和気町まち・ひと・しごと創生総合戦略

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基本的な考え方
我が国の人口は、現在の約1億2千万人から2050年には9,700万人、2100年には
5,000万人程度にまで減少すると推計されています。国は、この深刻な人口減少を
克服するため、昨年12月に「長期ビジョン」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦
略」を策定し、日本の目指すべき将来像を提示するとともに、急速に進む人口減少、
過度な東京圏一極集中の課題に対して一体的に取り組むこととしました。
本町の人口も「和気町人口ビジョン」で示されているとおり、このままでは2040
年には約9,800人にまで減少すると推計されており、地域コミュニティの崩壊や集
落消滅、企業の撤退など、深刻な影響が予想されています。本町は、2011年3月に
「第1次和気町総合振興計画」を策定し、
「人かがやき
共に支え合う
快適で
健
やかなまち」を町の将来像に掲げ、定住促進や子育て支援の充実を推進してまいり
ました。また、2014年11月には、人口減少対策を目的とした「和気町地域活性化
戦略」を策定し、実現を目指し取り組んでいるところです。
この「和気町まち・ひと・しごと創生総合戦略(以下、
「総合戦略」といいます。)」
は、「第1次和気町総合振興計画」及び「和気町地域活性化戦略」の内容を踏まえ
るだけでなく、町民をはじめ、産業界、教育機関、金融機関、労働関係機関等の様々
な立場の方からいただいた提言も踏まえ、深刻な人口減少を克服するための施策
を取りまとめたものです。
この戦略に基づき、「和気町人口ビジョン」で示した将来の人口展望の実現を目
指していきます。
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総合戦略の計画期間
2015 年度から 2019 年度までの 5 年間
1
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総合戦略の効果検証
有識者等を含めた第三者委員会を設置し、総合戦略の効果検証を毎年行います。
また、必要に応じて、総合戦略の施策の内容の見直しを行います。
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和気町の「人口減少」の状況
本町の人口は、1980 年の 19,088 人を境に減少に転じ、2010 年には 15,362
人となり、2040 年には 9,818 人にまで減少する推計となっており、2010 年か
らの 30 年間での減少率は約 36%となっています。
なかでも、人口の再生産を中心的に担う年齢層に当たる若年人口(20~39 歳)
の減少が著しく、2010 年の 2,866 人から 2040 年には 1,577 人にまで減少し、
減少率は約 45%となっています。
なお、若年女性人口(20~39 歳)は、2010 年の 1,409 人から 2040 年には
781 人にまで減少し、減少率は同じく約 45%となっています。
また、出生数は、2006 年度から 100 人を下回るようになり、2014 年は 63 人
(※)にまで減少しています。
(※)
2014 年の出生数は、2013 年から集計期間に変更があり、
「同年 1 月 1 日」
から「同年 12 月 31 日」までの 1 年間の数値である(従来は、「同年 4 月 1
日」から「翌年 3 月 31 日」までの 1 年間の数値)。
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基本目標
「和気町人口ビジョン」の内容を踏まえ、人口減少問題に取り組むために、以下
の4つの「基本目標」を設定します。
(1)和気町の優位性を活かしたまちづくりを推進する
本町は、山陽自動車道の和気ICや美作岡山道の佐伯 IC を有しており、また、
他地域と比べて地震・津波などの自然災害のリスクが低く、地理的な条件に恵まれ
ています。
また、通勤・通学に便利な JR 山陽本線の和気駅を有し、下水道・光回線などの
生活・社会インフラもほぼ全町に整備されています。
これらの本町の優位性を最大限に活かし、定住促進や企業誘致などに繋げていく
ことで、本町への新しい人の流れをつくるだけでなく、「都会にはない、和気町な
らではの暮らしやすさ」を町民にも積極的に情報発信し、若い世代の町外への流出
を防ぎます。
さらに本町には、1670 年(寛文 10 年)に設立された、日本最古の庶民のため
の学校である閑谷学校をルーツとする日本有数の歴史を持つ「和気閑谷高校」があ
ります。この和気閑谷高校の魅力化事業やふるさと教育・放課後学習支援事業など
を充実させることで、和気町の将来を担う「ひとづくり」を推進します。
(数値目標)
基準値(2014 年)
目標(2019 年)
■出生者数
63人
→
63人
■社会増減
-53人
→
-26人
(2)若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる
本町の自然動態をみると、出生数の減少が著しく、これが本町の人口減少の最大
の要因となっています。一方、死亡数は出生数を上回る状態が続いているため、そ
れにより人口減少に歯止めがかからなくなるという悪循環に陥っています。
本町が 2015 年に実施したアンケートによると、独身男女の約 8 割(※)が結婚
の意思を持っており、希望する子どもの人数は約 2.5 人となっています。しかし、
本町の未婚率は急速に上昇しており、特に 2010 年の国勢調査では、本町の 35 歳
~39 歳の男性の未婚率は 44.4%と非常に高い数値となっています(全国平均
35.6%)。また、出生率においても、2012 年の本町の出生率は 1.39 となっており、
岡山県の出生率(1.47)だけでなく、全国の出生率(1.41)も下回っています。
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今後は、出会いの場の提供や結婚サポート体制の整備などによる結婚支援に取り
組むだけでなく、出産・子育て支援施策の更なる充実を図るなど、結婚・出産・子
育てについて切れ目なく支援することで、若い世代の希望をかなえ、出生数の増加
を図ります。
(※)
「いずれ結婚するつもり」/(「いずれ結婚するつもり」+「(結婚するつ
もりはない」) の割合
(数値目標)
基準値(2014 年)
■出生者数(再掲)
■合計特殊出生率
目標(2019 年)
63人
→
63人
1.39(2012 年)
→
1.50
(3)和気町への新しい人の流れをつくる
本町の社会動態をみると、転出超過の傾向が続いていましたが、東日本大震災の
避難者などの影響もあり、近年は転入と転出が拮抗していました。しかし、2014
年になると再び転出超過に転じており、今後も転出超過の傾向が続くものと思われ
ます。
年齢別でみると、10 代後半から 30 代後半の若い世代の転出が著しく、1985 年
から一貫して転出超過となっています。これは社会減だけでなく、出生数が減少す
ることから自然減にも影響しています。若い世代の転出は、本町の人口減少の主な
要因となっており、若い世代の転出を防止し、かつ、Uターンを促進することが本
あ町の喫緊の課題となっています。
その課題を解決するため、移住促進施策の充実を図り、人を呼び込む魅力あるま
ちづくりに取り組みます。
また、町内に既にある地域資源を活用するだけでなく、備前市にある日本遺産の
閑谷学校も含めた広域的な観光プログラムなどの開発にも積極的に取り組み、交流
人口の増加を図ります。
なお、日本版 CCRC 構想(※)についても、国の動向や財源を勘案しながら、本
町への導入の可能性について検討を進めます。
(※) 「日本版 CCRC 構想」
:東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じ
て地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るととも
に、医療介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域
づくり
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(数値目標)
基準値(2014 年)
目標(2019 年)
■社会増減(再掲)
-53人
→
-26人
■和気町の若年人口
2,697人
→
2,550人
(20~39歳)
(H26.12.31 現在)
→
35万人
■和気町への年間観光客数
28万人
(4)和気町内で安定して暮らせるための雇用を創出する
若い世代が町内で安定して暮らしていくためには、安定した雇用が必要です。本
町が 2015 年に実施したアンケートによると、住む場所を検討する際に重視する点
として、
「職場環境が近い」と回答した者は 44.9%となっています。また、本町の
転出者に対するアンケート調査では、
「仕事の都合」と回答した者は 52%となって
います。
そのため、本町の優位性を活かし、企業誘致に取り組むとともに、地元企業を育
成するための体制を整備することで、町民が安心して働ける、安定した雇用の創出
に取り組みます。また、起業支援・農業支援に取り組むことで、新規の雇用を創出
します。
企業(店舗)誘致・起業募集の際には、町民が求めている業種を対象として、通
常よりも優遇した内容の誘致・募集をすることで、町民が求めている業種を逆指名
します。また、農業支援についても、ブドウ・夏秋ナス・白ネギについては、他の
農作物に対する支援よりも厚い支援をすることで、特産品化を目指します。
(数値目標)
基準値(2014 年)
■企業誘致等による雇用創出数
37人
目標(2019 年)
→
150人
(2015 年~2019 年の累積)
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具体的な施策
本町の基本目標に基づき、下記の施策を実施します。
(1)和気町の優位性を活かしたまちづくりを推進する
<優位性の情報発信>
・和気町の優位性の情報発信
〇
JR山陽本線や山陽自動車道など交通の利便性や町内全域の光回線などの
生活・社会インフラの充実、地震・津波などの自然災害のリスクが低いなどの
本町の優位性を町ホームページ・パンフレットなどで積極的にPRし、定住促
進・企業誘致に取り組みます。
〇 本町の出産・子育て環境や教育環境が充実している点について、町ホームペ
ージ・パンフレットなどで積極的にPRすることで、定住促進を図るだけでな
く、広報誌等で町民とも共有し、若い世代の町外への流出を防ぎます。
<住宅施策の推進>
・新規賃貸住宅の建設支援助成金制度等の創設
生活に便利な和気駅周辺には安価な分譲地やマンション・アパートタイプの賃貸
住宅が少ないこともあり、若い世代が近隣市に転出している状況が続いています。
和気駅周辺における新規賃貸住宅(マンション・アパートタイプ)を対象に固定
資産税相当額を支給する助成金制度(建設支援助成金制度)を創設するとともに、
地域の金融機関と連携しながら、新規賃貸住宅建設の借入金を対象とする利子補給
制度を創設し、民間による新規賃貸住宅の建設を促進します。
・公共施設を備えた大型住宅施設の誘致
和気駅周辺における定住を促進するため、大型住宅施設(マンション)の誘致に
取り組みます。誘致にあたっては、民間による大型住宅施設の建設を促進するため、
公共施設(例えば、公民館など)を併設することについても検討します。
・新築住宅等に対する固定資産税の減免制度のPR(※)
若い世代の定住化を支援するため、2015 年 4 月に施行した、新築住宅等に対す
る固定資産税の減免制度を積極的に PR し、定住促進を図ります。
(※) 「新築住宅等に対する固定資産税の減免制度」
:若い世代が町内に自ら居住
するために新築または購入した家屋は、新築後5年間、家屋分の固定資産税
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が免除もしくは軽減される制度
<企業誘致の推進>
・工業団地の整備
本町には交通の利便性や光回線などの充実した生活・社会インフラや、自然災害
のリスクが低いなどの優位性がありますが、企業から用地の需要があるにも関わら
ず、企業誘致に適する用地が不足しているため、他市町村に立地されるというケー
スが続いています。町独自の工業団地を整備することで、企業誘致に取り組みます。
・高速道路IC周辺の農用地区域の指定除外
企業の立地希望が多い山陽自動車道の和気IC周辺などの農地については、農用
地区域の指定を見直します。農地の転用が見込まれる土地については、農業制度や
地域住民との調整を踏まえながら、農用地の区域指定を除外します。
農用地区域の指定除外に向け、和気町の都市計画マスタープランを早急に作成し、
岡山県の都市計画マスタープランに反映させることも検討します。
<和気駅前の活性化>
・和気駅前の活性化
〇 JR 和気駅の利用客の増加対策や駅前の空き店舗の利活用等により、和気駅前
の活性化に取り組みます。
〇 人口減少下においても本町の持続的発展を図るため、地域の拠点である和気
駅前に、公共施設や住宅施設、商業施設などの集積を行います。また、和気駅
前を地域の拠点とするため、町内の公共交通体系のあり方について検討します。
エ ン タ ー
ワ
ケ
〇 旧銀行店舗跡地の交流施設「ENTER WAKE」の利活用について、和気商工会
と連携しながら検討(例えば、小中高生が自由に学べる自習空間として開放し、
プラスアルファの教育機会が恒常的に提供される場として活用するなど)を進
めます。
・町立和気図書館の利活用
公共施設を有効活用するため、町立和気図書館を特色のある専門的図書館(例え
ば、子ども図書館など)の機能も持たせることで、近隣市の図書館との差別化を図
ることを検討します。話題性や立地上の優位性を活かすことで、図書館の利用者を
増加させるとともに、駅前の活性化を促進します。
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・通勤・通学費支援制度の創設
若い世代が就職等により本町を離れることを防止するとともに、若い世代の定住
を促進するため、JR 和気駅を利用して通勤・通学する者を対象に、その費用の一部
を助成することを検討します。和気駅の乗降客数を増加させることで、駅前の活性
化を促進します。
<小中高教育の魅力化>
・和気閑谷高校の魅力化
高校が地域の拠点校としての役割を果たせるよう、教育機能の維持・充実のため
に必要な支援と、地域と連携して行う学校の活性化・魅力化の取組への支援を積極
的に行います。また、高校の魅力化を通じて、本町の将来を担う人材を育成します。
〇 地域おこし協力隊を活用して、基幹となる学力に加え現場の課題を発見し解
決しようとする閑谷學(問題解決型の学力の育成)の推進を支援します。また、
教育課程の内外で地域振興の担い手を育成するプロジェクトの立ち上げを支援
します。
〇 外部専門家(※1)を活用して、推薦・AO入試(※2)を踏まえた対話型の
研修や推薦・AO入試に関する進路指導・情報提供を支援します。
〇 地域おこし協力隊を活用して、留学生の受け入れ等の国際化に向けた取り組
みを支援します。
(※1) 「外部専門家」
:総務省の「外部専門家(アドバイザー)制度」の地域
人材ネットに登録されている、地域活性化の取組に関する知見やノウハ
ウを有する者
(※2) 「AO入試」:受験生の能力や資質を多面的に評価する入試制度
・放課後学習支援事業の充実
〇 小中学校に学習支援員を配置し、放課後等に補充的な学習指導等を実施して
いる「放課後学習支援事業」について、地域おこし企業人(※)と連携しなが
ら、自学自習できる教材の開発をするなど、放課後学習支援事業の充実を図り
ます。
〇 学習支援員としてのボランティアをお願いしている高校生が、小中学校へ出
向いて、後輩達に勉強を指導します。高校生自身が使命感を持ち、より勉強す
る必要性を感じるとともに、小中学生には、身近な高校生の先輩に勉強を教え
てもらえることでやる気を出させ、相互が高め合う関係を築きます。
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(※) 「地域おこし企業人」:総務省の制度で、三大都市圏に勤務する大企業の
社員が、そのノウハウや知見を活かし、一定期間、地方自治体において、地
域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事するため派遣された者
・ふるさと教育の推進
ふるさと教員(※)や地域おこし協力隊を活用し、小学校から高校卒業まで本
町の魅力や将来を考えさせる授業を行うことで、和気町へ愛着を持った人材を育
成します。
また、課外活動も充実させることで、地域の担い手を育成し、和気町ならでは
の特色ある「教育のまち和気」を目指します。
(※) 「ふるさと教員」
:地域に根差した独自の教育活動(ふるさと学習)を展
開し、「ふるさとを愛する子どもの育成」を目指す、全国唯一の専門職員
重要業績評価指標(KPI)(※1)
新規民間賃貸物件建設数
基準値
(2014 年)
1棟
2019 年目標
10 棟
(※2)
企業誘致件数
1件
5件
(※2)
和気駅の平均乗降客数(1日)
和気閑谷高校の推薦・AO 入試合格者数(大
2,722 人
3,000 人
49 人
80 人
78%
83%
学・短大)
和気町に愛着を感じている者の割合(※3)
(2015 年)
(※1) 重要業績評価指標(KPI)
:施策ごとの進捗状況を検証するために設定
する指標
(※2) 2015 年から 2019 年までの累積
(※3) 2015 年実施の「地方創生に関するアンケート」結果
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(2)若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる
<結婚支援>
・出会いイベントの拡充
和気町結婚推進委員会と連携しながら、赤磐市と合同で年 2 回開催している出会
いイベントの内容を工夫(例えば、趣味コンなど)し、出会いの創出に取り組みま
す。また、赤磐市以外の近隣市とも連携し、広域での取組も検討します。
・三十路式の実施
新たに 30 歳を迎える人への激励・祝福を行うイベントとして「三十路式」を実
施します。同級生とのつながりの確認や地域社会のつながりの強化を図るとともに、
若い世代に出会いの場を提供します。
・結婚を希望する若者へのサポート
おかやま出会い・結婚サポートセンター及び和気町結婚推進委員会と連携し、縁
結びサポーターの育成、結婚を希望する町内の若者への相談、スキルアップセミナ
ーを行います。
<出産支援>
・不妊治療助成制度・不育治療助成制度の充実
子どもが欲しくてもできない夫婦を対象として、治療費が高額となり負担も大き
い不妊治療・不育治療について、1対象者あたりの助成上限額を引き上げます。
また、現状の制度では、助成の対象として男性は含まれていないため、男性を助
成対象とすることについても検討します。
・「産後ママあんしんケア事業」の創設
産後間もない母子に対する産後ケアを推進するため、「産後ママあんしんケア事
業」を創設し、産科医療機関や助産所の空きベッドを利用して必要な産後ケアを行
います。
<子育て支援>
・子育て環境の充実
〇 子育て世帯勤労者の就労時間に配慮し、本町の幼稚園の預かり保育や保育園
の延長保育について、充実を図ります。
〇 園児・学童の預かり、軽度の病児保育、病院などへの送迎等を行う NPO 法人
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による「ファミリーサポートセンター」の設立を支援することで、地域による
子育て環境も整備します。
○ 保育園・幼稚園で、
「英会話」などの子どもの将来に役立つ習い事を取り入れ
ます。
<結婚・出産・子育ての情報発信>
・結婚・子育ての魅力に関する情報発信
成人式や三十路式等で結婚・子育ての魅力に関する情報を発信し、若い世代に結
婚や子育ての素晴らしさを伝えることで、結婚に対する気運を醸成します。
・妊娠や出産に関する正しい知識・情報の発信
にんよう
中学生・高校生等の若い世代に対し、妊孕性(妊娠のしやすさ)と年齢の関係な
ど、
「妊娠」
「出産」に関する正しい知識を身につけさせるため、教育委員会や岡山
県と連携し、出前講座の実施等による普及啓発を行います。
基準値
重要業績評価指標(KPI)
(2014 年)
結婚支援による成婚件数
1件
2019 年目標
5件
(※1)
不妊・不育治療助成制度の年間利用件数
13 件
20 件
子育てに関して不安感や負担などを感じる
49%
40%
者の割合(※2)
(2013 年)
結婚後も和気町に住み続けたいと思う者の
割合(※3)
31%
40%
(2015 年)
(※1) 2015 年から 2019 年までの累積
(※2) 2013 年実施の「子ども・子育てに関する町民アンケート」結果
(※3) 2015 年実施の「地方創生に関するアンケート」結果
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(3)和気町への新しい人の流れをつくる
<移住・定住促進>
・移住・定住情報の発信
〇 移住希望者向けのホームページや PR ポスター等を作成し、若い世代の新築
住宅等に対する固定資産税の免除制度等の優遇制度や空き家情報、先輩移住者
の声などを情報発信します。
〇 男性の 50 代は、20 代に次ぐ移住希望のピークであるとの調査結果がありま
す。本町には 50 代からの大人が趣味などを楽しめる、山・川・農地・自転車道
などがあり、スローライフを実現できる環境が整っています。この優位性を活
かした PR パンフレットを作成することで、50 代からの移住・定住にも取り組
みます。
・定住促進アドバイザーの設置
先輩移住者による定住促進アドバイザーを設置し、移住希望者に対して、住居や
地域の文化、生活習慣等の助言・情報提供を行い、本町への移住・定住促進を図り
ます。
・お試し住宅の整備
民間の賃貸物件等を借用することで、近年移住希望者からの問い合わせの多い
「お試し住宅」を本町にも整備し、定住促進を図ります。
・空き家の有効活用
近年増加している空き家を有効活用し、定住促進を図ります。
〇 固定資産税納税通知書に空き家募集チラシを同封し、空き家バンクの充実を
図るとともに、空き家のデータを整理し、移住希望者の居住物件の問い合わせ
に迅速に対応します。
〇 空き家を改修して本町に移住しようとする者に対し改修費の一部を助成する
補助金を創設し、新規移住者に対して支援を行います。
〇 空き家等を活用したサテライトオフィスの誘致に取り組み、働く場を確保し
ます。
〇 危険な空き家の解体を促し、住民の安全を確保するとともに、土地の有効活
用を促進します。
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・新規賃貸住宅の建設支援助成金制度等の創設(再掲)
・新築住宅等に対する固定資産税の減免制度のPR(再掲)
・通勤・通学費支援制度の創設(再掲)
<U ターン支援>
・U ターン支援制度の創設
〇 大学進学等により本町を離れた学生のUターン就職を促進するため、本町に
居住することを条件として、奨学金の償還の一部を免除する制度の創設につい
て検討します。
〇 近隣市と連携し、都市圏でのUターン向けの合同就職説明会を開催すること
を検討します。
<観光の推進等による町の活性化>
・新しい観光プログラムの開発
備前市にある閑谷学校が 2015 年4月に日本遺産に指定され、観光客の増加が期
待されるなか、同年 11 月、和気ICと閑谷学校が広域農道の開通により約 7 分で
結ばれます。
〇 まずは、近隣市と連携して、閑谷学校を訪れる観光客を増加させることで、
閑谷学校を拠点とした東備地域の観光の活性化を図ります。閑谷学校を訪れた
観光客が、和気鵜飼谷温泉や片鉄ロマン街道、自然保護センターなど、町内の
観光施設を訪れるようにするための観光プログラムの開発、PRを行います。
〇 岡山市を中心とした「連携中枢都市圏構想(※)」において、圏域内での回遊
型観光の振興に取り組みます。医療・福祉サービスなどの連携にも取り組み、
圏域全体での経済の活性化や住民生活を支える取組を進めます。
〇
町内を訪れた観光客を取り込むため、道の駅の設置についても検討します。
観光客の消費を促すとともに、町民の消費を促すことで、活力のある地域づく
りを目指します。
(※) 「連携中枢都市圏構想」
:連携中枢都市となる圏域の中心市と近隣の市町
村が、連携協約(地方自治法第 252 条の 2 第 1 項)を締結することにより、
連携中枢都市圏を形成し、圏域の活性化を図ろうとする構想
13
・未病息災(※)プログラムの開発
〇 各プログラムの分野における第一人者と連携しながら、町内資源(自然環境
等)を活用した未病息災プログラムを開発します。
「運動プログラム(和気アル
プスや片鉄ロマン街道などを活用したプログラム)」や「食事プログラム(未病
食事メニュー)」などを開発するとともに、鵜飼谷温泉を活用することで、町民
の健康寿命を延ばします。
〇 また、各プログラムを活用した「ツーリズム」を企画することで、町外から
観光客を呼び込み、交流人口を増加させ、本町の活性化を促進します。
(※)
「未病息災」:「今の状態を維持し、症状を出さない」「新たな病気を発症さ
せない」生活のこと
・地域おこし協力隊員による町の活性化
地域の課題解決に向けて取り組んでいる「地域おこし協力隊員」の人員を拡充し
ます。地域おこし協力隊員の地域活動を支援することで、本町の活性化を促進しま
す。
・学校跡地の利活用
統廃合により廃校となった学校跡地は、地域住民の希望を把握し、利活用するこ
とで、地域の活性化を図ります。
基準値
重要業績評価指標(KPI)
(2014 年)
和気町への移住者数(※1)
移住について相談を受けた人数
空き家バンク登録数
2019 年目標
-
15 人
50 人
60 人
6件
40 件
(※2)
お試し住宅の利用件数
閑谷学校の年間入場者数
14
-
10 件
89,000 人
130,000 人
和気鵜飼谷温泉の年間利用者数
未病息災プログラムによる交流人口の増大
地域おこし協力隊員数
169,000 人
200,000 人
-
1,000 人
8人
10 人
(2015 年)
(※1)「移住者」
:田舎暮らしなど、自らの意志により、和気町を選んで移り住み、
定住することを目的として転入した者
(※2) 2015 年から 2019 年までの累積
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(4)和気町内で安定して暮らせるための雇用を創出する
<企業誘致の推進>
・工業団地の整備(再掲)
・高速道路 IC 周辺の農用地区域の指定除外(再掲)
<起業支援>
・町民の希望を反映した企業(店舗)誘致・起業募集
町民アンケートの結果に基づき、町民(特に、若い世代)が求めている業種につ
いて、ホームページなどで逆指名することにより、企業(店舗)誘致・起業募集し
ます。企業(店舗)誘致・起業募集の際には、通常よりも優遇した内容の誘致・募
集をすることで、他の業種との差別化を図ります。
・起業支援及び企業の持続的成長・発展の支援
〇 新しい雇用の創出を目的として、起業に係る開業費の一部を助成し、本町で
の起業を支援します。なお、町民アンケートの結果に基づき、町民が求めてい
る業種については、通常よりも優遇した支援を行います。
〇 和気町役場と和気商工会に相談窓口を開設し、起業希望者への相談業務を行
うとともに、相談者の起業実現に向けての「実践起業塾」を実施し、起業に必
要なノウハウの習得支援に取り組み、地域の金融機関等とも連携して起業希望
者に対して必要な支援を行います。
〇 日本政策金融公庫、地域の金融機関、和気商工会等による資金援助や補助金
制度の活用について情報提供し、町内企業が有効に活用できるよう支援します。
また、岡山県及び和気商工会等と連携し、新技術・新製品の開発や新分野へ
のビジネス展開にチャレンジする町内企業の経営革新を支援します。
<農業支援>
・農業支援の充実
〇 JA と連携しながら、本町の奨励作物の夏秋ナス・白ネギの産地化を目指すと
ともに、かつて産地であったブドウ栽培の復活のため、岡山県が奨励する次世
代フルーツのオーロラブラック・シャインマスカット・ピオーネ等への品種転
換を促進し、和気町ブランドの確立と新規就農者の受入体制を充実させていき
ます。
○ 都市部の若い世代を中心に、新規就農して岡山県へ移住したいという問い合
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わせが多いことを受け、本町での新規就農の更なる支援を行います。新規就農
講座の開設や体験就農を JA や農業改良普及センターと協力して行うとともに、
定住のための住宅の確保や営農のための助成制度の充実を図っていきます。
〇 担い手の後継者不足を解消するため、後継者を希望する農家のプロフィール
等をホームページ等で公開する、「新規就農希望者とのマッチング制度」の導
入についても検討します。
<ふるさと納税の充実>
・ふるさと納税の充実
「地域経済の活性化」、
「和気町のPR」を目的に、本町のふるさと納税の制度を
向上させるとともに、返礼品を充実させることで、他の市町村との差別化を図りま
す。
また、寄附者・寄附金額の増加により、返礼品市場が盛況になることで、ふるさ
と納税の返礼品を通じた特産品の開発を目指します。
基準値
重要業績評価指標(KPI)
(2014 年)
企業誘致件数(再掲)
1件
2019 年目標
5件
(※)
町民の希望を反映した企業(店舗)誘致・起
-
業件数
10 件
(※)
新規就農者数
0人
5人
(※)
ふるさと納税の寄附金額
1,829,457 円
(※) 2015 年から 2019 年までの累積
17
50,000,000 円
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優先して取り組む施策(早急に取り組む施策)
具体的な施策のうち、優先して取り組む施策(早急に取り組む施策)は、下記の
とおりです(特に、優先度の高い施策には、「◎」を付しています。)。
(1)和気町の優位性を活かしたまちづくりを推進する
〇
優位性の情報発信
〇
住宅施策の推進(◎)
〇
小中高教育の魅力化
(2)若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる
○
結婚支援
○
出産支援
(3)和気町への新しい人の流れをつくる
○
移住・定住促進(◎)
○
観光の推進等による町の活性化
(4)和気町内で安定して暮らせるための雇用を創出する
○
起業支援
18
8
おわりに
人口減少は地域に非常に深刻な影響をもたらします。町民の安心・安全な暮らし
が脅かされるだけでなく、新しい未来を作り出す若者がいなくなることにより、地
域から活力をも奪い、町民の未来への希望が失われます。
このような事態を回避するため、和気町は一丸となって、今後深刻化する人口減
少に取り組む必要があります。
この「戦略」は、その人口減少を克服するための総合戦略であり、毎年効果を検
証し、目標も含めた不断の見直しを行います。
大事なことは、総合戦略の策定に満足することではなく、総合戦略の内容を実行
することです。実行には町の財政状況に配意しなければならないのは当然ですが、
財源がないのであれば、有識者会議等を通じて既存の施策を見直し、財源を捻出す
ることで、総合戦略を実行に移します。
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