乳牛の双子率に対する表型および遺伝的要因 - AgriKnowledge

乳牛の双子率に対する表型および遺伝的要因
誌名
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science
ISSN
1346907X
馬場, 俊見
著者
金子, 瞳
増田, 豊
鈴木, 三義
巻/号
83巻2号
掲載ページ
p. 125-132
発行年月
2012年5月
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所
Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat
〈…般論文〉
乳牛の双子率に対する表型および遺伝的要盟
馬場俊見 1.金子目安・増田
豊2・鈴木三義2
岩手大学大学院達合農学研究科,盛岡市 020-8550
1
帯広畜産大学,帯広市 080-8555
2
(
2
0
1
1
.5
.2
3 受付, 2
0
11
.1
2
. 26受理)
要約
本研究では,
2
0
0
0年から 2
0
0
7年に北海道で分娩した 3産までのホルスタイン譲を用いて,
双子率に対する表型および遺伝的要因を謂査した.表型分析は,産次ごとおよびすべての産次を含んだ
データセットに対する G ジスティック回帰分析で、それぞれ行った.遺伝分析に(玄関値反復アニマルモデ
ルを用いた.双子は, 2004年以降増船傾向にあった.夏の季節の分娩は,双子の出生リスクが高かった.
初産では,分娩月齢が遅い偲体ほど双子の出生リスクが高力、った. 2産では月齢の影響は小さく, 3産で
みとめられなかった.しかし,産次を重ねるほど双子の出生 1
)スクが増加した. 2産および 3産ではそれ
ぞれ前産次の乳量クラス,空胎 8数クラスならびに産子の豆分も有意な影響を示した.双子率の遺伝率
および皮後率は,
.
1
8および 0
.
1
9であり,
それぞれ 0
直接選抜による双子率の遺伝的攻良が可能である
ことを示唆した.
臼本蒼産学会報 83(
2
),1
2
5
1
3
2
,2012
近年,諸外国では乳牛に関する双子の出生割合の増
材料および方法
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8;Karlsenら 2
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加が報告されている (
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oら 2
0
07).一般的に,乳牛において双子の出
1
. データ
生は好ましくない.なぜなら双子は,流産のリスクが高
分析には〈社〉北海道酪農検定検査協会に集積された
く,生まれたとしても新生子牛の死亡リスクが高いため
2
0
0
0年から 2
0
0
7年までに分娩した初産から 3産の牛群
である (Nielenら 1
9
8
9;S
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oら 2
0
07).また,異
検定記録,繁殖記録,ならびに(社)8本ホルスタイン登
性双生児はフリーマ…チンになり,更新牛として残すこ
録協会北海道支局に集積された血統記銀を用いた.はじ
とが函難になる (
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9
8
)
. 双子を産んだ母牛に
めに,牛群検定記録より初産
対しでも,双子を産むことによる難産の増加,胎盤停滞
0から 3
5, 3
2から 5
0および 44から 6
5
齢がそれぞれ 2
2産および 3産の分娩月
および周産期病などのリスクが高く,結果として繁殖サ
カ月齢の範囲に該当し,産次内で記銀の重複がない個体
イクルの遅延を招く (
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01
)
. Beerepootら (
1
9
9
2
)
を抽出した.本研究では,分娩時の産子数を単子あるい
は,一回の双子の妊娠が酪農家にとって,
は双子の二値形質として分析した.双子の判別は,牛群
1
0
8 ドルの経
検定記録内に含まれる分娩時の産子豆分を示すコードに
済的損失をもたらすと報告している.
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2
0
01)の総説によると,双子の出生に対する表
より行った.そのコードの内訳は,オスの単子,メスの
型的要因として,品種,乳量,受胎季節や産次が挙げら
単子,オスの双子,メスの双子,オス・メスの双子, 3つ
れている.遺伝的要思の調査を行った多くの研究があり
子以上,死産,不明であった.そこから単子あるいは双
(
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nら 2
0
0
0;Johansonら 2
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1 ;Wellerら 2
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0
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),
子を分娩した俗体を抽出し,それらに該当しない死産や
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) (;:J:,双子率に影響する量的形質遺伝子
不明のコードの個体は分析から時外した.初産
2産な
座を検出した.双子に関する多くの研究が行われている
らびに 3産における 3つ子以上の E分の個体の都合は,
ものの,国内の乳牛の双子に関して大規模なデータを用
それぞれ 0.004%,0.013%ならびに 0.012%と低力、った.
いた研究事例はない.
本研究の臣的は,双子率に関する表型的要国を調査
それゆえ本分析では 3つ子以上を分娩した俗体も双子
のカテゴ 1
)ーに含んだ. S
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oら (
2
0
0
6
)は,乳牛
し,その結果に基づいて遺伝的パラメータを推定するこ
の双子の多くはニ卵性であると報告している. したがっ
とであった.
て,本分析では双子はすべてニ卵性であると鎮定した.
連絡者:鈴木三義 (
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155-49-5414,e-mail:m
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B畜会報 8
3(
2
):125-132,2012
1
2
5
馬場・金子・増田・鈴木
ス,産子の状態は 3クラス,そして 305日乳量は泌乳日
数が 305巴に満たない未完成記録のクラスを含む 4クラ
2
. 表型分析
表型要悶の調査にあたり,初産から 3産までの産次ご
とのデータセットラさらにそれら各産次のデ タセッ卜
を組み合わせたデータセットを作成し,それぞれ分析を
升った.産次ごとの分析は,産;欠内特有の影響要却を調
査するために行い, 2産および 3産においては,前震次の
305 8乳量,
スにそれぞれ分類した.これらのクラス分けの概要は,
表 3に示した.分析には, SASの LOGISTICプロシジャ
(SAS2004) を照いた.各クラス効果の水準間の有意、差
検定は, Bonferroniの方法で有意水準を補正し行った.
3
. 遺伝分析
空胎日数ならびに分娩した産子の状態をそ
Karlsenら (
2
0
0
0
)は,初産と 2産開の双子率の遺伍相
れぞれ考慮、した.したがって, 2産および 3産の僧体は,
前の産次の分娩記録を有することが必要であった.編集
関は 0
.
9
9と報告した. Masudaら (
2
0
11)も,初産から
後に得られた各データセットの概要は,表 1に示したと
3産問の双子率に関する遺伝棺簡を 0
.
8
5以上と推定し
;
:
l
:
,
表 2に
おりである.また,各分析に含んだ母数効果 I
ていることから,産次間の双子率は遺伝的に問一形質と
示した.分析に含めた母数効果は,すべてクラス変数と
みなした.それゆえ,遺伝的パラメータの推定は,闇値
した.分娩月齢は,初産および 2震でそれぞれ 6クラス
に 3産で 7クラスに分類した.分娩月および牛群サイ
反復記録アニマルモデルで行った.事前に編集を加えた
スは, それぞれ 4クラスに分類した. 2産および 3産で
含めた訴産次の影響要因に関して,空胎日数は 7クラ
体を抽出し,血統を 3世代湖った.編集の結果得られた
記録をもっ個体数および血統記録を含む個体数は,それ
データから,父親が明ら力¥かつ初産時記録を有する個
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2
) :125-132,2012
7,
999,8,
000-11,
599,1
1,
600 :
;
, Unfinished
1
2
6
乳牛の双子率に対する影響要因
ぞれ 352,
528個体および 739,
335個体であった.遺伝的
る.変量効果に対しては,以下の共分散構造を彼定した.
パラメータの推定に用いたモデル式は,以下のとおりで
1
h1 11σo
ある.
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1
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ここで,ル1
mは双子率に関する 2伎のうイアどりティー,
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iは牛群・分娩年の変量効果,Mjは分娩足の母数効果,
ここで σ2hy,r
Ia,σ2peならびに σ は,それぞれ牛群・分娩
lは個体の相加的遺伝の変量
んは分娩月齢の母数効果,a
棺加的遺倍,恒久的環境ならびに残差の分散である.
e
lは1
'
宣久的環境の変量効果,
効果,p
響および産次効果の代わりとして含めることとした.上
lおよび A は
, それぞれ単位行列および分子血縁行列で
ある.分散成分の推定には,ギブスサンプリングj
去を実
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l
装した THRGIBBS1F90プログラム(Tsurutaと M
2
2006) を用いた.分析に際し ,a
eは 1に罰定した.反復
記のモデルを行列で表すと以下のようになる.
由数を 150,
000@]と設定し,最初の 50,
000@
]
を burnイn
θゲk加は残葦の変量効
果である.表型分析の結果として,分娩丹齢の効果は 2
産および 3産で、有意ではなかったが,初産次の有意な影
として切り捨てた.分散成分の点推定値は, 1
0反復ごと
Xb+Zjh十 Z2a十 Z3P十 e
に得た 1
0,
000サンプjレの挙後平均値とした.
ここで, 1は双子率のライアビリティーに関するベク卜
j
,
レ
Xおよび
zは母数および変量効果の計画行列,
結果および考察
h,a
,
pならびに eはそれぞれ牛群・分娩年,棺加的遺伝,
t
亘
1
. 表製分析
図 1には,各産次の双子率および 305B乳量平均値の
久的環境ならびに残差に関する変量効果のベクト jレであ
11,
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-士号凹・鈴木
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表型的トレンドをそれぞれ示した.双子率は 2004年以
関する 2躍の娘牛の双子分娩率(;i,それら以前の生年と
降増加傾向にあり,増加幅{抗力産より 2産および 3産で
比較して 1%水準で有意、あるいは増加鎮向にあった. し
いずれの産次においても増
9
9
3年以前の
たがって, 2004年 2産分娩儒体の父牛に, 1
加傾向にあった.表ヰには,各分析より推定した分娩年
誕生した穣雄牛と比べて,双子分娩率の高い 1994年の
の双子率に対するオッズ比を示した.分娩年において
種雄牛の供用頻度が高かったことが 2004年の顕著な双
, 2
は,図 1でみられた傾向と同様に,初産で 2003年
子の増加をもたらしたと推察する.初産および 3産で双
で 20例年, 3産で 2005年から双子の 1
)スク増加が認め
子のリスク増加が認められた 2003年および 2005年の分
.
01
)
.
られた (P<0
),その年代のうち 1
9
9
4年が生
娩個体に関しても(表 4
大きかった. 305日乳量は,
年の種雄牛の娘牛がそれぞれ 3部近く存在しており, 2
i
くi
n
s
e
lら (
1
9
9
8
)および S
i
l
v
ad
e
lR
i
oら (
2
0
07)も年次
と同様の理由で双子が増加したと考えられる.
に伴う双子率の増加を報告しており,本結果と一致して
i
n
s
e
lら (
1
9
9
8
)は,乳量が双子率の増加に対する
いた. K
表 5には
2産および 3産の分析に含めた前産次の情
主要な要国であるとした. K
a
r
l
s
e
nら (
2
0
0
0
) は,双子率
報として分娩時の産子区分,空1
台g数ならびに 305臼乳
の表型的トレンドの一部が,双子率に関する遺伝的トレ
量の効果の双子率に対するオッズ比をそれぞれ示した.
ンドによって説明され,双子率の年次的増加に乳量によ
2産および 3産に関して前産次に双子を産んだ個体は,
る間接選抜が影響している可能性を示唆した.本研究結
双子の出生 1
)スクが高かった (P<0
.
01
)
. 表 4の年次
果では,双子率が特に 2004年以降増加しており,乳量の
に伴う産次ごとの分析結果から,双子の出生リスクの増
2
0
11
)
年次的増加と異なる推移をしていた. Masudaら (
加がみられた年次は,意次を重ねるにつれ 1年ずつ遅れ
自本の乳牛葉自の双子率と初産 305日乳量間の遺怯
ていた.これには,岡一儒体が異なる産次でともに双子
.
0
7以下と報告した.それゆえ,わが盟の乳牛の
相関を 0
分娩したことが影響しているかもしれない.分析データ
双子率の増加に対して,乳量による選抜が影響した可能
より,異なる産次でともに双子分娩したイ自体数を調べた
は
,
性は小さいと推察される.年次に伴う双子の増加に対す
0例年を境に
ところ,双子の増加が特に顕著になった 2
るその他の要因として,特定の血統の穣雄牛が導入され
増加傾向にあったものの,年次あたりの双子分娩の合計
たことが関与した可能性がある.そこで,分析データか
数に対してその数は少なかった. したがって,同一倍体
ら各種雄牛について産次ごとに掠牛の双子分娩率(双子
の双子の繰り返しよりも,双子に寄与する遺伝子を有す
を分娩した娘牛数/単子あるいは双子を分娩した娘牛数〉
る種雄牛の娘牛が, 2003年から初産分娩を終え,その後
を算出し,種雄牛の誕生年に対する娘牛の双子分娩率の
1年ごとに産次を重ねたため, 双子の出生リスクが 1年
年次的変化を調査した.結果として,按牛の双子分娩率
i
n
s
e
lら (
1
9
9
8
) は,観測
遅れで増加したと推測する. K
は,いずれの産次においても年次に伴い増加傾向にあっ
データの記述統計量に基づき,前産;欠に双子を出生した
た.ここで, 2産において双子のリスクが増加した 2004
俗体は,単子と比較して1.85倍リスクが高くなること
年の分娩した個体についてみてみると,およそ 3割 が
を報告した.双子の増加には,護施性卵巣による繁殖障
1
9
9
4年が生年の種雄牛の娘牛であり,その供用数は前年
n
s
e
l
害やそれに伴う抗生物質の投与が影響しており(fく i
に比べて 4倍近く多力、った. 1994年に誕生した種雄牛に
ら1
9
9
8
), 結果として次産における双子の再発を促した
2
) :125-132,2012
B畜会報 83(
1
2
8
乳牛の双子率に対する
可能性がある. 3躍で I
;:J:,前産の分娩が死産あるいは不
6および表 7にI
;:J:,産次ごとの分析に含めた分娩月
明であっても双子の出生 1
)スクが高かった (p<0
.
01
)
.
齢グループ,そして会ての産次を含む分析で考慮した産
本分析による単子あるいは双子の判別は,酪農家の申告
次の効果の双子率に対するオッズ比をそれぞれ示した.
に基づいて行われたものである.双子を産んだとして
初産の分娩月齢では, 30から 35ヵ月齢の水準に対して,
も,どちらか一方が死亡した場合には双子とせずに死産
28から 29カ足齢の水準以外に有意差が存在し,
とみなすケースがありうる.それゆえ,一定数の個体が
齢の水準ほど双子の出生リスクカ刊誌力、った (p<0
.
01
)
.
若し、月
そのカテゴリ…に含まれたため,
リスクが高まったと考
,
:
J
; 32から 35カ月齢の水準で, 45から 50カ
一方 2産で I
えられた. 2産においては初産次の双子の出生頻度が低
月齢を除くその他の水準より双子の出生リスクが有意に
かったため,影響がなかったと予想される.
高かった (
p<0.01)が,初産に比べて水準間の変動は
Table5 Oddsr
a
t
i
o
sandadjusted99%confidencei
n
t
e
r
v
a
l
s(
C
I
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I
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a
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i
o Adjusted99%C
Oddsr
a
t
i
o Adjusted99%C
I
L
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v
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l
1.00a
2.90b
了wins
1.00a
2.98b
2.46-3.62
S
t
i
l
l
b
i
r
t
ho
rUnknown
0.96a
0.87-1.06
1.17C
1.00a
1.03-1.32
1.20b
c
1.
2
7b
1.07-1.35
e
l
S
i
n
g
l
eb
i
r
t
nr
Conditiono
fc
a
l
fcalved
~
Daysopen
79days制
80~100
3
days
1.00
1.12b
1
.00…
1
.26
1.05-1.37
2.60…3.22
101~120
days
1.20b
121~140
days
1.170
1
.
01
1.34
141~160
days
1 03-1.40
161~180
days
1.200
o
1.
1
5a
1.36C
C
1
.
3
1b
0.98-1.36
1
.29∞ 1 . 10…
1
.52
181~
days
i1
9b
1.04-1.37
1.03 上 35
2
1
.
0
0
"
1.33b
o
1.
1
8b
1.00a
1.20-1.46
1.63-2.04
1.24b
1.66C
1.13-1.35
3
1 82C
1.29-1.65
1.
4
6d
1.
3
1
1.
6
3
l
305-daym
i
l
l
くy
i
e
l
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4
目
号
目
1
.
4
6
"
1.
1
2
1.
4
5
1
.57
1.19…
1.13-1.52
1.47…1.87
r
e
lR
efrence
p
a
r
i
t
y
:1
-三
:
, 6
,
599kg,2-6,
600-9,
399kg,3-9,
400kg :
S
;
, 4-Unfinished;Third p
a
r
i
t
y
:1
…
三
三 7
,
999kg,2-8,
000599kg,3
1
1,
600kg 手
, 4-Unfinished
1
1,
a~d s
i
g
n
i
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c
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ncolumno
feache
f
f
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c
t(
P<0
.
0
1
)
1S
econd
Table6 Odds r
a
t
i
o
s and adjusted 99% confidence i
n
t
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r
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l
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C
I
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Odds
r
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o
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9
d
9
j
u
%
sted
C
I
Calving
age
Odds
r
a
t
i
o
A
9
d
9
j
u
%
sted
C
I
Calving
age
Odds
r
a
t
i
o
A
2
d
9
j
L
i
s
t
e
d
% C
I
18-23
0.55-0.77
32-35
44-48
O 54…0.78
36-37
1.13a
0.99b
0.99-1.29
24
0.65a
0.65a
0.88-1.19
49-50
1.00a
0.97a
0.86-1.10
25
O 68a
0.57-0.81
38-39
0.85-1.07
51-52
26-27
b
0.74a
0.63-0.87
40…
4
1
0.95b
0.99b
0.89-1.11
53-54
28-29
0.88出
1.00C
0.73-1.05
42-44
0.980
b
1.00a
0.88-1
.09
55-56
向
r
e
l
30-35
向
e
l
45-50r
r
e
lR
efrence
a~Csignificantly
d
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n
tw
i
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h
i
ncolumno
feache
f
f
e
c
t(
P<0
.
0
1
)
g畜会報 83(
2
) :125-132,2012
1
2
9
0.88…1.15
0.97a
o.
9
6a
0.86-1.10
0.83-1.07
57-59
0.94a
0.96a
e
l
60-65r
o
a
1o
目
0.85-1.08
0.85…
1
.09
-増田・鈴木
小さく,月齢の影響はほぼなかった. 3震においては,す
方 1から 3 Bでそのリスクが依いと報告しており,本結
べての水準問に有意、差がなかった.産次簡に関しては,
i
e
l
e
nら (
1
9
8
9
)および Karlsen
果と概ね致していた.N
初産と比較して 2および 3産でそれぞれ 4
.
1
7および 5
.
2
3
ら (2000)も,本研究と問機の結果であったが, I
くi
n
s
e
lら
倍双子の出生リスクが嘉かった (p<0
.
0
1
)
. 他の研究
(
1
9
9
8
)の報告で、は受給季節の影響はなかった.双子の出
においても,経産牛ほど双子の出生リスクは増加してい
リスクが高い 6月から 8月に分娩した個体は,おおよ
f
こ (
N
i
e
l
e
nら 1
9
8
9 ;K
i
n
s
e
lら 1
9
9
8
そ前年の 8から 10Bの鶴に受給した儒体で、ある. N
i
e
l
e
n
Karlsenら 2000 ;
)
.S
i
l
v
ad
e
lR
i
oら (
2
0
0
6
) が一卵性
S
i
l
v
ad
e
lR
i
oら 2007
ら (1989)(;:t,夏から秋にカ、けての飼料の栄養水準の変化
の双子の頻度がこ卵性に比べて低いことを報告している
くa
r
l
s
e
nら (
2
0
0
0
)
による二排障の増加の影響を示唆した.I
ように,多くの双子が多排卵由来であると考えられる.
は,光掲性の変化が影響している可能性を指摘した.本
Lopez-Gatiusら (
2
0
0
5
) は,初産と比較して 2産および
結果に対しても,これらが影響を与えたと推察できる.
3産で,それぞれ 3.4および 5
.
6侍のニ排却のリスクが
とド群サイズにおいて,牛群が大規模になるほど双子の
高いことを示していた.初産の若い月齢ほど双子の出生
出生リスクは増加する傾向があった. 2産および 3産で
リスクが低い背景に(;:t,多排却の出現頻度が月齢を三重ね
は,牛群サイズが最も小さい水準と大きい水準間にそれ
た姐体と比較して少ないことが考えられる.
ぞれ有意差が認められた
(
P<0.01).全ての産次にお
いては,いずれの水準間にも有意差が存在した (P<
8には,分娩月グループおよび牛群サイズの双子率
プで
2月から 2月の水準と比
は,いずれの産次においても, 1
)スクが高
較して, 6月から 8月の水準で双子の出生 1
こ (p<0
.
01
)
.S
i
l
v
ad
e
lR
i
oら (
2
0
0
7
)は
, 4月か
かっ 7
含めたが,彼らの研究と同様に農家ごとの管理方法の違
ら 6月の分娩克グループで双子の発生リスクが高く,一
いが双子率に影響を与えている可能性がある.
0
.
01
)
.N
i
e
l
e
nら (
1
9
8
9
) および K
i
n
s
e
lら (
1
9
9
8
) は,牛
に対するオッズ比をそれぞれ示した.分娩月グル
群の効果が双子率に対して有意であることを報告した.
本研究では牛群ではなく牛群サイズとして統計モデルに
空胎日数に関しては,空胎日数が 798以下の水準と
比較して
Table7 Oddsr
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sanda
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P
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r
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t
y
2産では 1
6
1から 1
8
0日を除く水準,
また 3
においては全ての水準で有意差があり,双子のリスク
,P<0
.
01).空胎 8数の延長が双子の
が高かった(表 5
1
)スクを増加させた首景には,繁殖障容に伴う治療やホ
Oddsr
a
t
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o A
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l
ルモン剤の投与が影響していると考えられる. 3産では,
e
l
F
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s
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1
.
0
08
Second
4.17b
3.97…4.39
高かった.これは授精を行う方針や管理方法が産次に
T
h
i
r
d
5.23C
4.97-5.51
よって異なることを暗示しているかもしれない.
1
2
1から 1
4
08のクラスでそのリスクが1.3
6倍と最も
3058乳量クラスでは, 2産および 3産でともに高乳
r
e
lR
efrence
量の水準ほど双子の出生リスクが高く,すべての水準間
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ncolumno
feache
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c
t(
P
<0.01)
に有意差があった(表 5
,P <0
.
01
)
. Nielenら (1989)は
Tabie8Oddsr
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C
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Odds
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sted
C
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1.
1
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1
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1
.
1
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1.02-1.19
1
.
1
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1
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1.
2
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1.04-1.16
6-8
b
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.
1
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b
1
.
2
1
1.12-1.30
b
1
.
2
8
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.1
9…
1
.39
b
1.24
1.18-1.31
1
9…1
1
.
0
38
0.89-1.19
1.05ac
0.97-1.14
1
.
0
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0.99…1
.
1
7
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.
0
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1.00-1.11
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12-2r
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2
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1
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.
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.
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1
.
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08
1
.
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1
.
0
0a
a
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.
0
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1.04
O97-1.12
1
.
0
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1.
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6
1
.
0
9b
1.04-1.14
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0.93-1.27
1.04
0.94-1.14
C
1
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1.10-1.33
1.15
1.08-1.22
90三
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1
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1
38
0.98-1.30
1.18b
1.08-1.28
1
.
2
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.
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1
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目
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乳牛の双子率に対する影響要因
泌乳 8数 1008までの累積乳量,そして Kinselら (1998)
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.
1
9であり,遺伝率とほぼ伺値であった.恒久的環境分
はピーク乳量の増加に対して,双子のリスクが高まるこ
散が O006と遺倍分散 (0.23) に比べて極めて小さく,反
とを報告した.しかし Nielenら (1989)は,単子か双子の
疫の程度は遺伝要因の寄与によるものが大きい.
岨
違いが 305 8乳量に対して影響はないとした. Frickeと
本研究では,
Wiltbank(1999) および Lopezら (2005) は,多排卵のイ国
双子率に対する表型的および遺伝的要因
の調査を行った.表組分析の結果から,多くの研究報告
体の乳量レベルは単排卵の個体のものより高く,双子率
と同様に双子は近年増加傾両にあり,
の増加に対して影響していることそ示した. Wiltbanl
く
ら
てさまざまな要量が謹雑に影響していることが明らかに
(2006) は,高泌乳に伴う飼料撰取量の増加によって,ス
なった.双子の抑制にあたり,初産では分娩月齢を早め
テ O イド代謝を高める肝血流量が増加し,エストロジェ
ることが有効であるものの,
双子の出生に対し
その他の要密について管理
ンおよびプロジヱステ G ン濃度の循環の減少を引き起こ
方法を見醒すことは難しい.双子率の遺伝率は 0.18と推
すことで,多排卵が起こる可能性を示唆した.本結果に
定され,双子に対する遺伝的寄与がみられた. したがっ
おいても,
この生理的メカニズムが, 305 8乳量クラス
て
,
遺伝的に双子の発生を抑制することが可能であると
間の双子の出生に対するリスクの棺違をもたらしたと推
考えられる.本研究の双子の遺伝率は,その他の繁殖や
察する.さらには,牛群サイズの結果のように,農家の
管理形質と比較しても遺伝率が嘉く (Abeら 2009;河原
レベルによって管理方針が異なり,それが 305 8乳
ら 2010;家憲改良センタ-2010),車接選抜による双子
量に反映した可能性がある. 305 日未完成記鰻の水準に
率の遺伝的改良が十分に可能な数値であると推察され
おける双子のリスクは,高乳量の水準につづいて
た. Ronら (1990) は,双子率と難産に関する評価値聞に
た (p<0.01).この理由として,高生産の憧体が一定数
有意な負の相慢を報告しており,
双子の発生の抑制が難
含んだため,さらには妊娠前の繁殖鰻害や乳房炎などの
産の 1
1
1
滅を隣接的!こもたらすことも可能かもしれない.
疾病による治療の影響と考えられる.
双子の増加は,
2
. 遺低分析
5には遺伝分析{こより推定した分散成分の推定値を
示した.推定した牛群・分娩年の分散はかなり小さく,
双子の発生に対する牛群・分娩年の同期グループの影響
は小さいことが推察された.双子率の推定遺伝率は 0.18
であり,過去の報告と比べて高かった. Karlsenら (2000)
が根形サイアーモデルにより推定した初産および 2産の
遺伝率は,それぞれ 0.0078および 0.0281だった. Ghavi
Hossein-Zadehら (2009) (ネ闇値アニマルモデルで初
産から 3産の双子率の遺伝率をそれぞれ 0.074,0.067お
よび 0.054と推定した. Johansonら (2001
) (玄関鑓サイ
アーモデルで 0.0871の遺伝率を推定した. Ronら (1990)
は
, 関儀サイア…モデルおよび笥値 MGSモデルを用い
.
1
1の遺伝率を算出した.本研究では,
て
, 0.10および 0
反復モデルを当てはめることで,産次障の分散の違いを
無視した.さらに,分析には近年のデータのみを使用し
た.本研究において推定された相対的に高い遺伝率は,
これらに起到していることが考えられる.推定反復率は
ことを示唆する報告 (Karlsenら 2000;Ghavi Hossseir
ト
Zadehら 2009)がある.一方,本研究グループの Masuda
ら (2011)による調査では,初産から 3産までの双子率と
初産次 305 日
を選抜できることが期待される. しかし,双子率に対す
る選抜そ行うにあたり,
ある.
謝 訴
本研究を遂行するに当たり, (社〉北海道酪農検定検査
協会,ならびに(杖)8本ホルスタイン登録協会北海道支
局には,分析で用いるデータを提供して頂いた.なお,
本研究はグロ…パル c
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ξ プログラム「アニマル・グ
ロー/て jレ・へ jレ
ス j 開拓拠点の支譲を得て行われたもの
である.ここに記し深く感諒します.
文 献
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日畜会報 83(2) :125-132,2012
他の産乳形質や体型形質などと
の遺伝的関連を明らかにするなどの十分な検討が必要で
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よって,乳量の遺伝的改良を停滞させることなく,双子
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乳量の遺伝的改良に伴う間接反応、である
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in Japanese Holsteins
Toshimi BABAl, Hitomi KANEK0 2, Yutaka MASUoN and Mitsuyoshi SUZUKI 2
1
United Graduate School of Agricultural Sciences, Iwate University, Morioka 020-8550, Japan
2 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, Obihiro 080-8555, Japan
Corresponding: Mitsuyoshi SUZUKI (fax: +81 (0) 155-49-5414, e-mail: [email protected])
The objective of this study was to investigate phenotypic and genetic factors of twinning rate, using
records from first to third parity of Holsteins calved in Hokkaido from 2000 to 2007. Phenotypic analysis was
conducted by logistic regression analysis for each parity and the whole dataset. Genetic analysis was carried
out by using threshold repeatability animal model. Twinning rate of all parities tended to increase from 2004
in calving year. Summer calving was a high risk factor for twinning. The risk of twinning birth increased in
the older age in first parity. The association between twinning rate and calving age was little in second parity
and none in third parity. However, the risk of twinning birth increased as parity increased. For second and
third parity, 305-day milk yield, days open and condition of calf in previous parity were significant factors for
twinning rate.
Heritability and repeatability for twinning rate were 0.18 and 0.19, respectively. This result
suggests that genetic improvement of twinning rate by direct selection is feasible.
Nihon Chikusan Gakkaiho 83 (2), 125-132,2012
Key words: genetic parameter, Holstein, phenotypic factor, twinning rate.
8 ~~~~ 83 (2) : 125-132, 2012
132