全体内容 1 昇温速度をかえた測定の比較、測定に使用可能な昇温速度の検証 PTFE を試料に、昇温速度2℃/分~20℃/分で測定しました。 PTFE は 0~50℃の領域の tanδなどに特徴的な非対称の山があ ります。この山はもし昇温時、測定試料の温度が(場所によって)不均一なら、特徴的な非対称性は少なくなってなだらかな山に近づくと 思われます(ボケ)。 また、センサーの検知温度と試料の温度に差があれば、tanδの山は昇温速度によって位置がずれると予想されま す(ズレ)。 tanδでみて、このようなズレやボケが問題にならない範囲が測定に使用可能な昇温速度ということになります。 (1-1)2℃/分での測定 他社装置では測定に比較的多く採用されますが DVA 測定としてはかなり遅い速度です。320℃での経過時間:4 時間 20 分 (1-2)6℃/分での測定 100,10,1 Hz の 3 周波数での DVA 測定で、よく採用している速度です。320℃での経過時間:1 時間 35 分。 (1-3)20℃/分での測定 100,10 Hz の 2 周波数で測定しました。 カタログ記載の上限速度です。320℃での経過時間:35 分。 1Hz 測定では 測定時間が 6 秒(2℃に相当する)程度かかるので省きました。 (1-4)10Hz成分 の比較 10Hz 成分データを抜き出し(ソフトで自動操作)、比較しました。 結論として、PTFE を用いた測定データについておよそ -90℃、140℃にある山の位置、0~50℃あたりの特徴的様子は速度をあ げてもほぼ同じです。 試料と温度センサーの間に心配される温度ズレや試料内部の温度の不均一性(ボケ)はあまり顕著ではありませ ん。 したがって、動的粘弾性装置 DVA-200 シリーズ装置では、カタログに記載の昇温限界速度 20℃/min は、物理的に昇温可能と いうのではなく、測定に十分利用できる速度であるといえます。 2 高温度領域までの測定例 芳香族ポリイミド樹脂など高温まで測定必要な試料では、広い領域を scan するので測定時間が長くなります。 もし-150~500℃ 間を 2℃/分で測定するとすれば5時間半以上が必要です(冷却時間を無視して、(150+500)℃/(2℃/分)=325 分)。2 種類の昇温条 件下で広い温度領域を scan し、所要時間をみました。 また、各データの一致を調べました。 (2-1)6℃/min、-150~400℃、100,10,1Hz (2-2)12℃/min、-150~500℃、100, 10Hz (1Hzは測定時間中の温度変化あるので行わず) -155℃まで冷却し、-150℃昇温開始になるのに約 10 分。-150~500℃間の測定が約 60 分。 全工程わずか 70 分余。 (2-3)以上 2 例の 10Hz データの比較 1 測定に使用可能な昇温速度の検証 (1-1) PTFE 、2℃/分での測定 他社装置では測定に比較的多く採用されますが DVA 測定としてはかなり遅い速度です。320℃での経過時間:4 時間 20 分 Freq(Hz) 10 3 9 2 8 1 7 0 6 -1 5 -2 -100 0 100 Temperature(℃) 200 300 Er Ei tanδ log tanδ log E(Pa) 100 10 1 DVA (2℃/min;multi-Hz) [PTFE] (1-2)PTFE 、6℃/分での測定 100,10,1 Hz の 3 周波数での DVA 測定で、よく採用している速度です。320℃での経過時間:1 時間 35 分。 Freq(Hz) 10 3 9 2 8 1 7 0 6 -1 5 -2 -100 0 100 Temperature(℃) 200 300 Er Ei tanδ log tanδ log E(Pa) 100 10 1 DVA (6℃/min;multi-Hz) [PTFE] (1-3)PTFE 、20℃/分での測定 100,10Hz の 2 周 波 数 で 測 定 し ま し た 。 Freq(Hz) 10 DVA (20℃/min;multi-Hz) [PTFE] 3 9 2 8 1 7 0 6 -1 5 -2 -100 0 100 Temperature(℃) 200 300 Er Ei tanδ log tanδ log E(Pa) 100 10 カ タ ロ グ 記 載 の 上 限 速 度 で す 。 320 ℃ で の 経 過 時 間 : 35 分 。 (1-4)PTFE データ、昇温速度依存性を 10Hz 成分 で比較 およそ -90℃、140℃にある山の位置、0~50℃あたりの特徴的様子は速度をあげてもほぼ同じです。つまりカタログに記載の 高速限界の昇温速度でも、試料と温度センサーのあいだに心配される温度ずれ(ズレ)や、試料内部の温度の不均一性(ボケ)はこの 程度で、あまり顕著ではなく、測定に十分利用できるといえます。 10 PTFE_10Hz_2C PTFE_10Hz_6C PTFE_10Hz_20C 1 9 8 tanδ log E(Pa) 0 7 -1 6 5 -100 -50 0 50 100 Temperature(℃) 150 200 Er 250 Ei -2 300 tanδ 2 高温度領域まで測定した例です。試料は芳香族ポリイミド樹脂、メルディンです。(t=1、板状試料) 広い領域を scan すると測定時間が長くなります。2 つの昇温条件下の例を、測定時間を横軸にとって示します。 (2-1)試料メルディン、6℃/分、-150~400℃、100,10,1Hz 初期冷却と-150~400℃間の所要時間 Freq(Hz) 500 200 1 9 0 8 -1 7 -2 90 100 110 120 log E(Pa) 300 10 DVA (6℃/min;multi-Hz) [メルディン] log tanδ Temperature(℃) 400 100 10 1 約 110 分 100 0 -100 -200 0 10 20 30 40 50 Time(min) 60 70 80 Er Ei tanδ (2-2)試料メルディン、12℃/min、-150~500℃、100, 10Hz 初期冷却と-150~500℃間の所要時間 約 70 分 Freq(Hz) 500 100 10 10 (1Hz は測定時間中の温度変化あるので行わず) DVA (12℃/min;multi-Hz) [メルディン] -1 300 log E(Pa) 200 9 log tanδ Temperature(℃) 400 100 8 0 -100 -200 7 0 10 20 30 Time(min) 40 50 60 Er 70 Ei -2 80 tanδ (2-3)芳香族ポリイミド樹脂、メルディンを 6℃/分と 12℃/分で測定した各データの 10 メルディン(6C) 10Hz 成分 を比較 メルディン(12C) 1 0 8 -1 7 -2 500 tanδ log E(Pa) 9 -200 -100 0 100 Temperature(℃) 200 300 Er 400 Ei tanδ
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