CHEMOTHERAPY

CHEMOTHERAPY
1040
NOV.1991
白 血 球 遊 走 阻 止試 験 に よ る抗 結 核 剤 過 敏 症 の 検 討
宇野
勝 次1)・ 八 木
元 広1)・ 関 根
1)水原 郷 病 院 薬 剤科*
理2)・ 山 作 房 之 輔3)
2)水原 郷 病 院 内科
3)新潟 西保 健 所
(平成3年7月10日
受 付 ・平成3年8月21目
受 理)
抗 結 核 剤 過 敏 症 疑 診 患 名 を 対 象 に,白 血 球 遊 走 阻 止 試 験(LMIT)に
定 を 試 み,抗 結 核 剤 過 敏 症 に お け るLMITの
有 用 性,な
よ る原 因 藁 剤 の 検 出 同
らび に 遅 延 型 過 敏 反 応(DTH)の
与 に つ い て 検 討 し た。 過 敏 症 疑 診 患 者 は,男 性11例,女
性6例
機 能 障 害5例,発
の 計17例
で,全 例50歳
で あ り,過 敏 症 状 は,皮
膚 症 状9例,肝
例,血
小 板 減 少1例(各
症 状 は重 複)で
い,各
薬 剤 の 抗 原 濃 度 はisoniazide(INH)とethambutol(EB)が50μg/ml,rifampicin
あ っ た 。LMITは,ア
(RFP)が10μg/mlに
調 製 し た 。LMITは,88%の
(LMAF)を71%,白
血 球 遊 走 阻 止 因 子(LMIF)を29%検
有 意(P<0.01)に
他 の2剤
%に 対 し てLMAFを59%検
出 し,LMAFを
役 割 を演 じ て い る と考 え ら れ る 。 ま た,抗
Key
words:抗
候 群1
ガ ロ ー ス 平板 法 の 間 接 法 を 用
血 球遊 走 促 進 因 子
出 し,LMIFに
比 べLMAFを
性 率 は,INHが12%,RFPが65%,
に比 べ て 有 意 に 高 い 陽 性 率 を 示 し た 。 ま た,RFPはLMIF6
有 意(P<0.0005)に
果か ら,抗 結 核 剤 過 敏 症 の 原 因 薬 剤 検 出 にLMITは
よ るDTHにLMAFの
以上
臓 炎1例,PIE症
高 い 陽 性 率 を 得,白
高 く検 出 し た。 各 薬 剤 のLMIT陽
EBが31%で,RFPが
RFPに
熱5例,肺
関
高 く検 出 し た 。 以 上 の 結
有用 で あ り,そ の 発 現 にDTHが
結 核 剤 の 中 でRFPが
主 要な
最 も ア レ ル ギ ー 原 性 が 高 く,
関 与 が 高 い こ とが 示 され た 。
結 核 剤,遅
延 型 過 敏 反 応,白
血 球 遊 走 促 進 因 子,白
血 球 遊 走 阻 止 因 子,薬
剤ア
レル ギー
現 在,結
核 の 化 学 療 法 は,軽
とrifampicin(RFP)の2剤
とethambutol(EB)の3剤
る 。 こ こ で,軽
り,そ
LMIFの
症 例 がisoniazide(INH)
併 用,重
視 で きな い 問 題 が 抗 結 核 剤 の 過 敏 症 で あ
クタ ム 剤 過 敏 症 の原 因 薬 剤検 出 同 定 に
白 血 球 遊 走 阻 止 試 験(leucocyte
(delayed-type
有 効 で あ り,そ
演 じ,白
ing
inhibitory
inhibition
の 発現 に遅 延 型過 敏 反 応
主 要 な役 割 を
血 球 遊 走 促 進 因 子(leucocyte
factor,LMAF)お
tion
migration
hypersensitivity,DTH)が
migration
activat-
よ び 阻 止 因 子(leucocyte
factor,LMIF)の
migra-
両 因子 が 関与 して い る
結 核 剤 過 敏 症 疑 診 患 者 を 対 象 にLMITに
る 原 因 薬 剤 の 検 出 を 試 み,抗
の 有 用 性 と,そ
料
と 方 法
象患者 お よ び被疑薬 剤
抗 結 核 剤 過 敏 症 疑 診 患 者 は,Table
が50歳
性11例,女
性6例
の 計17例
1に 示 す よ う
で,年 齢 で は全例
以 上 で あ っ た。
被 疑 薬 剤 は,Table
が17症
1に 示 す よ う に,INHとRFP
例 全 例 に 関 与 し,EBが13症
な お,Table
1に 示 す17例
例 に 関 与 した。
の 患 者 は,抗
の 薬 剤 も投 与 さ れ て い た 症 例 も あ るが,臨
結 核剤 以外
床 経 過(数
年 来 服 用 して い る薬 剤 や 過 敏 症 発 現 後 に服 用 して も異
状 を認 め な か っ た薬 剤 な ど)か
ら,抗 結 核 剤 以 外 が被
疑 薬 剤 と考 え られ な い症 例 で あ る 。
こ と を 明 ら か に し た1∼3)。
そ こ で,抗
1.対
に,男
化 学療 法 に とっ て重 要 な課 題 で あ る。
test,LMIT)が
I.材
併 用療 法が 大勢 を 占め てい
の原 因薬 剤 の検 出 な らび に発 現 機構 の解 明 は適 正 な
著 者 ら は,β-ラ
両 因 子 の 関与 につ いて検 討 し,さ らに各抗 結核剤
の ア レル ギ ー原 性 に つ い て検 討 した。
症 例 がINH,RFP
結 核 剤 過 敏 症 に お け るLMIT
の 発 現 に お け るDTHな
*新 潟 県北 蒲 原郡 水 原 町 岡 山 町13-23
ら び にLMAFと
よ
2.LMIT
LMITは
β-ラ ク タ ム 剤 過 敏 症 の 原 因 薬 剤 検 出 に応
用 し た 方 法1)に 従 い,ア
ガ ロ ー ス 平 板 法 の 間 接 法 を用
aM
VOL.39
Table 1.
: male, bF:
INH,
Patients
with
suspected
hypersensitivity
RFP,
rifampicin;
agents
EB, ethambutol.
リンパ 球 を 採 取 し,Hanks'balanced
洗 浄 後,細
salt solution
血 清 と10mM
HEPES-
buffer添 加 のTC-199meduim,Gibco)に
こ の リ ンパ 球 浮 遊 液800μlに
した被 験 者 血 清100μlと
抗 原 液200μl(非
清 液 を採 取 し,-20℃
食 塩 水 と混 合 し,37℃,約1時
の5%デ
走 用 白血
な る よ うに浮 遊
つ 分 注 し,
37℃,湿 度100%で24∼48時
間 培 養 後,イ
ミノ ビ ュ
ー ワー で 白血 球 の 遊 走 野 の 面 積 を 測 定 し た。
判 定 に 関 して は,各
の 平 均
range,NR)
がNRよ
り も 低 値 をLMIFの
り
検 出 と
者 と も 陽 性 と し た1∼3)。
= migration
/ migration
from normal
human
(%):
area in medium
with drug
area in medium
without
drug
×100
(1)
MI of leucocytes
=
migration
/ migration
from patient
area in supernate
area in supernate
(%):
with drug
without
drug
×100
血球 層 の
ガ ロ ー ス添 加 の 培 養 液 で 作 成 し た ア ガ ロ ー
径3mm)に7μlず
よ り 求 め,こ
よ り 求 め た 被 験 者 のMI値
MI of leucocytes
常人
球 と し た。 こ の遊 走 用 白血 球 を さ き に 分 離 保 存 し た上
ス 平 板 の 各 ウ エ ル(直
し,両
混合
に よ り顆 粒 球 を
採 取 し,赤 血 球 の 溶 血 お よ び洗 浄 を 行 い,遊
清 液 に細 胞 数 が2.5×105cells/μlに
と し,(2)式
動化
キ ス トラ ン 生 理
間 放 置 後,白
上 清 液 を 採 取 し て,Ficoll-Paque液
を(1)式
正 常 範 囲(normal
間 培 養 後,上
に 凍 結 保 存 し た。 次 に,正
の ヘ パ リ ン加 末 梢 血 を1/4容
index,MI)値
値 ±2SD(n=6)を
浮 遊 し た。
試 験 薬 剤 溶 液100μlの
液)を 加 え,回 転 培 養 器 で37℃,72時
tion
高 値 をLMAF,NRよ
胞 数 を1.25×106cells/mlに
調 製 し て 培 養 液(10%馬
し,1%ア
to antituberculous
female,
isoniazid;
い た。 す な わ ち,被 験 者 の ヘ パ リ ン加 末 梢 血 をFicoll
-Paque液(Pharmacia)を
用 い た比 重遠 心 法 に よ り
(HBSS)で
1041
抗結核剤過敏症
NO.11
薬 剤 を溶 解 し た培 養 液 に浮 遊 し
た正 常 人 白 血 球 に つ い て 上 記 の 方 法 で 遊 走 試 験 を 行
い,各 薬 剤 に対 す る正 常 人 白血 球 の 遊 走 指 数(migra-
(2)
被 疑 薬 剤 の 抗 原 調 製 で は,INHお
をHBSSに
HBSSで
溶 解 し,RFPは
よ びEBは
原 末 をethanolに
原末
溶解 し
希 釈 して抗 原濃 度 に調 製 した。 各 薬 剤 の抗
原 濃 度 は,亀
と し て,3種
750mgで
谷 の1回
あ る か ら,各
250μg/ml)に
Table2に
投 与 量 の1/5,000/ml4)を
類 の 抗 結 核 剤 の1回
薬 剤 の3段
指標
投 与 量 は 約100∼
階 濃 度(10,50,
お け る 白 血 球 の 遊 走 指 数 を 検 討 し,
示 す よ うに 白血 球 の 遊 走 に 影 響 を 与 え な い
(MIの
平 均 値 が95∼105の
度,す
な わ ちINHお
範 囲 内 で あ る)最
よ びEBは50μg/ml,RFPは
高濃
*
CHEMOTHERAPY
1042
Table
2, Migration
indices
ous concentrations
indicates
tion
mean•}2
indices
INH,
in
isoniazid;
10μg/mlと
humans
(n=6)
of
RFP,
rifampicin; EB,
suspected
hypersen-
agents
migra-
した 。
果
示 す よ う に,皮
麻 疹 型1例),肝
肺 臓 炎1例,PIE症
疑 診 患 者17例
の 過 敏 症 状 は,
膚 症 状 が9例(紅
斑 型8
機 能 障 害 が5例,発
候 群1例,血
状 は重 複 して い る)で
に,9日
with
to antituberculous
ethambutol.
抗 結 核 剤 過 敏 症 疑 診 患 者17例
例,蕁
agcnts
leucocyte
in patients
sitivity
humans.
II.結
Table1に
Table
3. LMIT
at vari
of antituberculous
SD
normal
of normal
NOV.1991
熱5例,
小 板 減 少1例(各
症
あ った。
の 潜 伏 期 間 は,Table1に
間 以 内 が 無 く,10∼14日
示すよ う
が5例(29%),
15∼28日
が6例(35%),29∼56日
が5例(29
%),57日
以 上 が1例(6%)で,15日
以 上 が70%
以 上 を占 めた。
疑 診 患 者17例
た 。 な お,医
のLMITの
結 果 をTable3に
の 倫 理 上 の 問 題 か ら疑 診 患 者17例
し て 負 荷 試 験 は 実 施 し て い な い が,LMIT陰
a N:
negative,
示 し
ing
factor,
に対
factor, dNormal
性 薬剤
gration
INH,
bLMAF:
leucocyte
cLMIF:
range:
indices
in
isoniazid;
migration
leucocyte
mean•}2
normal
RFP,
activat-
migration
SD
inhibitory
n=6
of
mi-
humans.
rifampicin;
EB,
positive
LMIT
ethambutol.
に つ い て は 再 投 与 を し て い る 。 そ の 結 果,LMIT陽
性 薬 剤 を検 出 した15例
の 患 者 で はLMIT陰
性薬剤の
Table
4.
Proportion
再 投 与 を 開 始 して も過 敏 症 状 は 呈 し な か っ た 。 ま た,
with
LMIT陽
berculous
性 薬 剤 を検 出 し な か っ た 症 例6と9の2例
の 患 者 で は,抗 結 核 剤3薬
る 発 熱 を認 め,他
次 に,17例
し,症
示 す よ う に,LMITの
antitu-
agents
示 した。
出 し(た
にLMAFを
にLMAF,他
検 出 し た),LMAFを
の1剤
有 意(p<0.01)に
高
だ し,
検出
にLMIFを
a: siginificantly
different
(p<0 .01).
ALMAF: leucocyte
migration
activating
a
bLMIF:
case,
with
過 敏 症 疑 診 患 者17例
leucocyte
LMAF
高 く検 出 し
た。
was
and
migration
detected
LMAF
with
was
EB in another
inhibitory
both
detected
RFP
with
factor
factor
,
.
and EB * in one
RFP
and
LMIF
case.
に お け る 各 被 疑 薬 剤 のLMIT
陽 性 率 をTable5に
示 し た 。INHは12%,RFPは
65%,EBは31%の
陽 性 率(た
出 し た)を
示 し,RFPはINHと
だ し,Table3に
示
0.0001)も,EBと
にLMAFを
検
陽 性 率 を 得 た 。 ま た,RFPは,LMIF
検
LMAFを59%検
す よ う に 症 例8はRFPとEBの2剤
出 し,症
patients
to
よ
陽 性 率 は88%と
示 す よ う に 症 例8は2剤
例16は1剤
17
陽性率お
検 出 率 をTable4に
く,LMAFは71%,LMIFは29%検
Table3に
in
hypersensitivity
の 薬 剤 に よ る 異 常 は 認 め な か っ た。
の 過 敏 症 疑 診 患 者 のLMITの
よ びLMAFとLMIFの
Table4に
剤 を 再 投 与 し,INHに
of
suspected
例16はRFPにLMAF,EBにLMIFを
比 べ て(p<
比 べ て(p<0.05)も
出 し,LMAFを
有 意 に高 い
6%に
対 して
有 意(p<0.0005)
VOL.39
NO.11
抗結核剤過敏症
Table
5.
a: significantly
LMIT-positive
different
LMAF: leucocyte
hibitory factor.
rates
(p<0.05),
migration
with
1043
three
antituberculous
b: significantly
activating
different
factor, bLMIF:
agents
(p<0.0005).
leucocyte
a
migration
in-
LMAF *was detected with both RFP and EB
in one case, and LMAF was
detected with RFP and LMIF with ER in another case .
INH, isoniazid; RFP, rifampicin; EB, ethambutol.
に高 く検 出 し た。 さ ら に,RFPは,INHやEBに
べ て も 有 意(p<0.0005)に
比
高 くLMAFを
検 出 し
た。
く,30日
ば,同
III.考
著 者 らは,β-ラ
察
し てLMITに
よ る 原 因 薬 剤 の 検 出 を 試 み,76%(68
例)にLMIT陽
性 薬 剤 を 検 出 し,31%(28例)に
にLMIT陽
に対
熱 の 潜 伏 期 間 が10日
で は,88%(15例)
出 し た。 し た が っ て,β-ラ
が っ て,抗
だ し,複 数
で,肝
機能
の よ う な 場 合 が あ る)1)。 し た
結 核 剤 過 敏 症 の 潜 伏 期 間 は,β-ラ
こ の 理 由 に は,二
性 薬 剤 を 検 出 し,LMAFを71%,
LMIFを29%検
あ っ た(た
ク タム
剤 過 敏 症 に比 べ か な り長 い こ とが 示 唆 さ れ る。
検 出 し た1)。今 回
の 抗 結 核 剤 過 敏 症 疑 診 患 者17例
一 症 例 で,発
障 害 の 潜 伏 期 間 が14日
ク タ ム 剤 過 敏 症 疑 診 患 者90例
LMAF,44%(40例)にLMIFを
以 上 が わ ず か1%で
の過 敏症 状 を発 現 した症 例 は 重複 して い る。 た とえ
クタム 剤
つ の 要 因 が 考 え ら れ る。LMIT
に よ り原 因 薬 剤 を 検 出 した15例
の抗結 核 剤過 敏 症 患
者 は,平
均 年 齢 が62.9歳
か も全 例 が50歳
上,60歳
以 上 が80%も
た が っ て,患
で,し
以
占 め て い る 高 齢 者 で あ る。 し
者 自 身 の 免 疫 能 が 低 下 し て い る と考 え ら
過敏症以 上 に抗 結核 剤 過敏 症 の原 因薬 剤 検 出 に
れ る 。 す な わ ち,抗
LMITは
主要 な役
い 要 因 の 一 つ は,過 敏 症 患 者 自 身 が 高 齢 で 免 疫 能 が低
割 を演 じて い る と考 え られ る 。 ま た,抗 結 核 剤 過 敏 症
下 して お り,容 易 に 感 作 が 成 立 し な い た め と考 え られ
疑 診 患 者 は,LMIFに
る。 他 の 一 つ は,抗
有 効 で あ り,そ
(p<0.01)に
の 発 現 にDTHが
比 べLMAFの
高 く,β-ラ
検 出率 が有意
クタ ム剤 過 敏症 疑 診 患者 と
比 べ て も 有 意(p<0.001)にLMAFの
結 核 剤 過 敏 症 患 者 の潜 伏 期 間 の長
結 核 剤 自体 の 免 疫 原 性 あ る い は ア
レ ル ギ ー 原 性 が,β-ラ
ク タ ム 剤 に 比 べ 低 い と言 う点
検 出 率が 高
で あ る 。 し か し な が ら,抗
結 核 剤(特
関与 が 高 い
る)過 敏 症 の 発 現 率 は,炉
ラ ク タ ム 剤 過 敏 症 に比 べ
い。 こ れ は,抗 結 核 剤 過 敏 症 にLMAFの
こ とを示 唆 し て い る。
始 か ら過 敏 症 発 現 ま で の 期 間)が
伏 期 間(薬
剤投与 開
験 等 で さ ら に 検 討 す る必 要 が あ る が,結
全 例10日
以上であ
DTHの
り(以 前 に感 作 が 成 立 し て い れ ば3日 以 内 に 過 敏 症 状
る こ とか ら,結 核 菌 感 染 症 が 高 齢 者(免
前 に抗 結核 剤 の 投与 を受
た 生 体)に
けた こ とが な い こ と か ら,今
回 の 抗 結 核 剤 の服 用 に よ
り感 作 が 成 立 し た もの と考 え ら れ る 。 ま た,LMIT
で,15日
LMIT陽
の 患 者 の 潜 伏 期 間 は,平
未 満 が27%と
が33%で,30日
な わ ち 抗 結 核 剤 に よ りDTH
少 な く,15日
以 上 も33%を
均31.8日
以 上30日
未満
占 め た 。 一 方,
性 薬 剤 を 検 出 し た β-ラ ク タ ム 剤 過 敏 症 患 者
68例 の 潜 伏 期 間 は,平
均11.0日
で,15日
未 満 が85
%と 大 半 を 占 め,15日
以 上30日
未 満 が14%と
少な
核 菌 自体 が
高 い 免 疫 原 性 と ア ジ ュバ ン ト作 用 を 持 っ て い
を呈 す る と考 え られ る),以
が 成 立 し た15例
よ
て 決 し て低 くは な い 。 こ の 点 に つ い て は,今 後 動 物 実
17例 の 過 敏 症 疑 診 患 者 は,潜
陽性 薬 剤 を検 出 し た,す
にRFPに
お け る抗 結 核 剤(免
い 抗 原)のDTHの
疫 能 の低下 し
疫 原 性 の あ ま り高 くな
誘 発 を高 め て い る 可 能 性 も考 え ら
れ る。
各 結 核 剤 のLMITの
RFPが65%,EBが31%で,RFPが
陽 性 率 は,INHが12%,
他 の2剤
よ り
有 意 に 高 い 陽 性 率 を 示 し た 。 し た が っ て,RFPが3
剤 の 中 で 最 も ア レル ギ ー 原 性 が 高 い と考 え ら れ る。 ま
た,RFPはLMAFを59%も
か6%し
検 出 し,LMIFを
わず
か 検 出 し て な い 。 す な わ ち,RFPに
よ る
DTHはLMAFの
関 与 が き わ め て 高 く,抗 結 核 剤 過
敏 症 に お け るLMAFの
関 与 の 高 さ はRFPに
て い る 。 著 者 ら は,LMAFはDTHの
後 期(感
期 間 が 長 い 場 合)に
作 程
1)
産 生 さ れ,
免疫原性
2)
過 程 を ど こか で ブ ロ ッ
か し な が ら,LMIT陽
例6と9は,INHの
K,
- reactivity
薬 剤 に よ る 異 常 は 認 め な か っ た こ とか ら,INHに
る過 敏 症 状 がDTH以
に よ るacetylisoniazideと
こ のacetylhydrazineが
5)
生 体 内 高 分 子 と共 有 結 合 を作
け で は な い と考 え られ る 。
drugs
to ƒÀ-lactam
Chemother.
24:
in
antibi241-250,
in
F: Structural
correlation
of ƒÀ-lactam
antibiotics
hypersensitivity.
- Cross
hypersensitivity
group
Chemother.
in
the
24:
to
C-3
side
cephems
chain.
251-264,
with
in
- alien
with
J.
a
Antimi-
1989
宇 野 勝 次: 白 血 球 遊 走 促 進 及 び 阻 止 因 子 の 検 出 か ら
1990
亀 谷 麟 与 隆: 薬 物 に よ る 肝 炎,
肝 炎 を め ぐる諸 問 題 。
日 本 医 学 会 総 会 会 誌S
53: 1157∼1160,
Mitchell
Timbrell
J R,
J A,
Thorgeirsson
U P, Black
M,
Snodgrass
W R, Potter
W Z,
Jollow D J, Keiser H R: Increased
incidence
of
isoniazid
hepatitis
in rapid
acetylator: pssible
relation
to hydrazine
metabolites.
Clin. Phar-
り易 く,肝 細 胞 障 害 を 発 現 す る こ とが 報 告 さ れ て い
に よ るDTHだ
leucocyte
allergenic
1975
な り,
る5,6)。した が っ て,INHの
代 謝 産物 に よる ア レル ギ
ー 原 性 も充 分 考 え られ ,INH過
敏 症 がINHそ
の もの
type
第19回
ら に酸 ア ミダ ー ゼ
acidとacetylhydrazineに
hypersensitivity
ル ギ ー 39: 1605∼1611,
4)
よ
体 内で ア セ チ ル化 酵 素
な り,さ
of
of
み た β-ラ ク タ ム 剤 過 敏 症 の 発 現 機 構 の 検 討 。 ア レ
外 の 発 現 機 序 もあ る可 能 性 が 示
唆 さ れ る 。 ま た,INHは,生
に よ りisonicotinic
crob.
3)
性 薬 剤 を検 出 で き な か っ た 症
の
detection
Yamasaku
tetrazolyl
よ る
再 投 与 に よ る 発 熱 を 認 め,他
to
Antimicrob.
cross
genicity
性 率 は12%で,INHに
J.
Uno
り,動 物 実 験 等 で 更 に検 討 す る必 要 が あ る と考 え る。
比 べ き わ め て 低 率 と 考 え ら れ る。 し
with
F: Application
1989
delayed
INHのLMIT陽
献
Yamasaku
tests
otics.
ク す る の か が 示 唆 され る 。 この 点 も興 味 あ る問 題 で あ
DTHはRFPに
K,
patients
作 程度 が強 いか抗 原 の感 作
る い はDTHの
Uno
migration
産 生 され る こ と を す で に 明 らか に
し て い る2,3)。し た が っ て,RFPはDTHの
が 低 い の か,あ
文
起 因 し
前 期(感
度 が 弱 い か 抗 原 の 感 作 期 間 が 短 い 場 合)に
LMIFはDTHの
NOV.1991
CHEMOTHERAPY
1044
macol.
6)
Timbrell
Ther.
18: 70-79,
J A, Wrigth
1975
J M,
Baillie
T A: Mono-
acetylhydrazine
as a metabolite
of isoniazide
in
man. Clin. Pharmacol.
Ther. 22: 602-608,
1978
VOL.39
NO.11
1045
抗結核 剤 過敏症
STUDIES
ON ANTITUBERCULOUS
BY LEUCOCYTE
AGENT-INDUCED
MIGRATION
HYPERSENSITIVITY
INHIBITION
TEST
Katsuji Uno, Motohiro Yagi
Pharmacy, Suibarago Hospital, Okayama-cho 13-23, Suibara-machi,
Kitakanbara-gun, Niigata 959-21, Japan
Osamu Sekine
Department of Internal Medicine, Suibarago Hospital
Fusanosuke Yamasaku
Niigata nishi Health Center
In
17
patients
genic
drugs
LMIT
and
sitivity
suspected
were
the
all
5 of
by
cases
over
1 of
factor
(LMAF)
LMAF
being
antituberculous
rate
LMAF
of
being
LMIT
found
is valuable
DTH
allergenicity
plays
in
leucocyte
three
a
was
detecting
major
antituberculous
12%
for
LMAF
in
the
agents,
often
INH,
65%
and
LMIF
pathogenesis
while
often
in
and
than
in
detected
LMIT-positive
for
at
59%
LMIF
Our
this
is
highly
in
EB,
and
The
for
activat-
71%
and
29
rate
(RFP
having
6%,
with
findings
for
the
RFP,
indicate
that
patients,
hypersensitivity.
involved
cases
10ƒÊg/ml
migration
The
31%
1 of
the
method.
were
LMIF
9 females,
and
extent
and
Leucocyte
of
hepatopathy,
syndrome
(EB),
cases.
detected
and
5 of
some
aller-
hypersen-
antituberculous-agent-hypersensitive
of
LMAF
RFP
for
agarose-plate
(LMIF)
than
for
to
the
evaluation
males
eosinophilia
indirect
17
were
more
drugs
all
11
ethambutol
factor
more
causative
an
or
for
inhibitory
(p<0.0005)
the
role
88%
(p<0.01)
drugs).
using
The
eruptions,
overlapped
(INH)
was
migration
significantly
in
performed
of
investigated
was
skin
with
symptoms
isoniazide
rate
of
identities
(LMIT).
were
distribution
9 cases
infiltration
allergic
was
for
sex
of
the
test
(DTH)
overall
pulmonary
LMIT
significantly
agents,
inhibition
consisted
of
50ƒÊg/ml
agent
the
of
LMIT-positive
and
found
The
categories
An
The
migration
These
1
antituberculous
hypersensitivity
agents.
the
was
to
leucocyte
pneumonititis,
(RFP).
highest
old.
symptoms.
%,
and
50
concentration
ing
each
years
by
Also,
concomitant
rifampicin
delayed-type
antituberculous
were
pyrexia.
antigen
of
determined
thrombocytopenia.
with
hypersensitivity
involvement
induced
and
of
RFP
in
DTH
has
induced
the
by
highest
RFP