第1分科会記録 障害のある子どもとない子どもが共に学ぶ 話題提供者

第1分科会記録
障害のある子どもとない子どもが共に学ぶ
話題提供者
藤本
裕人(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
総括研究員)
小林
直紀(埼玉県教育委員会
石本
直巳(埼玉県立越谷西特別支援学校 教諭)
田中
良広(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
総括研究員)
真弓(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
総括研究員)
指導主事)
司会
澤田
まず、本研究所の田中総括研究員が、本分科会の趣旨について説明を行った。そして、上記4名より、
1.本研究所の交流及び共同学習推進指導者協議会の話題から、2.埼玉県の教育行政の立場から支援
籍の取組と課題について、3.埼玉県の支援籍を行っている現場から、通常学級支援籍学習と特別支援
学校支援籍学習の取組の実際と課題について、4.アメリカ・ケンタッキー州における視覚障害のある
子どもへの支援について話題提供がなされた。
(以上、要項p22-p29参照)
事前アンケートで寄せられた参加者の質問に対して、話題提供者より回答がなされた。
【質問1】今後、研究所で実施している交流及び共同学習推進指導者協議会では、どのような内容を取
り上げる必要があると考えるか。また、研究所が果たすべき役割、どのような理解啓発が必要であるか。
【藤本】すべての障害のある子どもへの合理的配慮について検討していく必要がある。これには、事例
を収集していかなければならない。また、共生社会に向けた理解啓発に関わる研修を行う必要がある。
これらは、インクルーシヴ教育を柱として取り組んでいかなければならない。
【質問2】今後の教育制度改革に、支援籍制度をどのように発展させていく予定か。教育行政側は交流
及び共同学習を支えていくために、どのような役割を担うべきか。
【小林】市町村教育委員会、各学校との連携が必要である。また、県民への理解啓発も進めていかなけ
ればならない。その1つの方法としては、学校にボランティアとして入ってもらうことで、障害のある
子どもや特別支援学校について理解してもらうといったことがあげられる。さらに、交流及び共同学習
の先進事例の収集を行うことも必要である。
【質問3】交流及び共同学習の評価をどうすべきか。障害理解教育の進め方、交流及び共同学習を進め
るにあたり特別支援教育コーディネーターは、どのような役割を担うか。
【石本】まずは障害のある子どもとない子どもが共に学ぶ機会を通じて、障害のある子どもの存在を知
ってもらうことが大切である。特別支援教育コーディネーターの立場から、いかに障害のある子どもを
理解してもらうか、支援籍を行うことでどのような効果が双方にあるのか説明することが求められる。
【質問4】アメリカの取組から学ぶことは何か。
【田中】欧米諸国での「多様性」
「Least Restrictive Environment(最も制約の尐ない環境)
」は、イン
クルーシヴ教育を考えるキーワードになる。交流及び共同学習は学習活動に焦点が当てられやすいが、
それ以外の場面での障害のある子どもの居場所づくりについても考える必要がある。
本分科会を総じて、参加者より自校での交流及び共同学習の取組事例の提供、高等学校段階での交流
及び共同質問の進め方等について質問がなされた。
最後に、田中総括研究員より現行制度の優れた点を活かしてインクルーシヴ教育の在り方について検
討を行うこと、ノーマライゼーションの理念の共通理解の必要性等が述べられた。