遠心模型による斜掘り溝型埋設管の土圧・変形測定 地盤工学研究室 まえがき 22 ニュータウン建設のための大規模造成地における下水道 . 5° A03TE018 椿本 臨 18 t 土圧計 管路の設置工法は、地盤をスロープカットして築造した溝 D に管を設置し、これを埋戻す工法が一般的に採用される。 以下、この設置工法を斜掘溝型と呼ぶことにする。この斜 土圧計 掘溝型で設置された管に働く土圧と変形挙動は明らかにさ れておらず、力学挙動を反映し切れていない現行の設計法 の適用性に関わる問題が生じている。 (a) R 管 22 . 5° 148 mm 9 土圧計 t 変位計 以上のことから、本研究では、斜掘溝型で埋設される管 D の力学挙動を解明し、現行設計に変わり得る合理的な設計 法の提案を行うため、土圧と変形に関する影響要因の水準 ダミー部 を遠心実験によって調べた。 (b) F 管 148 mm 図1 模型埋設管 実験は、図− 1、表− 1 に示す外径 9cm の R 管 (Rigid pipe) と F 管 (Flexible pipe) を、図 − 2 に示した2種類の勾配の斜掘り溝型方式で埋 め、これを遠心加速度 30G 場において、管に働く 垂直土圧σ、せん断土圧τ、管壁に生じる曲げひ 表-1 模型管の諸元 管外径 管厚 D (mm)t (mm) E p(kgf/cm ) F管 90 0.95 740000 R管 90 3.5 73 ‹ 模型地盤の作成は、管軸方向に土を詰 260 固め後の各層の層厚が 2 cm になるよう (a) 3 分勾配 によって、 ゆる詰地盤と密詰地盤を作成。 実験条件は、基準ケース(土被り高 D、 基礎厚 2/9D、溝型勾配 1:0.3、埋戻し土 90 20 50 20 50 含水比に調整して養生させた試料を、締 せ、落下高さ 1cm と 50cm に変えること 90 90 90 面で発揮される摩擦定数の関係である。 90 90 パーを貼り付けた溝壁と地盤材料の境界 砂をロートから模型管の軸方向に落下さ 0.33 (kgf/cm2) 0.67 36.7 ‹ 60 材料の物性を示す。cw,cw はサンドペー を作成した。S0(乾燥砂)を用いる場合、 P SP 90 めていく方法を採った。表2、3 に地盤 に順次、管軸方向に締固め、ゆる詰地盤 ポアソン比 2 ずみε、 管の鉛直たわみ量δを測定した。 S16(砂質土)を用いる場合、10 %の ヤング率 90 測定方法 260 (b) 5 分勾配 図2 斜掘り溝型模型 (単位:mm) 表-2 地盤材料の1次性質 粒 径 ρ dmax ρ dmin 地盤材料 最大 75μm G S (mm)未満(%) U C (g/cm3)(g/cm3) 2.7 2.0 16 70 1.92 1.42 S16 2.7 1.4 0 1.8 1.58 1.32 S0 w opt (%) 11.4 − 表-3 地盤密度と強度定数 の種類と状態 まさ土・ゆる詰)を基本と cd φd cw φw w ρd し、管剛性 2 種類において、土被り高、 地盤材料密度 (%) (g/cm3) (kgf/cm2) (deg.) (kgf/cm2) (deg.) S16 ゆる 10 1.5 0.09 38 0 30.7 溝型勾配、埋戻土の状態、埋戻土の種類 ゆる 0 1.43 0 37 0 38.6 を変化させて調べた。 S0 密 0 1.55 0 43 0 39.0 結果と考察 土被り高の変化に対して 測定したσとτの分布を図3 にプロットで示す。σは管中心向きを、τは下向きを正として極座標で 表してある。R 管、F管ともに土被り高に比例してσが大きくなっている。また、2 種類の管のσ分 布は、R 管では、鉛直方向に土圧が集中し、F管では土圧の集中がなく、等分布的になっていること が分かる。τはどの場合もσに比べてごく小さい。図4 に埋設管の設計で用いられる pv、ph 分布の比 較を示す。pv、ph は測定したσとτを用いて次式で算出される。 は管頂から反時計回りの角度である。 Key Word : 斜掘り溝型、埋設管、土圧、変形、掘削勾配、土被り高、管剛性、遠心模型実験 ○ △ □ 1 ○ △ □ 土被り高 1D 2D 3D 0 0 2 1 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 F管 2 1 0 0 0 0 は等分布である。また、土被り高が大きいほど分 曲げひずみ との比として示した。R 管は管頂、管底に土圧が集中した山形分布、F管 1 R管 2 測定計算土被り高 ○ 1D △ 2D □ 3D 600 pv=( cos + sin )Rd /Rd cos = + tan ph=( sin − cos )Rd /Rd sin = − cot 1 F管 図4 土被り高の違いによる pv、ph 分布の比較 1200 図3 土被り高の違いによる土圧分布の比較 管頂深度での土被り圧 1 1 0 1 R管 2 pv,ph 土被り高 1D 2D 3D 1 300 0 管頂 800 400 管底 -300 0 管頂 管底 -400 R管 F管 布は小さくなっており、土被り圧の影響が弱まっ -600 ている。図− 5 に曲げひずみεの分布を示す。横 -900 図5 土被り高の違いによる曲げひずみ分布の比較 ある。図のプロットが測定値、ラインが測定土圧 (図− 4 のライン) と管自重を外力として与えて求 めた計算εの分布である。測定εと計算εは F 管 2Dを除いて良く一致している。図から、R 管、F たわみ量δ (mm) 軸は管頂を 0°として反時計回りに計った角度で 0.25 3.00 測定値 3D 2.50 3D 計算値 2.00 2D 1.50 2D 1D 1.00 1D R 管 0.50 F管 0.00 土被り高の違いによる管のたわみ量δの比較 測定値 計算値 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 図6 管とも、土被り高に比例してεの値が大きくなっ -800 ている。また、F 管は R 管よりεの値が大きい。 図− 6 は土被り高の違いによる管のたわみδの 1 比較である。図の◇印が測定値、□印が測定ε (図 − 5 のプロット) の分布から仮想仕事の原理を用 ○ ○ △ △ 掘削勾配 3分勾配 5分勾配 1 0 0 いて計算した値である。測定 と計算 は R 管の 3 Dを除いて、どの場合ほぼ一致している。δは土 0 0 0 0 被り高に比例して大きくなっている。 図−7 は掘削勾配の違いによる土圧分布の比較 0 0 である。管剛性に関わらず、掘削勾配が大きい 5 分勾配の方がσが大きくなっている。また、図8 1 に pv、ph 分布の比較を示す。R管、F管ともに 5 R管 図7 掘削勾配の違いによる土圧分布の比較 分勾配では管頂がM型の分布に近くなり、値も大 きい 2 0 ①図− 3、5、6 に示したように、測定値 2 pv,ph 掘削勾配 3分勾配 5分勾配 1 結論 F管 1 1 0 どうしの力学的な整合性が得られたことにより、 測定精度は 1 部を除いて良好である。 ② 剛性管 2 1 0 0 1 2 2 1 0 0 は鉛直方向に土圧集中し、たわみ性管は等分布 的となるため、土圧集中の緩和が生じる。③土 0 0 被り高に比例して、土圧が大きくなり、管の変 1 1 形も大きくなるが、土被りの影響は弱まる④掘 2 R管 2 F管 削勾配が大きい方が土圧が大きい。 図8 掘削勾配の違いによる pv、ph 分布の比較 1
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