18.病理科 病理検査室に提出される検体は、患者様に多大な負担をかけて採取されるものが多く、その取 り扱いは特に慎重を要する。検体の受付から報告までの作業過程でミスのないように細心の注 意を払う。 (1)組織診:全ての作業は声だし確認を行う ①検体受付 1) ホルマリン固定が不十分であると、乾燥や腐敗が進み貴重な検体が検索不能になるので、 液量不足や入っていない時は追加又は交換する。また、臨床側に取り扱いの注意を喚起 する。 2) 依頼書と検体容器のラベルと受付画面の氏名・患者ID・検体数を確認する。 3) 受付後、依頼書と検体容器にバーコードシールを貼る。 4) 別の者が依頼書と標本を再度確認(ダブルチェック)し、サインを依頼書に記入する。 5) 同姓・類似姓名がある場合は、マジックで依頼書と検体容器にラインを引き色分けし区別 しやすくする。 ②切り出し・検体処理およびパラフィン包埋 1) 依頼書と検体容器の氏名、病理番号、検体数を確認する。 2) 微小な検体の場合は紛失しないように細心の注意を払う。 (固定後にヘマトキシリン液などの染色液で着色し分かりやすくする。) 3) 依頼書、検体容器、カセットの病理番号、枝番を確認し検体をカセットに入れる。 4) カセットや試料袋に標本を出し入れするときに、紛失しないように注意を払いながら操作 を行う。 ③薄切・スライド貼付 1) 微小な検体は削りすぎて消失しないように注意してミクロトームを操作する。 2) 薄切した切片をスライドガラスに取るときに病理番号を再確認する。 ④染色 1) 試薬が十分に入っているかを確認し、不足していれば補充する。 2) 染色時に染色性を確認して薄ければ試薬の補充・交換を行う。 ⑤鏡検 1) 依頼書・スライドガラスの番号を確認する。 2) プレパラート標本のバーコードを使用して、診断入力両面を呼び出すことを徹底する。 a)患者毎に必ず保存し診断画面を閉じる。また、席をはずす場合も必ず保存し診断画 面を閉じる。 3) 鏡検を中断し再度診断を入力する場合は、直前の記憶に頼らず必ず標本に目を通し診 断することを徹底する。 ⑥報告 依頼書と報告画面を照合し、間違いが無ければ依頼書に「済」印(確認済みの意味)を 1) 押して返却する。 (2)細胞診:全ての作業は声だし確認を行う ①検体受付 1) 受付時に標本または検体容器と依頼書の照合を行う。 2) 採取された検体が適正であるか確認する。 3) 胸水・腹水中に十分な抗凝固剤が入っていないと検体が凝固し標本が作成できないの で、検体量の1割程度の抗凝固剤を入れてよく撹件することを臨床側に徹底してもらう。 組織診と同様に、検体の取り違えや受付番号に気をつける。 4) ②染色 1) 試薬が十分に入っているかを確認し、足りなければ補充する。 2) 染色前に検体のコンタミネーションを防ぐために、染色液の濾過を行う。 3) 染色時に染色性を確認して薄ければ試薬の補充・交換を行う。 ③鏡検 1) 依頼書・スライドガラス・システム入力画面の番号と氏名を確認し結果入力する。 2) 鏡検を中断し再度所見・診断を入力する場合は、直前の記憶に頼らず必ず標本に目を 通し診断することを徹底する。 ④報告 1) 依頼書と報告画面を照合し間違いが無ければ依頼書に「済」印(確認済みの意味)を押し て返却する。 (3)その他 ①臨床医との密なコミュニケーションをとる。 ②学会、講習会、勉強会に積極的に参加し、常に新しい知識を取り入れる。 ③問題のある症例は、病理診断の誤診を避けるために他の病理医にコンサルトする。
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