新年のご挨拶 - 中央酪農会議

新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあたり、最近の酪農をめぐる情勢
を踏まえ、所信の一端を述べさせて頂きます。
昨年は、流通飼料や燃料など生産資材価格の高止まりに加え、TPP(環太平洋戦略的経
済連携協定)に代表される農業市場開放圧力への先行き不安を背景として、酪農経営の廃業
に歯止めがかからず、経営規模拡大による生乳生産維持の限界性も顕在化しました。
最近になって、配合飼料価格高騰の主因であったシカゴ穀物相場や原油価格も急落しまし
たが、
「円安・株高」の政策誘導により、先行き不透明な情勢は続いております。また、農政
の最重要課題であるTPP交渉は越年となりましたが、米国の中間選挙の結果、米国議会は
自由貿易推進派の野党・共和党が両院で過半数を占めることとなり、予断を許さない状況が
続いております。
こうした状況のなか、わが国の生乳生産は、25 年7月以降、前年を下回って推移しており
ましたが、昨年 11 月以降、北海道や九州で前年を上回るなど、一部の地域で回復の兆しがみ
られるものの、依然として厳しい状況が続いております。
一方、
牛乳等向け生乳をめぐる情勢は、
25 年 10 月の牛乳の小売価格の改定(値上げ)に続き、
昨年4月には消費税率が引き上げられましたが、幸いにして、21 年度の値上げ当時と異なり、
生乳需給がひっ迫基調で推移していることから、飲用牛乳の小売価格改定による大きな影響
は生じておりません。
このように比較的堅調な牛乳消費のなかで、生乳生産の回復遅れから、十分な乳製品(バ
ター・脱脂粉乳)在庫の確保ができず、昨年、カレントアクセス以外に、それぞれ 10 千トン
の追加輸入がなされましたが、年末にかけて、バターひっ迫に関する報道が相次いだところ
です。世界に目を向ければ、人口の増大と新興国の需要伸長により、乳製品需給は中長期的
にひっ迫基調で推移すると見込まれておりますので、国内需要は国産で充足することが必要
といえます。
アベノミクスによる経済効果は一部の輸出産業に限られており、酪農乳業界では、急激な
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一般社団法人中央酪農会議 会 長 萬 歳 章
円安の影響でコスト上昇が経営を圧迫するなか、最重要課題である生乳生産基盤の回復に向
け、年末には 26 年度生乳取引交渉が 27 年4月からの飲用向け並びにはっ酵乳向け乳価の 3
円値上げの方向でまとまりました。
本会議といたしましては、指定団体をはじめとする生産者組織と連携し、生乳供給力のこ
れ以上の脆弱化を防ぎ、生乳生産基盤の立て直しを図って参りたいと考えております。
また昨年は、完全米飯給食が広がるなかで、
“和食”がユネスコの無形文化遺産に登録され
たことをきっかけに、
“ご飯に合わない”との理由から「牛乳不要論」が持ち上がりました。
学校給食における牛乳の果たしている役割について、疑問の余地はないと考える業界関係者
にとって、
「牛乳の有用性」を継続して情報発信することの重要性を痛感する機会となりまし
た。
消費税率の再引き上げは延期となりましたが、急速な円安の弊害である物価上昇により、
消費者の節約志向は依然として強いものがあります。したがいまして、本年も牛乳乳製品市
場をめぐる情勢は厳しいと思われます。
このような状況を踏まえ、本会議では引き続き、中長期的な視点で、
『日本酪農の存在意義』
と『国産牛乳乳製品の重要性』を訴求テーマとして、ミルクサプライチェーンが持続可能と
なる適正価格での販売について、側面的な支援となるよう、積極的に理解醸成活動に取り組
んで参る所存です。
また、農林水産省は、食料・農業・農村基本計画の見直しに併せ、26 年度内に酪肉近代化
基本方針を取りまとめますが、生乳生産基盤強化の視点からの中長期的ビジョンと振興策に
ついて、酪農家が希望を持てるような対応を求めていくことも必要です。
以上、現下の酪農を取り巻く情勢と本会議事業の推進にあたっての基本的な考え方につき
まして述べて参りましたが、酪農家並びに業界関係者の皆様方のご健勝と酪農乳業界の発展
を祈念するとともに本会議へのご支援、ご理解のほど、宜しくお願い申し上げ、新年のご挨
拶とさせて頂きます。
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