「 社会人基礎講座 」 講義 担当 : 松尾 信子 第 12 回 レジュメ 2015.7.7(火) 「 コミュニケーションの基本とは何か Ⅲ 」 「報告・連絡・相談」の心得とポイントを学ぶ Ⅰ.報告・連絡・相談(ホウレンソウ)とは ① 報告 上司からの指示や命令に対して、部下が経過や結果を知らせること。 ② ・ 指示・命令 上司 ⇒ 部下、 先輩 ⇒ 後輩 ・ 報告 部下 ⇒ 上司、 後輩 ⇒ 先輩 連絡 簡単な情報を関係者に知らせること。 ・ 自分の意見や憶測は入れない ・ 上司、部下にかかわらず、誰もが発信側にも受信側にもなる 例 : 総務や人事から全社員に向けての連絡 プロジェクトリーダーからメンバーに向けた連絡 ③ 相談 判断に迷う時など、上司や先輩、同僚に意見を聞いたり、アドバイスをもらうこと。 報告・連絡・相談を 徹底していない会社 報告・連絡・相談を 徹底している会社 コミュニケーション 取れない 密になる 意思の疎通 はかれない はかれる 問題解決 解決できない 解決できる 情 報 共有できない 共有できる 果 仕事の効率が悪くなる ミスやトラブルが多くなる 会社の業績が悪化する 社内に活気がなくなる モチベーションが下がる 仕事がスムーズに運ぶ 効率がよくなる 新たなアイディアが生まれる 社内に活気があふれる 会社の業績が上がる マイナスのスパイラル プラスのスパイラル 効 スパイラル (連鎖的な変 動) 「ホウレンソウ」で大切なこと ・ 相手に正しく理解してもらうように、わかりやすく手短に伝える ・ 各人が普段から迅速かつ正確に意見や情報を「伝える技術」を磨く (「とにかくどんな方法でもよいから、相手に伝えれば終了」というものではない) ・ タイミング、スピード、伝え方をよく考える ・ 聞き手や読み手のことを考え、思いやりの気持ちを忘れずに伝える 1. 「報告」をする際の心構えとポイント ① 相手の都合を確認する ・ 多忙な上司や先輩に時間を割いてもらうので、まず、相手の都合を確認する (急ぎの報告ではない場合には、相手の状況を見て報告をあとにするか、メモに書いて伝 える) ② 重要な報告はすぐに行なう ・ 報告が遅れると、仕事に支障をきたす 例 : 一刻も早い判断が必要な場合 急いで関係者にフィードバックしなければならない場合 ③ 指示した上司に直接報告する ・ 指示や命令を与えた上司に直接報告するのが義務 (他人を介して報告するのは、報告とはいえない) ④ 結論を先に伝える ・ 指示や命令を与えた上司(先輩)は、結果を知りたがっている ・ 前置きはできるだけ短く、途中の経過説明や原因、分析は、相手からの求めに応じて詳し く説明する ・ ⑤ できなかったことに対する言い訳や苦労話は不必要 「事実」と「意見・憶測」は分けて報告する ・ 客観的な事実を正確に伝える ・ 自分の意見や憶測を話す場合は事実を報告した後、「これは私の憶測ですが……」「あく までも私見ですが……」と断ってから伝える ・ ⑥ 事実と憶測、意見や願望を一緒に報告すると、上司(先輩)の判断を誤らせる 口頭か文書での報告かを選ぶ ・ 口頭 急いで判断を仰ぎ、結論を出さなければならない場合 ごく簡単な内容の場合 (上司・先輩が出張中の場合には、電話で報告する) ・ 文書 報告する内容が複雑な場合は、データや図表など適切な資料を添えて上司(先輩)が理解 しやすいようにする。その際は、先に口頭で結論だけ話し、できるだけ早く文書による報 告を行なう ⑦ ⑧ こまめに報告する(進捗状況の中間報告) ・ 指示を出した上司(先輩)は、全体の進捗状況を見て、次の段取りを考えている ・ 進捗状況を報告する(仕事が予定より早く進んでいるか、遅れているかなど) ・ 長期的な仕事の場合は、1 日に 1 度、あるいは仕事の区切りごとに進捗状況を報告する ミスやトラブルはすぐに報告する ・ ミスを犯した時、トラブルになりそうな時、あるいはトラブルに遭遇した時は、すぐに上 司や先輩、同僚などに状況を報告し、情報を共有する ⑨ ・ 素早い報告が、ミスやトラブルを最小限にとどめる ・ 経験に長けた人たちが的確な対処法を助言してくれたり、冷静な判断を下してくれる 報告する際にメモを持参する ・ 報告を聞いた上司(先輩)は、それをもとに軌道修正を指示したり、次の戦略を伝えたり することがある 2. 「連絡」の心構えとポイント ① 曖昧な言葉は使わない ・ あくまでも事実だけを伝える(個人の憶測や願望を盛り込むと、事実がつたわらない) ・ 決定なのか未定なのかを確認したうえで正確に伝える 「~されるみたいだ」「~するようです」などの曖昧な表現は相手を混乱させる ② 内容に関係なく迅速、かつ確実に連絡する ・ 早く伝える ・ 関係者全員に伝える (知っている人と知らない人がいると、社内の人間関係がギクシャクする) ・ 直接伝える (第三者に伝言を依頼した場合、内容が正しく伝わらなかったり、遅れて伝わったりする) ・ 連絡しなければいけない関係者のリストをつくり、誰に連絡したか、していないかをチェ ックし、関係者全員に連絡したことを確認する ・ ③ 社内の連絡も大切な仕事の一つであるということを認識する 連絡すべき順番を意識する ・ 最初に上司に伝えなければならない内容かどうか (上司は仕事の全体を見渡し、誰に何をしてもらうかを考えている) ・ 順番をあまり意識しなくてもよい内容かどうか(歓送迎会や健康診断など) 3. 「相談」の心構えとポイント ① 疑問がある場合には相談や質問をする ・ わからないことや疑問が生じた場合には、その都度上司や先輩に相談・質問をする ・ 疑問や心配事を抱えたままで仕事を進めると、効率や質が低下する ・ 自己判断で勝手に進めると、周りの人に迷惑をかけてしまう結果につながる可能性がある ・ ② 最初に相談するのは直属の上司である ・ 具体的な相談は、その仕事を指示や命令を与えた直属の上司でなければ即答できないこと が多い (「指示が理解できない」「こういった場合は、どのように対処すべきなのか」) ③ アイディアやプラン変更は準備を整えてから臨む (今までのやり方よりも効率のよい他の方法に気づく。新たなアイディアが生まれた) ・ 建設的な相談や提案が組織の「活力」につながる ・ 提案の根拠となるデータや裏付けを用意しておく ・ 「改善策」や「軌道修正案」の場合は、文書でまとめておく ・ 「なんとなくそう思う」では、説得力に欠ける 4.報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の際の言葉づかい ① 「いま、お時間よろしいでしょうか」 ・ 相手の都合を確認したうえで話を始めるのが基本 ・ 先に具体的な用件を述べること 例 : 「営業企画の件でご報告したいのですが、いまお時間よろしいでしょうか」 ② 「どうぞご覧ください(ご一読ください)」 ・ 必ず敬語を使って用件を述べる 例 : 「○○の案件をまとめた報告書です。どうぞご覧ください(ご一読ください)」 「○○の案件をまとめた報告書です。目を通して頂きたいのですが、よろしいで しょうか?」 ③ 「お蔭様で」「残念ながら」 ・ 内容に応じて、ビジネス枕言葉やクッション言葉を使い分ける 例 : 成功した場合 「お蔭様でイベントは成功しました。ありがとうございました。 動員人数は……、売上高は……」 失敗した場合 「誠に残念ながら、イベントは失敗に終わりました」 ・ 「お蔭様で」や「誠に残念ながら」といった言葉を文頭に置くだけで、報告を受ける側 は、おおよその内容を把握できる
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