトの屈折力は 角膜 43.05+水晶体 16.11=約 59D
≪光受容機序≫ p307~
・視細胞(杆・錐)→双極細胞→神経節細胞→脳へ
*水平細胞:視細胞どうしを連絡
*アマクリン細胞:神経節細胞どうしを連絡
『杆状体の視物質』
:ロドプシン
・暗いところで再合成され,明るいところでは分解される
・暗順応:ロドプシンの貯蔵に要する時間に相当
ビタミンAが欠乏すると,ロドプシンを合成できなくなるため,暗所でものが見えにくくなる(夜盲症)
≪視覚伝導路≫ p308~
視覚の反射に関与
・中脳の上丘
*対光反射も中脳だが上丘ではないらしい
・視床の外側膝状体
ここでニューロンを変え,
後頭葉の一次視覚野へ
『視覚路の切断』
A:片側全盲
B:両耳側半盲
C:両同名性半盲 (右)
D:黄斑回避
*ここでのポイントは,
視覚路のどこで障害されるとどの部分の
視野が障害されるか
◆視野は黄色の視標をみるときがもっとも広いらしい
◆視野の欠損(マリオットの盲点)◆視力:眼の 2 点弁別閾
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♪解剖学・生理学サブノート♪
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【嗅 覚】
・受容器:嗅細胞(鼻腔の嗅上皮に存在) p296
・におい分子は粘液中に溶け込んでから(嗅細胞の)嗅毛に達する
*におい分子約 40 万種類,受容体は約 350 種類.複数の受容体の組み合わせでにおいを認識
*ひとつの受容体に,似たような匂い分子が結合する
・嗅細胞(神経)は,篩板を突き抜けて嗅球に達する *嗅球…脳の一部
・嗅球で二次ニューロン(僧帽細胞と房飾細胞)へ変わる
・嗅覚の中枢:側頭葉の梨状葉皮質(大脳皮質の旧皮質)から始まる
*さらにここから,視床下部や扁桃体や大脳皮質嗅覚野(眼窩前頭皮質)などに投射される
・嗅覚の伝導路は視床を通らない
*但し現在は,梨状皮質から視床へ投射されると考えられている
・不快臭:-SH,-S,-NS
・快 臭:-OH,-O-,-COOR
*はっきりとにおいの質を区別できるのは約 2 千種
【味
覚】
≪受容器≫:味細胞(味蕾に存在) p298
≪味蕾をもつ乳頭≫:有郭乳頭・葉状乳頭・茸状乳頭
*糸状乳頭には無い
≪味覚の神経≫
・舌の前方 2/3…顔面神経(鼓索神経)
・舌の後方 1/3…舌咽神経
・舌以外…迷走神経
*一次ニューロンの情報は,延髄の孤束核に達する
「味覚物質」
・甘味 (スクロース)
・酸味 (H+)
・苦味 (デナトニウム)
・塩味 (Na+,Li+)
・うま味 (グルタミン酸)
*舌の一般感覚
舌の前方 2/3…三叉神経(舌神経)
舌の後方 1/3…舌咽神経
舌以外…三叉神経・迷走神経(咽頭・喉頭)
♪解剖学・生理学サブノート♪