ハフニウム酸窒化物担持還元グラフェンオキサイドの酸素還元活性

Annual Report No.29 2015
ハフニウム酸窒化物担持還元グラフェンオキサイドの酸素還元活性
Oxygen Reduction Reaction Activity of
Hafnium Oxynitride Supported on Reduced Graphene-Oxides
H26海自31
派遣先 第65回国際電気化学会会議(スイス・ローザンヌ)
期 間 平成26年8月29日~平成26年9月7日(10日間)
申請者 国立大学法人 弘前大学 助教 千 坂 光 陽
での開催であることもあり、参加者は1,600名
海外における研究活動状況
を超えた様子です。会議は6日間の口頭発表
研究目的
セッションと、3日間のポスター発表セッショ
本派遣の目的は、2014年8月31日より6日間
ンで構成され、私は9月4日の午後に”Oxygen
にわたってスイス・ローザンヌで開催された
Reduction Reaction Activity of Hafnium Oxyni-
65th annual meeting of the International Society
tride Supported on Reduced Graphene-Oxides”
of Electrochemistry(ISE)に参加し、成果発表
という題目で口頭発表を行いました。
を行うとともに、会議に参加している研究者と
私が研究の対象として注目している固体高
意見・情報交換をすることです。
分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell,
PEFC)は、特に次世代自動車用動力源として
海外における研究活動報告
期待されています。国内自動車メーカーによ
このたび村田学術振興財団の研究者海外派
る本年12月の一般販売開始も予定されていま
遣援助を賜り、2014年8月31日から9月5日ま
すが、そのカソード(正極)に多量の白金触媒
でスイス・ローザンヌのÉcole polytechnique
を使用していることが、本格普及への障壁で
fédérale de Lausanne(スイス連邦工科大学ロー
す。本発表では、白金代替触媒として近年私
ザンヌ校、通称EPFL)で開催された65th annu-
たちが発見したハフニウム酸窒化物(HfO x N y)
al meeting of ISEに参加いたしました。1949年
のさらなる高性能化と合成方法の簡素化を同
創立のISEは電気化学に関する権威ある国際学
時に達成する水熱合成法を報告しました。従
会であり、60年以上にわたり毎年秋に電気化
来のアンモニアガス窒化法では、有害な排ガス
学全般を対象とした国際会議を開催してきまし
処理、数日間にわたり高価な純アンモニアガス
た。開催地のローザンヌはフランス語圏のスイ
(99.999%)を利用することが課題でした。本発
ス西部に位置し、最寄りのジュネーヴ国際空
表ではこれに代わる新たな合成方法として、近
港から直通の特急電車で一時間弱でした。ISE
年光触媒の合成に多用されている水熱合成法
の本部が置かれている地でもあるローザンヌは
を応用しました。非アンモニアガス雰囲気で酸
アクセスが大変良いことと、電気化学の分野
化グラフェンと高表面積HfO x N y の複合化に短
でトップレベルの研究が推進されているEPFL
時間で成功し、さらに酸素還元反応が進行し
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The Murata Science Foundation
ているサイトの一つが単斜晶HfO 2 相表面の酸
いただいた、村田学術振興財団関係各位に厚
素欠損にあることを解明しました。発表後には
く御礼申し上げます。
酸素欠損の安定性を評価するため、電圧をか
この派遣の研究成果等を発表した
けて各種特性を評価したらどうかという貴重な
著書、論文、報告書の書名・講演題目
助言を受け、今後の研究に反映したいと考え
本派遣による研究成果の一部は、下記の通り学術論
ています。
文として発表しました。
本会議には専門分野が異なる研究者も多数
参加・発表しており、そのような研究者と議論
することや自身が発表することは、私のような
地方大学に在籍している若手の研究者にとっ
て日常では得難い経験です。今後も積極的に
海外で研鑽を積みたいと考えております。最後
Mitsuharu Chisaka *, Hirohito Sasaki, and Hirokazu
Muramoto,
"Monoclinic Hafnium Oxynitride Supported on Reduced
Graphene Oxide to Catalyse the Oxygen Reduction
Reaction in Acidic Media,"
Phys. Chem. Chem. Phys., 16, 20415-20419(2014)
になりますが、本会議への参加にあたりご支援
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