Tokibo Co., Ltd. operates since 1955 as a leading importer and distributor of medical devices and equipment. Vol. 30 ● January, 2015 外科製品部 編 ート 製 レ ポ 品 ● ポラリス圧可変式バルブ 慶應義塾大学医学部脳神経外科 三輪 点 先生 腰椎ー腹腔短絡術(LPシャント)におけるポラリス圧可変式バルブの使用経験 脳脊髄液シャント術は以前より水頭症の治療とし ことである。LPシャントが有効かどうかはQuecken- て確立された手術であり、最近は非交通性水頭症に stedt testを事前にすれば分かる。 対して神経内視鏡手術が行われるようになってきた 今回われわれは最近普及しつつあるLPシャント術 ものの現在、そして今後も脳神経外科領域に必要不 に対してポラリス圧可変式バルブを使用したため報 可欠な手術である。脳脊髄液シャント術は大きく3 告する。 種類に分けられる。施設によっての好み、偏りはある が頻度としては①脳室―腹腔(VP)シャント術、②腰 ◆代表症例 : 70 代男性 椎―腹腔(LP)シャント術、③脳室―心房(VA)シャン 歩行障害、尿失禁を主訴とする特発性正常圧水頭 ト術の順で行われることが多い。そのなかでも最近 症に対してシャント手術を計画し、Queckenstedt は特発性正常圧水頭症をはじめ②腰椎―腹腔(LP)シ test陰性であることを確認した上で(患者さんの希 ャント術の割合が全国的に増加してきている。その 望もあり)LPシャントを選択した。全身麻酔下(腰椎 理由としてLPシャントの利点として脳に直接触れな 麻酔でも可)で右上側臥位とし(左上でも可)腰部が いため脳損傷のリスクがないということである。も 十分後方に突出するように支持器で固定した。第3/4 ちろん剃毛もなく創部も目立たないため美容的にも 腰椎間から(L4/5、L5/S1でも可)頭側に約15cm腰椎 よい。ただし欠点としては中脳水道閉塞等の非交通 側チューブを挿入後、腸骨稜上部に中継点を設けポ 性水頭症、脊柱管狭窄症など頭蓋内、脊柱管内の間の ラリス圧可変式バルブを腰椎側、腹側チューブに接 くも膜下腔が十分に交通していない水頭症の場合に 続した後、中継点より約3cm腹側皮下浅めにバルブ は基本的には効かない、もしくは効きが悪いという を設置した。右下腹部より腹腔内にチューブを約 1 30 January, 2015 Vol. 20cm挿入し手術終了した(図 外科製品部 編 図1 図2 腹部 X 線写真正面。 この症例ではバルブは右腹側皮下にある。 腹部 X 線写真側面。圧の確認にも使用できる。 1、図2)。 ポラリスバルブは標準の SPV(30-200)型を用い、設置 当初の圧は110mmH₂Oに設 定したが、症状改善がわずか であったため圧を70mmH₂O に変更したところ、症状の改 善を明らかに認め、現在も同 圧で経過良好である。 ポラリスバルブにおける設 定圧は日常家電製品で遭遇する静的磁場や正弦磁場 ブまでの距離が8mm以下であれば圧変更は可能で の影響はなく、また1.5テスラのみならず3.0テスラ あると言われている。我々はシャントバルブを可能 MRI下でもほぼ影響を受けないのが利点であるた な限り皮膚に近い場所に埋め込むように心掛けてお め、MRIの使用機会が増加している現在では非常に り、幸いにも今まで感染等皮膚トラブルは認めてい 有用であると考えられる。また他疾患でLPシャント ない。また磁力が届きにくい場合には圧変更時にバ の圧可変式バルブ付近の腹部MRIを施行することは ルブの両脇の皮膚にテンションをかけて皮下脂肪の まれであり、その際のアーチファクトの心配をする 厚みを可能な限り薄くすることも隠れたポイントで こともない。問題となるのは、腹部の皮下脂肪が厚い ある。またシャントバルブの位置は腸骨稜より腹側 患者さんの圧変更がスムーズにいくかどうかという に置く場合と背側に置く場合がある。患者さんの違 ことである。圧変更にはポラリスアジャストメント 和感が少ないのは腹側である印象がある一方、圧変 キット(PAK2:図3)を用いるが、そのキットからバル 更が容易であるのは背側であるため、肥満体の患者 さんでは背側の方がベターと考える。 図3 以上、ポラリス圧可変式バルブを使用した腰椎― 腹腔シャント術の経験を報告した。当院での経験は まだ2013年以降4例であるが幸いにも全例術後経過 良好であり、皮下に埋め込まれたバルブの圧調整に おいても難渋したことはない。MRI使用頻度が増加 している現在、腰椎―腹腔シャント術におけるポラ リス圧可変式バルブは非常に有用であると考える。 ポラリスアジャストメントキット(PAK2) 発行:株式会社 東機貿 外科製品部 〒140-0012 東京都品川区勝島1-5-21 東神ビル内 【 T E L 】0 3 - 5 7 6 2 - 7 3 4 7 【 F A X 】0 3 - 5 7 6 2 - 7 2 4 9 【 URL】h t t p : / / w w w . t o k i b o . c o . j p 【販売名】ソフィサ シャントシステム 【承認番号】22500BZX00035000 2
© Copyright 2024 ExpyDoc