西岬海辺の里づくり協議会(千葉県館山市) 活動テーマ:茅葺き屋根の

西岬海辺の里づくり協議会(千葉県館山市)
活動テーマ:茅葺き屋根のある暮らしのサイクルの再生
団体設立経緯
「西岬海辺の里づくり協議会」は 2009 年、千葉大学が千葉県館山市塩見地区に唯一残る茅葺き民家「ゴンジロウ」
をお借りした事をきっかけに地元住民有志、市職員、千葉大学教員、学生をメンバーとして設立された
団体で
あり、団体の目標は、 同古民家を拠点として「茅屋根の手入れ」といったケアプロセスを通して多様な恊働の
場をつくりだし、地域コミュニティに基づく美しい里の景観を維持しながら、新しいコミュニティ運営の形を探
る事 である。これまでも活動拠点である茅葺き民家ゴンジロウのケアから始まって、地元住民と学生が話し合
いや里歩きを重ねながら地域の事を学び、現状の課題解決や将来について共に考え活動範囲を集落全体にな広げ
て来た。現在も月に1回程度メンバーが集まり、話し合う協議会を継続して開催しており、積極的に活動を行なっ
ている。
茅葺きのケア
農・風景のケア
暮らしのケア
これまでの活動:茅葺き民家ゴンジロウを核とした3つのケア
Time line
2009
・塩見散策ルートの提案
2010
掃除・障子替え
茅葺き改修
プロジェクト デッキ・茶室設計
2011
半屋テラス改修
2012
天井はがし、漆喰塗装
茅葺き葺き替えWS
さと
館山市塩見
かや茶会
ハナレ改修
2014
土間・トイレ
改修
休耕畑の再生
かや刈りWS
かや談義
・里歩きマップ作成
2013
茅葺き夏祭り
活動地域の概要
西岬地区は千葉県館山市中心部から車で 15 分程の距離にある地区である。私たちが活動している西岬地区の中
の1つの集落である塩見地区である。塩見地区は千年以上前から続く人口約 200 人の小さな集落で、豊かな海と
山に挟まれ長い間半農半漁の里の生活が営まれて来た。しかし、近年では集落の人口減少・高齢化が進み住民だ
けで里の風景や里ならではの営みを維持し続ける事が困難になっている。里山の景観は山の奥の方から徐々に失
われており、耕作放棄地や空き家・空き地も少しずつ増えて来た。更に、新規移住者が増加しており新旧住民が
分離しているといった課題を抱えている。
活動の進
状況
今年度前半では、茅場再生を実際にどのように進めていくかについて地元住民と学生の間での打ち合わせを重ね、
実現に向けての準備を中心に活動を行なった。
《茅場再生に関する打ち合わせ》
第1回
参加者:地元住民 5 名、教員 1 名、学生 5 名
茅場再生について地元住民と学生で打ち合わせを行なった。
活動テーマである「茅葺き屋根のある暮らしのサイクル再生」を実現する為、まずかつてこの集落にあった茅葺
き屋根のある暮らしのサイクルを集落の探索と地元住民への聞き取りから明らかにし、それと並行して現実的に
再生出来る部分の再生に取り組む事とした。
その結果当初の予定を一部変更し、今年度の活動は、
①集落内のかつて茅場だったが現在荒れ地となっている場所(現在は山奥で入って行くのも困難)を地元住民と
学生が協力して探す
②3年前から刈っている茅場の茅刈りを継続して実施し茅場を維持すると共に、現実的に再生出来そうな茅場を
見つけて茅刈りを行ない収穫出来る茅の量を増やす
の2点を中心に行なう事を決定した。
第2回
参加者:地元住民 5 名、教員 1 名、学生 6 名
現地の地図をもとに茅場探検が出来そうな道はどれか、大体どの辺りにどのくらい茅場が存在していたのかにつ
いて話し合った。
その結果、昔茅場に行っていた人でももう正確な場所を覚えていない事、ほとんどの道が現在では木や竹が生え
て山になってしまい入って行くのは困難であるという事が分かった。
一方で、5 6 年前まで毎年草刈りを行なっていた道なら入って行けるかもしれないという事が判明した。
第3回
参加者:地元住民 6 名、教員 1 名、学生 12 名
茅場探検の直前であったので、当日のスケジュール、服装、注意点、役割などについて打ち合わせと探検を行な
う山道の入り口付近の下見を行なった。
また、打ち合わせ終了後学生達は実際に山に入って行なう道開拓の予行演習を兼ねて茅葺き民家ゴンジロウ周り
の環境整備を行い、道具の扱い方などの実践を行なった。
▶現在立ち入りが困難になっているかつて
茅山があった場所へ続く道
《仕事を語る会》
茅葺き古民家ゴンジロウで「仕事を語る会」を開催
しゴンジロウプロジェクトに携わる学生と有志の建
築家約 40 名が集い、ゴンジロウプロジェクトの報
告及び意見交換を行なった。
《休耕畑の再生》
昨年度に引き続き、地元農家の女性から休耕畑の一
部を貸して頂き、植え方や育て方を指導して頂きな
がら再生を実践している。今年度はさつまいもの苗
を分けて頂き、栽培を行なっている。
今後の予定
今年度前半で決定した方針により、かつて集落内に存在していた茅場の再発見と再生出来そうな茅場の整備を並
行して行い、今後の「茅葺き民家ゴンジロウ」での継続的な活動につなげていく予定である。
10/10 地元住民と学生による茅場探検実施
11 月 さつまいも収穫
12 2 月 茅刈り実施予定