平成25年度 (事業実施期間 26.04~27.03)

国際ボランティア貯金寄附金の
配分事業完了報告書集
平成 27 年度版
(平成 25 年度寄附金配分事業)
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
《目
団
次》
体
団体名(実施国)
ページ
所在地
東京
特定非営利活動法人
幼い難民を考える会(カンボジア)
1
特定非営利活動法人
シャプラニール=市民による海外協力の会(バングラデシュ)
3
特定非営利活動法人
日本国際ボランティアセンター(パレスチナ)
5
国別・地域別索引
アジア
カンボジア
東 京
特定非営利活動法人
幼い難民を考える会
1
バングラデシュ
東 京
特定非営利活動法人
シャプラニール=市民による海外協力の会
3
中近東
パレスチナ
東 京
特定非営利活動法人
日本国際ボランティアセンター
5
カンボジア
特定非営利活動法人 幼い難民を考える会
所在地:東京都
事業名:就学前教育の充実のための保育者研修及び教材配布
配分額:2,134,162 円
あち
背景と目的
カンボジア政府は、より多くの子ども達に幼児教育を普及させるべく、2014 年から 3 年
以内に 1,000 か所の公立地域幼稚園を設ける計画である。しかしながら、幼児の情操教育
にかかせない絵本などの教材は不足しているのが現状である。
当団体はこれまでも教育省と連携し、支援の届きにくい僻地を中心に保育者への研修を
実施し教材を提供してきた。本年度は、カンボジア政府の計画の下、2014 年新設のすべて
の公立地域幼稚園に教材を配布するとともに、教育省が主催する州・郡の幼児教育担当者
対象の研修に同席し、配布する教材の使用法等について指導することとした。また、2013
年度に保育者研修を実施し教材を配布したウッドーミエンチェイ州の公立幼稚園をモニタ
リングし、フォローアップのための二次研修を実施することとした。
王実施状況
2014 年 4 月から教材の製作を開始し、9 月に製作が完了、10 月に配布準備を行った。
11 月に、公立地域幼稚園の保育者を指導する州・郡の幼児教育担当者を対象とした研修
(コアトレーナー研修)がカンボジア教育省幼児教育局主催で実施され、当団体スタッフ
はこれに同席し、研修に参加した州・郡の幼児教育担当者に対し、配布する教材の使い方、
修理方法等について指導した。研修は 11 月 17 日から 11 月 21 日まで、ポーサット州、プ
レイベン州の 2 か所で開催され、合計 288 名の州・郡の幼児教育担当者が参加した。また、
新設される公立地域幼稚園に配布する教材一式(絵本 8 冊、知育パズル 2 種)を 18 州の州・
郡の幼児教育担当者に手交、又は配送した。
その後、12 月から 2015 年 1 月にかけて、2014 年新設の公立地域幼稚園 18 州 284 か所の
保育者を対象に、コアトレーナー研修を受けた州・郡の幼児教育担当者が中心となり保育
者研修を実施し、284 セットの教材一式が保育者に配布された。これにより、新たに約 7,100
名の子ども達が絵本などの教材を楽しみながら学ぶことができるようになった。
また 2 月には、2013 年度に教材を配布したウッドーミエンチェイ州の公立幼稚園 8 園 11
クラスを対象にモニタリングを実施、教材が保育の現場で活用されていることが確認でき
た。その際、破損したままの教材を使用している等のケースがみられたため、32 名の保育
者を対象にした二次研修では、教材の活用方法のほか修理・管理方法についても指導した。
現地には日本人スタッフ 1 名が駐在し、事業管理にあたった。
効果と現地の反響
研修に参加した州・郡の幼児教育担当者からは「ただ絵本を読むだけではなく、どうや
ったら子どもが興味を持ってくれるのかがわかった」、公立地域幼稚園の保育者からは「絵
本などの教材の配布に本当に感謝している。研修では、幼稚園のカリキュラムの中で教材
をどのように活用したらよいかを学んだので、幼稚園ですぐに活用できる。
」、二次研修に
参加した保育者からは「教材について、より子ども達が取り組みやすい使い方を学習でき
た。今後は教材をきちんと管理し、修復が必要なものはできるかぎり直して長く使いたい。」
等の声が寄せられた。
1
製作したすべての教材をスタッフが確認
教育省幼児教育局との会議
配布した教材一式
コアトレーナー養成研修
新設公立地域幼稚園の保育者研修
配布した教材で遊ぶ子どもたち
2
バングラデシュ
特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会
所在地:東京都
事業名:障害者のリハビリ支援及び障害者家族グループの結成・育成
配分額:1,572,000 円
あち
背景と目的
活動地域であるノルシンディ県ノルシンディ中央郡およびライプーラ郡の農村部は、社
会的インフラ整備の遅れが顕著な地域で、この地域に住む障害者は普通の生活を送るため
に必要な支援を得ることが困難な状況に置かれている。
当団体はこれまでも現地パートナー団体 PAPRI と協働し、障害者支援の活動を実施して
きた。本年度は、従来実施してきた障害者へのリハビリ支援を継続するとともに、障害者
家族へのカウンセリングの実施や、障害者家族グループの活動の支援を行うこととした。
また本事業に直接関わる現地パートナー団体スタッフの障害者支援に関する専門性を高め
る目的で、研修を実施することとした。
王実施状況
障害者の家族に対する支援として、各家庭を訪問し、障害者の家族へメンタルケアも含
めたカウンセリングを 400 回以上実施した。また、学齢期の障害児がいる家庭のモニタリ
ング訪問を 223 回実施し、通学手当や奨学金等の制度を適切に利用できるよう支援した。
障害児 80 名への訪問リハビリも継続して実施し、障害児の家族に対し、家庭でできる基本
的なリハビリや介護方法を指導した。
また、障害者やその家族から構成された 2 つの障害者家族グループの会合に同席し、グ
ループの活動を支援した。障害者家族グループは、障害者が出演する啓発劇を 3 回実施し、
延べ 850 名の観客を動員した。この劇は、ノルシンディ県庁が企画した文化コンテストで 3
位に入賞し、障害者家族グループの啓発活動が広く認知されることとなった。
地域住民への啓発集会は 80 回実施し、延べ 1,500 人以上の住民が参加、行政官対象のワ
ークショップは 4 回実施し、延べ 80 名の参加があった。
本事業を実施する現地パートナー団体スタッフに対しては、専門性を高め、より丁寧な
障害者支援ができるよう、5 月と 6 月に延べ 3 日のケースワーク研修を実施した。
日本からは延べ 2 名のスタッフが駐在し、事業管理にあたった。
効果と現地の反響
リハビリの必要な障害児が家庭で家族によるリハビリを受けられるようになり、首がす
わる、足が動くようになる等の症状の改善が見られた。またより高度な治療を要するケー
スについて延べ 78 ケースを無料または低額で治療ができるよう病院に紹介する事ができた。
障害者家族グループのメンバーは障害者の権利や制度について学び、障害者手当や無料
バス乗車券の取得手続き、手当の申請に必要な出生登録の手続きを行うなど、具体的な成
果が得られた。また、ケースワーク研修に参加した現地パートナー団体スタッフは、必要
に応じた病院への紹介が行えるようになるなど、障害者支援の能力の向上がみられた。
啓発集会に参加した地域住民からは「私は決して障害者をいじめたりしない」
「障害者で
あっても必ず仲間に入れてあげる」などの声が上がり、行政対象のワークショップに参加
した行政官からは「障害者に対してどのような配慮をすべきかなど、これまでにない気づ
きがあった」等の声が寄せられた。
3
障害者家族グループの会合
村での啓発集会
訪問リハビリ
PAPRI スタッフ研修
障害者家族グループによる啓発劇
4
パレスチナ
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
所在地:東京都
事業名:子どもの栄養改善・貧血予防指導
配分額:2,173,000 円
あち
背景と目的
経済封鎖の継続により安定した食料の確保が難しいガザ地区では、子どもが成長に必要
な栄養素を摂取することが難しく、栄養失調や貧血の子どもの割合が非常に高い。
当団体はこうした状況を改善するため、これまでもガザ地区で子どもの栄養改善事業を
行ってきた。本年度は、前年度に引き続き子どもの栄養状態が特に悪かったジャバリヤ市
ビルナージャで、現地 NGO 団体 AEI と協働して栄養改善指導のできる 30 名の女性ボランテ
ィアを育成し、家庭訪問による栄養状態検査や栄養改善指導を実施、また地域の社会福祉
施設や医療施設、幼稚園等とのネットワークを築き講習会等を協働で実施することで、子
ども達の栄養状態の改善を図ることとした。
王実施状況
対象地域出身の女性ボランティア 34 名に、子どもの保健・栄養、その指導法等に関する
研修を 4 月と 12 月に延べ 8 日間実施し、実地研修は年間を通じて、現地 NGO の保健指導員
が女性ボランティアと組になり一緒に活動して指導した。
5 月から 6 月に、家庭訪問により 1,108 名の子どもの栄養状態検査を行った。空爆により
7 月から 8 月は事業の一時中断を余儀なくされたが、9 月、女性ボランティアや現地スタッ
フ全員の無事を確認し、10 月から事業を再開した。栄養状態の悪化への懸念から 10 月から
11 月に 915 名の子どもの再検査を行った。79 名の子どもに重度の貧血、栄養失調の疑いが
あり、現地 NGO のクリニックに紹介し、57 名が治療を受けた。また、家庭訪問による栄養
改善指導は、1,455 名の妊産婦及び 5 歳以下の子どものいる母親を対象に 2,291 回行った。
地域の社会福祉施設、医療施設、幼稚園に働きかけ、協働で実施した栄養改善講習会(調
理実習も含む)は 327 回、延べ 1,510 名の女性が参加した。今年度から始まった幼稚園で
の講習会は、幼稚園の先生の勧めもあり、母親だけでなく幼稚園児を対象にした講習会も
実施し、延べ 602 名の幼稚園児が参加した。
日本からはスタッフ 1 名が駐在し、短期専門家を 2 名延べ 13 日間派遣した。
効果と現地の反響
女性ボランティアの知識と技術が向上し、母親へのカウンセリングや栄養状態検査等、
指導員がいなくても手際よく活動する様子が見受けられるようになった。
対象地域でくる病と診断された児童の 93%が完治、中度~重度の貧血児童の 63%が軽度
の貧血に改善、軽度の貧血児童の 56%が完治した。また中度、重度と診断された栄養失調
児童の 60%が軽度の栄養失調に改善、軽度の栄養失調児童の 82%が完治する等、子ども達
の栄養状態に改善が見られた。
女性ボランティアからは「何度も戦争を経験し厳しい生活だけど、こうして多くの仲間
と活動できることは生きがいになる。ずっと活動を続けていきたい」
、栄養改善指導を受け
た母親達からは「事業を通じて知った正しい知識を大事にして、子どもを健康に育てたい」
「家庭訪問の丁寧な指導で、子ども達それぞれに合ったケアがあるのだとわかった。これ
からも是非家に来て指導してほしい。」等、感謝の声が寄せられた。
5
女性ボランティアへの研修
母親へのカウンセリング
現地 NGO 団体 AEI のスタッフ
栄養状態検査
調理実習に参加する母親たち
栄養改善講習会に参加する幼稚園児たち
6