891 E - 08 第39回地盤工学研究発表会 (新 潟) 2 0 0 4 年 7 月 液状化時の地盤反力を直接計測可能な模型杭の水平載荷実験−その2 実験結果− 液状化、杭の水平抵抗、模型実験 武蔵工業大学 正会員 ○田中 剛 独立行政法人 港湾空港技術研究所 国際会員 小濱英司 独立行政法人 港湾空港技術研究所 国際会員 菅野高弘 技術研究所 正会員 濱田純次 (株)東京ソイルリサーチ 正会員 安 竹中工務店 浩輝 1,はじめに 液状化程度に応じた地盤反力係数khを評価するため,杭前面と背面に作用する外力を直接計測することが可能な計測 杭,およびボイリング装置を用いて水圧比をコントロールさせた静的交番載荷実験を実施した.本論(その2)では, CASE-4の実験結果について報告する. 2,CASE4の実験条件 CASE4での載荷実験は,ステップ毎に変位を停止する段階変位制御であり,過剰間隙水圧は,土槽外に設けた高架タン クを水圧比0.1にあたる0.3m毎に上昇させて土槽との水頭差をつける事で発生させた.各水圧比での載荷(2サイクル) が終了後,タンクを所定の高さ(+0.3m)までゆっくりと上昇させ,水圧が十分に安定した事を確認した後に次の載荷実 験を行った. 3,実験結果 0.0 図-1に杭表面および地盤内に設置した間隙水圧計による,杭に作用する水圧分 -0.5 いる.杭表面および地盤内の水圧とも深度方向の水圧分布が線形となっており,水 -1.0 圧の上昇過程が異なる場所は見られなかった.また,杭体周りの水圧は地盤中より も少し小さく,杭の周りが水道になっている可能性があるが,杭の周りの水圧と深 深度(m) 布を示す.これらに示す図は,水を注入する前の無負荷での水圧計の値を0として -1.5 -2.0 度(水深)の関係の方が静水圧に等しい値を示している.図-2 に杭頭の水平変位を, -3.0 ほぼ一定の振幅値を与えており,杭頭部の水平荷重は過剰間隙水圧の上昇に伴い減 0.0 少している.水圧比がほぼ 1.0 の時の水平荷重は水圧比 0.0 の際の約 1/2 まで低下 -0.5 るにつれて大きくなる傾向を示している.また実験では,過剰間隙水圧比 1.0 を目 -1.0 図-5 に-2.07m,-1.71,-1.35m における杭の前面と背面の受圧板に取り付けたロー ドセルにより計測された荷重の時刻歴を示す.杭の前背面とも水圧比が上昇するこ 深度(m) している.地盤内の過剰間隙水圧比の載荷にともなう変動の振幅は,深度が浅くな その後,タンクを GL(ステップ数 900)まで下げてから再度,載荷実験を行った. 図-6 に杭体の前背面に作用する土圧の深度分布を水圧比別に示す.この時の杭頭 0 20 40 60 地盤内水圧 -1.5 -2.0 0.0 0.5 1.0 -2.5 -3.0 とにより荷重の変動の振幅は減少した.同図に示す計測値は,砂を投入する前を0 とした絶対値である. 0.0 0.5 1.0 -2.5 図-3 に杭頭部の水平荷重を,図-4 に過剰間隙水圧比をそれぞれ示す.杭頭変位は 指した際,杭の B 面の近傍からボイリングが発生したため,タンクを 0.1m 下げた. 杭体水圧 0 図-1 20 40 水圧(kN/m 2 ) 60 杭に作用する水圧分布 変位は,正方向に載荷した変位約 4mm∼28mm である.また,計測値と比較する ために,同図に(1),(2)式より算定した主働土圧および受働土圧 p を重ねて示す. p ′ = αK (γ ′h − ∆u ) , K = K A or K P p = p′ + u + ∆u (1) (2) 本報告では,φ を 42.5°,受働土圧の α を 3 とし,主働土圧の α を 1 として土圧を求めた.地表面から GL−0.7m の 主働土圧は,変位量および液状化程度に関わらず算定した主働土圧の値を大きく上回った.また,水圧比が 1.0 に近付 くに連れて,主働土圧,受働土圧とも土圧が増加する傾向を示した.GL-1.0m 以深の主働土圧は,水圧比にかかわらず 算定値を下回った.これは,杭の変形量が小さい事が原因の一つと考えられる.水圧比 0.9,変位量 27.5cm 時の受働土 圧は,算定値を上回る結果が得られた.この原因の一つとして,図-4 からも読み取れるように,杭の周辺地盤の実際の 水圧比が 0.9 よりも小さかったことが挙げられる.この水圧の減小は,杭の変位にともない地盤の変形が大きくなり, Lateral loading tests on a model pile with load cells directly to measure subgrade reactions during liquefaction (Part2: test results) TANAKA Tsuyoshi (Musashi Institute of technology Department of Architecture),YASU Hiroki (Tokyo Soil Research Co., Ltd.), HAMADA Junji (Takenaka Research & Development lnstitute), KOHAMA Eiji, SUGANO Takahiro (Independent Administrative Institution Port and Airport Research Institute), - 1779 - その部分の地盤の体積が膨張したことによるものと推察される. 4,まとめ 杭前面と背面に作用する外力を直接計測することできる計測杭を開発し静的交番載荷を行った.その結果,杭の前背 40 8 30 6 20 4 10 2 荷重(kN) 変位(mm) 面および深度方向の荷重が計測でき,水圧比の違いによる土圧の深度分布が得られた. 0 0 -10 -2 -20 -4 -30 -6 F3 B3 -8 -40 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 1000 100 200 300 400 図-2 500 600 700 800 900 1000 ステップ(回) ステップ(回) 12 杭頭水平変位 9 60 荷重(kN) 6 水平荷重(kN 40 20 3 0 -3 0 -6 -20 -9 F4 B4 -12 -40 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 300 400 500 600 700 800 900 1000 600 700 800 900 1000 8 ステップ(回) 6 4 杭頭水平荷重 荷重(kN) 図-3 1 過剰間隙水圧比(⊿u/σ’) 200 10 0 -0.31m -1.03m -1.75m -2.46m 0.75 2 0 -2 -4 F5 B5 -6 -8 -10 0 0.5 100 200 300 400 500 ステップ(回) 地盤内 図-5 0.25 杭体に作用する水平荷重 4.4mm (F側) 12.9mm (F側) 28.0mm (F側) 4.4mm (B側) 12.9mm (B側) 28.0mm (B側) 0.0受働土圧 0.0主働土圧 0.0 0 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 ステップ(回) -0.5 1 -0.31 -1.03 -1,75m -2.46m -1.0 深度(m) 0.75 0.5 杭体 0.25 -1.5 -2.0 0 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 ステップ(回) 図-4 -2.5 過剰過激水圧比 水圧比 0.0 -3.0 -50 -0.5 -1.0 -1.5 -2.0 0 50 100 150 200 250 2 土圧(kN/m ) 0.0 3.7mm (F側) 12.2mm (F側) 27.5mm (F側) 3.7mm (B側) 12.2mm (B側) 27.5mm (B側) 0.9受働土圧 0.9主働土圧 -0.5 -1.0 深度(m) 3.6mm (F側) 12.2mm (F側) 27.3mm (F側) 3.6mm (B側) 12.2mm (B側) 27.3mm (B側) 0.5受働土圧 0.5主働土圧 0.0 深度(m) 過剰間隙水圧比(⊿u/σ’) 100 ステップ(回) -60 -1.5 -2.0 -2.5 -2.5 水圧比 0.5 -3.0 -50 0 50 100 150 200 250 水圧比 0.9 -3.0 -50 土圧(kN/m2 ) 0 50 100 150 2 土圧(kN/m ) 図-6 杭に作用する土圧深度分布 - 1780 - 200 250
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