政策研究大学院大学における平成 18 年度教員業績評価の実施結果について 政策研究大学院大学(以下「本学」という。)では、これまでも、大学院としての教育研究水 準の一層の向上を目指して、独自に多様な評価活動を実施してきている。各教育プログラムでの 委員会による自己評価、学生による授業科目・プログラムの評価アンケートのほか、国際開発の 専門家によるプログラム運営の外部評価(IDS プログラム、開発政策プログラム)、連携機関等 による外部評価(IDS プログラム、IMF プログラム)、日本語教育の研究者・専門家からなる運 営審議会によるプログラム運営評価(JLC プログラム)などを行ってきた。さらに、今年度は、 新たに、教員個人の業績について、外部評価者を委嘱しつつ、総合的に評価を行ったので、その 結果の概要を公表することとする。 【評価の目的】 本学では、平成 18 年度、教員個々人の活動実績を多面的に評価することにより、今後、教 員の研究教育諸活動をよりいっそう改善・充実させ、もって、本学全体の活動水準を高めるこ とを目的とし、教員業績評価を実施した。 【経緯】 本学においては、開学当初より、採用後 8 年を経過した教員に対して業績評価を実施するこ ととし、平成 10 年度以降、毎年度教員個人の活動状況について報告をもとめ、冊子及びホー ムページにより広く社会に公表してきたところであるが、大学として教員評価に対しより積極 的に取り組む趣旨から、評価対象者を採用後 5 年を経過した教員へと拡大することとし、当初 の実施時期を前倒しして業績評価を実施することとした。 【評価方法】 評価対象者は、採用後 5 年を超えて在籍する教員(21 名)として、評価対象は、過去 5 年度 分(平成 12 年度∼平成 17 年度)の活動業績とした。 評価領域は、「研究」、「教育」、「大学運営」及び「社会的貢献」の4領域とした。 評価は、副学長から成る評価委員会を構成し、教員自らが作成した総括的自己評価票及び 5 年度分の活動報告書、その他論文、著作物、講義アンケート、シラバス及び講義中に配布され た講義資料等をもとに行った。評価に当たっては、各教員が重点的に取り組んでいる領域につ いて積極的に評価することとし、各領域の業績を総合して、被評価者間で相対的に評価するこ とや数値基準を定めて評価することは行わなかった。なお、研究領域の評価にあたっては、学 外の各専門分野の研究者(10 名)にも評価を委嘱した。 【評価結果】 評価結果は、評価委員会が取りまとめ、各教員に個別に通知した。個別の評価結果について の公表は行わないが、全般的な評価の結果は概ね以下のとおりである。 研究領域に関しては、それぞれの専門分野において日本を代表する研究者に外部評価者を委 嘱し、各教員の問題意識や職務・研究経歴などにも配慮しながら、中心的な業績数点をもとに、 いわゆるピアレビューとして率直に評価を行ってもらった。その結果は、「総合的な評価結果」 及び「今後の研究への助言」としてまとめてもらい、評価委員会全体の評価結果とともに、その まま本人に伝えた。 研究領域における評価結果の内容は、おおよそ次の通りであった。 アカデミックス出身教員については、強烈な問題関心や独自の研究手法などをもとに、高い 水準の研究成果を生産しており、その発信も十分とされる者が多く、これらの者については、 今後とも、国際的な場で一層の研究成果を発表し、また、著書・論文を著すことが期待される などとされた。一方で、ユニークなテーマで研究を遂行しているものの、査読論文の発表など の点で成果の発信が十分でないなどとされる者もあり、こうした者については、一層の研究の 促進、内外への意欲的な研究成果の発信などが求められた。 行政機関・国際機関等出身の教員に関しては、概ね、行政上あるいは実務上の経験をもとに、 それぞれのテーマに係る政策課題解明に相当程度の研究上の貢献が認められた者のほか、教員 によっては、研究の一層の理論化や体系化の推進、国際的な場での発信などにより、研究水準 の充実を図るよう期待するなどとされる評価もあった。 教育領域については、今回の評価対象者のうち、多くの者が教育プログラムの立ち上げや運 営に積極的に関わり、本学における教育の充実に貢献していること、また、複数の講義(英語 による留学生向け講義を含む)を担当し、各講義において講義資料の工夫や学生とのコミュニ ケーションの充実などに取り組んでいる者が多く、概ね高く評価された。 その一方で、講義・論文指導を行っていなかったり、あるいは担当数が少なかったりと、教 育領域における貢献が少ないと認められる教員が若干名おり、今後、教育面での一層積極的な 対応が望まれる旨の提言が行われた。 また、教育領域での貢献に関して各教員間でのアンバランスが見られることから、大学とし ても、教育上のロードについて、見直し・改善するなどを検討課題とすることとした。教育活 動の質的な評価の面では、主として、別途行っている、学生による授業アンケートの調査結果 を活用したが、より学生の意向が分かるように、アンケート項目や回収の在り方についての改 善が課題と考えられた。 大学運営に当たって、本学では、役職者を中心に効率的な運営を目指し、一般教員の大学運 営にかかる負担を軽減することを方針としている。大学の創設期から、教育プログラムのディ レクターなどとして多大の貢献が認められる教員や、入試等大学の重要な業務において貢献が 著しい教員もおり、これらについては、積極的に評価した。また、若手教員の中にも、学内の 委員として積極的に大学運営に関わっている者もおり、これらについても高く評価した。しか し、こうした運営方式のため、大学運営領域に重点的に取り組んでいる教員は限られ、そのた めに大学運営に関する業務が一部教員に偏りがちになり、また、一般の教員に大学運営に関す る情報が行き渡らず、共通理解に欠けやすいことがあることが課題とされた。 政策にかかる研究教育を展開している本学において、研究活動を通じて得た専門的知見を もって社会に貢献していくことは、本学の教員として重要な役割の一つであり、政府審議会等 への参画により政策提言を行っている教員などについては、その活動は高く評価された。なお、 若手教員のうち、着実な研究成果の積み上げが必要な時期にある者は、社会的貢献を最小限に し、当面は研究者として業績を挙げることが重要である旨の提言が行われた者もある。 各教員から、毎年度の詳細な業績資料の整理を通じて、自己点検が行われ、それをもとに誠 実な自己評価が行われた。この作業により、教員は、自らの活動の具体の成果を確認し、合わ せてこれまでの自分の仕事の強味や弱点などを自己認識することになったと思われる。各教員 にあっては、外部評価者の評価を含め、評価委員会としての評価結果を、自己評価と合わせて、 積極的に受け止め、今後、各自の活動を充実させるために活用することを期待されるところで ある。 なお、大学としても、評価を通じて認識された課題については、評価の仕方、その結果の活 用の仕方をも含め、不断に見直しを行っていくこととしている。 【参考】 実施方法 評価対象者:本学の専任教員のうち、5 年を超えて在籍している者 21 名。 対象期間 :過去5年度分の活動(平成 12 年度∼平成 17 年度)。 評価資料 :総括的自己評価票及び活動報告書。その他、論文、著作物、講義アンケート、シ ラバス及び講義中に配布された講義資料等。 評価委員会:副学長 4 名で構成。研究領域の評価にあたっては、各研究分野(経済、政治、工 学等)の外部研究者に評価委員を委嘱。 経過 平成 17 年 6 月 学長企画室における検討開始 平成 18 年 2 月 評価の実施について教育研究評議会にて承認 平成 18 年 3 月 教員業績評価説明会開催 平成 18 年 3 月 各評価対象者が平成 17 年度分の実績報告、総括的自己評価票を作成 平成 18 年 4 月∼7 月 外部評価委員による研究評価の実施 平成 18 年 7 月∼10 月 評価委員会による最終評価結果取りまとめ 平成 18 年 11 月 評価結果通知
© Copyright 2024 ExpyDoc