心臓核医学検査を考えてみよう! 核種 塩化タリウム 第29回北海道核医学技術セミナー 社会医療法⼈孝仁会 ⼼臓⾎管センター北海道⼤野病院 画像診断部 本間 仁 当院の核医学検査内訳 TLによる心筋SPECTが90%以上 201 ほぼ100%です その90%以上が負荷心筋SPECT 再静注法を全例 負荷は月80件~110件で運動中心 負荷方法はトレッドミルによる運動負荷が主(薬剤負荷はdipyridamole) 実は年2〜3例 はTcでGateを やってます! 主な検査推移 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 明らかに有害 逆転 心臓血管センター 北海道大野病院 FFR≦0.80で至適薬物療法を行った群は、FFR≦0.80で PCI+至適 薬物療法を行った群およびFFR>0.80で至適薬物慮法を行った群に 比べて有意に緊急血行再建が多かった 心臓血管センター 北海道大野病院 第19回 札幌核医学技術研究会 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 特徴 Tl-201 Tc-99mMIBIまたはtetrofosmin 目的 安静および負荷心筋,腫瘍シンチ用にも用 ⼼筋⾎流:安静および負荷 いられる 使⽤量 74-111 MBq 600-1110 MBq 薬剤の集積機構と特徴 •水溶性一価陽イオン •⼼筋での抽出率=約90% •⼼筋集積率3〜4% •Na-Kポンプによる能動輸送で細胞内に入 る •後期像では再分布があり、時間経過で安 静時の画像に近づく •脂溶性 •⼼筋での抽出率=約60-70% •⼼筋集積率2% •細胞膜は拡散で通過するが、集積はミト コンドリア機能に関連する •基本的には再分布は⾒られず、負荷時は 2回の注射が必要 負荷時の注射方法 •負荷-後期像を撮る一般的方法:負荷時に 注射、3-4時間後に後期像を撮像 •1日法:負荷→安静の順で検査、または •再静注法:負荷時に注射、再静注後に安 安静→負荷の順で検査を施⾏する 静時の撮像 •2日法:負荷と安静を別の日に検査する •24時間法:生存性の評価のために、24時 間の緩やかな再分布も⾒ることがある 注射から撮像までの 時間とプロトコール例 •早期像は注射後、5-10分で開始 •後期像は3-4時間後 データ処理と画質 •⼼筋集積のコントラストは良好 •Tc-99mのエネルギーが撮像に適している •乳房や横隔膜での減弱がTc-99mよりも大 ため画質良好 きい •gated SPECTでの解析にも適している •体重が⼤きい場合は画質不良 •30-60分が一般的(さらに早い時間も可能 だが肝に集積がある) 要点 ・Tc-99m標識の製剤として はMIBI(カーディオライ ト)とtetrofosmin(マイオ ビュー)が利⽤できる ・Tc-99m製剤は半減期が短 いため投与量を増やすこと ができ、心電図同期検査を 施⾏する場合にも画質が良 好である ・Tl-201は歴史的に⻑く⼼筋 ⾎流検査に⽤いられており、 虚血の検出や心筋生存性 (生存能)の評価に優れて いる ・冠動脈疾患診断における 臨床的な価値については、 同程度と考えられている タリウム検査 ・画像がきれいではない (エネルギーが低く投与量が少ない) ・下壁のattenuation (エネルギーが低い) ・被曝量が多い ・日本人は欧米人に比べて体格は小さい ので思ったよりも気にせず検査はできる と思う ・機能が変化する前にまず⾎流異常が起 きるので虚血を検出する意義がある ・負荷が終わってほぼすぐに撮像できる ので、検査の組み方が楽だ ・DPCにやさしい 運動負荷のimage DP=30200 負荷が充分かかっているときは胃や肝臓はあまり描出されない DP=16700 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 使用機器・撮像条件 使用機器 GE INFINIA3 INFINIA3 処理装置 Xeleris コリメータ ELEGP( ) ELEGP(拡張低エネルギー汎用) 収集条件 対向二面 360° 360°収集 撮像時間はcount rate 円軌道連続回転( で決定してます。 円軌道連続回転(3回転) 回転) 4kcounts/sec以下は 6°収集 1STEP 36sec 24min, 4.5Kcounts/sec以上 128X128 matrix の場合は18minで。 撮像時間 Total 21min 0~ 7min・・・・・R1 7~14min・・・・・R2 14~21min・・・・・R3 } R1+R2+R3=TL ADD 加算DATA TL ADDを を使用して 加算 使用して画像処理 して画像処理 撮像条件を考える 撮像条件フロー 画像処理に関しては適切な判断をどこに置くかは検討課題 画像処理 *撮像条件フローで得られたImageを画像処理に入力 ①処理が適切か *ここの①②を判断するツールがどうするか→課題 NO 手順などに間 違いがない YES ② S/Nが担保されているか? NO 見た目がいいか YES Max・Total count NO YES ③ 分解能をチェック YES 目標物が見える OK NO ④ 撮像パラメータの見直し YES 撮像条件フローAへ Total時間の変更 時間の変更 NO YES 撮像条件フローDへ 収集方法の変 更が可能か *ここで撮像条件フローCのSTEP角度を再考するも入れたほうがいいかも NO ⑤ 感度か分解能の変更 感度の変更 分解能の変更 If ②Yes③がNoの時 *②の分岐で感度を変えるべきか分解能を変えるべきか (最初の資料にある⑤と⑥を一緒にしました) If ②④がNoの時 ⑥ 感度を上げる ⑦ 分解能を上げる *処理を一つ一つ分けてフローにしました YES YES 拡大率を小さく変更 NO 拡大率を大きく変更 NO YES YES Matrixを小さく変更 NO 撮像条件フローBへ YES コリメータをGPに変更 Matrixを大きく変更 NO YES コリメータをHRに変更 撮像条件フローBへ 画像の工夫 頑張りましたが24分でも Count不⾜ 37c 37cX3 画像の工夫 頑張りましたが24分でも Count不⾜ 37c 37cX3 Matrix size 18分 18分 一般的にはLEHRコリメータ しかし総合分解能を考えると ELEGPでもMatrixの組み合わ せによっては ELEGP 3時間 128×128 LEHR 64×64 ELEGPの描出 128 64 64 128 57% 41% 34% 24% 見た目では遜色はない むしろPVEからは128の方がコントラストは良いといえる 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 Upward Creep 運動負荷後、呼吸状態により運動直後と呼吸が落ち着いた時で横隔膜の⾼さ、 即ち心臓の位置が撮像時間により変化 撮影開始時 撮影終了時 症例 75歳 男性 梗塞後狭⼼症疑い トレッドミル Bruce Stress-Tl 心尖部の亢進 7時方向低下 RV側に亢進 3時方向低下 Rest-Tl Restで低下部はfill-in、hot部はnormarize 下壁の虚血を疑う所見 しかしプロジェクションデータを見ると最初のR1(0~6min)で心臓の 位置が下がっているのがわかる R1 R2 R3 R1+R2 +R2+R3 +R3 さらに2minごとに撮像したimageを見ると最初の2~4minでずれている 2min 4min 6min 8min 回転スピードが遅くなるほどcountは 上がる傾向にあるが、上昇度合いは 約1%程度 Phantomのcold部分を撮像 したときの画像は1minで 回転させた時に円形の Artifactが出現したが、その 他はほとんど変わらない 1回転2分収集で撮像が 良いと考え臨床で検討 1min 2min 3min 4min 5min 6min 7min 10min 1minX2 Upward Creep現象 回転速度を変化させた時のtotal countは時間をかけるほど微増する 傾向にあったが、変化率は約1%前後で誤差範囲と思われた 1min/回転の画像は中心近くにリング状のartifactが出現したので 実際の臨床データは2min/回転で行った Profile curveは1min/回転では変動が大きかったが、2min/回転以上の 回転速度でも変動の傾向は変わらなかった 実際の臨床例でもartifactはうまく軽減されており、検査の精度を あげる一助となり得ると思われた 移動PixelとDP、BMIとの関係 BMIと BMIと移動Pixel 移動 Pixelの Pixel の 関係 負荷DP 負荷DPと DPと移動Pixelの 移動Pixelの関係 Pixelの関係 400 350 35 300 250 200 150 25 負荷DP 30 BMI 20 15 10 100 50 0 5 0 0 1 2 移動Pixel 3 4 0 1 2 移動Pixel 3 4 BMIと移動Pixelの関係 負荷量DPと移動Pixelの関係 Upward Creep現象 横野ら(宝塚市⽴病院)の研究では64X64で1pixel以上のずれは68%,2pixel以上は 8%,当院では128X128で症例50例中2pixel以上の移動を認め たのは55%,3pixel以上は25%で3pixel以上の画像は 全例、2pixel以上は20%弱の特徴的artifactが⾒ら 発⽣頻度は⽇常的と⾔える れた Tc製剤であれば1pass撮像のためライノグラムやサイノグラムを使った補正が可能 だが、多数回転が推奨されるTL製剤はそれができない 撮像などの工夫により補正を頼らずに信頼性のある画像を提供できる 連続複数回転により対処できると思われた 連続した深呼吸の結果・・・・ 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 201Tl Stress 4hr delay (rere-inj) inj) ⼼筋⾎流シンチ 201Tl ⼼筋⾎流シンチ Stress 4hr delay (rere-inj) inj) 24hr delay (redistribution) 201Tl ⼼筋⾎流シンチ PCI前 PCI前 PCIから PCIから5 から5ヶ月後 Stress 4hr delay (rere-inj) inj) 201Tl ⼼筋⾎流シンチ PCI前 PCI前 PCIから PCIから5 から5ヶ月後 Stress 4hr delay (rere-inj) inj) 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 MPI(Myocardial Perfusion Index) TL RI angio dynamic収集 ROI描出 収集マトリックス 64X64 収集フレーム 1secX120 frame 撮影方向 LAO45° TAC TACの時間軸移動 Patlak plot処理 MPI(Myocardial Perfusion Index) ROI 1 TL iv早期の大動脈弓部と心臓のROIに 関して時間放射能曲線(TAC)を解析して MPIを得る 安静時心筋シンチで左室血流の定量評価を 可能にする指標となる ROI 2 MPI(Myocardial Perfusion Index) Artery dM(t)/dt=Ku×C(t) C(t) LVA(t)=M(t)+V×C(t) LVA(t) C(t) = Ku× ∫C(τ)dτ +V C(t) M(t) 左室全体のROI activity :LVA 心筋uptake : M(t) 心筋放射能濃度 : C(t) 分布容積 : V Myocardium MPI(Myocardial Perfusion Index) 心筋内と動脈血内の濃 度比をy軸に、動脈血 内の濃度の積と動脈血 内の濃度の比をX軸に プロット 最初の直線部分での 傾きが心筋血流値、 切片が分布容積 ROI volumeの影響を なくするためKu/Vの比を MPIとする MPI(Myocardial Perfusion Index) 患者 MPI CO/TBV EF OPE A 0.855 0.97 95 AVR B 0.844 0.99 66 CABG C 0.565 0.88 28 CABG D 1.131 1.08 60 MVR E 1.577 1.16 90 AVR F 0.515 0.79 61 DVR G 1.064 0.80 46 CABG H 1.145 0.81 89 CABG I 0.959 0.90 76 ASD(術後) C,Fの患者さんはICM様のdiffuseなUptakeを呈していた 心筋の病態把握に関与していると考える Tc-MIBIでMPIを示す 99m 福島県白河厚生総合病院 小室先生 Tc-MIBIでMPIを示す 99m 福島県白河厚生総合病院 小室先生 今日のお話 負荷心筋シンチの重要性 塩化タリウムの特徴 塩化タリウムの撮像条件について考える Artifactと対処法を考えてみた 塩化タリウムを使ったからわかったこと その他 前⽥先⽣のテクネの発表がありますので結論的 なことは書きません 謝辞 最後に一部スライドを提供していた だきました福島県白河厚生総合病院 小室敦司先生に感謝申し上げます
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