源泉徴収と

平成18年11月の税務
源泉徴収の税務
こんなところを見落としていませんか?
源泉徴収とは、給与などの支払者(会社など)があらかじめ所得税を徴収し、本人の
代わりに国に納付する制度です。税務調査でも必ずチェックされる源泉徴収について、間
違えやすい点を改めて確認しておきましょう。
徴収を忘れると事後処理が大変
本来行わなければならない源泉徴収にモレがあることが分かった場合には、その支払っ
た相手に連絡をとり、源泉徴収相当額を支払ってもらわなければならず、その手間が非常
に大変です。
更に、その相手先とどうしても連絡がとれない場合には、その源泉徴収相当額は自社で負
担しなければならなくなります。
このように、源泉徴収を忘れるとその手間や負担が大きくなるので、モレがないように
充分注意しましょう。
納付期限に1日でも遅れるとペナルティがある
徴収した源泉所得税は、原則としてその給与や報酬を支払った翌月の10日までに納付
しなければなりません。もしこの期限に納付が1日でも遅れると、ペナルティとして本来
納める税額の他に「不納付加算税」が課せられてしまいます。
不納付加算税の税率は、以下のとおりです。
(1)納付していないことに気がつき、自主的に納付した場合
‥‥税額の5%が加算される。
(2)納付していないことを税務調査で指摘されて納付した場合
‥‥税額の10%が加算される。
源泉徴収モレが起こりやすい現物給与
社員へ毎月支給する給与の源泉徴収では、ほとんど徴収モレの心配はないのですが、現
物給与を支給した場合や、パート・アルバイトへの給与支払いなどで、源泉徴収モレがよ
く見受けられます。
(1)現物給与
社員に対し、自社商品などの品物やその他何らかの経済的利益を与えることを「現物給
与」といいます。原則的には、現物給与についても、それを金銭に換算した額を給与の金
額に加え、源泉徴収の対象としなければなりません。
源泉徴収の必要がある現物給与
・自社製品・商品などを無償で支給した場合のその商品代
・社宅等を無償で貸与している場合の賃貸料
・社員に対し無償で食事を支給する場合の食事代
源泉徴収の必要がない現物給与
・1ヶ月あたり10万円までの通勤定期券
・社名入りで、勤務先で着用される制服
・半額以上を社員から徴収し、かつ会社の負担が月3,500円以下の食事代
(2)パート・アルバイトへの給与
パート・アルバイトへの給与支払いの場合も原則として源泉徴収が必要です。ただし、
その人が税額表の「甲欄」「乙欄」「丙欄」の3種類のうち、どこに該当するかによって徴
収義務や徴収額が異なります。
(3)外国人労働者への給与
外国人労働者の場合は、1年以上日本に住んでいる「居住者」であれば日本人と同様の
源泉徴収を行います。
それ以外の「非居住者」の場合は、支払額の20%を源泉徴収します。ただし、日本とそ
の外国人の出身国との間で租税条約を締結している場合は、その条約に基づいた処理を行
います。
社外の人への支払いは法人か個人かを確認
弁護士への報酬や作家への原稿料など、社外の人への報酬・料金の場合、支払先が個人
であれば原則として源泉徴収が必要ですが、企業など法人組織であれば一部の例外を除き
源泉徴収の必要はありません。
個人の支払先で、源泉徴収が必要な報酬・料金等の例は以下のとおりです。
・原稿料や講演料
・弁護士や税理士への報酬
・スポーツ選手やモデルへの報酬
・外交員や集金人への報酬 など
なお徴収した源泉所得税を納付する際は、金融機関等に出向かずに済む電子納税が便利で
す。