2015 年無機化学 II 試験 解答 I マークシートの解答欄の該当する番号をマークせよ 問題 正解は赤で示した 解答番号 以下の文はそれぞれ 1 つずつの金属元素の説明となっている。説明と金属元素の組み合わせとし て正しいものを①~④の中から選べ。 a クロール法で精製される金属である。 b 接触法硫酸合成の際にこの金属の酸化物が触媒として用いられる。 c 触媒として重用される貴金属で非常に高価であったが最近は価格がかなり下がった。 ① a チタン b クロム c 金 ② a クロム b バナジウム c チタン ③ a バナジウム b クロム c ロジウム ④ a チタン b バナジウム cロジウム 1 以下の文のうちで間違っているものを選べ。 ① 水素は主に石油や天然ガスの水蒸気改質によって製造される。 ② イリジウムは液晶などの透明電極に用いられ、資源の枯渇が特に心配されている。 ③ アンモニアの用途として主要なものは肥料である。 ④ 水酸化ナトリウムは食塩水の電気分解で製造される。 2 以下の a と b の数値の一般的な傾向として正しい記述を①~④の中から選べ。 a 遷移金属元素の標準還元電位 b 希土類(III)イオンのイオン半径 ① a、b ともに周期表の右側の元素ほど大きい。 ② a、b ともに周期表の左側の元素ほど大きい。 ③ a は周期表の右側の元素ほど大きな値であり、b は左側の元素ほど大きな値である。 ④ a は周期表の左側の元素ほど大きな値であり、b は右側の元素ほど大きな値である。 3 [Fe(CO)5]および K4[Fe(CN)6]中の Fe の酸化数の和はいくつか。答に相当する数字を選べ。 0+2=② 4 赤色蛍光体材料としてよく用いられる希土類元素を下から選べ ①La ②Ce ③Pr ④Nd ⑤Sm ⑥Eu ⑦Gd ⑧Tb ⑨Dy 5 右の構造の金属化合物がある。小さい玉で表される元素 A と大きい玉で 表される元素 B の数の比率 A : B は以下のどれが正しいか。 ① 1:1 ② 1:2 ③ 2:1 ④ 2:3 ⑤ 3:2 6 金属の化合物には①イオン結晶、②錯イオンを含む塩、③共有結合の巨大分子、④分子とみなせ るものなどがあるが、これらのうちで一般的に言って融点や沸点が最も低いものを選べ。 7 以下の配位子は通常何座配位子として働くことが多いか。まちがっているものを 1 つ選べ。 ① アンミン 単座配位子 ② エチレンジアミン 二座配位子 ③ ビピリジン 三座配位子 ④ edta 六座配位子 8 ニッケルイオンにアンモニアが結合していく反応(下式)を考える。 Ni2+ + nNH3 → [Ni(NH3)n]2+ この反応の log1 = 2.8, log2 =5.0 とすると、logK2 は以下のどの数値に最も近いか以下から選べ。 ① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5 ⑥ 6 ⑦ 7 ⑧ 8 ⑨ 9 9 置換不活性金属種であるクロム(III)を含む塩である塩化クロム(III)六水和物の水溶液にエチレンジ アミンを加えるとどのような現象が観察されるか以下から選べ。 ① 溶液の色が緑色から青色に変化する。 ② 溶液の色が緑色から赤色に変化する。 ③ 溶液の色が緑色から無色に変化する。 ④ 緑色の溶液が白っぽく濁る。 10 八面体錯体中において、結晶場理論における d 軌道のエネルギーの分裂幅が小さいとき、d 電子数 が 7 個であれば、不対電子の数はいくつになると考えられるか。答に相当する数字を選べ。③ 11 錯体[Cr(CO)6]について Cr の価電子数はいくつか。答に相当する数字を選べ。⑥ 12 裏面にも問題があります。 有機金属錯体に関して適当でない文を以下から1つ選べ。 ① アルキル基が配位子として配位する場合は、その配位子の電荷は-1と勘定する。 ② 18 電子則を満たさない錯体は、研究上全く有用ではない。 ③ エチレンや芳香族炭化水素が結合した錯体も知られている。 ④ 有機金属錯体は触媒として有用なものも多く報告されている。 13 金属錯体における遷移のうち、モル吸光係数の一般的な大きさの順に並んでいるものを以下から選べ。 ① π-π*遷移 < d-d 遷移 < CT 遷移 ② π-π*遷移 < CT 遷移 < d-d 遷移 ③ CT 遷移 < d-d 遷移 < π-π*遷移 ④ CT 遷移 < π-π*遷移 < d-d 遷移 ⑤ d-d 遷移 < CT 遷移 < π-π*遷移 ⑥ d-d 遷移 < π-π*遷移 < CT 遷移 14 X 線構造解析について正しいものを以下から選べ。 ① 結晶に X 線をあてると、後方に置かれたフィルムに直接原子の位置が写る。 ② DNA の二重らせん構造も、この手法で解き明かされた。 ③ 不斉炭素の構造は原理的にわからない。 ④ タンパク質などの複雑な分子の構造決定は不可能である。 15 II 記述問題 以下の問題から 3 つを選択して答えよ。それぞれの解答欄左上の枠内に問題番号を記入してから 解答すること。解答のポイントとなることのみ示す。 (1) 希土類元素は相互の性質が似ている。この理由を述べ、さらに希土類を分離する方法を 1 つ説明せよ。 電子配置の特徴がその理由である。その特徴を説明する。分離法は溶媒抽出法またはクロマトグラフ法を 説明。 (2) [IrCl3(PPh3)3]の異性体を図示せよ。また、それぞれの異性体のリン原子核の NMR を測定した場合、何種類 の NMR シグナルが観測されるかもあわせて記述すること。 mer と fac を図示する。リン原子核の NMR は前者が 2 種類、後者は 1 種類 (3) 以下に示す化学反応は酸化還元反応の一種であるが、この反応速度は比較的遅い(k = 6×105 M-1s-1)ことが 分かっている。この反応の反応機構について説明せよ。中間体の構造も示すこと。 [Cr(H2O)6]2+ + [CoCl(NH3)5]2+ → [CrCl(H2O)5]2+ + [Co(NH3)5(H2O)]2+ 酸化還元反応の内内圏反応と呼ばれる反応機構を説明すればよい。Co と Cr が Cl 架橋でつながっている構造 の錯体が中間体である。詳細は第 8 回目の解説参照 (4) 右図はモンサント法と呼ばれる合成法の CH3COOH + HI 概略を示したものである。化合物 1、2、3、 + H2O 4 の化学式を書き、化合物中に金属を含む 場合は金属の酸化数も記せ。 4 また化合物 1、2、3、4 が生成するのはそ れぞれどのような反応かを説明せよ。 CH3OH + HI [RhI 2(CO)2]CH3I +H2O 3 1-4 の構造は講義プリントにあるので省略 COの配位 1 の生成 酸化的付加反応(酸化数、配位 数がともに 2 増える) CO 2 の生成 二重結合をもつ化合物の挿入反 応(ここでは配位メチル基と金属の間に C=O が挿入される) 4 の生成 還元的脱離反濃(酸化数、配位数がともに 2 減少) 1 CO挿入反応 2
© Copyright 2024 ExpyDoc