一次 イチジ 関数 カンスウ

数学科指導案
1
単 元
一次関数(18時間完了)
(1)構 想
生徒観
本学級の生徒は、明るく元気がよく、わからない問題があると、友達や先生に質問し、意欲的に取
り組むことのできる生徒が多い。発言も積極的にすることができる。しかし、解法を自分の言葉で説
明したり、発展的な活用をしたりする場面では、仲間の発言に頼ってしまい、受け身になってしまう
生徒が多い。また、数学を苦手とし、正・負の計算もままならない生徒もいる。
ペア学習やグループ学習で様々な生徒がかかわり合う中で、それぞれに達成感を味わい、さらに向
上心をもって取り組んでいけるようになってほしい。
単元観
関数については、小学校で、簡単な表やグラフをかいたりしながら、比例の基本的な性質を学習し
てきている。中学校第1学年では、変数を負の数を含む有理数まで拡張した上で、数量関係の基本的
なモデルとして比例や反比例を学習するとともに、変化と対応、変数、変域、座標などの意味を学習
してきた。第2学年においては、第 1 学年の学習をさらに発展させ、基本的な関数関係の代表的なも
のとして一次関数を取り上げ、それを中心として変化の割合など関数の理解を深めることになる。第
3学年では、第2学年までの学習をさらに発展させ、生徒が日常経験する具体的な事象の中から、
y = ax 2 の関数を取り扱うことになる。
日常事象の中には、一次関数を利用してとらえられるものがたくさんあり、もっとも身近な関数と
いえるであろう。また、これまで、1次方程式、連立方程式などを用いて問題を解決する方法を学ん
できたが、一次関数はこれらの学習を総合した内容を含んでいる。したがって、生徒に問題解決的な
力を身に付けさせながら、数学への関心・意欲・態度、数学的な見方・考え方を高めていくのに有効
な単元であると考える。
指導観
単元の初めに、水そうに水を入れる時間と水面の高さの具体的な例を通して、一次関数を定義する。
一次関数は y = ax + b( a , b は定数)で x に比例する部分 ax と定数 b との和の形になっていること
を理解させる。一次関数の値の変化の学習では、 x が変化するときの y の増加量を調べることを通し
て、変化の割合を定義する。いくつかの一次関数の変化の割合を求め、変化の割合が一定であること
をおさえるとともに、反比例を例に出し、関数の中には変化の割合が一定でないものもあることに気
付かせる。その後、一次関数のグラフの学習に入っていく。一次関数のグラフは、比例のグラフを平
行移動したものだということに気付かせ、切片や傾きの用語を導入し、それを用いてグラフをかける
ようにしていく。グラフ用紙を配付しノートに貼り、話し合ったことや学習したことを書き込みなが
らノートをまとめていく。また、個々でかいたグラフを生徒同士で見合い、間違っているグラフをお
互いに説明しあう中で、習熟を図っていく。グラフから式を求める学習でも、ペア学習やグループ活
動を取り入れ、グラフからわかることや示されている条件を明確にし、式を求める方法考えさせたい。
二元一次方程式とグラフでは、二元一次方程式の解の集まりのグラフと一次関数のグラフは同じであ
ることをおさえる。その後、個人やグループでグラフの交点の求め方を様々な方法で考える中で、交
点と連立方程式の解の関係に気付き、連立方程式の方法ならばどんな交点でも求められることに気付
かせたい。最後に、一次関数の利用を学習する。いろいろな事象に関する問題を、一次関数を使って
解決する。求められた式 y = ax + b の a や b が、それぞれの場面において、どのような意味を持つか
読み取ることによって、一次関数についての理解をいっそう深めたい。
これらの学習を通し、関数を実生活の具体的な場面で利用し、事象を数理的に考察する能力を高め
たい。
(2)目 標
①
表、式、グラフを用いて、一次関数の特徴を進んで調べようとする。
②
一次関数、変化の割合の意味や、グラフのかき方を理解する。
③
一次関数のグラフをかいたり、グラフからその関数の式を求めたりすることができる。
④
事象の中から一次関数を見いだし、一次関数を用いて問題を解決することができる。
(3)単元計画
学習課題
学習内容
ともなって変わ
・関数の意味
る2つの数量の
・一次関数の意味
間の関係につい
時間
学び合い・磨き合い
・ y が x の関数で、一次関数である
2
ものを選び、その理由を隣同士で
説明し合う。
て学ぼう
一次関数の値の
・一次関数の値の変化
変化を調べよう
・変化の割合の意味
・一次関数の値の変化の仕方の特徴
2
を見つけ、発表し合う。
一 次 関 数 を グ ラ ・一次関数 y = ax + b のグラフの意味
・一次関数と比例のグラフを比較
フに表し、その特 ・比例のグラフと一次関数のグラフと
し、気付いたことを発表し合う中
徴を調べよう
の関係と切片の意味
・傾きの意味と変化の割合との関係
3
・一次関数のグラフを傾きと切片を用
かく。
一 次 関 数 の グ ラ ・一次関数のグラフから、傾きと切片
の式を求めよう
・一次関数のグラフの特徴をもと
を読みとって式を求めること
・傾きとグラフ上の1点の座標から式
を求めること
・一次関数のグラフのかき方を隣同
士で説明し合いながらグラフを
いてかくこと
フから、その関数
で、グラフの特徴をつかむ。
に、グラフから式を導き出す方法
3
をグループで考える。
・グラフ上の2点の座標から式を求め
ること
二元一次方程式
・ ax + by = c のグラフ
ax + by = c の 解 ・方程式のグラフを、2点を求めてか
をグラフに表そ
う
くこと
・二元一次方程式のグラフを、一次
2
の座標との関係
の 関 係 を 調 べ よ ・2直線の交点の座標を連立方程式を
う
・2直線の交点の求め方を個人で考
1
え、グループの中で話し合う。
本時
用いて求めること
一 次 関 数 を 利 用 ・事象の中から一次関数を見いだし一
して身のまわり
次関数を用いて問題を解決するこ
の問題を解決し
と
よう
・実験式をつくること
適用問題を解こ
・問題演習
う
き方をグループで考える。
・ y = k のグラフ
2 直 線 の 交 点 と ・連立方程式の解とそのグラフの交点
連立方程式の解
関数との関係を調べ、グラフのか
・一次関数の関係であることを利用
3
2
して、グラフを用いてグループで
問題を解決する。
・わからない生徒が多い問題は、グ
ループ学習や全体学習に戻す。
2
本時の学習指導(13/18時間)
(1)本時の目標
①
2直線の交点の座標は、連立方程式の解であることを理解できる。
②
2直線の交点の座標を、グラフや連立方程式を使って手際よく求めることができる。
(2)本時における学び合い・磨き合い
・2直線の交点の座標が連立方程式の解と一致することを理解し、グラフや連立方程式を用いて手際
よく解くことができるようにするために、隣同士やグループでの活動の時間を設ける。聞き合った
り、話し合ったりする中で、2つの直線の交点の求め方の習熟を図る。
(3)準 備
・教師 小テスト、グラフ用紙、板書用グラフ用紙、演習問題プリント、教材提示機
(4)展 開
段階
指向
6分
生徒の活動
教師の活動
1 小テストを行う。
・既習の計算問題
・前時までの振り返りのため、基礎的な計算を7
題、一次関数の問題を3題出題する。〔心得2〕
(式の計算・等式変形・連立方程式など) ・二元一次方程式の解をグラフに表す問題を取り
問題
・前時までの復習問題
上げて解説を行い、本時の課題へとつなげる。
(一次関数のグラフなど)計 10 問
〔心得4〕
2
本時の学習課題を確認する。
2分
2直線の交点の求めよう
・学習の見通しをもたせるために、学習課題を板
書する。〔心得3〕
究明
3
40 分
y = -x + 7, y = -2x + 10のグラフの交点
を個人で求める。
・グラフの交点の部分が抜けているグラフをかい
たプリントを配付する。
・勘の値をあてはめてみる。
・およその値を予想させる。
・グラフに目盛り線を継ぎ足す。
・連立方程式を用いて求めることができた生徒に
・連立方程式にして解く。
は、連立方程式の解が交点と一致する理由を考
えるように指示をする。
4
個人で考えた解法をグループで出し合
い、グループ内で理由を説明しあう。
・
(3,4)を両方の式に代入すると成り立
ち、交点であることがわかる。
・一次関数のグラフは二元一次方程式の解
5
・机間指導をし、戸惑っている生徒が多い場合は、
早めにグループ活動に移す。〔心得5〕
・グループでそれぞれの考え方を出し合い、解の
確認やわからない人にはグループ内で聞きあう
よう指示する。
〔心得6〕
の集まりで、連立方程式の解は、2 つの
・生徒同士で聞き合ったり考えを伝え合ったりで
二元一次方程式の共通解であるから、連
きているか把握し、話し合いが滞っているグル
立方程式で交点を求めることができる。
ープを支援する。〔心得5〕
クラス全体で解法を確認する。
・どのやり方でも、交点を求めることがで
きる。
・各グループからでた意見について、正しいかど
うか意見を出し合い、全体で確認させる。
・説明の不十分な生徒の発言には、同じグループ
6
の他の生徒の説明を加えさせる。〔心得8〕
演習問題に取り組む。
・勘の値をあてはめたり、グラフに目盛り
線を継ぎ足したりするやり方では、解け
ない問題がある。
7
用紙も印刷したプリントを配付する。〔心得9〕
・全員の取り組みを1通り見て回り、戸惑ってい
る生徒が多い場合は、隣同士でやり方を確認す
演習問題の答え合わせを行う。
・交点が整数にならないものは、連立方程
る時間を設ける。〔心得5〕
・グラフでの解き方を全員で確認するために、生
式で解けばよい。
8
・連立方程式が解けない生徒もいるので、グラフ
交点が整数でない直線の交点を求める。
徒のかいたグラフを教材提示機に写す。
・連立方程式ならば、どんな交点でも求め
ることができる。
整理
9
自己評価カードを書く。
・本時を振り返り、自己評価カードを書くように
2分
指示をする。
(5)評 価
①
2直線の交点の座標は、連立方程式の解であることを理解し、理由を説明することができたか。
(活動5・6・7の様子より)
②
2直線の交点の座標を、自分でグラフをかいたり連立方程式を用いたりして、手際よく求めるこ
とができたか。
(活動9のワークシートより)
(6)板書計画
① y = - x + 6, y = x + 10
2直線の交点の求めよう
・勘 (3,4)を代入
y = -2 x + 10
y = - x + 7 (右辺)= -3 + 7 = 4 =(左辺)
y = -2 x + 10 (右辺)= -2 ´ 3 + 10 = 4 =(左辺)
・グラフにx軸y軸の平行線を書き込む
y = -x + 7
・連立方程式にして解く
ì y = - x + 7 ¼①
í
î y = -2 x + 10 ¼ ②
(x, y) = (3,4)
② y = 2 x + 3, y = - x - 6
③ y = -3 x + 2, y = 2 x - 1