〔日本機械 工業連合会会長賞〕 業務用 ガスエンジン駆動 ヒー トポンプシステム (GHP Jlシ リーズ) 三洋 電 機 空調株 式 会社 群馬県邑楽郡 1.機 器 の概要 業 務 用 ガス エ ンジ ン駆 動 ヒー トポ ンプ シス テ ム (以 下 GHP:Gas HeatPtunp)は 、 コンプ レッ サの動力源 を都 市 ガス や LPガ スで駆動す るガス エ ンジ ン を使用 して い るため 、電力消費量 を大 幅 に抑制 で きる特長 とともに、電力 お よびガス エ ネ ルギ ーの年 間 を通 した `準化 に貢献す る機器 であ 「 る。そ の結果 、利用者 にお いては契約電力 の低減 や受電設備 の軽減 が 可能 とな り、電 力 ・ガス供給 側 にお い ては年 間 を通 して需要 の 平準化 に貢献す 写真 l SGP一 H560」 タト 穫 見 る。 今 回開発 した ビル用 マル チ室外機 は 224形 (8馬 力相 当)∼ 560形 (20馬 力相 当)で 、各馬力 にお い て この特長 を生かす とともに、従来機 に対 して低燃費化 ・ 排 出 ガス 浄化 ・低騒音化 ・冷媒低 圧圧 力損失 の低減等 を行 う ことで 、対環境性 を さらに改善 した。 そ の主 なポ イ ン トは駆動 部 であるエ ンジ ン系 を再構築す る こと によ り大幅 な性能改善 を行 った ことにある。 また、燃 費改善 に よる経 済性 の 向 上 に併 せ 、 エ ンジ ン制御等 によ り NOx排 出量 の低減や新冷媒仕様 とす る ことで 、地域環境 は もとよ り、地球環境 に対す る配慮 も行 ってい る。 さらに、 GHPは 暖房時、 エ ンジン排熱 を回収利用 で きるため、 低外気温 での 暖房能力 の大幅 な改善 や、暖房時 の 除霜運転 を不要 とす ることがで き、寒冷地区 にお い て も普及が進 んで い る。 ―- 46 -― 1 2.機 器 の技術 的特徴 および効果 2.1 技術 の独創性 今 回開発 した ビル用 マ ルチ室外機 は、高効率化 を実現す るため に主に搭載 エ ン ジ ンの 高性能化 と冷凍 サ イクル改 良、 お よび防振 ・防音性能 の見直 しを行 った。 同時 に、NOx低 減 、新冷媒化 を行 う ことで 、対環境性 をさらに向上 させ ている。 代表的 な改善 部位 を図 1に 示す。 空気熱交換器 → ハ イブリット熱交換器 エンジン → ミラーサイクル化 → 希薄燃焼 → デジタル点火 3方 切替弁 → 比例制御 式 エンジン排熱回収 圧縮機 → プレート式熱交換器 → 圧 力損 失低減 防振 ゴム 図1 2.2 (1) → 液 封 マ ウント 機器概略図 ′ 性能 lrJ上 冷媒 回路 の改善 空 気熱交換 器 冷媒凝縮部 従来型 は ス リッ トフ イン を使 用 し、 \ そ の 中で 冷媒凝縮部 とエ ンジンラジエ ー タ部 を配 置 して い た。 開発 機 にお い ては 、冷媒凝縮 部 にス リ ッ トフ イ ンを、 また、 エ ンジ ンラジエ ー タ部 にフラ ッ トな フ ィ ンを フ ィ ンピ ッチ を広 くして 配置 した ことで 、空気抵抗 が大 き くな らず 熱交換性能 にす ぐれたハ イブ リッ ト型熱交換器 と した。 (図 2) ラジエータ部 従来型 図 2 ―- 47 -― 開発 型 ハ イブ リッ ト型熱交換器 ・ プ レー トJt熱 交換 器 暖房運転時 にエ ンジ ン排熱 を効 果的 に エンジン 冷却水 い1収 す るため、 プレー ト式熱 交換 器 を搭 豪兌 載す る とともに 、熱源 となるエ ンジ ン冷 劇〕 水制御 に比 例 市1御 式 3方 切替弁 を採用 す る こ とで 、 暖 房 性 能 が 句 llヒ ´た . (1」 3) また 、低 夕ヽ気111度 粂件 で も、エ ンジ ン 図 3 プ レー ト式熱交換器 冷去‖ 水 か ら効 果的 に熱 回収 を行 うため、 安定 した暖房能 力が維 持 で きる. ・ [指 占i幾 I「 │二 縮機 内劇;の 口li出 部 の 形状変 更 によ りll:力 損 失 を低減 し、冷 凍 サ イクル効 率 の 向 11を 図 った= 12)エ ンジンの 高効率 化 と低 NOx化 ・希薄燃焼 に よる ヽOx lt減 希薄燃焼 は空 気過乗1率 1.6以 11で 、失火 tン れ を強 化 な い ようll混 合気 の 汚し 上 ン、 ヒ t NOxと 燃焼 の安定化 を同時 に実現 す る とともに、 燃焼 の促進 を行 って 、 イ 失火検 出 の採 │││に よ り、空 気 j量 乗1率 が i直 切な範囲 での i二 転 を実現 した。 ・ ミラーサ イクル 11よ る 高効率化 吸気 弁 を遅 く1詞 じる ミラーサ イクル化 によ り、ボ ンピング損 失の低減、高 膨張比 化 二よる排 気損 失 の低減 に よ り、エ ンジ ン効 率 の 高効率 化 が 図 れたc │、 ・デ ジタル点 火制御 liよ るエ ンジ ン高効率化 と ヽOx低 減 空 気過剰率 ・点 火時期 を電 子制御化 tン 、令 ての運 転領域 で 最適値 に設定 で きる ように した。そ の結果 、エ ンジン効率 を最 大で 5ポ イ ン ト向上 で き、NOx も 40%低 減 を実現 した。 (3)ユ ニ ッ ト運転 音の低減 エ ン ジ ン振動 が ユ ニ ッ トベ ース に伝 わ り、 さらに外装 パ ネル に伝達 す ること で 、外 装 バ ネル表面 か ら振動音 を発す る スピー カー効果 の低減 のため 、エ ンジ ―- 48 -― ン防振 に使用す る防振 ゴム に液封 マ ウ ン トを採用 した。理想 的 な防振 は、振動 伝達 が少 な く、か つ振 幅 が少 ない相反す る特性 を兼 ね備 えた方式であ る。液封 マ ウ ン トによ り、エ ンジ ン起動時 はエ ンジンの揺 れ を抑 え、エ ンジ ン運転 中 に は機器構造体 へ の振動伝達 を低減 で きた。図 4は 液封 マ ウ ン トの 断 面で 、本体 ゴム、デバ イス、液 、 オ リフ イス、 ダイヤ フラム等 か ら形成 して い る。 エ ンジ ン起動時 には、 オ リフ イス共振 に よる減 衰係数 の増加 に よ り揺 れ を低減 し、運 転 中 にはデバ イス に よ り高次振動 の伝達 を低減 して い る。図 5は エ ンジン起動 時 の 減衰係数 の特性 で 、5∼ 10Hzの 周波数帯 にお いて減衰係数 をあげる こ とで 、 起動時 の揺 れ を防 I11し て い る。 また送風機 系 にお いては フ ァン配置 の適切化 を図 り、防振 ゴムの改 良 と合 わ せ 2dBの 低減 が達成 で きた。 デバイス 設 オリフィス EEb ・ ︹ z]轟摩腐驚 体ゴム部 5 10 15 Hz] 周波数 〔 図 4 液封 マ ウン ト 図 5 液 封 マ ウ ン トの 防振 特性 3.用 途 GHPは 工場 、大型店舗 、事 務所 、学校 な ど、 ビル用 マルチ システムが適 して い る業務用空調 の 分野 で 多 く採用 されて い る。2002年 2月 の生 産開始以降 12月 まで に、約 1万 台 の生 産実績が あ る。 ―- 49 -一
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