栄養だより 2015 年 9 月号

栄養だより
2015 年 9 月号
日中の暑さもやわらぎ、秋の気配が感じられるようになってきました。
これからは、朝・夕の気温差が激しくなり、風邪をひきやすくなって
きますので、体調管理には十分注意しましょう。
今回は、食品添加物のリンについて考えてみましょう。
リンの管理は、透析患者さんにとって心血管障害や死亡率など生命予後を左右するため
重要です。
高リン血症を防ぐには、どうしたらいいの?
※1日のリン摂取目標量は 700 ㎎
(日本腎臓病学会ガイドライン)
1食当たり 250 ㎎程度となります
リンは有機リンと無機リンにわけられます。
有機リンは肉や魚等の動物性食品や穀類や豆等の植物性食品などに含まれるリンです。
一方、食品の中の無機リンの多くは食品添加物に含まれます。
インスタント食品や加工食品、ファーストフード、コンビニ弁当、菓子等に乳化剤・
安定剤・酸味料・緩衝剤・着色安定剤・硬化剤・香料・酸化防止剤として含まれてい
ます。
有機リン
無機リン
吸収率 40~60%
吸収率 90~100%
腸管からの吸収率は、有機リンが 40%~60%に対し、無機リンは 90%以上と高く、
食品添加物の無機リンは、血清リン値を上昇させやすい為、食品添加物の多い食品
(インスタント・加工品・ファーストフード等)の使用頻度を控えましょう!
(参考)
当院の外来透析食
1 食当たり
リン 300mg
前後
約 2 食分
W チーズバーガー1 個
332mg
コーラ 350ml
56 ㎎
フライドポテト
174 ㎎
相当!!
合計 562mg
肉や魚、卵等の蛋白源にもリンが多く含まれていますが、血清リンを下げる為に、
食事中の蛋白質の制限を極端に制限すると蛋白質摂取不足により死亡率が上昇し、
かえって、身体に悪い影響を与えてしまう危険があります。
☆
リン管理のポイント
☆
身体に必要な蛋白質を確保して、血清リン値の管理を行なうためには・・・
①
蛋白質以外のリン(食品添加物)を減らすようにしましょう!
②
蛋白質の割にリン含有量が多い食品を控えましょう!
(例)牛乳・乳製品(チーズ・ヨーグルト)・ピーナッツ・小魚・レバー等
肉や魚は加工品ではなく、素材そのものを調理したものを選びましょう!
加工品を利用する際は、食べる前のひと手間で添加物を減らす事ができます!
【食品添加物を減らす方法】
食品添加物は、食品加工の過程で加えられたもので、細胞の内部にまでは入り
込んでいない為、加工食品をお湯に通すと短時間でお湯に溶け出してしまいます。
・インスタントラーメン・中華麺は、茹でこぼす
麺をゆでたら、ゆで汁を 1 回捨てて新しいお湯でスープを作る。
・竹輪・かまぼこ等の練り製品やハム・ソーセージは湯どおしする
切り込みを入れたり、カットしたり表面積を大きくして 2~3 分ゆでる。
食品の選び方や調理法で、食品添加物のリンを取り過ぎないようにしましょう。
熊本泌尿器科病院
栄養科