一般化学

№1 純物質と混合物
○蒸
留…沸点の差を利用した分離法。石油の精製などで行われる蒸留を特別
に分留(分別蒸留)という。
※リービッヒ冷却器・沸騰石
○濾
過…濾紙などを用いた、液体と個体の混合物の分離法。
○抽
出…液体を用いて試料から特定の物質を溶かし出す分離法。分液漏斗を
用いることが多い。
○昇 華 法…個体混合物から、直接気体になる物質を分離・精製する方法。
ヨウ素やナフタレンなどの精製に行われる。
○再 結 晶…液体に溶かした物質を、温度変化などにより析出させる方法。
○クロマトグラフィー
…混合物を紙やシリカゲルの表面に着け、これを液体に浸すと、混合
物の各成分物質は液体の移動に伴ってそれぞれ異なる位置まで移動する。
この性質を利用した分離法。
以上の方法で混合物から純物質を取り出すとき、物質の変化(化学変化)を伴わない
→ 物理的方法
№2 元素と単体・化合物
○元
素…物質をつくる基本的要素
※元素記号…例:水素 H
○単
体…一種類の元素からなる物質
例:水素・塩素・銅・鉄
○同 素 体…同じ元素で構成されるが、性質が異なる物質同士
例:酸素…酸素・オゾン
炭素…炭素・ダイヤモンド・フラーレン
硫黄…斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄
○化 合 物…二種類以上の元素からなる物質
例:水・アンモニア・炭酸水素ナトリウム
○定 比 例 の 法 則 (1799 年 プルースト)
…各化合物では成分元素の質量比は一定である
例)水 水素:酸素 = 1 : 8
№3 元素の検出
○塩素(Cl2)の検出
例)塩化ナトリウム+硝 酸 銀 水 溶 液 → 硝酸ナトリウム+塩化銀(白色沈殿)
○炭素 C と酸素 O2 の検出
例)二酸化炭素+水 酸 化 カ ル シ ウ ム → 炭酸カルシウム(白色沈殿)
○炎色反応
例)ナトリウム…橙色
カルシウム…橙色
ストロンチウム…赤色
銅 …緑色
カリウム…赤紫色
№4 原子
○原
子 …それぞれの元素に固有の粒子
○原 子 説 …1803 年 ドルトン
それ以上分割できない粒子がある
それぞれに固有の大きさ・質量・性質を持つ原子が存在する
化合物では成分元素の原子が一定の割合で結合してできている
⇒定比例の法則(1799 年 プルースト)
化学変化の前後で原子が新たに生成されたり消滅したりしない
⇒質量保存の法則 (1774 年 ラボアジエ)
○倍数比例の法則 :1803 年 ドルトン
元素 A,B からなる化合物が2種類以上あるとき、A の一定質量と B の質量を各化合物
で比較すると、簡単な整数比になる。
№5 原子の構造
○原
子…大きさ 10-10m
質量 10-27∼10-25m
原 子 核…大きさ 直径 10-15∼10-14m(原子の直径の 1/10000)
質量 原子の 99.9%
特性 正の電荷を持つ
陽
子 …単位正電荷
中性子 …電荷を帯びていない
電
子…単位負電荷
1個の原子に原子核中の陽子の数と同数存在する
質量は中性子(陽子)の 1/1840
○原子番号…その原子核中にある陽子(電子)の数
○質量数…原子核中の陽子と中性子の和の数
−
陽子
質量数
+
+
中性子
電子
−
原子番号
4
2
He
元素記号
№6 同位体
○同位体 (アイソトープ)
…同一元素の原子で、中性子の数だけ異なる原子どうし
例) 軽水素:中性子なし 1H
重水素:中性子 1 個 2H
三重水素:中性子 2 個 3H
○放射性同位体 (ラジオアイソトープ)…放射性の同位体
№7 原子の電子配置
○電 子 殻…・電子が原子核の回りで幾つかのグループに分かれて存在している層
・内側から K 殻→L 殻→M 殻…
・内側から n 番目の電子殻には 2n2 個の電子が存在可能
○最 外 殻…最も外側の電子殻
○最外殻電子…最外殻にある電子
○価 電 子…最外殻電子が 1∼7 個存在するときの電子
○希 ガ ス…最外殻に最大数の電子が収容されている(=閉殻)原子
18 属原子(ヘリウム・ネオン・アルゴンなど)
○電 子 式…最外殻電子を原子記号の回りに点で示す
手順)①四辺に順に点を書く
②一辺には原則として 2 個まで
№8 イオン
○イ オ ン…・電荷を帯びた原子や原子団
・希ガスと同じ電子配置になる
○イ オ ン
単原子イオン …1個の原子からなるイオン
多原子イオン …何個かの原子からなるイオン
陽 イ オ ン…・正電荷を持つ
・価電子の数が 1∼3 個と少ないときに成りやすい
⇒陽性が強い=陽 性 元 素
・価数=価電子数
陰 イ オ ン…・負電荷を持つ
・価電子の数が 6∼7 個と多いときに成りやすい
⇒陰性が強い=陰 性 元 素
・価数=8−価電子数
価数
陽イオン
陰イオン
H+
水素イオン
1
2
3
+
Na
ナトリウムイオン
+
塩化物イオン
Cl-
水酸化物イオン
OH-
硝酸イオン
NO3-
アンモニウムイオン
NH4
カルシウムイオン
Ca2+
硫酸イオン
SO42-
亜鉛イオン
Zn2+
炭酸イオン
CO32-
硫化物イオン
S2-
リン酸イオン
PO43-
2+
銅イオン
Cu
アルミニウムイオン
Al3+
№9 イオンの生成とエネルギー
○イオン化エネルギー
…・原子から1個の電子を1個放出して、陽イオンとなるのに最小限必要な
エネルギー
・エネルギーが小さいほど陽イオンに成りやすい
○電子親和力
…・最外殻に電子を1個受け取って、陰イオンとなるときに放出するエネルギー
・エネルギーが大きいほど陰イオンに成りやすい
・17属は特に電子親和力が大きい
№10
原子とイオンの大きさ
○原子の半径
Ⅰ.より外側の電子殻に電子が配置されているほど大きい
Ⅱ.最外殻が同じ原子では原子番号が大きいほど小さい
○イオンの半径
Ⅰ.陽イオンになるときは元の原子の大きさより小さくなる
Ⅱ.陰イオンになるときは元の原子の大きさより大きくなる
№11
元素の周期表
○周 期 律…周期的な元素の性質の変化
○周 期 表…原子番号順に並び、性質のよく似たものが縦に並ぶ
※1869 年 メンデレーエフが提唱
周期…・周期表の横列
・第1周期∼第7周期
※最外殻が同じ元素が並ぶ
族 …・周期表の縦列
・1族∼8族
※一般に価電子が同数の元素が並ぶ
→性質が似ている
同族元素 …同じ族の元素群
アルカリ金属元素 …H 以外の1族元素
アルカリ土類金属元素 …Be・Mg 以外の2族元素
ハロゲン …17 族元素
希ガス …18 族元素
№12
周期表と元素の性質
○典 型 元 素
…・1,2,12∼18 族元素
・周期律がはっきりしている
(価電子数が規則的に変化している)
※価電子数=族番号の1桁目の数字
○遷 移 元 素
…・3∼11 族の元素
・周期律がはっきりしている(最外殻電子は1∼2個)
○金 属 元 素
…・単体に光沢があり、熱や電気をよく導く
・元素の80%を占める
・陽イオンになりやすい(=陽族元素)
○非 金 属 元 素
…・すべての典型元素
№13
○化
学
結
イオン結合
合…・原子やイオンなどの粒子間の結びつき
・物質の性質を左右する
○イ オ ン 結 合…・陽イオンと陰イオンとの静電気的引力による結びつき
・陽性元素と院生元素との化合物が多い
№14
○組 成
組成式
式…イオンからなる物質を化学式で表すときに、イオンの電荷は示さずに構成
元素の組成を示す式
化合物の名称
陽イオン
陰イオン
組成式
塩化カリウム
炭酸カルシウム
水酸化バリウム
硫酸ナトリウム
硝酸カリウム
硫酸アンモニウム
K+
Ca2+
Ba2+
Na+
K+
NH4+
ClCO32OHSO42NO3S2-
○組成式の書き方
ⅰ陽イオンを先に書く
ⅱ複数の多原子イオンを表示するときはその物質に括弧をつける
№15
イオンからなる物質の性質
○融点・沸点が高いものが多い
→イオン半径が小さい, 価数が多い, イオン結合力が大きい
○水に溶けやすいものが多い
・水溶液中では陽イオンと陰イオンにわかれる
・電 解 質…電離する物質
・非 電 解 質…水に溶けない物質
= 電 離
KCl
CaCO3
Ba(OH)2
Na2SO4
KNO3
(NH4)2S
○固体では電気を通しにくい =電気伝導性が低い
※液体や水溶液の状態では電気を良く通す
№16
○結
イオン結晶
晶…・純物質の固体
・構成粒子が規則正しく配列している
・単 位 格 子が繰り返されている格 子 状 構 造(=結晶構造)
○イ オ ン 結 晶…・イオンからなる物質の結晶
・陽イオンと陰イオンが交互に配列している
一般に硬い
もろくて強く叩くと割れる
透明なものが多い
№17
共有結合
○ 分 子…何個かの原子が結合した最小単位
『 気 体 反 応 の 法 則 』:1801 年 ゲリューサック
同体積中には同数の原子が入っている
→ ドルトンの原子説に矛盾する
『 ア ボ ガ ド ロ の 法 則 』:1811 年 アボガドロ
同体積中には同数の分子が入っている(同温・同圧)
○分
子
式…分子を表す化学式
○共 有 結 合…電子が2つの原子に平等に共有されている結合
例)水素分子のでき方
H・+・H
→
H:H
共有電子対
※非 共 有 電 子 対…共有結合に関係していない電子対
※・共有結合は非金属原子間で行われる
・希ガスでは共有結合は行われない (→単原子分子)
○構
○単
造
式 …一組の共有結合を一本の線(価標)で示す式
例)
水
H-O-H
酸素
O-O
二酸化炭素 C=O=C
結
合…1個ずつ電子を出し合っている結合
○二 重 結 合…2個ずつ電子を出し合っている結合
○三 重 結 合…3個ずつ電子を出し合っている結合
※電子価 …電子1個が持つ価標の数
№18
配位結合
○配位結合…共有電子対の電子が一方の原子からのみ提供されている共有結合
例)アンモニア分子 NH4 と水素イオン H+からアンモニウムイオン NH4+
ができるとき
※4つの共有電子対はすべて等価
№19
極性分子
○電気陰性度 …結合している原子が共有電子対の電子を引き付ける強さ
※周期表の右上の元素は電気陰性度が大きい
○極性分子 …・極性(分子内の電荷の偏り)を持つ分子
・折れ線形や三角錐型など
例)塩酸・水など
○非極性分子 …・極性を持たない分子
・直線形やせい四面体…二重・三重結合
例)水素分子・二酸化炭素分子
№20
分子間力と分子結晶
○分子間力…・液体や固体で分子間に働く弱い力
・イオン結晶や共有結合に比べて弱い結合力
・融点,沸点は比較的低い
・分子結晶が似た分子では分子量が大きいほど分子間力が強くなる
融点,沸点が高くなる
○分子結晶の性質
・柔らかい(イオン結晶は硬い)
・透明なものが多い(イオン結晶も透明)
・融点,沸点が低い(イオン結晶は高い)
・一般的には電気は通さない[例外:塩酸](イオン結晶は通す)
№21
水素結合
○水素結合…・極性分子に見られる
・水素原子を挟んだ弱い静電気的結合
例)HF , H2O , NH3
※水素結合により分子同士が引き合うため、水素結合分子の融点,沸点は高い
№22
共有結合の結晶
○共有結合の結晶の性質
・多数の原子が次々と結合して目に見えるほど巨大な分子になる結晶
例)炭素(ダイヤモンド)・ホウ素・ケイ素
・硬く融点が高いものが多い
・水に溶けやすい
・電気伝導性が低いものが多い
=
○炭素の単体
・ダイヤモンド
ⅰ1個の炭素原子に4個の炭素原子が結合している
ⅱ電気伝導性が低い(ない)
ⅲ非常に硬い
・黒鉛
ⅰ1個の炭素原子に3個の炭素原子が結合している
ⅱ層の横方向は電気伝導性が高いが縦方向は低い(ない)
ⅲ柔らかい
№23
金属結合
○自由電子 …各原子の価電子は重なり合いによって電子殻を伝って自由に動くことので
きる電子
○金属結合 …金属元素の原子は価電子を放出して陽イオンとなり、価電子が自由電子とな
って全原子に共有されることでおこる結合
※金属結合の物質は組成式で表す
○金属結合物質の性質
・金属光沢がある
・電気伝導性,熱伝導性が高い
・展性(=広がる性質),延性(=延びる性質)がある
・合金(金属の混合物)を作りやすい
○典型金属元素
・融点,沸点が高く、柔らかい
○遷移金属元素
・融点,沸点が低く、硬い
№24
金属の結晶構造
○面心立方格子 …・立方体の各頂点と各面の中心に粒子を配置した単位格子
・正味4個の粒子が存在
○体心立方格子 …・立方体の各頂点と中心に粒子を配置した単位格子
・正味2個の粒子が存在
○六方最密構造 …・7 個,3 個,7 個の粒子が上下に重なり合って配列している
・六角柱の 1/3 の四角柱が単位格子で、その中に正味2個
№25
原子量
原子の質量は炭素 12Cを基準として相対質量で表す
○原子量…同位体の相対質量と存在比から求められる各元素の原子の平均相対質量
※原子量の計算方法(水素の場合)
(1H の相対質量)×(1H の存在比)+(2H の相対質量)×(2H の存在比)
№26
分子量と式量
○分子量…・一つの分子中の全構成原子の質量の総和
・単位なし
※分子量の計算方法(二酸化炭素の場合)
(C の原子量)×(C の個数)+(O の原子量)×(O の個数)
○ 式量 …・組成式,イオン式中の全構成原子の質量の総和
・単位なし
№27
物質量の計算
○アボガドロ定数 …12C原子 12g 中に含まれるC原子の数
6.02×10-23 個=1mol
○物質量 …・粒子の個数に基づく物質の分量
・単位 mol
物質量 =
単位粒子(原子・分子)の個数
アボガドロ定数
№28
物質量と体積と質量
○モル質量 …・物質1mol あたりの質量
・単位 g/mol
・=原子量(分子量・式量)
物質量 =
質量(g)
モル質量(g/mol)
○モル体積 …・物質 1mol あたりの気体の体積は標準状態で種類に関係なく
22.4(l/mol)
※標準状態…温度 0 度・気圧 1atm
○アボガドロの法則
『同温同圧のもとで、同体積の気体は種類に関係なく同数個の分子を含む』
№29
化学反応式
○化学反応式…化学変化において、反応する物質(=反応物)と生成する物質(=反応物)の関係
を化学式で示した式
※左辺と右辺でそれぞれの原子量の数は変化しない
例)化学反応式の作り方
エタン C2H6 と酸素 O2 が反応して、二酸化炭素 CO2 と水 H20 が生成された
化学反応を化学反応式で示せ
a C2H6 + b O2 → c CO2 + d H2O
炭素原子の数
水素原子の数
酸素原子の数
①より
②より
③・④・⑤より
左辺
右辺
2a = c
…①
6a = 2 d
…②
2b = 2c + d …③
c = 2a
…④
d = 3a
…⑤
b = 7/2a
∴ a:b:c:d = a:7/2a:2a:3a
= 2:7:4:6
∴2C2H6 + 7O2 → 4CO2 + 6H2O
○イオン反応式 …反応に関するイオンのみを示した化学反応式
※左辺と右辺で原子の数は同じで、電荷の総和も同じ
○化学反応式で直接表せないこと
・反応に伴う諸現象(変色, 発熱,吸熱など)
・反応条件(温度,触媒など)
№30
※触
媒…反応を促進する物質
化学反応の量的関係
○化学反応の量的関係
例)メタンと酸素の反応
反応式 CH4 + 2O2 →
物質量 1mol
1mol
質量 16.0g
64.0g
№31
CO2 + 2H2O
1mol
1mol
44.0g
36.0g
粒子の熱運動
○拡散 …物質の構成粒子が自然に散らばっていく現象
○熱運動 …拡散の原因
※高温ほど運動エネルギーが大きい
№32
○圧
力…単位
気体と粒子の運動
Pa(パスカル)
atm(気圧)
mmHg
1 atm = 101325 Pa = 1013.25 hPa = 760 mmHg
№33
固
体
状態変化
融解 蒸発
液
体
凝固 凝縮
気
体
昇華
※圧力が変化すると融点・沸点・凝固点の温度は変化する
○過冷却…液体をゆっくりと冷却すると、凝固点以下の温度に伴って凝固しない状態(純
水は-12℃まで凍らない)
№34
蒸気圧と沸騰
○水の沸騰
100℃以下でも水は蒸発している
○蒸気圧 …気液平衡の時の圧力(=飽和蒸気圧)
○気液平衡 …蒸発する分子と、凝縮粒子の速度する分子の割合が等しい状態
例)密閉されたビーカーの中に入っている水
○飽和蒸気圧 …気液平衡のとき、密閉容器内部の圧力(=一定)
※物質によって決まっていて、温度によって変化する
○沸騰…液体の内部から蒸気が発生する
※沸点=蒸気圧が 1atm になった温度
↓
気圧の低いところでは 100℃以下でも沸騰する
№35
気体の体積の変化
①ボイルの法則
『一定温度の下では、一定量の気体の体積は圧力に反比例する』
k
P
PV = k
V=
V=体積
P=圧力
k=定数
変化前の圧力を P1、体積を V1 として、
変化後の圧力を P2、体積を V2 とすると、
P1V1 = P2V2
②シャルルの法則
『圧力一定の下では 1 度の温度上昇で体積 V は、0℃のときの体積 V0 の 1/273 だけ増
加する』
V=
V0
t +V 0
273
『一定圧力の下では一定量の気体の体積 V は絶対温度 T に正比例する』
V = k×T
※絶対温度
単位:K(ケルビン)
絶対温度 T =273 + t
(t =セルシウス温度)
0K …絶対零度 (これ以下の温度は存在しない)
③ボイル-シャルルの法則
『一定量の気体の体積 V は、圧力 P に反比例し、絶対温度 T に正比例する』
V=
T
VP V P
× k 1 1 = 2 2
P
T1
T2
№36
理想気体の状態方程式
①理想気体の状態方程式
1) 理想気体
実在気体では高圧や低温のとき、ボイルの法則やシャルルの法則が成り立たない。
そこで、常にこれらの法則が成り立つ気体として理想気体を仮定。
2) 気体定数 R
ボイル-シャルルの法則より、
PV
R=
T
標準状態(0℃,1atm)で 1mol あたりの気体の体積 V は 22.4l だから
R=
1 × 22.4
= 0.082 (l・atm / mol・K )
273
3) 状態方程式
気体定数 R は、気体 1mol あたりの比例定数であり、一定である。
PV = RT
V はモル体積なので、nmol の体積を V とすると、
PV = nRT (状態方程式)
例題)27℃,30atm で 0.50l の窒素の物質量は何 mol か。
解) 状態方程式より、
30.0 × 0.50
PV
=
= 0.610 (mol)
n=
RT 0.082 × (27 + 273)
②状態方程式と分子量
モル質量 M (g/mol)の気体が n (mol)の質量を w (g)とすると、
w
n=
M
これより、状態方程式は、
PV =
wRT
w
RT 
→ M =
PV
M
例題) 27℃,0.80mol で体積 1.02l の気体があり、その質量は約 1.8g であった。この物
質の分子量 M を求めよ。
解)
wRT 1.8 × 0.082 × 300
M=
=
= 54
PV
0.08 × 1.02
③混合気体
・全圧 …混合気体の圧力
・分圧 …各成分気体が単独で混合気体の全体積を占めるときの圧力
気体 A + 気体 B
→
T
T
温度
pB
pA
圧力
vB
vA
体積
nB
nA
物質量
ボイルの法則から、
気体 A について、pAvA = pA’V …①
気体 B について、pBvB = pB’V …②
気体の状態方程式から、
気体 A について、 pAvA = nART
気体 B について、 pBvB = nBRT
混合気体について、PV = (nA+nB)RT
混合気体
T
P
V
N
…③
…④
…⑤
①式+②式:pAvA + pBvB = (pA’+ pB’)V …⑥
③式+④式:pAvA + pBvB = (nA+nB)RT …⑦
⑥式と⑦式:(nA+nB)RT = (pA’+ pB’)V …⑧
⑤式と⑧式:PV = (nA+nB)RT = (pA’+ pB’)V
∴ P = p A’ + p B’
※分圧の法則
1801 年 ドルトン
『混合気体の全圧は各成分気体
の分圧の和に等し
2) 物質量と分圧の関係
分圧 = 全圧を各成分気体の物質量の割合で配分した圧力
nA
nB
pA ' =
P ,
p B ' =
P n A + nB
n A + nB
3) 圧力一定時の体積を分圧の関係
圧力一定のとき、分圧は全圧を混合前の各成分気体の体積の割合で配分した圧力
vA
vB
pA ' =
P ,
p B ' =
P v A + vB
v A + vB
例題) 標準状態で酸素と窒素を 1:4 の割合で混合した。酸素の分圧を求めよ。
解)
1
p A' =
× 1 = 0.2 (atm)
4 +1
例題) 水素 3.00atm,窒素 5.00atm とを容積 100l の容器に入れ、27℃に保った。混合気体
の全圧と水素の分圧を求めよ。
解) 状態方程式より、
8.00 × 0.082 × 300
P=
= 1.968 (atm)
100
3.00
p H' =
× 1.968 = 0.738 (atm)
8.00
4) 水上置換と分圧の関係
「気体を発生させて、水上置換で捕集するとき、捕集気体は水蒸気が飽和した混合気
体になっている。従って、発生気体の分圧は。捕集気体の分圧から水蒸気の分圧
を引いた値になる。」
wRT
M=
( P − p B )V
5) 混合気体の見かけの分子量
a) 混合気体中の分子の分子量の平均値(見かけの分子量)を M とすると、
n
n
M = A MA + B MB
n
n
b) 混合前後で圧力一定の場合、
v
v
M = A MA + B MB
V
V
④実在気体
低温や高圧で、理想気体の状態方程式が成立せず、再び状態変化を起こして、
固体や液体になる。
※低温では熱運動が弱まり、分子間引力の影響が大きくなる
№37
溶液と溶解度
①溶解
1) 溶解 …物質(固体,液体,気体)が液体に溶け、均一な混合物になる現象
溶媒:溶かしている液体
溶質:溶けている物質
溶液:均一になった液体
2) イオン結晶の溶解
イオン結晶 → 水に溶けやすい
例) 塩化トリウムは Na+と Cl-に電離して溶ける
※水和して安定 …極性分子と水分子が静電気引力によって結びつく現象
3) 分子からなる物質の溶解
分子からなる物質
極性分子
水に溶けやすい
(有機溶媒に溶けにくい)
非電解質
電離しない
例) エタノール
無極性分子
水に溶けにくい
(有機溶媒に溶けやすい)
例) ヨウ素,ナフタレン
電解質
電離する
例) 塩化水素
②濃度
1) 質量パーセント濃度
質量パーセント濃度(%) =
溶質の質量
× 100
溶媒の質量 + 溶質の質量
2) モル濃度
溶液 1l あたりの溶質の物質量
溶質の物質量(mol)
モル濃度(mol/l ) =
溶液の体積(l )
3) 質量モル濃度
溶媒 1kg あたりの物質量
溶質の物質量(mol )
質量モル濃度(mol/kg) =
溶媒の質量(kg)
例題) 0.050mol/l の水酸化ナトリウム水溶液を 200cm3 取った時、この中に含まれる水酸化
ナトリウムの物質量は何モルか。
解) 200cm3=0.2l だから、 x = 0.050×0.2 = 0.010 (mol)
例題) 20.0%の塩化水素 HCl(密度=1.10g/cm3)の水溶液のモル濃度は?
解) 1l = 1000cm3 だから、
20.0
1000 × 1.10 ×
= 220 (g)
100
HCl の分子量は 36.5 (g/mol)だから、
220÷36.5 = 6.03 (mol)
例題) 溶液 1l 中に硫酸 H2SO4 を 196.2g 含む水溶液のモル濃度は?
解) 硫酸の物質量は 98.1(g/mol)だから、
H2SO4(mol) = 196.2/98.1 = 2.00 (mol)
③固体の溶解度
・飽和溶液 …それ以上溶質を溶かすことのできない溶液
・溶解度 …飽和溶液の濃度 (溶媒 100g に溶ける溶質の質量)
1) 水和物の溶解度
水和物の溶解度は無水物の濃度を用いる
2) 溶解度と温度の関係
「溶解度は温度によって変化する」
例:硝酸カリウム (KNO3)
40℃:100g の水に約 63g 溶ける
↓冷却
20℃:100g の水に約 33g 溶ける → KNO3 が 30g 析出
3) 再結晶
…温度による溶解度の差を利用した物質の精製法