熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 神瀬層群より〃Myophoria〃化石群の発見 Author(s) 田村, 実; 宮原, 哲夫 Citation 熊本地学会誌, 40: 2-3 Issue date 1972-06 Type Departmental Bulletin Paper URL http://hdl.handle.net/2298/27864 Right 神瀬層群より〃Myophoria〃化石群の発見 熊 大 ・ 教 育 田 村 実 球磨郡大川内小学校宮原哲夫 筆者の−人宮原は、今年はじめ球磨郡山江 小池・渡辺・猪郷(1970)は大瀬・告の両 村大河内の万江川をはさんで大川内小学校と 層よりコノト・ン卜化石を発見し、両層がラデ 相対する道路傍の地点で、石灰岩質粘板岩の イニックーカーニックに相当することをコノ 転石中に上記化石群を発見した。この化石は ト・ン卜よりも確証した。 神瀬帯に相当する四国の三宝山帯でも二畳 田村に報告され、両者の野外踏査の結果、そ の転石は道路上の露頭に由来することが明か ∼三畳紀の化石が散点的に報じられており、 に た り 、 又 、川を越えて西方に延びているこ 平田・市川(1966)は高知県香美郡香我美 とが判明した。 町吉次で、従来日本の三畳系に産したかった 化石はレンズ状石灰岩と粘板岩との漸移部 Costatoriasp.a錘.C・卸.LdfUssi(Alberti) に掃き寄せ状に密集して産するが、岩石自体 その他の産出を報じ、その時代を(ラディニ が石灰質であるので、風化部のmould.として ックーカーニック)とし、その産状から静穏 しか採集出来たい。田村はこの化石群を引続 浅海下の堆積環境を推定した。吉次産のCo- き研究中であるが、とりあえず次の如く同定 statoriasp.aff.goldfussiは、大河内産の する。 Costatoriaspとしたものと思われ、皿零F 1℃ernesiasp. ntiniasp・は熊本県芦北郡田浦の三畳系(カ Bakevelloia“1.andsp.inde-t. ーニック)よりのErangu田ユieHatanouエョisis Lophasp. TAMURAによりもE…ntiniaに類似する。 Costatoriasp.cfr.gcQdnユssiZieten 又、Gruenercaldiaは東亜では確実な種の報告 画零ntiniasp. はなく、テチスのラデイニックーカーニックのG・ GruenewaOcLia印.c:位、、decussa・田,. deoussataに略固定出来ると考えられる。 CMua這也r) (砥わ可asbiandI圏mum,(1968)。以上の暫 球塵川流域の神瀬層群は勘米良。古川 定的な予察結果より、大河内の二枚貝化石群 (1964)、Kanmera(1964)により研究さ はラデイニックーカーニックを示すもので、 れ、その地質時代はペルム紀後期より農期三 神瀬層群の大瀬・告・鎌瀬層のいづれかの東 畳紀に亘ることが判明している。三畳系は大 瀬の衝上を境にして南帯では下位より鎗倒層 方延長部より産出しているものと考えられる。 吉次産のものと共に秩父帯の南部で浅海性を ・告層・鎌瀬層に、北帯では告層に対比され 示す動物化石群の発見は興味ある事実と考え る大瀬層、鎌瀬層に対比される小口層があり られる。 終に、吉次産のCostatoriasp.aff.gold- 鎗倒層からは三畳紀中期(アニシヅク)のア ンモナイトが、鎗倒層上部。大瀬層。小口層 fussi(Alberti)の観察に便宜をはかって下. からは三畳紀中∼後期(ラディニックーカー さった高知市の平田茂留氏に厚く感謝するも ニック)のさんご化石がしられている。叉、 のである。 引用文献 平田茂留・市川浩一郎(1966):高知県香美郡香我美町吉次の仏像構造線北緑から発見 したトリアス化石。日本地質学会関西支部報62号、西日本支部報45号合併号。 −2− 勘米良亀齢・古川博恭(1964):上部ベルムートリアス系神瀬層群(三宝山帯の研究) 九大・理・研究報告、地質学之部、第6巻、第3号。 Kanmera,K・(1964):TriassicCoraユ恥unasfromtheKonoseGroupinKyushu. Mem.I&c・Sci・町iBlllUniv.S鉱ZuVoユ.15. Kotayashユ、T・andTanura.、M・(1968):M70phoria(s.ユ.)inIfelayawithaNote ontheTriassicTrigonユacea・Geoユ.麹ユaeont.SoutheastAsia,Voユ.5. 小池敏夫・渡辺耕造・猪郷久治(1970):日本産三畳紀コノト.ン卜による新知見、地質 学雑誌第76巻、第5号。 −3−
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