Topics「スマートベータ(1)~最少分散法の応用」

Topics「スマートベータ
Topics「スマートベータ(1)
「スマートベータ(1)~最少分散法の応用」
(1)~最少分散法の応用」
平成 27 年 06 月 12 日
■ スマート・ベータへの関心が高まってきた。特にスマート・ベータ指数に対する、パッシブ運用の
ニーズが高い。バックテストにおいても多くのスマートベータ指数はインデックスに優るとのデー
タがあるようだ。
■ スマートベータ指数は、
「ファンダメンタル指数」
「最少分散指数」等様々だが、市場の非効率性を
多数の銘柄の中でリバランスすることにより、パフォーマンスを高める機能があり、従来のパッシ
ブ運用とアクティブ運用の中間に位置づけられそうだ。
■ では、スマート・ベータ指数に一定割合を投資すれば良いかとなると、必ずしもベストの選択とは
言い難い。あくまでカテゴリー(日本株全体)の中で「ボラティリティの最小化」を目指すべきか
と考える。
■ 筆者が推奨するのは、既存の株式ポートフォリオの中にある種の銘柄を追加で組み入れることによ
り、全体のボラティリティを抑える方法である。今後アウトパフォームが見込める銘柄候補を複数
取り上げ、どの銘柄をどの割合で追加すればボラティリティが抑えられるかシミュレーションを行
い、最終的にポートフォリオのリバランスを行うのが効率的だろう。
■ もちろん、1 銘柄○%以内といった制約も不可欠で、ポートフォリオのボラティリティを最小限に
するには、既存銘柄のリバランス(全体のウエイトを下げる等)も必要だろう。
■ 以下、簡単なシミュレーションを行ってみる。4 銘柄で構成されるポートフォリオ(等金額投資)
に別の 4 銘柄の候補から 1 銘柄を加え「最小分散」となるようリバランスを行う。過去データさえ
揃えば、ポートフォリオの分散は、表計算上でで行列式を使うことで比較的簡単に算出できる。
既存ポートフォリオ
7203
9984
6758
8411
コード
銘柄
トヨタ
ソフトバンク
ソニー
みずほ
金額
1億円
1億円
1億円
1億円
リバランス後
7203
9984
6758
8411
コード
新銘柄
銘柄
トヨタ
ソフトバンク
ソニー
みずほ
金額
0.8億円
0.8億円
0.8億円
0.8億円
0.8億円
※新銘柄候補:6954ファナック、8601大和、4503アステラス、2802味の素
■ シミュレーションは直近 40 日のデータを採用、各銘柄のボラティリティと相関係数は以下である。
なお、分散はσの2乗であり、
「最小分散」は「最小標準偏差σ(年率)」に置き換えた。
コード
ボラティリティ
相関係数
マトリクス
7203
15.7%
1.00
0.36
0.28
0.55
0.44
0.51
0.55
0.50
9984
18.6%
0.36
1.00
0.24
0.24
0.29
0.33
0.43
0.14
6758
27.1%
0.28
0.24
1.00
0.09
0.24
0.23
0.12
0.61
8411
29.4%
0.55
0.24
0.09
1.00
0.14
0.66
0.27
0.22
6954
26.2%
0.44
0.29
0.24
0.14
1.00
0.31
0.44
0.39
8601
21.5%
0.51
0.33
0.23
0.66
0.31
1.00
0.35
0.27
4503
21.8%
0.55
0.43
0.12
0.27
0.44
0.35
1.00
0.47
2802
25.7%
0.50
0.14
0.61
0.22
0.39
0.27
0.47
1.00
■ ポートフォリオに新銘柄候補(6954 ファナック、8601 大和、4503 アステラス、2802 味の素)を 1 銘柄ずつ
加えた結果、4503 アステラスを加えた時が最もボラティリティが最も低くなった。
既存4銘柄 6954追加
15.4%
15.1%
8601追加
15.4%
4503追加
14.8%
2802追加
15.7%
■ 追加すべき 4 銘柄の内、個別のボラティリティでは 8601 大和が最も低かったのだが、ポートフォ
リオ・ボラティリティとなると 4503 アステラスの方に軍配が上がった。要はポートフォリオとの
相関がより低いと計算されたためで、4 月の日経新聞の記事に出たように、ディフェンシブ銘柄は
スマート・ベータ指数に採用されやすいようだ。
■ なお、過去データの活用にも注意が必要である。今回は 40 日のデータで計算したが特定期間のみ
でシミュレーションを行うと、その期間にバイアスがかかった結果は得られるが、別の期間では良
好な結果が出ない場合が少なからずある。例えばデイリー100 本、更にその前のデイリー100 本、
ウイークリー100 本といったように、複数のシミュレーションを行った上で判断すべきだろう。
■ また、ポートフォリオのボラティリティが 0.1%下がるからといって、頻繁なリバランスが必要か
という問題もある。リバランスにかかる執行リスク、コスト(手数料や労力)を考えると、微小な
改善のための実施は効率的ではないだろう。リバランスを行うに当り、部内的なルール作りは必要
だろう。