非線形フォースフリー磁場(NLFFF)モデルの 現状と彩層磁場を使った展望 井上 諭 [email protected] 慶煕大学校 宇宙探査学科(-2014年12月31日まで) 名古屋大学太陽地球環境研究所(<=いまここ) マックスプランク太陽系研究所(2015年7月1日から) 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 Acknowledgement 草野 完也 名古屋大学太陽地球環境研究所 Kang Jihye 慶煕大学校 宇宙探査学科 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 Nonlinear Force-Free Field (NLFFF) Modeling 太陽表面の観測磁場データから3次元のコロナ磁場を外挿したい! • 太陽コロナプラズマはlow βプラズマなので、force-free状態 (JxB=0)を満たす磁場 が、良い近似となる。 • しかし、force-free の方程式は非線形方程式なので、解析的な解法は困難、、 ゆえに、数値的な手法に依存して解法する。 Potential field (∇xB=0) Force-Free Field (JxB=0) 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 History of the NLFFF 手法開発、地上観測の磁場データへの応用 2005年 第1回手法のベンチマークテスト(Schrijver et al. 2006) コード改良・開発 2006年 ひので打ち上げ 2008年 第3回手法のベンチマークテスト(Schrijver et al. 2008) 2009年 第4回手法のベンチマークテスト(DeRosa et al. 2009) Schrijverさんが苦言し始める(Schrijver. 2009) Bobra et al. 2008 Amari et al. 2010 Valori et al. 2007, 2010 Wheatland et al. 2011 Jiang et al. 2011 2010年 SDO打ち上げ Inoue et al. 2011 Makanushenka et al. 2012 data解析+NLFFF解析 Sun et al. 2012a, 2012b 2013年 Liu et al. 2012, 2014 Inoue et al. 2013 Jiang et al. 2014 NLFFF+MHD Sim. Jiang et al. 2013 Inoue et al. 2014, 2015 Amari et al. 2014 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 1st Benchmark Test of the NLFFF Schrijver et al. 2006 Pureな3次元force-free解をNLFFF求解法でどの程度再現できるか? 2006年頃、、semi-analyticalなforce-free解の再現性で すら、それぞれの方法により結果は大きく異なる? Low & Lou NLFFF 近年、、(semi-analyticalな)force-free解はそれぞれの NLFFF求解法を用いて十分によく再現できる。 Inoue et al. 2014 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 3rd Benchmark Test of the NLFFF Schrijver et al. 2008 X-class flareに必要なfree Energyが蓄積されない?? 説明できるのは Wheatlandさんのモデルのみ?? 精度向上などの論文は2008年以降も出版。 このデータ自体の信頼性をいつまでも引きずってはいけない。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 4th Benchmark Test of the NLFFF DeRosa et al. 2009 それぞれの方法で、解が異なる • Hinodeの視野が狭いので、SOHO/MDIで 視野の広さを補強する。 • Hinode/SPの視野だけで、シア構造を捉え るのはおそらく難しい。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 RECENT NLFFF Compared with Observations Inoue et al. 2011 Kang, Inoue et al. 2015? 近年に開発されているNLFFFは、観測、特に磁気中性線近傍 Jiang et al. 2014 の強い非ポテンシャル構造をよく再現し始めている。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 Comparison with Observations Inoue et al. 2013 AR11158, 2hours before X2.2-class flare 傾向として、活動領域の黒点間の磁気中性線近傍はよく再現する が、外側の磁力線の再現性そこまでよくない。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 MHD Simulation Using the NLFFF MHD simulationの結果と観測を比較することで、 Inoue et al. 2014b, 2015 NLFFFのreliabilityを評価できる。 Bh Before the Bh during the Flare 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 NLFFF from EUV image + Bn Savcheva et al. 2011 ・Flux Tubeをポテンシャル磁場の中に 挿入し、緩和させる。 ・ノーマル成分Bzは固定し、Btは緩和 過程で求まる。 ・つまり観測から求まるBtは用いない。 ・極めて精度の高いforce-free磁場が 求まる。モデリングへの応用がさかん (Kliem + 2013, Savcheva + in press)。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 NLFFF from EUV image + Bn Makanushenko et al. 2014 ・磁場のノーマル成分(Bz)とEUVイメージからトーレスされる磁力線構造より、 フォースフリー場を計算。この際も、Btは用いない。 ・中心のflux tubeの軸をまわる磁力線の回転数は、光球面磁場から外挿した 場合(Sun et al. 2012)とほぼ同じ。 ・解放されるFree-Energyは1.0x10^32erg。Sun et al. 2012では2.3x10^32erg。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 今後のNLFFFに彩層磁場は必要か? 1. 現在の”force-freeを満たす境界条件を用いれば解を精度よく再現できる”という 概念に基づけば、より良いforce-free場を再現できる。 ==> ただし定量的な検証が必要。(次のスライド) 2. モデリングの際は極めて精度の良いforce-free場が必要になる。 (e.g.非平衡だと、低エネルギー状態に緩和する可能性があり、flux tubeに蓄えらる 電流が減少してしまう===>hoop forceが減少しCMEまでの再現が難しくなる。) ==>詳しくはInoue et al. 2014b ApJ, 2015 ApJ in pressをご覧下さい。 3. 光球磁場3成分+彩層磁場のBz成分を用いて、彩層磁場Btの導出かつ、電磁流体平衡場 を導出できる(かもしれない)。 ==> 次の次のスライド。まだ初期検討段階。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 NLFFF on Result from the FES Inoue, Magara et al. 2014 MHD Simlation Török et al. 2014 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 NLFFF NLFFF, MHS Reconstruction 光球磁場x3成分と彩層Bzの情報を持つ。 Corona MHD 緩和法 or G-R法 (磁力線の根元でαを一致させる) Ph-Ch間で緩和計算をさせて、Chの Btを決める。 MHD Relaxation or G-R法で彩層磁 場3成分からコロナ磁場を導出。 磁力線の両足下でαが同じになるよう にBtを補正。 Bn Choromosphere Bt Bt’ Bn Bt P, ρ Jd<== Ph-Ch間で磁場3成分を上下で固定 し、Pとρを緩和。ディアマグカレン Photosphere トが導出される。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日 Summary 1. 近年開発されている高精度のNLFFF求解コードにより、フレアを引き起こすような 強くねじれた磁場構造は、精度よく再現できるようになってきている(と感じている)。 ただし、外側をとりまく磁場構造の再現性はあまり良くない(ように思える)。 2. 近年、EUV イメージから磁力線をトレースする方法も開発されている。活動領域 の中心をとり囲む磁力線構造は、光球面磁場に基づいて再現された磁力線構造より よく再現している。ただし、観測から得られるBt成分とどれ程コンシステントな のかは、疑問に残る。 3. 彩層磁場を用いると、より精度の良いforce-free磁場の再構築が期待できる。特に 数値宇宙天気予報の実現には、極めて重要となりうる。NLFFFだけでなく、NLFFF を超えたMHS平衡場構築への応用も期待され、他領域の研究(例えば、コロナ加熱 問題)への貢献も期待できる。 2014年度 太陽研連シンポジウム @ 名古屋大学 2014年2月18日
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