ラムシルマブ ■ ラムシルマブ 新薬ファイル 欧米で承認された胃がん治療抗体薬 ラムシルマブ(欧米の製品名は「cyramza'」、米Eli U11y社)は化学療法実施後の進 皮切りに欧州でも臨床の場で使用されている血管内皮細胞増殖因子受容体(vascular Endothelial Growth Factor Receptor:VEGFR)に対する抗体医薬。胃がんの他、 2015年には大腸がん、肺がんについても適応拡大の申請が計画されている。 表1 ラムシルマブ投与群で1%以上5%未満の割合で発生した有害事象 ると、高血圧がラムシルマブ投与群 16%に対してプラセポ投与群8%、下 痢が14%に対して900、頭痛が9%に 副作用 ラムシルマブ投与群(%) 1 好中球減少 出血 プラセホキ又与群(冷) 47 09 47 09 17 発疹 4.2 対して3%、低ナトリウム血症が6% 腸閉塞 2.1 に対して2%だった 5%未満の発生 動脈血栓塞栓症 17 00 行胃がんにおいて、生物学的製剤単剤による全生存期間の改善を初めて示し、米国を で認、められた副作用(全Grade)を見 米国の添付文章から 率の有害事象は表1にまとめた ラムシルマブ投与群で最も多く見 られた重篤な有害事象については貧 血が3.8%で、赤血球輸血を受けた患 表2 ラムシルマブの主な開発状況 ^^^^^■■■■ 者の率はラムシルマブ投与群では 化学療法歴のある局 所進行または転移性 全生存期問 の胃がん、胃食道接 合部腺がん 355 申請中 発売 発売 (14/06) (15/01) Ph3 VEGF、A、 VEGFC、 VEGF、Dとの んにおいて、生物学的製剤単剤によ Ⅱ%であったのに対し、プラセポ'投 ナーゼである受容体のサブクラス 結合を阻害し、そのシグナル伝達を る全生存期間および無増悪生存期間 与群では87%だった腸閉塞が2.1% パクリタキセルとの 全生存期問 併用 665 Ph3 を見るとVEGFR、2はほとんど全ての 遮断する の改善を尓した初めての第3相試験 と報告されている臨床試験全体で カヘシタビンとシスフ ラチンとの併用 616 Ph3 Ph3 Ph3 となったこの試験の結果を基に米 は、ラムシルマブ投与群で報告され ベバシズマプを含む 化学療法歴のある転 Eli LiⅡy社は2013年10月に欧米でラ たGrade3以上の臨床的に重要な副 1050 Ph3 Ph3 Ph3 Ph3 VEGFRは受容体型チロシンキ 内皮細胞表面に、 VEGFR・1および VEGFR3は特定の内皮細胞だけと 化学痔J去1麦進行がんにも奏効 発現に差があるまた、VEGFR、2は 国際共同第3相のREGARD試験 ムシルマブを申請、米食品医薬品局 作用には、蛋白尿、消化管穿孔およ VEGFR、1と比べVEGFに対する結 は無作為化フラセポ対照二重盲検試 FDA)は2014年4月に承認、を与え び注入に伴う反応が含まれていた 合能は弱いものの強いりン酸化酵素 験で実施された対象はフッ化ピリミ た適応症は「フッ化ピリミジン系 REGARD試験の臨床検査評価によ 活性を持っている。そのために細胞 ジン系薬剤または白金製剤を含む化 か白金製剤を含む化学療法後に増悪 ると、ラムシルマブ投与群の8%に 内シグナル伝達に対する寄与が大き 学療法歴のある局所進行または転移 した転移性の胃がん、食道胃接合部 蛋白尿が発現したのに対してプラ く、血管新生の過程に大きく関与して 性の胃がん、胃食道接合部腺がんの 腺がんに対する単独療法」だ欧州 セボ投与群では3%であり、2例の患 いると老えられている 患者であるその結果、至適支持療 でも2014年12月に承認、されている 者が蛋白尿のために薬剤の投与が ラムシルマブはそのVEGFR、2の t去(Best supportive care : BSC)下 国内では日本イーライリリーが申請 中止されている REGARD試験に 細胞外ドメインに対するlgG1完全 で、ラムシルマブを2週毎に8mg/kg を1丁い、2015年2月8日現在、審査中 おける消化管穿孔の発現率は08%、 ヒト型モノクローナル抗体である 投与した群の全生存期間の中央値は にある 注入に伴う反応の発現率は0.4% 08年10月に米Eli L辺y社に買収さ 52力H 950O C14.45.フ)、プラセボ投 れた米lmclone systemS社によっ 与群は3.8 力月(95% C1 2.84.フ)とな て開発されたラムシルマブは り3700延長した(P=0.047、ハザード VEGFR、2に結合してVEGFR・2と 比 078 (95% CI 0.60-0998 著者 伊藤勝彦 東京薬科大学卒業、東京理科大学大学院薬学 研究科を修了。吉富製薬(現田辺三菱製薬) で創薬研究に従事した後、証券会社でアナ リスト、ベンチャーキャピタル業務を手掛け た。薬学博士。 46日経メディカル CancerRevieW 20153 胃がん 大腸がん 7 5 無増悪 生存期問 移性の大腸がんに対全生存期問 j義a,0 (14/11) Ph3 Ph3 するFOLFIR1療法と の併用 肝細胞 が'ん 乳がん 4 ソラフェニブ治療後 の肝細胞がんに対す 全生存期問 る緩和ケアとの併用 療法 550 Ph3 Ph3 Ph3 Ph3 6 白金製剤を含む化学 療法後に進行した非 全生存期問 小細胞肺がんに対す る化学療法との併用 1253 Ph3 Ph3 Ph3 Ph3 HER2陰性乳がんに 対するドセタキセルと の併用効果 1144 Ph3 Ph3 Ph3 153 Ph3 4 化学療法後に進行し た乳がんに対する力 ペシタビンとの併用 無増悪 生存期問 無増悪 生存期問 ClinicalTrialsgoV から作成 だった 高血圧、貧血、蛋白尿に注意 VEGFの働きを阻害する医薬とし (「ゼローダ」)または5、FU+シスプ マブとラムシルマブの違いは好例と ラムシルマブの米国の添付文書で てはべバシズマブ(Bevacizumab、 ラチンの併用療法の生存改善効果が し、える は、重度のまた時として致死的な事 アバスチン@」)がある。ベバシズマ 示せなかったと発表しているべバ 肝細胞がんの試験では全生存の有 加えて、ラムシルマブ投与群の無 象を含めて、出血りスクの増大に関 ブはりガンドのVEGFに対する抗体 シズマブとラムシルマブがともに 意改善を示せなかったと発表された 増悪生存期間の中央値は2.1力月 する警告田Oxed warn血g)が記載 で、 VEGFいずれのアイソフォーム VEGFとVEGFR、2の結合を阻害す ラムシルマブもべバシズマブと同様、 95% CⅡ5-2.フ)に対してプラセボ投 されており、重度の出血が発現した も認識可能だ。しかし、ベバシズマ る薬剤であるから、ベバシズマブが 多くのがん腫への適応拡大が期待さ 、群では13 力月四5% C113-1.4)と 場合は、薬剤の投与を中止すべきと ブを開発している米Genentech社は 胃がんに対して有効性を示す可能性 れている(表2)。それらの結果を含 6200 延長した(Pく0.001、ハザード比 ある REGARD試験において、ラム 2010年2月、手術不能または進行し も考えられる受容体に対する抗体 め、VEGFR、 VEGFに対する抗体の 0.48四50OCI0380.62) REGARD シルマブ投与群で発現率が5%以上 た胃がん患者の第3相試験でべバシ と、りガンドに対する抗体の違いが がん腫への反応性の違いの解明が待 試験は、化学療法実施後の進行胃が でフラセボ投与群よりも2%以上高率 ズマブと化学療法の力ペシタビン 討倫されることは多いが、ベバシズ たれるところでもある 圏 日経メディカル CancerRevieW 20153 47
© Copyright 2024 ExpyDoc