2015年 国際合同野外実習 報告 (2015.08.26‒09.4

2015年 国際合同野外実習 報告
(2015.08.26‒09.4:インドネシア)
2015年度の合同野外実習はボゴール農業大学をホストとしてインドネシアで行われた。参加大
学はボゴール農業大学(インドネシア)、琉球大学、国立台湾大学(台湾)、東海大学(台湾)、
プリンス・オブ・ソンクラ大学(タイ)である。本実習はハブ形成プロジェクトの支援による国
際連携教育プロジェクトである。なお、本学からの参加学生の一部は日本学生支援機構(JASSO)
の海外留学支援制度の助成を受けている。
08.26
那覇国際空港で集合。那覇から台北・香港
を経由してジャカルタ(スカルノハッタ空港)
に到着。偶然であるが、本学の短期留学プロ
グラムを終えて帰国するインドネシアの学生
が同じフライトであった。海外の空港で乗り
継ぎを行う旅程は、合同実習では初めてとな
る。那覇発のフライトが約1時間遅延したた
め、台北ではギリギリの乗り継ぎとなった。
(実際には、台北発も1時間近く遅延となり、
機内で出発までかなり待たされた。)
結果的にジャカルタ着が2時間遅れとなっ
たため、空港での送迎を受けられず、急遽空
港近くのホテルに泊まることにになった。途
香港空港での乗り継ぎ。左端は短期留学生。
方に暮れていたところ、ボゴール農業大学へ
の連絡やホテルの予約を、同じ飛行機になっ
た上記の学生が手配してくれたので、たいへ
ん助かった。
08.27
大学からの送迎車が6時半に到着し、
ホテルから約2時間半かけて、大学キャ
ンパスに到着。開講式には間に合わなかっ
たが、以後のプログラムには間に合うこ
とができた。大学内の施設を見学した後、
ボゴール農業大学および連携大学の教員
による講義が行われた。海洋生物の生態
から森林動物の保全まで多彩な講義が、
豊富な写真を用いて行われた。 森林生態学の講義
08.28
今日はほとんどの時間を移動に費やした。4:45集合でボゴールからジャカルタの漁港まで移動
し、漁船によるトロール採取を見学し、採集された魚をパリ島の臨海実験所に運んで、胃内容物
の分析を行う予定であった。しかし、深刻な交通渋滞のために漁港への移動が遅れ、昼食も移動
中のバス内で済ませる事態となり、トロール採集を終えてパリ島に到着したのは18時半であった。
胃内容の分析は明日以降の作業とし、夕食後は明日の実習のガイダンスのみとなった。参加メンバー
の多くも、今日は長時間の移動でかなりくたびれている。
漁船に分乗してトロール採集
ジャカルタからパリ島への移動
08.29
午前中は実験所の前のサンゴ礁で1m x 1m コドラートによるサンゴ被度の調査を行った。合わ
せてスノーケリングによるサンゴ礁生物の観察と採集を行った。午後は前日のトロールで採集さ
れた魚を解剖し、胃内容の観察を行った。その後、午前中のサンゴ被度調査のデータの取りまと
めを行った。実験所の近くに日没の名所があり、夕方は自由時間を設けて、素晴らしい夕焼けを
楽しむことができた。夕食後は、午前中のスノーケリングで採集した生物を材料に、クロロフィ
ルの蛍光を利用した葉緑体・共生藻の観察を行った。この実習は琉大からの参加の広瀬教授が担
当した。また、実習後の自由時間に、琉大から参加の伊澤教授が学生を引率してコウモリの観察
を行った。
サンゴ被度調査、魚の胃内容解析、クロロフィル蛍光の観察
08.30
午前中はパリ島西端で育成中のマングローブ林観察を行った。ここはもともとサンゴ礁だった
所で、近隣の無人島でリゾート開発によって流出した土砂の堆積でサンゴ礁が埋没してしまった
とのことである。水質の悪化に伴い、周辺で行われていた海藻養殖も行われなくなっている。こ
こは漂流ゴミの打ち上げも多いが、大半はジャカルタ市からのもので、漂着ゴミを減らす有効な
手立ては今の所なさそうである。環境問題の一端に触れることになった。
その後、自由時間に島内の散策を行った。すでに各国から参加が学生も混じって行動するよう
になっている。
午後は参加教員で次年度以降の合同実習について話し合いを行った。来年度担当校となるプリ
ンス・オブ・ソンクラ大学のJarwan教授から、日程やコースの内容の説明があった。2017年度
は琉球大学がホストを担当する予定のため、各大学が参加に都合の良い時期について情報を収集
することができた。
その後、船を利用して近隣の無人島(バード島)の近くに移動し、スノーケリングによるサン
ゴ礁の観察を行った、多くの学生はライフジャケットを着用したが、波や風もなかったため比較
的初心者でもサンゴ礁の豊かな生物多様性を体験できた。
夕方から、実習課題の発表準備を始め、19時∼20時に各班より昨日の実習で行ったサンゴ被度
の調査とクロロフィル蛍光の観察について発表が行われた。パリ島最後の夜はバーベキューで、参
加学生の交流も一層深まっている。
班ごとに発表の準備
他班の実習課題発表を聞く
08.31
朝食後、宿舎の清掃を行い、パリ島の港からジャカルタへ移動。さらに、バスでボゴール農業
大学キャンパスへ移動したが、昼食の休憩などもあり、到着は18時過ぎとなった。今回の実習は
移動に要する時間が長いのが難点である。
ボゴール市内に入ってから休憩を兼ねてボゴール農業大学 International Convention Center
に立ち寄った。ここはホテルも併設された国際会議場で、建物の1-2階はショッピングセンターと
なっている。その一角では大学ブランドの紅茶、石鹸、蜂蜜、ハーブなどが販売されていた。
ジャカルタ行きの船ではぐったり
ボゴール農業大学が持つ国際コンベンション
センター
09.01
5時朝食、6時発で山地の実習フィールドのGunug Walat University Forestへ移動する。ボゴー
ルから50kmに位置するが交通渋滞のため4時間を要した。実習地はボゴール農業大学が管理する
森林で、ハゲ山に近い状態から1969年以降の非伐採と植林によって回復させた森林で、樹脂など
の採取や農業用水の供給に利用されている。この研究施設は、海外の大学も研究・教育に利用し
ており、日本では新潟大学や愛媛大学の利用実績がある。昼食を挟んで森林管理や森林動物の講
義の後、トカゲ捕獲のトラップを設置森林内に設置した。夕食後、環境保全教育の講義が行われ
た。一部の参加者は、伊澤教授らの引率でナイトウォークに出かけた。
トカゲ捕獲のトラップ設置
森林管理の講義
0902
5時に集合し、バードウォッチングに出発。夜明けとともに様々な鳥のさえずりが聞こえるが、
なかなか姿を見ることはできない。班によって観察できた鳥の種数は異なるが、この他にリスや
サルを目撃することもできた。
朝食後、トカゲのトラップを確認。1個体が捕獲された。
早朝のバードウォッチング
粘着剤にトラップされたトカゲ
(この後、油を使って粘着剤を取り除
き野外に帰している。)
休憩後、徒歩で森林内の洞窟へ。ヘッドランプ付きのヘルメットを装着して洞窟内に入ったと
ころ、カエル、魚、サソリモドキ、カマドウマ アメンボが観察された。
昼食休憩後に、各班の結果報告(トカゲのトラップによる捕獲とバードウォッチング)と森林機
能の解説が課題とされ、3班に分かれて課題発表の準備が進められた。夕食前に、発表と質疑が行
われ、夕食後に実習最終日前夜の交流会が行われた。メンバーが参加国ごとにパフォーマンスを
披露するもので、本学メンバーはニンジャの寸劇とドラえもんの主題歌を楽しんでもらった。ドラ
えもんは参加国の全てで放映されているため、全員の大合唱となった。
狭い洞窟内を進む
広い場所が2箇所あり、カエルやサソリモドキがいた
課題発表の準備を3班に分かれて進める
0903
朝食後、車でボゴールに移動。世界的に有名なボゴール植物園を見学し、植物園内で昼食の後、
合同実習の修了式(修了証の授与)が行われた。その後、ジャカルタへ移動し、海外からの参加
メンバーは空港近くの同じホテルに宿泊。ホテルはジャカルタ市街から離れているため、数名が夕
食を買い出しに出かけ、ホテルの食堂で一緒に食べることになった。我々は早朝出発のため、他
国の参加メンバーとは再会を期して別れを惜しむこととなった。
ボゴール植物園での閉講式
0904
4時にホテルのロビーで集合。タイの学生が見送りに来てくれる。定時に送迎車でジャカルタ空
港へ移動。香港、台北で乗り継ぎ、那覇空港にはやや遅延したが到着し解散した。