結晶の評価技術

│││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││││,│││││││││││ltll l l ll l llll l llll l llll l llll l lllllll l llllll llll l ll l l llll ll lド
│││
結晶 の評価技術
│1 11 1 11 1 1 1 il l l.ll l l ll.l l li:││││││'│lill l l:││││llll l 1111 1 1111 111111 1 1111 1 1111 1 1111111 111111 1111,│'││││││lil lイ
│││││││││'││││'│││ll,│││,││││││││lll l,li ll l llll l l lllll l l'││││││││`ll.l l lllll l l ll
Sicを 実用 に供す る半導体 とす るには,パ ル ク結品 な らびにエ ピタキ シャル
成長層 の評価が必要 となる。光学的性質 は,ラ マ ン故乱や フ ´ トル ミネセ ンス
造 や表面構造 は X線 l折 ,イ オ ン散乱法 な どで評価 す る。
「
さらに,電 子 デバ イス応用 を考 える場合に必 要な電気的特性評価法 を概観する。
法な どで,結
│デ
:構
ラマ ン散乱
SiCは
,種 々の ポ リタイプ
(多
形 )を もつ結晶 の一つ と して知 られて い る。
このポ リタイプは Si― c原 子 面の 配列が c軸 方11に 沿 って 異な る超格子構造 を
もっている。(hAs― AIAs人
l:ヘ
テ ロ超格子 に対比 させ ると SK)ポ リタイプは 自
然 ホモ超格子 とい える。 高次 ポ リタイプで 見 られる特有 なモ ー ドを折 り返 しモ
ー ド (f01ded nlotle)と 口
子ぶ。 この折 り返 しモー ドの ラマ ン測定か ら SiCの 構造
評fliが で きる。 また Sicで は 各 ポ リタイプの生 成エ ネルギ ーが わずか しか違 わ
ないの で,積 層 nd置 が 舌t雑 な積層欠陥が容 易 に発生す る。 また Sicの 成長温度
が 高 い ため,欠 陥が 71じ やす い。 これ らの欠陥 をラマ ン散舌Lで 評価す ることが
試 み られて い る。 また Sicは 極性 半導体 であるため電 Fプ ラズマ と LOフ ォ ノ
ンが結合 した モー ドが rf在 す る。 このモー ドをモニ ター として sicの 電気特性
が評価 されて い る1。
X線 や電子線, イオンビームを用いた材オ1評 価法に比べると,ラ マン散舌
は
し
①光を用いた非破壊 非接触のミクロ評llL法 であること,② 真空を必要としな
いこと,0試 料形状があまり問題にならないこと,① 短時間の計lAlで S/N比
,
の高い信号が得られること,に 加えて,③ 種々の物性.T価 ができるなどの特徴
5 結晶の評価技術
を もって い る!.
さ らに SiCの よ うな極性 半 導体 の場 合 は,ラ マ ン散 舌し分 光法 は
,
0
ポリタイプ構造や結品欠陥構造の副:価
② キャリア密度,移 動度などの伝導性の評価
が口
I能 で あ り,sic結 品 の 評価 に 有効 な 手法 で あ る。
5.1.1
ラ マ
ン 測
定
の
原
理
Ⅲ Ш Ⅲ Ⅲ 旧 Ⅲ Ⅲ 剛 ⅢⅧ 剛 Ⅲ Ⅲ ‖│‖ 同 Ⅲ Ⅲ 帥 ‖旧 Ⅲ ‖旧
レーザの ように 1ユ 色性 の 強 い 光を物 質 に111射 した とき,物 質か ら人射 した光
の振 rlJ数 と異な った振動数 の 光が散舌しされて出て くる現 象がラマ ン散乱 である。
このIlt象 は光 と物質内 の 素blJ起 (フ ォ ノンや電 i励 起 など)と の非弾1■ 散千し
「
現象 とみなす ことがで きる。 人劇 光 と腋舌L光 の振 JIJ数 の差 は物質 にL・ 有な もの
であるか ら,ラ マ ン故舌Lス ペ ク トルの洲1定 か らその物質のイ
i性 が 評illiさ れる。
ラマ ン分光 システ ′、は,(1)光 源 ,(2)「 式+1泄 」
定雪1,(3)分 散分 光器
,
(4)検 出器 ,に
人別 で きる。li近 は 光学顕微鏡 をltり ││し た顕微 ラマ ンシステ
‐
ムが 般 にイ
1月 lさ れてい る。 このり
1定 配置図 の概略 を図 51.1に ′
ヽした。
(1)レ ーザ光源
SiCの 泄1定 には通常 可視域 のアルゴンレーザ 発振線が月1い られ る。11に SiC
の 衣層 を評価 す る場合 には,共 焦点顕微鏡 か,侵 入長の浅 い紫タト光 を励起 光lle
と して用 い る必 要がある。
(2)試
料室
試 llの セ ッテ イングは 簡単 で顕微 鏡 の測 定 台 の 卜に試本│を 置 き,11点 を合 わ
せ るだ け で よい 。 試料 に集 光 され る レーザ ビー ムの 最 小 ス ポ ッ ト径 Dは 対 物
レンズの lll日 数
"
(NA)と レー ザ光 の ll14長
(λ
)で 決 ま り,D=12ス NAで
与
51
CCDカ
メラ
ラマ ン散乱
フ ィル タ分 光器
また は
ノ ッチ フ ィル タ
顕微鏡
対物 レンズ
図 511
え られ る。4田
lビ
顕微 ラマン分光 システムの概略図。
顕微鏡 を用 いた場合,後 方散乱配置 での測定 になる。
Ilの レー ザ 光 と
NA=085の 対 物 レン ズ を用 い た と き約
1/`:1、
まで レーザ ビーム を絞 る こ とが で きる。
ラマ ン イ メー ジを得 るた め には, シ リ ン ドリカル レンズで ビー ノ
、を線 状 に広
げ るか ,入 射 レー ザ ビー ′、を横 方向 に掃 り す る とよ い 。 また顕 微 鏡 の L部 に
CCD(chalgc coupled de宙 ce)カ メラ を取 リイ
│け , レーザが照射 された状態で
試料の表面形状 ,欠 陥な どの 光学写真 を撮 れるようにすブtば ,‖」
定箇所 を確認
しなが ら,ラ マ ン測定が行える。
(3)
棚
分 光器 と して は,
11に ,① フ イル タ分 光 器 を 前段 に備 えた トリプ ル分 光
2絆
,
、
)モ ノクロ メー タを 亡ダ
1に 配列 した ダブ ルモ ノク ロ メー タ,0ノ ッチ フ ィル タ
ビ
と シングルモ ノ クロ メー タの 判1み 合 わせ な どがイ
吏月〕され てい る。
(4)検 出器
これ まで光電 チ増 │キ 管が広 く用 い られて きたが ,現 在 ではマルチチ ャ ンネル
検 出器 の
つ で ある c(じ 1)検 出器が上流 になって きた。特 にllk体 窒素冷力〕
の背
照射 II CCDは J「 効率が高 く,雑 :fが 小 さい ため ,微
l」
lラ
マ ン信号 が 容易
に
“測定 で きる。S(〕 バ ル ク結品 の場合,数 秒 か ら 1数 秒 の ‖1定 時間 で 良好 なラ
マ ンスペ ク トルが 得 られる。
5
結晶 の評価技術
5.1.3 SiCの フォ ノンラマ ン散乱
(1)SiC
の フ ォノ ンモー ド
ここで は 基本 的 なポ リ タ イプに限 って説 明す る。 単位 胞 に含 まれ る原 子の 数
ン ),空 間群 は ポ リタイプ に よつて 異 な る。 そ れ に応 じて フ ォ ノ ンモ ー ドの 数
も異 な る。表
511に 3C,4H,6H,15Rの
各 ポ リ タ イプ につ い て ,空 間 群
原 子数 , さらに フ ′ ノンモ ー ドの対 私J/1を 群論 の 表示 を用 い て示 した。 El,E,
Alモ ー ドは赤外
ラマ ン活性 で T∈LO分 裂 が起 こる。E2モ ー ドは ラマ ン活性
で B]モ ー ドは ラマ ン 赤外 共不 llf性 で あ る。
表 511
基本的 なポ リタイプに対 するラマ ン振動数。E、 El、 E2対 称性 をもつ
FTAと FTOモ ー ドおよび AI対 称性 をもつ FLAと FLOモ ー ドについ
てのみ示 した。
これ らのモ ー ドはα―SCに 対 しては (lll101)面 を用 いた後方散乱
配置で,3C― SiCに 対 しては (100)と (110)面 で観測 される。
振動数 (cm‐ )
(面
内)
音響 モー ド
ポ リタイプ 空 間群
ェ=17/α B
FTA(x)
-
0
6H
C6.4
C♂
2/4
196、
204 (E2)
光学 モー ド
音響 モー ド
光学 モ ー ド
FTO(x)
FLA(x)
C3v5
フ76 (E2)
一 (El)
0
―
フ9フ (El)
2/6
145. 150 (E2)
フ89 (E2)
4/6
236、
241(El)
266 (E2)
性
)
FLO(x)
972 (F2)
-
796 (E)
266 (E)
一
9642(Al)
(Bl)
610(A)
一 (BI)
338(Al)
965(Al)
― (81)
一 (Bl)
(Ei)
504.514(Al)
889(A)
767 (E2)
一 (Bl)
一 (Bl)
フ97 (E)
0
80
(軸
4/4
6/6
15R
(軸 性 )
796(F2)
3C
4H
(面 内 )
――
965(A)
2/5
167. 173 (E)
785(E) 331,33フ (Al)932.938(A,)
4/5
255,256(E)
ア69 (E)
569, 577 (Al)
80D(Al)
,
51
3C以 外 の ポ リタ イプの 同 期
ラマン散乱
(c軸 方 向 の 単位 胞 の 長 さ)は 来 本 ポ リ タ イプ
で あ る 3 C SiC(閃 亜鉛 鉱 11)の 整 数倍
(ァ
ι倍 )に な って い る。 したが っ て そ
の プ リ ュ ア ンゾー ンの 大 き さは 3 C SiCの
1/π
に な る。 そ の 結 果 ,ポ リ タ イ
プ の フ ォ ノ ンの 分 散 曲線 は 3 C SiCの 分 散 曲線 を ″重 に折 り返 した もの で 近
似 され る1。 高次 ポ リ タ イプ で は ,こ の 折 り返 しの 卜 数 に応 じて 9■ 0の フ ォ
ノ ンモ ー ドの 数 が増 加す る。 特 に低 波 数領域 に現 れ る TA分 枝 の 折 り返 しモ ー
ド
(FTA)は , ダブ レ ッ ト構 造 を もち,非 常 に シャー プな ラマ ン線 を 与え るの
で ,ポ リ タ イプの 精密 判定 には このモ ー ドが 適 して い る。 また この モ ー ドの振
動 数 ,強 度 の 解 析 か ら,c軸 方向 の Si C原 子 山iの 積 み 重 な り方 (積 1/1構 造 )
が 求 まる 「 .
ラマ ン散itで 強 く観測 され るモ ー ドは,c軸 方 向 に伝搬 す る横 ll14音 響 (TA)
分 枝 と横 波 光学
l lR動
(TO)分 枝 の折 り返 しモ ー ドで あ る。 この 折 り返 しモ ー ドの
数 お よびその 故 舌L強 度 は,ポ リタ イプの 同期 ,積 lo嘩 造 を反映 した もので
あ り,sKう の ラマ ンスペ ク トルの 測定 か ら容 易 にポ リタ イプの 十」定 が つ く。
SiCポ リタ イプの折 り返 しモ ー ドの ラ マ ンバ ン ドは ,対 応 す る 3 C SiCの フ
ォ ノ ンの 分 ljxと 還元 波 数 ベ ク トルの lLlを 用 い て ,FTO(x),「 FA(x)と 表示 さ
れ る。6H― ボ リタ イプお け る折 り返 しモ ー ドに 対 llす る 3C― SiCの フ ォ ノ ンの
iは
元 波 数 ベ ク トル け =9,9.)は 0,2/6,4′ ′
6,6′ 6で あ る。 表 511で は こ
の表 示 を用 い て ラマ ンモ ー ドを分類 した。 ここに掲 げ た ポ リ タイプ以 外 の もの
につ い て は 文献 11・ 1を 参11し て ほ しい。
(2)SiCの
ラマ ンスペ ク トル
通 常 ラ マ ン散 乱 は,α ―Sicの (OIDl)面 .β
SiC(3C)で は
(1(Ю
)而
を用
い た後 方散 乱配置 で測定 され る こ とが 多 い。この ll定 配置 を用 い た場 合 ,α SiC
に対 して は ラマ ンテ ンツルの 形 か ら,EI(TO,I.0)モ ー ドと Al(TO)モ ー ド
は ,ラ マ ン禁制 で ,観 ‖1さ れ な い こ とが 分 か る。 また (0001)Π に重 白:な
a rli
を用 い た 後 方故舌朧 置 で は EJモ ー ドは観 lHlさ れ な い。 (0001)籠 iを 用 い た 後 方
散 舌し
配置 で 観 測 され る 各 ラマ ンモ ー ドの波 数 を表 511に 載 せ た。 また 3C,
4H,6H,15Rポ
リ タ イプ の ラ マ ンスペ ク トル を図 5_12に 示 す 。夕iり 返 し
5
結 晶 の評 価技 術
10
o︶、
C一
〓⊂ぅ0﹂
︵
〓∽Co一
(a)3C― SiC
(100)face
F,LO
F,TO
796
700
∽CPE
OCDeC 、一
一
10
750
800
850
991
950
1 Cll10
b)4H―SiC
〈
(0001)iace
E,FTO(24)
A FLO(0)
08
A、
FLA(4′
4)
010
E, FTA(1 2)
196
2o4
\l
(0001)race
E′
FTO(66)
767
稲
′
ifttr・
)Fま ,い
m
田
¨
¨
バ o︶ゝ〓∽⊂o一
C一
〓Cぅ0﹂
︵
(c)6H― SiC
lAtuo4r
o︶ゝ〓∽C〇一
C一
〓Cぅ0﹂
^
(0)15R― SiC
(0001)iace
E―
FTA(4 5)
255
F事 ,
///酔
ノ
ラマンシフ ト (cm )
図
512
代表 的 な SiCポ リタ イ プの ラ マ ン ス ペ ク トル を示 した。
こ こ で α―SiCに 対 して は (0001)面 .3C― SiCに 対 して は
(111)面 を用 い て .後 方 散 乱 配 置 で浪1定 を した 。
82
51
ラマン散乱
モー ドのオ
H対 強度分布 , ピー ク波数 はポ リタイプの積層構造 ,同 期 に関係 して
いて,理 論 nt算 が文献 Jで 行 われて い る。理 論 討算強度 プ ロ ファイル を‖1定 ス
ペ ク トルにフ イッ トさせ ることによって,木 知のポ リタイプの積層構造 を推 定
す る ことがで きるが ,基 本的なポ リタイプで あれば折 り返 しモー ドの ピー ク波
数 と最大強度 をもつ折 り返 しモー ドの波数 を読 み とり,表
511と 比べ れば容
易にポ リタイプを中j定 す ることがで きる。
(3)ポ リタイプの混合
S(〕
が単
のポ リタイプではな く複数 の共種 ポ リタイプを含 むことは しば し
ば 見 られる。顕微 ラマ ン測定 か らヘ テ ロポ リタイプの 領域 を容易 に識別で き
るⅢ.異 なるポ リタイプが 混在 して い る場合 ,各 ポ リタイプの ラマ ンスペ ク ト
ル を重ねたような スペ ク トルが得 られる。 しか し, ミクロな ス ケールで異種ポ
リタイプ領域 が泥 じっている場合 は,ラ マ ンバ ン ドはゆがみ, ビー ク波数 も純
粋 なポ リタイプの ものか らシフ トして い る。 このよ うな場 合 は,単
の積層構
造 をもった領域 の集合 とは半」
定 で きず ,高 濃度 の積層欠陥領域が存在す る と考
えるべ きであろう。
(4)積 層欠陥
完全結 品 におけるラマ ン散舌し
過程で は波数 ベ ク トル 9が ほぼゼ ロ に等 しい
フォノンのみが ラマ ン散乱 に関 与す る。 ところが 欠陥が存在 して周期1■ が失わ
れる と,こ の波数 ベ ク トル選択 貝Jが 部分的 に破れ,9■ 0以 外 の フ ォノンが 散
rtに 寄 りす るよ うになるために,新 たなラマ ンバ ン ドが観測 される。あるいは
,
バ ン ドの 形状 がゆがんだ りす
るli。
4H,6Hポ
リタイプでは FTO(0)バ ン ド
が 積瑶欠陥 のモ ニ ターバ ン ドと して使 える。 (lxxll)面 を用 い た後方散乱配置
では TO(0)は ラマ ン活性 でないが ,積 層 欠晰1の 濃度が増加す るに従 っ てこ
「
の 禁制lバ ン ドの強度が増加す ることが 認 め られた'。 ただ しOfF axisの 結 品山
i
では この FTO(0)モ ー ドは リー ク信 号 と して観測 されるので,積 層 欠陥誘起
ti号 と識 別す る必 要がある。
また 3 C SiCで も積層 欠陥誘起 ラマ ンバ ン ドが存在す る ことが 知 られ て い
θ3
5
結 晶 の評 価技 術
る
・ い。 この バ ン ドをエ ピタキ シャル1莫 について 調 べ ,積 層欠陥 を鋭 敏 に検 出
す るためにはどの ような慣1定 配置が適切であ るかが検討 されてい る`。
3C― SK,で は比較的低密度 の積層 欠陥が存在 した場 合 ,あ る特定 の振動数 の
モ ー ドが励起 されるのではな く,TO分 枝 の振動数領域 にわたる種 々のモー ド
が励起 される こ とが起 こる。3 CSiCの くHl〉 方向 に伝搬す る TOモ ー ド (分
岐 )の 振動数 は 796ヽ 765 cI11 1の 領域 にある。 したが って積層欠陥 によつて誘
起 されたラマ ンバ ン ドは 796ヽ 765 cm の領域 に広がったプ ロー ドなバ ン ドに
なる。 (100)面 を用 い た後 方散乱配置 では,TOモ ー ドは禁制lで あるが,積 喘
欠陥によって対称性 が低下 し,波 数 ベ ク トルの選択則が破れ る。 この結果 796
cm Jに ピー クをもち,低 波数側 に裾 をり く非対称 な欠陥 誘起 バ ン ドが 観測 さ
れる。積層 欠陥密度が高 くな ると,積 眉 ll造 は α―型 に近 づ くた め ,構 造 を も
ったスペ ク トルが現 れる。
5.1.4 LOフ ォノンー プラズモ ン結合 モ ー ドの
Ⅲ‖
‖‖
‖ⅢⅢ‖
‖剛Ⅲ‖
Ⅲ鰤‖
ラマ ン散乱による伝導性評価 ⅢⅢⅢ
極性 半導体内 に存在す る 自由 キャリアは,励 起状態 として集団運動 であるプ
場 を通 じて LOフ ォノ ン と結 合
ラ ズモ ンを形成する。 このプラズモ ンは分わ
`電
し,結 合 モ ー ド (LOPC nlodo■ ,O pl10non plasmoll coupled mode)を 形成す
る 。 SiCの
LOPCモ ー
ドの ラ マ ン散 舌Lに は ,主 に ,① 変 形 ポ テ ン シ ャ ル
delormanon pOtential),と
(DPi
,② 電気―光学 (EO electrO opdc)の 機構 が 寄 ll
する。 この場合の L()PC モー ドに対するラマン散舌
L強 度は
,
′(ω )={2(0)+1}A(ω )Inl(-1/c(`υ
と表 され る。 ‖。 こ こで A(ω )は
))
(,J」
)
A係 数 と呼 ば れ ,Yugam,ら は,Irlnerら
に よつて 計算 され て い る。 A(0)は Faust― Henrv係 数 Cを 含 んで い て ,4Hお
よび 6H― SiCの Al力 IIrl■ の モ ー ドに対 して ,そ れ ぞ れ ,C=043,037と い
う値 が 得 られ て い る路.″
(ω
)は ポ ー ズ因
fで あ る。
式 じ ′J)の 中 の 誘 電 関 数 ε(ω )は ,フ ォ ノ ンの 寄 与 と,自 由電 子 に よる
84
51
ラマ ン散乱
ドルーデ項 とか ら成 り立って お り,次 式 で与え られる。
c lrol=Ⅲ
+鳥
―
洗
こ こで ,c"は 高 周 波 誘 電 率,ω 7(ω ん
)は
(γ
)は フ ォノン
(電
(,」 2)
)
TO(LO)フ ォ ノ ンの 振 動 数 ,「
子系 )の ダンピング定数,ω .は プラズマ振動数 で以 下 の
ように表 される。
(,ノ θ)
ここで θ,2お よび //2・ はそれぞれ 電荷 ,電 1密 度 と電 rの 有効 質量である。
電 rの 移動度 μは減衰定数 γと次式 で結 ばれてい る。
/:e/\m4p)
(52イ
LOPCモ ー ドは二 つ の 分 枝 を もって い るが ,減 衰 が大 きい プ ラ ズマ 系
)
(over
d蝕 lped plasinon)を もつ sicに 対 して は高振 動 の 分枝 だけが 観 潰1さ れ るし B。
い くつ か の キ ャ リア濃度 を もつ 4H― SiCの
を図
513に 示 す。 キ ャ リア濃 度 の
1曽
LOPCモ ー ドの ラマ ンスペ ク トル
加 と共 に この モ ー ドは高波 数個1に シフ ト
し,幅 が 拡 が り, ピー ク強度 が 減少 す る。
LOPCモ ー ドの 解析 で は ,ω ″,こ
γをパ ラ メー タと して ,観 慣1さ れ た LOPC
モ ー ドの 形 状 を理 論 式 (,ノ ′り に フ イ ッ トさせ ,最 適 パ ラ メー タの 値 か ら
,
キ ャ リア密度 ,フ ォノ ンの 減 衰定 数 ,キ ャ リアの 移動 度 を決定 す る。 この フ ィ
ッテ イングにお い て
,
6H― SiCに 対 して は ,有 効 質 崚 η 十,光 学 誘電 率 ε
¨と して
″ *=1421"
4H― SiCに
1寸
,
ε
∞=670,
して は
・ =048′ ″n, c¨ ==6 78
″
の 値 が 用 い られ て い る口。 (0001)面 を用 い た 後 方散 舌L配 置 で測 定 され るの は
A対 称性 の LOPCモ ー ドで あ って ,こ の モ ー ドの 解析 か ら得 られ たキ ャ リア 移
5
結晶の評価技術
A,lype LOPC mode
η=9× 10'7cm 3
︵
ミ ーヽ К櫻出 ︶樫懇 需 最
月=3× 10 0cm 3
n-42×
10'3cm 3
″=56× 10 8Cm 3
950
1000
1050
ラマ ン シフ ト (cm l)
図
513
種 々 の キ ャ リア 濃 度 を も つ 4H― SiC結 晶 に 対 す る
LOフ
ォノン
ープラズモン結合モー ド (LOPCモ ー ド)の ラマンスペ ク トル.
動 度 は じ軸方 向 に運動 す る キ ヤ リア の 移動 度 で あ る。 (aX11)面 内 で の 移動 度
を求め るた め には,Eタ イプの LOPCモ ー ドを観 測す る とよい 。
こ れ ま で 3C,411.6
H SiCで 理 論 式
(,ゴ
7)お よ び
('ゴ
2)を 用 い た
LOPCモ ー ドの 形状 フ イッテ イン グか らキ ャ リア密 度 ,移 動 度 の 推 定 が 行 わ れ
て い る。 この 角イ析 か ら求 め られ るキ ヤ リア密 度 の 範 けHは 1×
101「
ヽ2× 10Hcnl・
と考 え られ る。 キ ヤ リア密 度 の 変化 に よる波 数 シフ トは SiCで は か な り小 さ く
,
低 濃 度 の キ ャ リア密 度 を決 定 す る ため に は L()PCモ ー ドの 波 数 を よ り精 密 に
求 め る こ とが必 要で あ る。
このラマ ン散乱 によるキヤリア密度 のllhは ホ ール測定 による値 に近 いが ,オ 十
li小
さく与 える傾向が見 られる。 また移
fl」
度 はホール泄1定 値 より小 さい11を 与
える傾Ⅲlに ある。最近 LOフ オ ノンの 減 衰を考慮 した誘電関数 を
た LOPC
'llい
モ ー ドの解析 が 行 われたが , この 誘電関数 を用 いた場合 の移動度 は,従 来 の 占
典的誘電 対数 (式 (,ノ ′))を 用 い た場合 より,高 い移動度 が得 られる。凱微
∂6
51
ラマン散乱
ラマ ン散乱 波1定 か ら局所 領 域 の電 気特性 が 求 まるので , これ まで ダイオ ー ドの
キ ャ リア密 度 ,SiCウ エ ー ハ 内 の不均 ― キ ャ リア密 度 分 布 な どが 調 べ られ て い
る。
∼10Ncln・ 台 の 高密 度 の キ ャ リア を もつ n型 お ょ び p tt SiCに 対 して は
,
キ ャ リア密 度 をlll定 す る分 光 手法 と して ,FTAモ ー ドと電 子 ,11イ しの lH別 励
起 との Fano干 渉効 果 に よる FTAバ ン ドの ゆが み を利 用 す る方法 があ るl
(引
。
用文献〉
1)S,Nakasllll1la alld H Hannla,phys stat sol(a),162.39 (1997)
2)S Nakashina and A4 HaI、 ″ o,IEEE JQE,25,965 (1989)
3)S NakashiI:la,H Kataha:i〕 ュ,V Nakakllla,and A Mitsuishi,Phys Rev,333,572〕
(1986)
4)S Nakasllinla and K Talra,PhyS Rcvっ B40.6339 (1989)
5)S NakshLtla,Rasoda,and K (lallthicr,, P J Appl Phys,75,5354 (1994)
6)S、 Nakashinia,H ()hta,14 Hangyo,an(l B Palosz,Phil i4ag,B70,971 (1994)
7)S Nakぉ hima,Y Nakatakc,H Harllna,M KatsuI、 o,all(l N Ohta1li,Appl Phys
Lett,77,3612 (21XXl)
8)S Nakash口 11`1, Y Nakatake, Y Ishida, T Takahashi, and H Okumllra, Physica, B
303-310,684 (2001)
9)S RollIIlfeld,M Hundhausoil,a1ld I′
1.cy,Phys Rcv,B58,9858 (1998)
10, D T Honand W L Faust,Appl 1211ys,2,241(1973)
11)(l lrmer,V V Toporov,B H BairaHlov,and J Monecke,phys stat sol(b)119,
595 (1983)
12)H hlgalni,S Nakaslina,A Mitsuishi,A Uemoto,M Shlgcra,K Furukawa,A
Suzukl,and S Naka」 ima,,, AppI Phys,61,354(1987)
13)H Harulta,al、 (l T Uenltlra,.I Appl Phys,78,1996(1995)
14)H Harulla a1ld S Nakasl、
"Ha,Inst Phys COnf Ser,142,365(1995)
87
5
結晶の評価 技術
レミネセンス
5.2 フォトリ
5.2.1PLitoFEe)5jfr.rr'rru'tr'tltur'rrrrrrturt''.r|||i|,||||||||||4||||]||iI|I||[|||||l|lI||||I
(1)原 理
半導体結品 を光で刺激 した際に結占
l:か ら放出 される光が フォ トル ミネセ ンス
(PL photolulninescence)で あ り,結 FRの 様 々な性 質が反映 されて い る。 これ
を利用 して PL光 の分析 か ら結晶 の評価 を行 う手法が PL法 である。
PL法 では,イ く純物 また は 欠陥が形 lllす る電子準1立 を経 由す る再結 合過程 に
着 ‖す る。 半導体結品 に禁制帯幅 よ りも大きい光 子エ ネルギ ーの光 を照射する
と,伝 導帯
価電子常 には過剰の電 子
よって初めの熱平衡状態 に もどるが ,図
正fし が生成 される。 これ らは再結 合 に
5.21に /1Nす よ うな発光性 再結合過程
におい て PL光 が放出 される。本節 では,4H― Si()を 中心 に して PLス ペ ク トル
の起源 を説明 し,評 価 へ の応用例 を述 べ る。
SiC結 品 は間接遷移型 11導 体 であるため, ‐
11に 発光再結 合過程 で は運動量
伝導帯
図
(a)
(b)
521
半 導 体 の発 光再 結 合過 程
(c)
(d)
(o)
la
(1)
帯間,
bl
(g)
自由励 起 子 、
lc)東 紳励起子 ,(d' ドナーー自由正孔、e, 自由電子―
アクセプタ,
“
I DAベ ア, gl
殻内の各選移。
52
フォトルミネセンス
保存 のためのフォノン枚出が必 要 となる。したが って発 光効率 は低 くなる。sK〕
結晶では結晶構造 の複雑 さに起因 して多挿 のモー ドの フォノンが存在 す るので
,
多 くの フォノン サ イ ドバ ン ドが現 れ る。 ここで 各 フ ォ ノンをエ ネル ギ ー値
(meV単 位 )で LK別 し,各 発光 スペ ク トル線 の記 号に添字 を付 け,フ ォ ノン サ
イ ドバ ン ドを表 記す る こ とが 多 い。例 えば 記号 IFiは ,SiCに
llll有
(intrillttc)
の 自由励起子発 光の 77 mcVの フ ォノン サ イ ドバ ン ドを表す。 なお ,イ く
純物
や欠陥 な どに よる局在準 1立 の 発光再結 合過程 では,フ ォノンを伴 わ な い 発光
(零
フ ォノン牟1,
1黍 1:は
0)も 現 オtる 。
また,不 純物 が紺品格 ■の Si site,C siteの どちら側 を置換するかによって
その 電 子準位 は異なって くる。 さらに 4 H SiCで は,Si,cの 各 siteに おい て
hexagollal siteと ctlbic siteが 存在 し,こ れ らによつて も電 子準位 は 異な って
くる。以 上に より,PLス ペ ク トル には,単 一の不純物 に起 囚する もの であ っ
て も,複 数 の電 準位 が「
イ在 し,そ してそれぞれに対 し多 くの フォノン サ イ
「
ドバ ン ドがイ
」lJlす ることとなる。 これが スペ ク トル を複雑 に して い る原 因であ
卜
3.
る
(2)方 法
励起光源 としては,虐 i輝 度1■ ,高 安定性 ,単 色f74の 点 で レーザが優 れて い る.
従 来 は He cdレ ーザ (325 nnl)が よ くりlい られていたが ,侵 入長を Illく す る
ため,よ り短波 長 の Nd■ ち
ヽGレ ー ザの 第 4高 調波 (266 nnl),Arレ ー ザ の 第
2古 調波 (244 nm)な どがイ
t用 されるようになった。 また発 光の ラ イフ タイム
を‖1定 する際 には,Nd
YACレ ーザの第 3高 調波 (355 nm).第 4高 調llR(266
nin)の パ ル ス発振 が 用 い られてい る。 レーザ ビーム径 は必 要に応 じて数 11111、
ヽ1/`l11に 絞 り,△ も、
」
llt温 ‖
定 には クラ イオ ス タッ トが用 い られる。 ジャブ浸 け型では
での 測定 は容 易にイjえ
る。 10K程 度以
Iiで
2K杵 度 ま
あれば熱伝尊型 が lt利 で,お lll‖ ∫
変測定 ,試 本
1移 動 によるマ ッピング測定が行える li温 での ウエーハ 全山iの PL
マ ッピングは,ウ エーハ 前i内 の均 ´
性評価 に有用 であ り, 専用貰置が開発 され
て い る。
5 結品の評価技術
分 光 シ ス テ ム と して は ,nT視 光 領 域 で は ,焦 点 距 離 が 30ヽ 60 cmク ラ ス の
回折 格子 型 分光 器 と CCD(Charge cOupled de宙
ce)の 組 み 合わせ が 一 般 的 で
′
あ る。 同析 格 子 と して は ,波 長 分 解 能 に応 して ,亥 」線 数 が 150∼ 2400本 ′
mm
の ものが lt用 され る。 ラ イ フ タイム の 議1定 ,特 定 の 波 長 にお け る PL強 度 マ ッ
ピ ン グllll定 ,そ して 近 赤 外 領域 測 定 で は CCDの 代 わ りに 光電 子 増 倍 管 や Ce
ダイオ ー ドが用 い られ る。
川
綱Ⅷ川出
ⅢⅢⅢ
胴 剛Ⅲ
咄旧
5.2.2 4H― SiCの 代表的 PLス ペク トル 川Ⅲ
(1)自 由励起子発光
自由電イ と自由正孔が クーロンカ により結合 してペ アとな った状態が 自由励
起子 (FE:frec exc■ on)で あ り,そ の 再結合 エ ネルギ ー は,禁 制情幅 エ ネルギ
ー
(鳳
)と フ オ ノンエ ネ ルギ ー を差 し引 い
│)か ら励起子形 成 エ ネル ギ ー じ 、
たlLAと なる
(図
521(bDo FE発 光位置 は非常 に F確 に 求 め られ るので,FE
の零 フォノン線 に相 当す る ところ をエ キ シ トン ギ ャップ C(へ )と 呼 び,ス
︵
コ 番櫻出 ︶ 撻懇 JL
波長 (A)
図
5.22 2Kに
(al多
"
お ける 4H― SiCエ ピ結晶 の PLス ペ ク トル“。残留不純物 が
い場合 と lbl少 な い場合。lalは 横 軸 を 3Aシ フ トして表 示 。
52
フォ トル ミネセンス
ペ ク トルの 基準 によ く用 い られる。 これに比 べ ると二;の 決定精度 は悪 く, し
1)。
たが って ム のllhも 誤差 が大 きい (4 H SiCで は約 20 meVと い われて い る
図 5.2.2は 残 蹴不純物が多い場 合 (a)と 少ない場合 (り のエ ピ結品 の 2Kに おけ
る PLス ペ ク トルで ある1。 1と vLさ れた FE線 が観測 され て い る。
11に 不争L
物濃度 が 高 くなる と,次 に述べ る東縛励起 1発 光 お よび DAペ ア発光 が強 くな
り,FE発 光 はlltlく なる。 これ に よ り,FE発 光 の 相対的強度 は,結 品 の 高純
度性 の尺度 として利用 されて い る。
(2)
:11性
東縛励起子発光
の N,Pド ナーお よび中性 の B,Al,Gaア クセプ タは FEを 1精 まえる。
これが東縛励起 子 (BE l botind exciton)で ある
(Ⅸ
1521c》
L`。
これ らの BE
状態 には,不 純物 イオ ン と中性化 のための 電 ■または正イL,そ して FEを 構成
する電 rと
1liィ
Lの 合計 4粒
rが 関 与するので,“ 4B"の ように記 され るこ とが
あ る。図 522に 現 れて い る P。 ,Q)は ,中 性 Nド ナ ー に よる BE発 光
(零
フ
ォ ノ ン線 )で あ り,そ れ ぞれ ,N原 子が hexagoI劇 、te,cllbic-Oteの C原
`
を置換 した場 合 の電子単位 に対 1さ す る。BE発 光 は FE発 光 よ りも束縛 エ ネル
ギ ー OB、 )だ けlllエ ネルギ ー側 に現 れ る。 般 に ″ハ は ドナ ー/ア クセ プ タ
′
準位 の 10程 度 の1立 である。図 522に は 中性 Bア クセ プ タに よる BE発 光
1′
も観泄1さ れてい る。
次 にア イソエ レク トロニ ック
トラ ップに東縛 された励起子発光について述
べ る3。 配位 r場 理論 に よる と,結 ‖[格 子の Siサ イ トを置換 した Tiは 電 を
「
引 きつ ける ことがで き,そ の後 クーロンカ に よつて ![イ しをllliら える。 これは Ti
原 Fに 励起 が束縛 された,大 態 と等価 である。 アイツエ レク トロニ ック トラ
「
ップの BEは 中性 ドナー/ア クセ プタに よる BEの 4粒 子系 とは異な って 3 1tl
r系 であ り,発 光 スペ ク トルには特徴的 な A,B,C― Ineと 名付 け られた 3発
しる。図 522の
光線 が現 ズ
ック
a., b。
したう
と言
dさ 才
6光 線 は Tiア イ ツエ レク トロニ
トラップに よる BE発 光 で ,そ れぞれ A,B lineの 零 フ ォ ノン線 である。
この 発光の ど卜
、は大 きい ために,牢 温 で もlblJ起 了が解離 されず発光が観洒1さ れ
純物 であるので,こ の 発 光線 の 検 出 は
る。Tlは Sicで は よくイ
F在 す る残留 イ`
5 結晶の評価技術
有用 で あ る。
(3)DAペ
ア 発光
DAペ ア発 光 は 521(1)に /1Nす よ うに,
IX」
ドナ ー に捕 らえ られ た電 子 とア ク
セ プ タに捕 らえ られ たiF孔 の 発 光 再結 合 で あ り, ドナ ー とア クセ プ タ間 の 距 離
rに 依 存 す る クー ロ ン エ ネル ギ ー が 発 光 エ ネ ル ギ ー に 加│わ る。図 5.2.3に 示
す よ うに,Al,Ga,Bな どの ア クセ プ タ と Nド ナ ー に よ る DAペ ア 発 光 が 観
測 され て い るi。 図 には 示 され て い な い が ,llt体 ヘ リウム温 度 で‖」
定す る と
,
だがホ
品 ll格 1に 対応 して とびとびのl● である ことに対応 して,多 くの lFl線 状 ス
ペ ク トルが現れる。図では前述 の ように,紺 :7:格 ■の 置換位置の違 い によ り N
ドナ ー に 2準 1立 が現 れるこ とに対応 して,B,Cで 区別 される
1つ
の シリーズ
が 観測 されてい る。そ して各 シリーズにおいて,運 動 量保存 の フォノン サ イ
ドバ ン ドと,強 い電 rtt r‖ │′ ェ作井]に よ り出現す る 光学 フ ォ ノン サ イ ドバ ン
ドが続 く。濃1定 温 度 が 高 くなるとi支 い Nド ナ ー か らは電 子 が 放 出 される確率
が 高 くなるため ,図
521い )に
よ うな rl l‖ 電 子―ア クセプ タ (free t∝ ac―
'itす
︵
こ ■櫻 出 ︶撻燎JL
光子 エネル ギー (eV)
図 52.3 42Kに
おい て 4H― SiC結 晶 で観測 される DAペ ア発光 の ス ベ ク
ト ルい。上 か ら, N― Al, N― Ga, N― Bベ ア 。層
己号 BT。 , C.。 は N
の 置換位 置 の 違 いに起 因 する 2準 位 に対応 ,添 字 はフ ォ ノン種 。
92
52
フォ トル ミネセンス
cepto→ 発 光 が 支配 的 とな る12・ 。
なお Bア クセ プ タは,結 晶 格 子 の Si一 ●teを 置 換 した場 合 には 浅 い ア クセ プ
タ,C sitcを 置換 した場 合 には深 い ア クセ プ タを形成 す る こ とが 11ら れ て い る。
523の NBペ ア 発 光 は 深 い ア ク セ プ タ に 起 す る。 こ れ に 対 し,図
522の Bに よる BE発 光 は浅 い ア クセ プ タに起 囚す るい。
図
l」
(4)欠
陥起 因 の発 光
4 H SiC結 品 に イオ ン注 入 した 後 に熱 処理す る と,2 901cVの ところ に Ll
線 と名付け られた発光線が現 れ る。 これは イオ ン種 には依イ
「 せず ,電 F線 ,陽
線 あるい は 中性 F線 を照射 した場合 に も現 れ るこ とが 知 られてお り,Dル
「
ミネセ ンス と呼 ばれて い る。DIル ミネセ ンスは,急 冷結晶]や Cや つ エ ピ結 品 で
も現れることか ら大 きな注 日を集 めてお り,こ の発 光線が現れない ような結品
育成条件 を追 求する ことが課題 となって い る。図 522の エ ピ試 *1に お い て も
Ll線 が 明瞭 に観‖」されて い る。Ll線 の 起源 は si空 格子
(V、
)に よる BE発 光
と推定 されてい る'.
DIル ミネセ ンスに類似 の発光 として D‖ ル ミネセ ンスが ある。Dと 同様 に照
場
│と それに続 く熱処理で誘起 される。4H― SiCで は 3 2m eVに 零 フ ォ ノン線が
現 れ,多 くの フ ォ ノンサ イ ドバ ン ドを伴 う。起源 と しては c di nitersitialが
候補に挙げ られている1。
この はか最近 では,4 H sicダ イオ ー ドの 通電劣化後 に発 4,す る積層欠陥に
起因す ると考えられる発光線群が 289ヽ 3 01eVに 報告 されて い る。 これ らは
積層欠陥発41に よ り誘起 された局所的なポ テ ンシ ャル変動 に捕 らえられた誘起
rの 発光 と推定 されて い る。
(5)深 い璃 立の発光
市販 の基板 ウエ ーハ では,低 注1に お い て図 524に 示す よ うに,多 くの深 い
準位 の 発光線が観測 されて い る.さ バ ナ ジウム (V)は 糸
li
換 して深 い ア クセプ タ
'1:位
lu格
■の Si siteを 置
を形成 し,結 品 を高低ルt化 す るlS」 きを もつ。Vは ,E
移金属であ り,そ の 3d不 完全般内の電 r遷 移 (図
521H)に
よ り082ヽ 097
5
結晶の 17価 技術
︵
コ丼櫻J︶撻韻コα
08
09
1 0
1 1
1 2
1 3
1 4
光子 エ ネル ギ ー (eV)
図
52_4 42Kに
eVイ J近
お い て 4H― SiC基 板 結 晶 で観 測 され る深 い 準位 の
PLス ペ ク トル6
に発光 を早する。図中で α,ノ と記 された発光線 は,そ れぞれ,hexago
na卜 stc, culDIc゛ tcを 置換 した場合に対応す る。碁板 ウエーハではこれ らの V
起 Nの 発光が観察 され ることが 多 く,V汚 染が起 こ りやす いこ とを示 して い る。
Crに つい ても,類 似 の殻内遷移発光 が 115ヽ 1 19cVに 観i則 されてい る。
図 524に 現れて い る V起 因以 外 の 発 光線 の帰 属 は,ま だけJら かに されて
い ない。 l
lJD-3と
mevに ビー クを もつ 強 く鋭 い発光線 は U卜 1,1 36eVの
発光線 は
7付 け られ,い ずれ もサ テラ イ トピー クや局在 フ オ ノン サ イ ドバ ン
ドを伴 ってい る (1,D:undeined)。
図 では 1 lev付 近 に も発光 が 観‖1さ れて
い る。 これは,す でに報告 され ている llD 2発 光線 と位置 は近 い が形状が異な
ってお り,別 の起 rFlと 考 えられる。 これ らの発光線 の原 │]と な ってい る深 い準
位 は,粘 計中に残77す る浅 い ドナ ー,ア クセプ タを補償 し, 半絶縁性化す る機
能 をもつ可能性があ り,大 きな,主 ‖を集めて い る。以 Lの 深 い準 li7の 発光線 の
で きる、
多 くは室 i監 で も検 │:す ること力`
%
52
フ ォ トル ミネセ ンス
評価の例 ―エビウエーハの PLマ ッピングー
エ ビウエ ーハ の PL ll定 にお い ては,励 起波長 の侵 人長 に注意 を〃、う必 要が
ある。侵 人長が エ ピ厚 よりも大 きい と,エ ピ層 だけでな く基41xも
lblJ起
されて し
まい,両 者か らの PLを 区別で きな くなる。 ここでは,エ ビ厚 5μ 11の p On p
4H― SiCエ ピウエーハ に対 して行 った PLマ ンピング測定結 果を述 べ る。.励 起
光源 としては Nd:ヽ VOIレ ーザの 第 4高 司波 (266 nnl)お よび比較 の ため He C(1
`」
レ ー ザ (325 nnl)を lt用 し た。 こ れ ら の 光 の 侵 人 深 度 は,そ れ ぞ
れ ,11,7
5μ nl程 度 である。
おけ る PI,ス ペ ク トル を図 525に 示す。い│は エ ピ層側 か ら 266 nnl
室
'11に
光励起 卜で Hl定 したfrl果 で ,バ ン ド端発光 (3 20cV),自 由電 子―A〕 ア クセ プ
タ発光 (3 00 cV),そ して起
,潟
:が 不りlの
1 80 eV発 光が観測 されてい る.深 い
準位 の発光は検出限界以 ドである。 これに対 し裏由は り励起 した場合には, ・
1
o szev
1 80eV
O6eV (a) 266nm
lt 12eV Exc Epi
︵
コ 糾燿出 ︶樫 韻コα
f[
3 00eV
1ox
グ t珈 隊
(c)325nm
Exc Sub
1×
光子 エネルギー (eV)
図 5.25
4H― SCエ
ピ ウ エ ー ハ の 室 温 に お け る PLス ペ ク ト
ル0。 la 10エ ピ層側 お よび cl dl裏 面側 か ら、al dl
266 nmお よび bi c 325 nmレ ーザにて励起 。
%
│
5 結晶の評価技術
325 nln,(d)266 nmの いずれの励起 光 につい て も同様 に,バ ン ド端近傍 の発光
は検出限界以下 とな り,1
80eV発 光 と深 い準位 の発光が現れた。 この試料 の
基板 ウエーハ は図 524の 試料 と同 であ り,深 い準位 の発 光 としては,V起
因発光 ,UD l,UD 3,そ して ヽl leV発 光が現 れて い る。以 _11よ り,エ ピ層
ではバ ン ドyII近 傍発光 が , また基 IIKで は深 い準位 の発 光が 支配的 であることが
実証 され た。 なお,表 面側か ら325
分 か り,エ ピ層結晶が 高品質 である こ と力`
nm光 にて励起 した場合には,侵 入長 が長 い ため に,エ ピ層 の バ ン ド端近傍発
光だけでな く基板 の深 い準位 の発光 も現れ て しまっている。 この ようにエ ピ増
の PL.TlIで は深紫外線励起 が不可欠である こ とが 分 か る。なお ,励 起 された
キ ヤリアの拡散効果 も考慮 してお く必 要がある。
以上の 各発光帯 の ウエーハ面内強度 マ ッピングを行 った結果 を図 5.2.6に 示
す。rat(b)は それぞれ ,エ ピ層 で 観 lllさ れ る バ ン ド端発 光 お よび 1 80eV発
lomm
図
5.26
図
5_25の エ ビ ウ エ ー ハ の PLマ
ッ ピ ン グい。 エ ピ層 の 18'バ ン ド端 発
光 ,ib11 80 eV発 光 .お よ び基 板 の (c,1
96
80eV発 光 , di U卜 1発 光 。
53
欠陥検出エッチングおよび X線 回折評価
光 ,Icl,(a)は 基板 で 観測 され る 1 80oV発 光お よび UD
l発 光の 強度 マ ッピ ン
グで あ る。 図 で は ,自 い 方が 高強 度 を表 して い る。 エ ピ層 で は バ ン ド端 発光 が
中心 部 で 弱 くな って お り,1
80eV発 光 と逆 相 関 の 関係 とな って い る。 これ は
中心 部 に 1 80oV発 光の 原 因 とな る微 小 欠陥 あ る い は不純 物 が 集 ま り,両 発 光
の キ ャ リアの 奪 い 合 いが 起 きた結 果 と解 釈 され る。 また 基 板 の けDlで は フ ア
セ ッ ト成長 に起 因す る と考 え られ る円形 パ ター ンが 現 れ た。基 板 の 1 80eV発
光 は UD lと は弱 い逆 相 関 を示 し,右 lllで 強度 が 高 くな る片流 れ パ ター ンが現
れ た。 ここで 1 80eV発 光 パ ター ンにつ い て ,b)エ ピ層 と に
'基
板 を比 べ る と
,
相 1場 は全 くな い こ とが 分 か った。 これ よ り,エ ピ層 におけ る不均 ―性 は 基板 か
ら引 き継 が れ た もの で は な く,エ ピ成 長 中 に発 生 した もの で あ る こ とが 明 らか
に され たて
(参 考文献〉
R P Dcvaty tlndヽ V J ChOyke,phys sttll s01i A,162,5 (1997)
松 波弘 之 ,SKI塩 谷 繁 雄 他 編 ,光 物 性 ハ ン ドブ ッ ク,朝 倉 吉店 .(螂 a)。 130
ヽ
V I Choyko and I. Patrick, R (〕 Marshan ot al eas, s,′ ,cο ,7 Cα ″わ,`ヤ ′
―′
,7′
,
Liniv SOtltl,Car01ina Press,(1974)p 261
4)
A EHlson,T Kimoto,I(, Ivanov,Q
(, HoIIι nlillgss(ュ 1,c― Ytl
ヽ
Vahab,A
Cu,M R Leys,dild E
Hellw,O Korrlina,J Zhang,c
」anzё ll,ヽ 4ater Sci「 Oruil、
,264-
268, 108 (1998)
NI Ikeda, II Matsunanli,alld T Tallaka、
Phvs Rev,B22,2842 (1980)
M TaJima M Tanaka,and N Hosllilo Mater S(l ForllII〕
,389-393,597(20112)
5.3 欠陥検 出エ ッチングおよび X線 回折評価
SiC単 結‖[の 評価技術 の 中で も,欠 陥検出エ ッチ ングお よび x線 回折 に よる
構 j± 欠陥 ,評 価 は i要 な位置 を占めて い る。評価 あるいは‖1定 の基本原理 として
は,従 来 の シ リコ ン (Si),ガ リウム砒 素 (CaAs)な どの 半導体 lll結 ″ へ適用
されて きた もの と類似 では あるが ,sK〕 lP結 晶ll有 の 欠陥 ,現 象 もあ り,そ の
5
結晶の評価技術
解 釈 に は注 意 を要す る。 こ こで は
,
欠 陥検 出 エ ッチ ン グお よび X線 レ1折 評 価
の 原理 と現 在 まで に報 告 され て い る SiC単 結 ″ へ の 適 用例 につ い て 述 べ る。
1 t,yt2j
rr
rr
rrr
rrrrr
rrrrrrlr
rr'rrrrrr
r rrrrr tt
ttt
I
半導体単結晶 の欠陥検出エ ッチ ン グは,半 導体単結晶 中の転位 ,積 層欠陥
,
粒界な どの構造欠陥評価 に広 く用 い られてい る。結‖[衣 面を化学薬品な どでエ
食 )す る と,表 iに 現 れた欠陥部分 にエ ツチ ピツ ト (籠 み )が 形
「
れる。 この形状 と分 布 を調べ ることにより,結 ‖l中 の 欠陥 を言F価 する こと
ンチ ング
ljIさ
(腐
H対 的に
がで きる。エ ッチ ピッ トは結‖表 面の化学 ポテ ンシ ャルが 周 ■lに 比べ 本
t的 には
高 い部分 に生 じる。 これは原理的 には結晶成長 とjfの 現象であ る。 一月
F在 す るII.:位 芯部分が選択的にエ ツ
格 子歪が非常 に大きい部分 や ,米 結 合子が イ
,
チ ングを受けることになる。 したが つてエ ツチ ピ ントの 形状 は,転 位欠陥 の種
類 ,転 位線 の 方向,結 品 の対動J■ によつて決 まる ことにな り,そ の 形状 か ら欠
定 で きる.
陥 のItl類 を半」
シリコン,ガ リウム砒素 などでは,既 に確 立 されたエ ツチ ング斉Jが い くつ も
あ り,多 くの 欠陥 に対 して最適 エ ッチ ング却l,条 件 が確 立されて い る。
方
,
SiC ti紺 品 の場 合,そ の 化学的安定性 ゆえに,j■ 常 の酸 ,ア ルカリ水溶液 をエ
ッチ ング剤 として用 い る ことはで きず ,高 in.の 溶融linが その エ ッチ ングIIIと し
て片1い られてい る。りι
在 までに報告されて い るエ ッチ ング刺 は,腐 食能力 の1,
い NaN03+Na」 (1034と 合融液 ,K!CO!十 KN01混 合融液 ,NaOH+Na!()`混 合融液
NaOH融 液 ,KOII融
iイ
,
見な どであ り,中 で も,水 酸化 カ リウ ム (KOII)活 虫iに は
14i
‖い た SiC単 紺
最 も広 く用 い られて い るエ ッチ ン グ却lで あ る。KOH 7Jl液 をり
欠陥検 lhエ ッチ ングは,
般的 に次 の ように行われる。
SiC中 結品 か ら試卜 とす る SiCウ エー ハ を
ty」
によつて鏡面 ウエーハ に仕
り出 し,数 段階 のポ リッシ ング
,加
11げ る。 この ときた面 に加 │:歪 が残 っていると
し11を 原 1因 とす るエ ッチ ピツ トが発 41す る.,こ のエ ッチ ビツ トはバ ルク欠陥に
よるエ ツチ ビツ トと形状 が 異なるため │ズ 別 で きるが ,欠 陥に }応 す るエ ツチ ピ
'ヽ
ッ トを覆 い隠 して しまうため ,加 工↑は 十分に取 り除 く必 要がある。 したが つ
"
53
欠陥検出エッチングおよびX線 回折評価
て,Itに エ ッチ ピッ トを観測す る表■iの ポ リ ンシングは鏡面が現 れた後 も細か
い砥粒で十分 に行 う必要 があ る。次 に KOH試 業 をるつ ぼ
(白
金ある いは ニ ッ
ケ ル製 )に 人れ ,こ れを温度調 節器 の付 い た電気炉 中 で 加熱す る。411kl℃ 付近
で KOHが 溶融 し,目 的 の温度 にlll達 した後 に試準│を 白金あるい はニ ッケル製
の 治具 を用 い て融液中に人れ,H的 の時間エ ッチ ン グす る。 エ ッチ ビッ トを観
lllし
易 い標準的なエ ッチ ング条件 は,3mヽ 8o℃ で 数分か ら 10分 程度 である。
ただ し,温 度 が 高 くなる ほど,ま た時 Fllが 経過す るほ ど,エ ッチ ングは進行す
るため,こ れ らのパ ラメー タは観測 H的 とす るエ ッチ ピッ トの種類 と密 度 によ
って変化 させ る必 要がある。
SiC llXXll}面 ウエーハ をエ ッチ ングす ると,欠 陥 に対応 したりJ確 なエ ッチ ピ
ッ トは (∞ 01)Si tti側 に形成 される。 これは,(0∞ 1))C面 側ではエ ッチ ン グ
速度が大きい ために,欠 陥部でのエ ッチ ング速度 の 選択性が顕 著に現れない た
めで ある。政良 レー リー法 で作製 した SiC単 紺品 の (OIX11)Si面 エ ンチ ン グ写
真を図 5.3.1に 示す 。図中では,大 利 (L),中 型 (M),小 型 (S)の 3種 類 の
図
531 SiC(0001)Si面 で観 察 され る エ ッチ ビ ッ ト:大 型
(L),中 型 (M),小 型 (S)六 角形状 エ ッチ ビ ッ ト。
,9
5
結晶の評価技術
六角形状 エ ッチ ピッ トがFJl察 されてい る。大型 ,中 型 ,小 型 の六 角形状 エ ッチ
ピッ トは,そ れぞれ,c軸 方向 に貫通す るマ イク ロパ イプ欠陥 , ら旋 転位 (バ
ーガー スベ ク トル :c軸 方向 に 1単 位 格子 サ イ ズ),刃 状転位 (バ ー ガ ースベ
ク トル :1/3[1120])に 起因する ことが 報告 されて い る1。 マ イクロパ イプ欠
陥 とは,Frankが 1951年 に
した中空転位欠陥 (hollow core dislocation)の
'言
ク トルが非常 に大きくな ったために
種 で ,転 位 の パー ガースベ
,転 位芯が中
!。
空にな つた もので ある
転位芯 が 中空 のため に,大 14六 角形状 エ ッチ ビッ ト
の 中心 には底 がな く,黒 色 のエ ッチ ピッ トとして観測 される。
方 ,中 型 ,小
型 の 人角形状 エ ッチ ピ ットは,siC単 結品 の キ ャリア密度 (電 子密度 )が 高 く
なるにつ れ 九み を帯びてい き,10い cm'程 度 のキ ャリア密度 でほぼ円形 となる。
SiC単 結 BR中 の 基底 面 (10∞ l}面 )内 転位 を欠陥 検出 エ ッチ ン グで 観察す
るには,(0∞ 1)Si面 か らわずか に (数 度程度 )傾 い た SiC単 結晶 ウエ ーハ を
エ ッチ ン グす る必 要 が あ る。 この よ うな ウ エ ー ハ を エ ッチ ン グす る と
,
(0∞ 1)Si微 傾斜 面 上に,基 底 山i内 転位 (バ ー ガ ー スベ ク トル :1/3[1120])
に起 │」 した貝投形状の エ ッチ ピッ トがLll察 され るい。員殻形状 エ ッチ ビッ トの
長手方向が転位線方向 に対応 し,こ の エ ッチ ピッ トの 形状 と分布 を詳細 に調べ
ることで,基 底■i内 転位 の 挙動 を知ることがで きる。
SiC単 結晶中の その他 の 重要な構造欠陥 として基 底面積層欠陥 が知 られて い
るが ,こ の 欠陥 は,SiC単 結 品 の (11∞ )面 を KOH融 液でエ ッチ ングす る と
,
[1120]方 向に伸 びた線状のエ ッチ ピッ トと して検 Hlさ れる。
表 5.3.1に 各種 エ ッチ ピッ トとそれに対応す る SiC単 結晶中の構造欠陥 をま
とめた。
5.3.1 各種 エ ッチビットとsic単 結晶中のll造 欠陥の対応
エ ッチ ング面
SiC単 結晶中 の構 造欠陥
大型六角形状 エ ッチビッ ト
中型 六 角形状 エ ッチ ビッ ト
(0001)Si
c軸 方向 に■通 するマ イクロバ イプ欠陥
(0001)Si
小型 六 角形状 エ ッチ ビッ ト
(0001)Si
c軸 方向 に■通 する ら旋 転位
c軸 方 向 に,通 する刃状転位
貝殻形状 エ ッチ ビッ ト
(0001)Si微 傾斜面
基底面 ((1001)面
線状 エ ッチ ピ ッ ト
(1100)面
基底 面 積層 欠陥
′00
)
内転位
53
欠陥検 出 エ ッチ ンクおよび X線 回折評価
エ ッチ ン グ と並 んで SiC単 結 晶 の 構 造 欠 陥 評 価 に用 い られ て い る もの に X
線 回折 が あ る。 X線 回折 自体 は ,SiC単 結 品 の 精 密 構 造 解析 ,ポ リタ イプ決 定
に も用 い られて い るが , ここで は sic単 結 耐 中の 構 造 欠陥 評価 に用 い られ て い
る ,卜
ll「
曲線
(ロ
ッキ ン グ カー プ)浪 1定 と X線 トポ グ ラ フ‖1定 に つ い て ,さ ベ
る。
11に 半 導体 単 結 晶 の X線 ロ ッキ ン グ カ ー ブ ll
l定
は ,そ の 形状 ‖1定 を通 し
て ,結 i〒 1組 成 ,格 F歪 み , ドメ イ ン構 造 な どの 評価 に用 い られ て い る。 SiC単
結 品 の X線 ロ ッキ ン グカ ー プ 測定 にお い て は,結 BBの 部 位 に よ つて 半 値 幅 が
増 加 した り,複 数 の ピー クを キiし た りす る こ とか ら,単 紺 品 中 の ドメ イ ン構造
を評価 す る 目的 で 用 い られ る こ とが 多い 。
X線 ロ ッキ ン グカー ブ測 定 は ,通 常 .ν Ч紺 1111モ
ノ ク ロ メー タ ((leの (220)
あ る い は (440)反 射 を利 用 )の lt,‖ に よ り,波 長 分 散 ,空 HBH分 散 を極 め て 小
さ く した CuK.l線
(01M05:un)を
入射
X線
と して行 わ れ る。 X線 の 最 大 ス
ボ ッ トサ イズ は 1ヽ 2 nlm× 8ヽ 10m:τ ぇ程度 で あ る。 SK)単 結 BBで は,(lXX11)面
反 射 (6 HSiCで は (∞ 06)反 身ヽ
1,4H― SiCで は
(lXm)反 射 )の JJ定 が イfわ
れ る こ とが 多い 。
図
532に 完 全性 の 高 い SiC単 結 品 と ドメ イ ン
l■l造
をイ
「 す る SiC単 結 品 の x
線 ロ ッキ ン グカー フ泄」
定 結 果 を模 式 的 に示 した。 ドメイ ン構 造 を有 す る結 品 で
は ,高 密 度 の転位 領 域 に よ り,格 子 面の 傾 い た分域 (ド メ イ ン)が 結 合 され て
い る。
通常,X線 ロ ッキ ングカープは,2θ 軸を固定 しω軸 をスキャンするωモー
ドと呼ばれるlll定 モー ドで言 lllさ れる。 ntに ,結 品の X線 ロ ッキングカー
ブ半値幅の1曽 人は,(1)格 子歪み
(lattice strai11)と
0)格 子市iの 傾 き
(Inisorierlta
■oll)か ら生 じるが ,ω モー ドの ロ ッキ ン グカー プ‖J定 は,単 結品 の格 子山iの
傾 きに敏感で ,わ ず か な格 f市 iの 傾 き (数 秒程度 :1秒 は 1度 の 3600分 の 1
に相 `
%)を 検出す ることが IJ能 である。 一 方,格 子歪 みによる 半値幅 の増 人 は
,
5
結 晶 の 評価 技 術
櫻 燎饉X事 回
樫懇 饉×案 回
IiEeff
(ド
(a)
図 532
メイ ン)
(b)
1a,完 全性 の高 い SiC単 結晶 および (b,ド メイ ン構造 を有 す る
SiC単 結晶 か らの X線 ロ ッキ ングカ ー プ測定結果の模式 図。
逆 格 子 空 間 マ ッ ピ ン グ と呼 ば れ る 手法 で ‖1定 可 能 で あ る。 逆 格 子空 ‖jマ ンピ ン
グで は , L「 己ωモ ー ド測 定 に 力Πえ て ,2θ と ω を同 期 させ て ロ ッキ ン グカ ー プ
測 定 す る ω2θ モ ー ド測 定 が 適 用 され る 。 この 逆 格 子空「IIlマ ッ ピ ン グ に よ る
線 卜l折 実験 により,Sic学
き
(通
X
L品 の
4。
場 合 には, ドメ イ ン構 jき に伴 っ た格子 山iの 傾
常 モザ イク構造 と呼 ばれる)が 1llLI中 ‖1常 大 の F原 因 となって い ることが
報告 されて い る。
SiC単 結 ,■ 中の構造欠陥 の より詳細 な解析 お よび そ の分布 を調 べ る方法 と し
て X線 トポ グラフ測定があ る。最 も広 く用 い られている測定手法 は,透 過 ラ
ン グ法 で,そ の x線 お よび試料 の 配世 を図 5.33に 供 式的 に示す。X llc発 生
装 置 よ り出た X線 は紙面 に 重直方向 にり き延 ば され シー ト状 となる。 これ を
ス リッ トをi重 して ,1,い │に 目的の 反射が起 こる回折 rllで 人射 させ る。卜折
′
線 だけをフ ィルム または原 」核乾板 11に 人射 させ るため ,試 本│の 後方 に第 1ス
第
リッ トを酉
己置 して,透 過 X線 を,E llす る。 j重 常 ,人 身
IX線 と して は線 1人 にフ
ォー カス した MoK`線
(0 0711 ll::1)力
'使
サ
llさ れ る。X線 源 か ら試 │ま での li
離 はおお よそ lm程 度 ,試 料 か らフ ィルム までの 距離 は 15ヽ 25 mnl程 度 であ
′
θ
2
53
欠陥検 出 エ ッチ ングおよび X線 回折評価
X線
9
一
(回 析 ベ ク
図 53.3
X線
第 ニ ス リッ ト
フ ィ ,レ ム
トル)
トポ グラフ測定 (透 過 ラング法)の 模式図
る。 測定 試料 は,SiC単 結 晶 か ら所 望 の 面 方位 の ウエ ーハ を切 り出 し,数 段 階
の研 磨 加 工 に よつて 両 面 を鏡 面 に仕 上 げ る。特 に表 面 加工 変 質曙 が 問題 となる
場 合 には,表 面 を KOH ttlltで 数 分 間 エ ッチ ングす る こ と も行 われ る。
透過 ラ ング法 で は ,二 種類 の 配置 が 可能 で ,そ れ ぞ れ トラバ ー スLXl形 配 置
,
セ ク シ ョン図形 配 置 と呼 ばれ る。 トラバ ー ス図 形 は試料 とフ イルム を同期振動
させ る こ とに よつて ,試 料全体 の 回折 像 を得 る方 法 で あ る。 セ クシ ョンレl形 は
試 料 を問定 し,試 料 の 断面 像 を得 る方法 で あ る。 トラバ ー ス図 形 で は試 料 の面
方向 の1青 報 と深 さ方向 の1青 報 が フ イルム に 同時 に写 り込 む ため ,そ れ らが重 な
り合 って しま う。 そ れ に対 し,セ ク シ ヨン図 形 で は X線 の 透 過 方向 の 1青 報 の
み が フ イルム に写 る こ とに な る。
X線
トポ グ ラ フの コ ン トラ ス トは ,μ ιが 1程 度 の 場 合 に は,主 に消 衰 効 果
に よる 直接 像 (khlenlatlcal inlage)が
:主
体 となる。 こ こで ,μ は X線 の線 吸 収
係 数 ,`は 試 料 の P/さ で あ る。SiC単 結 品 の
約
MOK`線 に対 す る線 吸 収 係 数 μ は
1 14mm lで あ り,試 米1の 厚 さ ′=09mmで ,″
`の
llAは
お お よそ 1と な る。
L記 消 衰 効 果 に よる 直接 像 コ ン トラ ス トの場 合 ,欠 陥 周囲 の 格 rが 正 ん だ部
分 にお い て 強 い 卜1)iが 起 こる こ とに な る。転 位 欠 陥 の バ ー ガー ス ベ ク トル を o,
いlll「 ベ ク トル を ,す る と,わ ‖
θ の場 合 に コ ン トラ ス トが 最大 に な り,反 対 に わ
上ク の と きに コ ン トラ ス トが 最小 とな る。 この 関係 を用 い て ,観 洲│さ れ た転位
の バ ー ガー スベ ク トル を決定 で きる。
′θ3
5 結晶の評価技術
最後 に,放 射 光 を使 った X線 トボ グラ フ につ い て述 べ る。siC単 結 晶 の 構 造
欠陥 評 価 にお い て,放 射 光 を使 った シ ン ク ロ トロ ン 向色
X線
トポ グ ラ フの 重
要性 が 強 く認識 され て い る。 これ まで に も,SiC単 結 晶 1・ の マ イ ク ロパ イプ欠
陥 の構 造 解析 ,小 傾 角粒 界 の 構造 解 析 , ')旋 転位 お よび基 底
内転位 の 構 造
“
い てそ の 右
分布評 価 ,お よび これ ら構造 欠陥 の デ バ イ スヘ の 影響 評 llliな どにお
用性 を実 .Tし て い る。 基 本原 理 は ラ ン グ法 と同様 で あ るが ,次 の よ うな特 長 が
あ る。
C X線 源が強力であるために トポグラフの波1定 時間を大幅に短縮できる。
② 向色であるため,多 数の回折条件の トポグラフを一度に取れる。
ビームの発散角が極めて小さいために,高 分解能の pl定 が可能である。
3‐
C
カメラ長
(試 │と
フイルム間の■1離 )が 長いために, ドメイン構造など
によつて発生する結晶面の傾きを高感度に測定できる。
は
ら の
な
が
る SiC単 結nFの 評価 におい
「 記0か ④ 特長 ,多 様 構造欠陥 存在す
て重要である。また,0は ,デ バイス構造を表面に作 り付けた SiC単 結晶ウエ
ーハ の X線 トポ グラフ評価 を可 能 と して い る。 デ バ イス構造 を除去す るこ と
な く,そ の ドに存右:す る構造欠陥 を評価で きれば,デ バ イス特性 と構造欠陥 の
関係 を 直接 的にりjら かにす ることがで きる。 シンク ロ トロン白色 X線 トポ グ
ラフ測定 の詳細 につい ては,文 献3)を 参照 されたい。
〈
参考文献〉
1).I Takahashi,ヽ l Kanaya and Y FtlJiwara,J C●
st Crowth,135,61(1994)
2)F C Frallk,Acta C,st.4,497(1951)
3)ヽ 4
roィ
1)udi(ヽ
y an(l X Huallg,Mator S(l F()r1lII1 388-342.431(2α
X))
5.4
イオ ン散乱
5.4 イオン散乱
‖
5.4.l RBS/C(ラ ザフォー ド後方散乱とチヤネリング)剛 ‖
イオ ン注入 した sic中 の不純物原 子の濃度分4iや 損傷 を評価 した り,結 [Y[内
での注入不純物 の配置を調べ るには高 エ ネルギ ー (1∼ 2 McV)He イ オ ンの ラ
ザ フ オー ド (Rutherford)後 方散乱 (backscatteing)(RBS)と チ ヤ ネ リ ング
が 有効 で ある。高 エ ネ ルギ ー の He+イ オ ンが 結品 に入射 される と,イ オ ンは
電 子励起 による非弾14散乱 を受け大部分は前方へ 小 /rl故 舌Lさ れるが,ご くわず
かの イオ ンは ター ゲ ッ ト (結 品内原 ■)の 原 核 との弾性散乱 (ラ ザ フ ォー ド
「
広角散乱 )に より後方に散舌しされる。後方 に散乱 された イオ ンのエ ネルギ ー と
イオ ン数 を計‖1す ることによ り, ター ゲ ッ ト原子 の 質量,濃 度 ,分 布 をほぼ非
破壊 的に分析す ることがで きる。 イオ ンピームの方向 と結 :Y[の 原 子列 の 方向 を
そろえる
(ア
ラインaligned)と
,入 射 イオ ンピーム は表 面原子 との 弾性衝突
を除 い てほ とん ど後 方へ 散舌Lさ れないが ,原
rダ Jが Lれ
が存在す る と,そ のために イオ ンは後方へ 故舌Lさ
「
れる
て い た り,異 種 の原子
(原
子ダリに囲 まれた隙間
をチ ャネル と呼 ぶ )。 少 な くとも結 Hllの 2軸 方向 につい て散舌Lイ オ ン収量 の人
身│イ オ ンビーム角度依存性 をlll定 する ことによ り, ター ゲ ッ ト原 子の結 RH内 位
置情報 を得 る ことがで きる
(チ
ヤネリング)。
図 5.4.1は 人射角 ″1で 人射 したエ ネル ギ ー 島、 質量 ″」の イオ ンが試 料表
面か ら深 さιで 散舌ttt θ方向 に散 乱 され,そ の エ ネル ギ ー E″ が粒 i検 出器
Nし て い る。 まず ,試 料表 面で θ方向 に散乱 され
′
る イオ ンのエ ネルギ ー ″ は散舌し
定数 をκ2と して
(SSD)で lll定 される状況 を
/」
,
E′
=κ 切 .
(,イ コ)
′05
5
結晶の評価技術
散乱イオ ン ピ
一
r
入射 イオン
図
541
EO
角度 θlで 入射 した He+イ オ ンが表 面 か ら深 さ ′に あ る原子 に よ
り角度 θで散乱 され,エ ネ ル ギーが測 定 され る RBS測 定配置図
κ
=冊 +【 冊 ド十締
│に
は4幻
4は 夕 ゲ ノト原 子の質量 である。次 に E″ は次式 の ように表 される。
E″
=κ 七 )一 ι[S]
(,イ θ)
[S]は 散 rtエ ネ ルギ ー損 パ ラ メー タ と呼 ば れ ,エ ネ ル ギ ー/深 さへ の 変換
を表す パ ラ メー タで あ る。 L式 の 第 2項 は 人射 イオ ンが 試料 衣 面 か ら深 さ ′に
達 し,θ 方向 へ 散乱 され た後 再 び 衣面 に到 達 す る まで に失 うエ ネ ルギ ー を表 し
て い る。
前i方 位 (1 llXl)4 H SiCに 400 keVの Galイ オ ン を ドー ズ 量 5× 1015cm」 で
室 温 イオ ンl■ 入 した試 料 の
RBSス ペ ク トルの例 を図 54.2に 示 す │。 表 面 をア
モ ル フ ァス化 す る ため に厚 さ 200 nmの
(実 効 的 な (laド
ー ズ 量は 35×
SiOじ
10い cnl=で
膜 を通 して イオ ン注 人 して い る
あ る )。 TRIM(Transport of lolls hl
Matter)85プ ロ グラム に よる Oaイ オ ンの 平均 飛 程 ,標 準偏 差 は そ れ ぞ れ 220
1lm,55 nmで あ る。RBSは lle(1.5 McV)を 用 い て ,散 舌Ltt θ=150° で 測
定 され た (RBS測 定 前 に SiO!膜 は 除去 され て い る)。 スペ ク トル Aは イオ ン
ビー ム に
て結 品 の 原 rダ 」
が ラ ンダム となる 方向 で洲1定 した もの で あ る
'Iし
ン ダム スペ ク トル)。
フ06
(ラ
54
イオ ン散乱
Ъだ
T 200om.
100
150
200
250
300
350
チャネル数
図
542 Ga十 ィォ ン を注 入 した 4H― SiC(1100)面 か らの RBSス ペ ク
トル 。A:ラ ン ダ ム ス ベ ク トル ,お よ び B:イ オ ン 注 入 後
,
C:1200℃ ア ニール後 ,D:1500℃ ア ニ ール 後 ,E:1フ 00℃ ア
ニール後 、 F:未 注入試料 の それぞれ アライ ンス ベ ク トル 。
チ ャネル数 280(散 乱 Hcイ オンのエ ネルギ ー に相当)あ た りの Siの 矢日]は
`
表而 Si原 1か らの 散 看Lに 相 %し て い て,Siエ ッジ と ばれ る。散 乱 Heイ ォ
,
'子
ンのエ ネルギ ーの 減少 に伴 い,Heイ オ ンの1丈 量が増加 して い るのは,Heイ オ
ンに対す る Sitt rの 散舌L断 岨i積 の エ ネル ギ ーlFe存 性 と非弾性 散乱 の 効 果 に よ
る。 アラインスペ ク トル Bか ら分 かる ように,Hcイ オ ンの収量 が ラ ン ダムス
ペ ク トル と 致 して い て,衣 lllに
200 11lllの
アモ ルファス層 が 形成 されて
'Iさ
い る。200 nmよ り内部 で Heイ ォ ンの 収 量が 減少 して い るのは,ア モ ル フ ァ
スー基枚 界面 か ら散乱 される イオ ンがチ ャネリ ン グして い ることを示 して い る。
Hcイ オ ンが アモルファス層 を通過 す る]]に 散乱 されて い るため に基板 か らの
故舌Lが 多 くな って い る 。
Arガ ス中で 1200ヽ 1700℃ ,30分 のアニール を した試料 の アラインスペ ク ト
ルが ,c(1200℃ ),[)(1500℃ ),E(1700℃
)で 示 されて い る.Fは 米注 人の
′07
5
結晶の評価技術
試料 のアラ インスペ ク トルである。Cで は飛程端 に欠陥 が残存 して い るが ,D
(1500℃ アニール)で は残留欠陥 は消滅 して元のポ リタイプ 4 H SiCに 再結 品
化 して い る。 しか し,
LA/1中
ダ′、イ ー ル ド比
mm)は
(χ
く,1700℃ のアニ ール
矢印 (270チ ヤネルイ
1近 )に おけるアラ イ ン/ラ ン
80%と 未 注 人 試 料 の 約 30%に 比 べ て 大 き
シえ留 して い るこ とが 分か る。
(χ m.=68%)で も欠陥カ
人射 Heィ ォ ンの 方向 を く]100〉 方向 にアラ イ ンす る と,散 舌L Hcイ オ ンの
収 壮は減少 し,イ オ ンがチ ャネリング して い る ことが 分 か る
を図 543に
/1Nす 。図 は 4
(F)。
この様
`
H SiCの (1120)面 内 の 原 子 列 を示 して い る。
(0001)方 向の Si― C積 層 の 一月期
(格
■定数 σ=1∞ 848 nin)と 半 j割 期 の ステ
ップ も合 わせて/1Nし てい る。
の水 `方向 )は ,C原 ダ」と
「
Si原 子 列 で は さまれ た チ ャ ネ ル 中 を通 過 す る。試 料 の 極 表 面 にお い て
く1 lll〉 方 ら
Jに アラインされた Hclイ オ ン
(測
I′
,
(1100)か ′
,性 か に+θ の 方 Ⅲlに
ltriけ
た Heィ ォ ンピー ム
(Ⅸ
参 lr)は c原「
(0001)
L(m
:
●
●
○
○
:
○
図
4H― SiC(1120)面
○
:
○
543 4H― SiC(1120)面 の 原 子 配 列。 (1100)か
ら十 θ傾 け た方 向 か
ら入 射 した イ オ ンの チ ャネ リ ン ク,(0001)面 か ら 55° で 入射
し、 180・ の 方向 に後方散舌しされる状 況 を模式 的 に示 してい る。 0
0001)方 向 の Si― C積 層 の 1周 期 を示 す。
〈
(1 00848 nm)は
J08
54
イ オ ン散 舌L
︵ミ ヽ ■ 卜 \ ι 、′゛ ^ ︶ 2 く ︱ ヽ ∽∞匡
︵
ミ ヽ キヽ\ ιヽ いミ︶ 2ミ ー ヽ のmc
100
150
200
220
チ ャネ ル 数
図 544
240
260
チ ャネル 数
Galイ
オン注入後 、1200℃ .30分 アニール した 4H― SiC(1100)面 ta,sc
基板. b:注 入 Ga原 子 か らの RBSス ベ ク トル。A:ラ ンダム スペ ク ト
ル・ B(1100)ア ラ インスペ ク トル,C.D;± 10° オ フ・ ア ラ イ ンス
ペ ク トル。
ダ」に よる Si原
]・
ダリの 遮 蔽 効 果 の ため に Siか らの 散 舌L効 果 が 弱 め られ る。
一 θttlllに 傾 け る と,Si原 ∫列 か らの 故
方
,
を強 く受 け る。 この効 果 を利 用 す る
`し
と, il:入 した Ca ttt rの 格 ■位 置 を‖
「定 す る こ とが で きる。
図 544い !は ,前 は スペ ク トル ()の 試本1に つ い て ,1 0
を用 い て く11()0)ア ラ イ ン 方向 と±10°
McV Hc+ビ ー ム
llflけ た 方向 とに つ い て RBSス ペ ク ト
ル を示 して い る (Heイ オ ン収 量:∝ 1/呂 デどの 関係 が あ る の で
15McV Heイ
オ
ン に比 べ て Caか らの 散 舌Lを 増 力‖させ る こ とが で きる)。 ア ラ イ ンスペ ク トル
Bに 比 べ て ビー′、方向 をltFiけ る と
と D)R3S収 量は 1曽 加 す るが ,ス ペ ク ト
=+10° )は C原 ダJに よる Siへ の ,■ 蔽効 果 の ため に スペ ク トル D
=-10° )よ り R13S l文 景が減少 してい ることが分かる。
ル c(″
(θ
((う
(〕
J・
aエ ツジで も可じ・lJ果 が 得 られるこ とが 関 5441b)に /1Nさ れて い る.図 の
Aお よび Bは ラ ン ダム,ア ラインスペ ク トルであ り,Cお よび Dは それぞれ
5 結晶の.T価 技術
±10° だ け くH00〉 軸 方 向 か あlllけ た と きの RBS l文 量 で あ る。245チ ヤ ネ ル
付 近 の ψ:ち Lが りが 表 ││の
Caか らの散 舌L(Gaエ ッジ)に 相 当す る。
人山i近 傍 で Ca原 子につい て も スペ ク トル Cが Dよ り RBS収 景が減少 して
い る。Ga tt r数 はホ ス ト,(r Sl,cょ りはるかに少 ないの で,チ ャネ ル に人
射 された Hて ヽイオ ンは Siと C tt rダ 1に よるポテ ンシ ャルで 散 舌tさ れ る。 した
が つて,衣 面近傍 の Ga原
と,″
J′
が Si原 Jり 」 (Si格 子位 置 )を 占め て い る とす る
=+lo° 人射 の とき Gaは
()リ モJり 1に
よ つ て遮 蔽 され るの で,Caか ら
けは θ=-10° より減少す ることがlllイ │で きる。
「近傍 の (la tt f数 (2× 10」 tll1 1)の 約 60%が Si位 置 を
この こ とか ら,表 ■
の R13S
l文
占めている と
li倫
T・
された
,
5.4.2 CA!C:SS(同 軸形直衝突イオ ン散乱分光 ):Coaxial
impact-collision ion scattering spectroscopy
ItBSは 高 エ ネル ギ ー Hcイ オ ン を用 い て い る の で ,1式 11の 深 さ 1′
度ま
`in程
で の角
イ析 には威 力 を発 Fす る反 山i,人 的i近 傍 の 結 ‖構 造 解 llに つ いて は イ
「効 で
な い ,数 keVの
Heイ “オ ン を
,‖
い る とそ の 侵 人長 が
10 1li、
1オ ー ダー まで 減 少
す るの で ,人 ll近 傍 の 原 か ら後 方散乱 した イオ ンの エ ネルギ ー を,;「 測 す る こ
「
とに よ り,原 r配 列 を調べ る こ とが で きる。 (,Al(〕 ISSは 人射 Ht,イ オ ンピー ′、
と同軸 に配
「 │し た検 │1器 (マ ルチ チ ャ ン ネ ル
プ レー トMCP)を サlい て ,タ
ー グ ッ トか ら腋 舌L/11180'の 方向 に後 方版 しされ た Hcイ オ ンの エ ネ ルギ ー を
「
計測 す る。 Hcイ オ ンは ター ゲ ッ ト原 ■と
i山 i衝
と 考え られ るの で , イオ ンが ゲ ー トをサ
山 llし た後
行時F‖
(TOF lnlle of flttht)を
決 め る こ とが こきる
突
(11(ヽ
a(l oll coHision)す る
MCPで 検 出 され る まで の パ
オ
‖
‖,tす ることにより, ターウ ット原 fσ )質
IFを
l.
1le イオ ンが 4H― SiC(()001)面 に 55° で 入射 し, 後 ノ
,散 乱 され るツ(,兄 を XI
543に 模 式 的 に示 して い る ,タ ー ゲ ッ ト原
の シ ャ ドー イ ン グ効 果 に よ リシ
「
ャ ドー コー ン内 にあ る原 1は 人功
寸イオ ンか 喝は 見 えな い が , フ ォー カ シ ン グ効
´
果 に よ │,コ ー ンの‐ ッジに 当 る原 」か ら イオ ンは 後 方散舌しされ る。 人射 イオ ン
フ′
0
54
イオン散乱
ビー ム と結 品 店iと の傾 き角 (incident anglc人 射 角)と 結 晶 面 の 面内 回転 /Fl(aが
nluth angle)を 変化 させ る と,結 1ll■l造 を解 析 で きる。
Nを 容 温 イオ ンll入 した バ ル ク 4H― SiC(OIX11)面 (145
3の
×10卜 Ncn、
レ ー ザ ア ニ ー リ ン グ (Pl,A)お よ び 高 速 短 時 間 ア ニ ー ル
こ こでは ,高 濃度
(STA)に よ って得 られ る結 品 構 造 Lul復 に つ い て 771べ る。 人均I
He'イ オ ンの エ
ネ ル ギ ー は 3 kcV(ビ ー ′、の 直径 約 2 1llI、 ヽ
)で あ る。3段 N.イ オ ン注 人 (30,
45,70 kcV)に よ り箱 型 不純物 分 布 を作 製 し, ビー ク N濃 度 はそれぞ れ
3× 10J,4× 10・ cm
図
545は
`
, ビー ム 方 向 が (1120)lloと 「 行 に な る
1中 i角 を 0・
「
面 内 卜1転 させ た と きの Siか ら反身│さ オした He十 ィォ ンの カ ウ ン
55°
︵
J 謝櫻 出 ︶ ‘ミ ー ヽ∽∽δ マ0 あ
―∞-75-60-45-00-15 0 153045607590
He+3keV 面内回転角 (度
)
Incident55・
図
,
3で あ る。
人身1角
と して , ■9o°
・
1× l『
545 N+イ
オ ン を 3段 注 入 し た n型 4H SC(0001)
レ。N+イ オ ン エ
面 か らの Si CAICiSSス ペ ク トリ
ネ ル ギ ー (30,45,70 keV)、 N不 純 物 ピ ー ク濃
度 :1× 1020Ncm 3,3× 1020Ncm 3、 4× 1020Ncm 3
注 入 後 と PLA後 の ス ベ ク トル を示 す 。
′′′
5 結晶の評価技術
卜数 を示 してい る。0° よ り±30°
lul転
させ ると {1100)面 と平行な方位 となる。
図 には astrOwll, イオ ン注入後お よび PLA後 の スペ ク トル を対でλtし て い る。
レーザ ア ニー ルにはエ ネルギ ー密度 0 6J cm2,11射 LI数 1∞ シ ョツ ト (繰 り
返 し周波数 l Hz)の KrFエ キ シマ
レー ザ (波 長 248 nm,パ ル ス幅 20 ns)
を用 い た。as grOwn試 料 に は 60° 同 期 の 繰 り,[し 構 造 が 明確 に 見 られ
,
0∞ 1)面 か ら見た Si原 子 の 6同 対称構造 を反映 して い る。c而 か らの反射 ス
ペ ク トル と c軸 方向 のユ ニ ッ トセル長 の 1′ 2に あ る ステ ップで 形成 されるテ ラ
1543参 照 )か らの反射 スペ ク トルの合成 シ ミュ レーシ ョンによ り
ス
,
'(Ⅸ
as_grO、 ■の スペ ク ト,レ はほは説明 で きる。3×
10J'Ncnl lイ オ ンlT入 した「式オ
1
∼
で 対称性 は崩れ始 め ,4× 1鯛 Ncm'ま で lT入 す る とスペ ク トルの 同期 ll造 は
完 全 に消滅す る。す なわ ち,N.イ オ ンの 平均 飛程 (150 nm)か ら表面 まで完
/FNに
アモ ルフ ァス化 されて い る。PLA後 ,3Xl∈ ONcm.注 人試 +1は 完全 とは
い えない まで もrL品 構造 の 回復が 見 られ るが ,4× 102 Ncm=注 人試 料 は全 く
回復 しない。 レーザ アニー リングではよ面か ら再結品化 が始 まる と考 えられ
,
│]期 性が消失 した結 [鴇 では再結品化 の1情 報がない ため結品構造 はLl復 しない と
1に おける N不 純物 の電気的活性化 につい て測定 が
考 え られ る。 これ らの試本
lll続
されてい る。
STAに よる 結 品構 造 の 可復 過 程 を図 5.46に 示 す 。 バ ル ク p型 6 H SiC
(22×
10ド Alcm`,
35° オフ Si面 )に N イ オ ン を 4段 (15, 30, 45, 70 kcV)
注 人 した箱 型 N分 布 の ビー ク濃 度 1× 103)Ncm`(試 挙IA)と 4× 10J Ncltl I
ヽ
(試 本IB)の 2試 料 につい て,加 熱 n手 間 20秒 .温 度 1600℃ 1850℃ の STA後
の Si― CAICISSス ペ ク トル を示 して い る
(日
「H5は 約
標温度 まで の ウ:ち 卜が り‖
キ
2秒 )。 試料 Aは 注 人後 も表 面近傍 に結品構造 は残 つて い て,16∞ ℃
(20s)
のアニールで もsitt rの 対称構造 を見る ことがで きるが,ほ ぼア ニール 前 の
状態 に戻 るためには 1850℃ のアニールが必要である。 アニー ル後 のキ ャリア
密度 お よび移動度 は そ れぞれ 38×
10・
をIn■ (活 L化 率 38%)),10 cm■Vsと な
1′
り,残 留 欠陥,共 稚 ポ リタイプの可 能性 が予想 される.
方,試 料 Bで は 1850℃
のアニール後のキ ャリア密度お よび移JJJ度 はそれぞれ 1× 10JcIIt`,10 Cin?Vs
とな り,活 1■ 化率 は低 ドしてい る。 また,結 品構造 は完 全 には「nl復 せ ず , さら
′′
2
54
イオン散乱
︵
週 掛櫻 出 ︶ 2ミ ー ヽ∽∽δ マ0 あ
︵
コ 珊櫻 螂 ︶2ミ ー ヽ∽∽δマ0 あ
-90 -60-30
0
30
60
90
-90 --60--30
面 内回転 角 (度 )
0
30
60
面 内回転角 〈
度)
He+3keV
Incidont 55・
ピー ク濃 度
ピー ク濃 度
10× 102° Ncm 3
図 546
40× 1 020Ncm 3
N+イ
オ ン 4段 注入 (15,30,45,70 keV)し た p型 6H― SiC(0001)面
か らの Si CAIClSSス ペ ク トル。図 に示 されてい る温度 で加熱時 間 20
秒 アニール した試料 と a←rece,ed試 料 のスベ ク トル を示す。
に 高温 の ア ニ ー リングの 必 要 性 を示 唆 して い る。 sTA後 の 試 料 衣 面 は い ず れ
も劣 化 せ ず ,1650℃ 通常 熱 ア ニ ー ルが 衣 面 荒 れ をヴ き起 こす の と比 較 して 優
れ た特 徴 を示 して い る。
参考文献)
〈
1)M SatOl、 .K Okarnoto,Y Nakalko,K Ktlriyanla、 K Kaluya,and N Ohtani,Nucl
lnstruil、
Metllods Pl,s Res,B148,567(1∝ り
)
rr3
5
結 晶 の評価技術
2)ヽイ Sat()h,Y Nakaike,and K Kl:riyanla,J Appl Pllys,89, 61 (2001)
3)O Islliyama,T Nishwama,M Shinollan, F Ohtani,S Nishil、
o, alld J Saraie,
Appl Phys I.ett,70. 2015 (1997)
4)K Al)e,O E,u,O Kogl,an(l K Nakashima,NucI Instrum Metho(ls Pllys Res
(2003)IFJ枚 予定
―― ―
――― ―― ――― ――― ―¬
電気
作 T2.し た SiC結 品の伝導型 と実効 ドー ピング密度 は, シヨ ントキ
障 壁 の容
J■ 電 II:特 1■ か ら求 めることがで きる。n ll SiCに は Auや Ni,p'1l SiCに は Ti,
Niが 安定 した シヨツ トキ ー障壁 を形成す る。 しか しなが ら,電 気伝 導 に寄与
す るキャリア密度 と移動度 を求めるためには,Han効 果測定 が必 額 である。通
常 ,1laH効 果測定 は試料 の四 lllに オーム性電極 を設けて van der Pauw法 によ
り行 う。n tt SiCに は llXlll℃ で 熱 処 理 した Nl,p tt SiCに は 91X9ヽ ЮЮ℃ で
熱処理 した TI′ Alが よく用 い られる。 ここで,測 定対 象 となる領域
(例
えば成
長層 )と 基 llkと の電気的分離 に注意す る必要がある,通 常 は,prl接 合あ る い
は 1'絶 縁性基板 を,〕 い て電気的分離 を行 う。HaH効 果 における散乱囚 1は キヤ
リアの敵舌膿 構 に依存す るので ,試 料 の結晶性 や ドー ビング密度 によつて 異な
る。標準 的 な n型 4 H SiC成 長層 に関 しては,散 舌t因 子 が 09ヽ
11程 度 であ
る ことが 報告 されてい る1。
図
`
55.1に 卜絶縁 性 基板 llに 形 成 した 4 HSiCエ ビタキ シ ヤ ル 成 長層
μ Hl,Nド ー プ,室 温 の キ ャ リア密 度 1× 10 tmつ
20
(厚 さ
の 移動 度 の 温 度依 存性
を示す!。 試料 は反応 性 イオ ンエ ッチ ン グをチ
Hい た メサ 形 成 に よ リク ローバ 形
に
I」
1さ
れ て い る。室 温 に おけ る移 動 度 は 981 cm2'Vsで あ り,温 度 の lltド と
共 に移 動 度 は }「 調 に増 大 し,42Kで は 46,200 cin2'Vsに 達 す る。 llt温 領 域 ま
で 移動 度 の 低 卜や飽 和 が 全 く見 られ な い こ とは ,SiC結 月 が 非常 に 高純 度 で イ
オ ン化イく
純物 故 舌しの 影響 が小 さい こ とを意味 して い る。 約 21111Kよ り低 温 側 で
は移 動 度 が だl度 の -15乗 に比例 してお り,音 響 フ オ ノン散 iし が 支配 的 で あ る
′′
′
55
註亀
Eo︶撻 祠゛ 卜牌
笏>ヽN
μ∝ T 26
: ND 1×
102
1014cm 3
. ___
20
50
100
温度
図 551
電 気的特 性
n型 4H― SiC成 長層
200
400 600
(K)
(室 温のキャリヤ密度 1× 10く om
3)の
移動度の温度依存性
と考 え られ る。 200Kよ り高温 側 で は 温 度 の -26乗 に比 例 す るの で ,谷 間散
や 有極性 光学 フ ォ ノン散 乱 の 影響 が 現 れ て い る もの と考 え られ る。 また ,こ
舌し
の 試料 につ い て キ ヤ リア密 度 の 温 度 依 存 1■ を電 荷 中性 の 式 を用 い て 解析31し た
結 果 ,成 長層 中の 補償 ア クセ プ タ密 度 は 1× 10Bcm 3以 ドと非 常 に小 さい こ と
が分 か った。
4H,6H― SiCの n
性 を図
SiCで
5.52に
/1Nす
ll成 長 層 の室 温 にお け る電 子移動 度 の キ ャ リア密 度依 存
1。
低 濃 度 ドー プ層 で は ,4H― SiCで 約
101XD cln!′
al cm!vs fi度 の値 が 得 られ る。 図 に は示 して い な い が ,3
4・
ロェ ビ タキ シ ャル成長 層 の 電子 移動 度 は 700∼ 8∞
3C― SK〕 以外 の SiCポ リ タイプで は ,電
cm!′
Vs程 度
r移 動 度 に 異 方性
(紺
′
Vs,6H―
CSiCヘ テ
(実 ‖1)で あ る。
品 方位 に依 存 )
が 存 在 す る こ とが 知 られ て い る。 図 552に 示 した移 動 度 は {00011山
均 移 動 度 l ll)で あ る。6 H SiCで は c軸
(く
0001"方 向 の 移 動 度
i内
(″
の平
′
)が
′
″_の 約 20ヽ 30%と い う小 さい値 に留 まるの に対 して ,4 H SiCで はJrに ″″が
6に 起 │」 して い る。
″_よ り 20%程 度 大 きい'。 これ は主 に 有 効 質 量 の 異方性
したが って ,大 容 iJの 縦 型 SiCパ ワー デ バ イス を 10ool}ウ エ ーハ
1に
作 製す
る場 合 ,流 れ る電流 は /″ ァ
に比例 す るの で ,″ ″の 大 きい 4H― SiCが 最 も有 望 で
′75
5
結 晶 の評 価技 術
1200
1000
Eo︶un゛ 卜 牌
含>ヽ
中
._。
.
n型
,
成長層
や
0
, 4H― SiC
ヽ
`
°
`い `
ヽ・
出cヽ ミ
0
1013 1014 10,5 1016 1017 103 10,9 10"
キ ャ リア密度 (cm 3)
図 552
n型 4H― ,6H― SiC成 長層の室温 における移動度のキャリア密度依存性
あ る。 Nド ナ ー の イ オ ン化 エ ネ ル ギ ー は ,4 H SiCで 40ヽ ll10 meV,6 H SiC
で 70ヽ 130 meVで あ る。 また ,高 濃 度 ドー プ層 で は ,10‖ cm 3の ドー ピ ン グ
密 度 で 0∞ 5Ω cm以 下 の低 抵 抗
n型 結 品 を得 る こ とが で きる。
4H― ,6H― SiCの p型 成長層 の室 温 にお け る移 動 度 の キ ャ リア密 度 依 存性 を
図
55.3に 示 す4。 低 濃 度 ドー プ結 品 にお け る正 子しの 移 動 度 は,4 H SiCで 約
0
4
、
ず試﹂
0
6
C
i
S
・
H
。
、
。
8
0 6
。
0
Eo︶撻n ゛言 円
0>\N
ヽ。一一一一は
p型 成長層
。
2
。
1014 1015 10'3 10,7 1018 1019 10・ 102'
キ ャリア密度 (cm 3)
図
5 5 3 p型 4H― 6H― SiC成 長 層 の 室 温 に お け る 移 動 度 の キ ャ リア密 度 依 存 性
″16
,
5_5
120 cm●
Vs,6H― SiCで 約 lKXl
電気的特性
cm`/Vsで ある。正孔 の 移動度 の 異方性 は小 さい。
SiC中 の 赳 ア クセ プタの イオ ン化 エ ネル ギ ー は,4 H SiCで 約 1∞
meV,6H―
SiCで 約 240 meVと 比較的大きいの で,室 温 における正子L密 度 はアクセプ タ密
度 よ リー桁程度低 い。 しか しなが ら,1び ヽloJcn1 3と ぃ ぅ高濃度 ドー ビング
により,抵 抗率 0
020cmの p lll(411 SK))が 得 られる。
SiC結 品中の深 い準位 は,DLTS(Deep Level Trallsiel,t Spcctroscopy)測 定
により評価 で きる。 この 方法 は, シ ョッ トキ ー障噌 あるい は pn接 合を作 製 し
,
ilバ イアス状態 にパ ルス電llを 加える こ とによって空乏層幅 を変調 させ ,そ の
過渡特性 か ら窄乏層内 の深 い準位 の密度や捕催断 i積 を調 べ る もので ある。 ト
『
ラ ップか らのキャリア放出の時定数 は1111ほ ど短 くな るので ,試 料温度 を変 え
るこ とによって, トラ ップに関す る知 見 を得 るこ とがで きる。Ni/n tt SiCシ
ョッ トキー障壁 の 試料 を月lい た報告例が多 い。図 55.4に , a1 4 H SiC成 長
層 ,(b1 6 H SiC成 長層
(共
に ドー ビ ング密 度 1×
10い cm
3の n型 )の DLTS
スペ ク トル を示す「。4 H SiCで は 320K付 近に 1種 類 の トラ ップ,6 H SiCで
は,約 220Kと 5m Kに 2種 類 の トラ ップが 観測 される。 ljfx出 の 時定数 のア レ
:,/1=1/2ms
4H-SiC
らヽ卜 ヽ ハ ∽トコ0
I
rrr
42
6H― SiC
ム/ら
昌 /E2
100
200
300
=1/2ms
R
400
500
600
700
温度 (K)
図
55_4
● 4H― SiC成 長 層 、(。 )6H―SiC成 長 層
(共 に
n型 )の DLTSス ペ ク トル
5 結晶の評価技術
ニ ウスプ ロ ットか らllf′ 性化 エ ネ ル ギ ー を求 め る と,4 H SiCで 支配 的 な トラ ッ
プは エ ネ ル ギ ー位 置 ニ ー0
あ る こ とが 分 か つ た L7。
63eV C.:伝 導 帯 底 )に 存 在 す る Z12セ
ン ター で
DLTSの 電 界 依 存 性 (DDLTS i Doublc Corrclatcd
DLTS)か ら,こ の トラ ップ は ,一 .0の 電 rur状 態 を取 る ア クセ プ タ型 電 子 トラ
ップで あ る こ と も十Jり Jし て い る「。 一 方 ,6H― SiC試 料 で は ,E.-0 41eVと E`
-1 21eVの 準位 に トラ ップ Eノ ′
E`,Rが 検 出 され る1テ 。 こ れ らの トラ ップ は
,
昇 華法 で 作 製 され た SiCウ エ ー ハ ,()VD法 で 形 成 され た エ ビ タキ シ ャ ル成 長
層 な どほ とん どの結 晶 で 観測 され る深 い準 位 で あ る。 これ らの 欠陥 は ,イ オ ン
注 人や高 速電子 ll・ な どの 高 エ ネル ギ ーll子 の照均Jに よ り密 度 が増 人 し,1500℃
の 高温 ア ニ ー ル を行 つて も残 留す る点 欠陥 と
「ul一 で あ る こ とが 分 か って い るが
,
原 レベ ル で の 構造 同定 に は至 つて い な い 。DI.TS llll定 は ,Ti,cr,Vな どの
「
「価 に も有効 で あ る。 トラ ップ密 度 は結 晶 成長 法
重 金属 が 形 成す る トラ ップの 言
や イオ ン注人の 有無な どに大き く依イ
「 するが ,昇 華法 により作製 された SiCウ
エーハ では 1011ヽ 10に cm 3程 度 であ るの に対 し,高 品質 4H― ,6 H SiCエ ピ タ
キ シャル成長層では 101lcm 3あ るい はそれ以 ドに まで低減 されて い るJo SiC
結晶中の深 い準位 に関す る詳細 は 文献iを 参11さ れたい。
市販 の DLTS装 置では通常 ,測 定 温度 の
ltが 400ヽ
11・
500Kに 制約 される。
この場合,検 出で きる トラ ップの エ ネルギ ー範囲 はバ ン ド端 か ら約 08ヽ l eV
までに限 られ,SiCの ような広 い禁制帯幅 を有す る半導体 では, ミッ ドギ ャ ッ
プ付近の準位 を.T価 で きない。最近 ,850Kま での 高温 DLTS測 定 が 試 み られ
,
ミッ ドギ ャ ップ準位 の言Fflliが 進 め られて い る。n■ 14 H SiC成 長層 を試 料 にナ
‖
い た場合,伝 導帯底 か ら 1 55eVの エ ネルギ ー位 置 に深 い準位が存在す るこ と
が卜
」明 した`。 また,こ れ らの トラ ップの 形成が結 晶成 長時 の c Silヒ こ依存
する こと も分か り,基 礎物性 の分里lて 急速 な進展が見 られる。
図 5_55に 絶縁破壊電界 の ドー ピング密度依存性 を示す。メlに は,41l S【
。1.3C Si(,
く0001),6 H SiCく lX101〉 ,Siく OЭ l〉 方向 の イ
F:を プ ロ ッ トして い る
;
く001)に ついて も概略 1に を示 してい る.2章 で述べ た ように,4H― SiC,6H― SiC
は Siに 比 べ て約 一桁高い絶縁破壊電界 を有する。禁制帯幅 の 広 い 4 11 SiCが 6
H― Sl()よ
JJ∂
JJ度 の 共方性 と 判
り少 し絶縁破壊電界が低 い原 劇は,「 述 の ような移」
55
電気的特性
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ドー ビング密 度 (cm 3)
図
555
主 な SiCポ リタ イ プの 絶 縁 破 壊 電 界 の ドー ビ ン グ密 度 依 存 性
連 してい る。実際 ,こ れ らのポ リタイプでは絶縁破壊電 界の異方性が観測 され
てお り,c軸 と垂直方向の絶縁破壊電界 は 6 H SiCよ り4 HSiCの 方 が高 い。
〈
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きる。
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縦 型 の CVD装 置 で ,Si基 板 に 3Cの 結品 成長 を始め た。
結晶成長条件 は ,既 に京都 大学か ら発 表 されて い るデ ー タか ら容 易 に推定 で
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実際 ,実 験 してみ る と Siの 表而 に結 品 はで きるが ,論 文通 り鏡 面 にな らな
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何同チ ヤレンジ して も状況は変わ らない。
論文 をiV読 ,再 読,l「I読 。
分か つた
結品成長の温度 に運 するまでの時間,つ まり,昇 温速度が重要だ。
「S君 ,こ の装置の フルパ ワーで昇温 してみな さい」
彼 ,装 置は壊 れないか,イ く
安げだ,躊 蹄す る。
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これは,京 都大学松波グループのノウハウだった?
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ノウハウ
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