2015.11.10 No586

2015 年 11 月 10 日
週刊新社会牛久版
1998 年1月 18 日第三種郵便物認可
(1)
杉森弘之後援会広報委員会発行
586号 2015 年 11 月 10 日
〒300-1235 牛久市刈谷町 1-41-8
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ブラック市政の改革 ㊤
(法令順守)
「ミニ市長」とも呼ばれる中間管理職による
パワハラも、無視することはできません。市
杉森議員は 10 月 14 日、市議会第 3
長が変わったからと言って、それですべてが
回定例会で、①ひたち野地区に中学
自然に改善するわけではありません。
校新設、②ブラック市政の改革、③
私は一般質問で、すでにパワハラの問題を
市政の私物化の排除、について一般
8 回取り上げています。この間、昨年の第 3
質問しました。今号では②の㊤を掲
回定例会で、自治体としては画期的な「牛久
載します。
市役所パワーハラスメント防止条例」が可決
されました。しかし、常勤職員約 350 名の内、
昨年度で精神疾患による病気療養の職員が 9
人、定年前退職の職員が 12 人もいるという状
態、そして、パワハラ相談がこの間、1 件も
【杉森議員の質問】周知の通り、
【杉森議員の質問】
ない、つまり相談もできないという状況は、
以前は暴力団などの反社会的団体と
きわめて深刻です。
の繋がりを持つなど違法行為を常態化させた
本年の第 2 回定例会で、人事部長は「相談
会社をブラック企業またはブラック会社と呼
窓口に保健師と精神保健福祉士の資格を持つ
んできましたが、最近では、労働者を過重労
職員を加え、相談や対応に対する体制の充実
働・違法労働によって使いつぶし、離職ある
に加え、相談窓口のさらなる周知を図り、ハ
いは自殺に追い込むなどの成長大企業を指す
ラスメントの問題に真摯に対応していきたい
ようになりました。ワタミ、すき家などは悪
と考えております。」と答弁していますが、事
名を轟かせ、業績が一気に落ち込んだことは
態は改善しているのでしょうか。
記憶に新しいことですが、長時間労働、残業
根本市長が代表をしている「明日の牛久を
代不払い、パワハラ、セクハラ、などの違法
考える会」の討議資料「あした」では、現市
行為に満ちた牛久市役所の状態は、
「ブラック
長すなわち池辺市長ですが、「就任してから
市政」と言われるゆえんでもあります。
根本市長は所信表明で、
「最も重要なことは、 12 年間毎日のように、職員に対して理不尽な
要求と思われる怒鳴り声が、市役所内に響き
行政におけるコンプライアンス(法令遵守)
渡っていたと聞きます。これにより精神的苦
であります」と述べました。大いに賛成する
痛を受け体調を悪化する職員が続出しました。
ものであります。
さらに体調を悪化させ命を絶つ職員まで現れ
たとのことです。」と述べられています。改め
て、牛久市役所におけるパワハラの撲滅に向
そこでまず、パワハラについて質問いたし
ます。社会的には、ハラスメント、つまり嫌
け、所見を伺います。
がらせは 30 種類以上に上るとも言われてい
【人事部長
人事部長の答弁】
答弁】牛久市として、パワハ
ラは許さないという姿勢のもとに、ハラスメ
ます。牛久市役所の場合、前市長の時代にパ
ワハラ問題が深刻になりました。市役所に入
ントについてより相談しやすい体制を整えて
ると怒鳴り声が聞こえると、市民から苦情の
いくと共に、パワーハラスメントに係る研修
声が寄せられるようになったことは、その象
を継続して行い、より快適な職場環境となる
徴的なことです。しかし、部局によっては、
ように努めていきます。
第3回定例会一般質問 Ⅲ
違法行為の常態化
パワハラの蔓延
(2)
2015 年 11 月 10 日
週刊新社会牛久版
新三本の矢 ㊦
新三本の
◇どうなった「旧三本の矢」 雇用増
は非正規のみ、成長・物価目標は未達
「旧三本の矢はもう折れちゃって
いる。アベノミクスは失敗なんです。
それをごまかすため、新三本の矢と言
い出しているだけですよ」と辛辣(し
んらつ)なのは、経済学が専門の慶応大の金
子勝教授だ。
旧三本の矢とは▽デフレ脱却のための大胆
な金融緩和▽機動的な財政出動▽成長戦略の
実施−−の三つの政策を指す。
「安倍さんの説明
を検証してみましょう。確かに雇用は増えま
したが、内実は正規雇用が減り、身分が不安
定で低賃金の非正規雇用が増えただけです。
」
総務省の労働力調査によると、今年 4〜6 月
期の雇用総数は 5,267 万人で正規は 3,314 万
人、非正規は 1,953 万人。雇用総数は 121 万
人増えたことになるが、非正規が 178 万人増
え、かわりに正規が 56 万人減っていた。
さらに「給料が 2 年連続で上がった」とい
うのも怪しい。
今年 6 月までの 2 年 2 カ月間、
実質賃金(実際の賃金から物価変動の影響を
除いたもの)は下がり続けた。7 月にようや
く前年同月比 0.5%のプラスに転じたが、こ
の傾向が今後も続く好材料は見当たらない。
「最も深刻なのは成長率、物価上昇率の目
標達成に失敗したことです」と金子さん。安
倍政権は日銀による国債の大量買い取りなど
の金融緩和で、市中に出回るお金を増やして
景気と物価を刺激し、実質成長率、物価上昇
率の「プラス年 2%」を達成する、と説明し
てきた。
しかし、実質成長率は 13 年度こそ 2.1%増
だが、14 年度は 0.9%減、今年も 4〜6 月期は
年率 1.2%減のマイナス成長である。物価上
昇率(生鮮食品を除く)は 14 年は 2.6%にの
せたが、原油価格の下落の影響もあって今年
は横ばいが続き、8 月にはついにマイナス
0.1%とデフレ傾向に陥った。
この状況で登場したのが新三本の矢である。
政策には、検証と総括が不可欠のはずだ。こ
のままでは、退却を「転進」と強弁した旧日
本軍の姿とダブらないか。
「GDP600 兆円は
バブル期以来の年 3%成長を達成しなければ
ならず、非現実的。出生率アップも、労働者
1998 年1月 18 日第三種郵便物認可
派遣法改正で若者の労働・経済環境をさらに
悪化させておいて、どうやって結婚や子育て
をしろというのか。介護離職ゼロに至っては
支離滅裂。安倍政権が介護報酬を引き下げた
から、今後は介護離職どころか介護職員の離
職が深刻になるでしょう」
。
金子さんは、かつて石炭から石油へという
エネルギー革命で自動車や重化学工業などの
新産業が起こったように、例えば省エネや再
生エネルギー技術を高めれば、交通インフラ
や家電製品など広い分野に経済効果が波及す
る、と見る。
「つまり新たな産業革命です。一
国の指導者なら、目先の金融緩和や成長率に
とらわれず、大胆な産業戦略を描いてほしい
のですが……」
◇必要な経済政策とは 「成長幻想」を脱し、
教育、人材育成こそ
アベノミクスをある程度、肯定する専門家
も、新三本の矢には首をひねる。旧三本の矢
の金融緩和には景気浮揚効果があった、とす
る経済学者、福島清彦さん(元立教大教授)
は「豊かさの指標にGDPや成長率を持ち出
すのは古すぎます。今やそれをするのは中国
と日本ぐらいですな」と苦笑いだ。
「安倍さんが掲げる目標は、とうに成長期
の終わった大人が、さらに身長を毎年2セン
チずつ伸ばそうとシャカリキになるのに似て
います。一方、日本同様の人口減社会で経済
も成熟した先進諸国では、豊かさの判断基準
として国民の福利厚生や暮らしの質、経済の
持続可能性を重視するようになっています。
欧州連合の 10〜 20 年の長期経済戦略からは、
GDP成長率という言葉が姿を消したほど」
日本の場合、先進国最低レベルの国家の教
育支出を増やして優れた人材を育て、競争力
や経済の持続性を高めるべきだ、というのが
福島さんの考え。
「借金だらけだから、欧米並
みの消費増税は避けられませんが、成長幻想
にとらわれるより、強みである国民の教育水
準をさらに伸ばしたほうが未来が開けます」
室井さんが締め括る。
「結局、新三本の矢っ
て、安全保障関連法の成立で厳しくなった国
民への目くらまし、ごまかすためなんじゃな
い? だからこそ中身の検証が必要なのに、
あんまりメディアはやらないよねえ……」