第42号 - 豊岡市

馬形埴輪
〔古墳時代/住吉東古墳/
神戸市教育委員会蔵〕
馬は、古墳時代中頃(約
1600 年前)に大陸から持
ち込まれた動物です。足が
速く、戦場でも威力を発揮
する馬。王たちはこぞって
馬を飼い始めたのです。
くら
この馬形埴輪は、鞍など
の馬具をつけた飾り馬を表
したもの。馬具の使われ方
がよく分かるほか、たてが
しっぽ
みを刈りそろえ、尻尾を束
ねた様子も見ることができ
ます。
亡くなった王の権力の大
きさを示すために作られた
のでしょう。
第 9 回特別展
歴史どうぶつえん ー暮らしの中の動物たちー
人間は、自然に抱かれ、自然とともに生きてきました。
■ 会 期:平成 27 年 9 月 17 日(木)~ 11 月 10 日(火)
その中で動物は、ペットとなり、食料となり、労働力とな
るなど、常に人間と関わってきました。人間と動物との関
■ 展示協力機関・個人 (50 音順・敬称略)
係は、
『古事記』
『万葉集』などの書物や絵巻物はもちろん、
朝来市教育委員会 朝来市埋蔵文化財センター いずし古代学習館
遺跡から出土する資料からも明らかにできるのです。
香美町教育員会 京丹後市教育委員会 京丹後市立丹後古代の里資料館
本展では、出土資料や工芸品、古文書などの歴史資料か
ら、長年にわたる「人と動物とのふれあい」の歴史を紹介
します。豊岡市は「人と自然が共生するまち」の実現を目
指し、さまざまな事業を進めています。コウノトリの自然
京都府立丹後郷土資料館 神戸市教育委員会 神戸市埋蔵文化財センター
多可町教育委員会 東京国立博物館 鳥取県教育委員会
鳥取県埋蔵文化財センター 鳥取県立博物館 鳥取大学地域学部
豊岡市コウノトリ共生課 那珂ふれあい館 姫路市埋蔵文化財センター
兵庫県立考古博物館 兵庫県立コウノトリの郷公園 野洲市教育委員会
野洲市歴史民俗博物館 与謝野町教育委員会 与謝野町立古墳公園
放鳥から 10 周年を迎える本年、私たち人間と動物・自然
石松 崇 加藤晴彦 君嶋俊行 小柴治子 斎木 巌 酒井雅代
との関わり方を見つめ直すきっかけにしていただければ幸
新谷勝行 高田健一 田畑 基 徳網克己 三橋陽子 森島康雄 いです。
安平勝利 山上雅弘 行俊 勉
豊岡市立歴史博物館ニュース 第 42 号 2015. 9
人とともに暮らしてきた動物たち
「人とともに暮らす」動物の代表は、犬などのペット。縄文時代や弥
生時代にも人間のそばには犬がいましたが、狩猟のために飼育されてい
たもので、ペットとして愛玩されていたのではありません。
動物をペットとして飼うようになったのは、今から約 1500 年前の古
墳時代。奈良・平安時代には大陸からさまざまな動物が持ち込まれ、珍
しい動物を飼うことが流行しました。特に猫は「手飼いの虎」と呼ばれ、
可愛がられました。ただし、ペットを飼っていたのは、天皇や貴族など
一部の権力者だけ。ペットが庶民に広まるのは、金魚や小鳥の大量繁殖
が始まる、江戸時代後期(約 200 年前)になってからのことです。
「見世物」の虎
〔江戸時代/「祭礼風俗絵馬」/御出石神社蔵〕
江戸時代、
舶来の動物の見世物が流行しました。
魚が描かれた琴
〔古墳時代/袴狭遺跡/
豊岡市教育委員会蔵〕
サケやスズキと考えられます。
〔弥生時代/玉津田中遺跡
/兵庫県立考古博物館蔵〕
土器に描かれた鹿
〔古墳時代/大耳尾 1 号墳
/京丹後市教育委員会蔵〕
鹿の飾りが付いた土器
ネコ科動物の足跡が付いた土器
立派な角が生えた雄鹿が描
2 頭の鹿が表現されてい
土器の制作中に偶然踏ん
かれています。
ます。
でしまったのでしょう。
〔古墳時代/見野古墳群
/姫路市教育委員会蔵〕
粘土で作った犬
〔江戸時代/姫路城ほか/
姫路市教育委員会蔵〕
暮らしに役立った動物たち
動物は、さまざまな形で人間の暮らしに役立ってきました。肉が食料になったのはもちろん、硬い骨や角は釣針など
の道具になり、美しい貝殻や鼈甲(ウミガメの一種の甲羅)は工芸品にも用いられました。また、馬は移動手段に、牛
は牛車や田畑の耕作に、
鵜や鷹は狩猟になど、
足の速さや力の強さなどの特長を活かして、労働力としても活躍しました。
現代、動物は科学技術の進歩に大いに役立っています。例えば、500 系新幹線には、騒音防止のためカワセミの嘴
やフクロウの羽の形状が採用されています。このように、動物は私たちの暮らしをより幸せにしているのです。
きば
骨や牙で作ったペンダント
〔弥生時代/駄坂川原遺跡
/豊岡市教育委員会蔵〕
かくはい
「角杯」を表した土器
〔古墳時代/大耳尾 1 号墳
/京丹後市教育委員会蔵〕
「皮袋」を表した土器
〔古墳時代/八幡山 6 号墳
/香美町教育委員会蔵〕
鹿などの骨・牙に穴を開 騎馬民族が用いたコップ。 動物の皮を縫った「皮袋」を模し
けて使っています。
つの
本来は角で作っていました。 た土器。
皮袋は騎馬民族の水筒です。
豊岡市立歴史博物館ニュース 第 42 号 2015. 9
馬具
〔古墳時代/宮内中山 6 号
墳/朝来市教育委員会蔵〕
動物埴輪の世界
古墳の周りに立て並べられた埴輪。そのうち、動物の埴輪は馬・鹿・鶏・水鳥が中心で、多くの動物がいた古墳時代
でも、埴輪に表された動物は限られていたことが分かります。
動物の埴輪に込められた思いはさまざま。例えば、鶏は『古事記』神話に朝を知らせる霊鳥として描かれていて、光
を呼び込んで死者に近づく邪気を払う役割がありました。また、馬具で飾られた馬は、権力者の威厳を示し、死者を来
世へと導く意味があったと考えられています。動物埴輪を調べることで、古代人の死者への思いも理解することができ
るのです。
鹿形埴輪
動物をかたどった土製品
〔古墳時代/蛭子山 1・2 号墳/
与謝野町教育委員会蔵〕
龍?を描いた円筒埴輪
馬形埴輪
〔古墳時代/ヤスミ塚古墳/
鳥取県立博物館蔵〕
〔古墳時代/網野銚子山古墳/
京丹後市教育委員会蔵〕
小鹿の埴輪。王の狩りの様
龍のような生き物を線で表現し
鞍の周りのみが残されて
ています。
います。
鶏や犬などをかたどっています。 子を表現したものでしょう。
祈りの場に登場する動物たち
〔古墳時代/森向山古墳/
朝来市教育委員会蔵〕
くら
食料となった動物たち
古来より、まつりやまじないの場にはさまざまな
人間が生きていくためには、動物性たんぱく質や脂肪が必
動物が登場します。動物に込められた祈りは、豊作
要。縄文時代の貝塚からは動物の骨や貝が大量に出土してい
や雨乞い、厄除けなどさまざま。その意味や役割は
て、多くの動物が食べられたことが分かります。また、動物
時代ごとに異なっています。
を捕えるための弓矢や漁具も発達しました。
あらゆる自然に霊威を感じていた縄文時代には、
しかし、仏教の普及とともに「殺生は罪悪」という思想が
特定の動物に祈りを奉げることはありませんでし
広まり、肉食は避けられていきました。しかし、野生の魚・
た。しかし、稲作が本格化する弥生時代以降、豊作
鳥の食用は続いていたほか、狩りや漁をして暮らす人々がい
を祈り、収穫に感謝するまつりの場で、多くの動物
たことも事実。鎌倉時代には、
「動物を殺して食べれば、人
が登場。特に、馬は「神の乗り物」とされ、雨乞い
と一緒に成仏できる」という殺生を功徳とする考えが広まり、
や農耕に関わるまつりの場で頻繁に用いられるよう
人々は葛藤しながらも狩りや漁業を続けていました。 になりました。
馬形〔平安時代/祢布ヶ森遺跡/豊岡市教育委員会蔵〕
3
イイダコ壺〔弥生時代/玉津田中遺跡/兵庫県立考古博物館蔵〕
豊岡市立歴史博物館ニュース 第 42 号 2015. 9
想像上の動物たち
人と動物の未来
ほうおう
ドラゴン(龍)
、フェニックス(鳳凰)
、ユニコー
私たちの暮らしは、「開発」「発展」することで便利で豊
ン(一角獣)やペガサス(天馬)など、想像上の動物
かになりました。しかし、動物から見れば、生息地を破壊、
は世界各地にいて、日本では龍や鳳凰、四神(4 方位
追われた歴史にほかなりません。また、私たちは多くの動
の守り神)などがよく知られています。日本で知られ
物の肉を食べていますが、食欲を満たすための “殺生” に
る想像上の動物の多くは、不老不死の効果がある「霊
後ろめたさを感じ、葛藤することはほとんどありません。
獣」として中国から伝わってきたものです。
自然や野生動物に対する無知・無関心が広まった今、人
古代日本で出土する想像上の動物たちは、中国の思
間と動物がより良い関係を築いていくためには、先人たち
想を正しく理解して描かれたものがある一方、単なる
の知恵や技術とともに、葛藤を知ることも大切。動物が語
デザインとして採用されたものもあります。古代日本
る歴史にもっと耳を傾けてみませんか。
に中国の思想がどのようにして広まったのかを知る上
で重要な資料なのです。
龍が表現された刀飾り
し
〔古墳時代/伝八頭町/
鳥取県立博物館蔵〕
び
寺の屋根に飾られた鴟尾
2 頭の龍が向かい合い、
〔飛鳥時代/等ヶ坪廃寺/
鳥取県立博物館蔵〕
玉をくわえている様子が表
鴟尾はしゃちほこの 原
現されています。全体に鍍
型。火災防止のまじないと
金(金メッキ)をしたきら
して、鯱(雨を降らす想像
びやかな製品です。
上の魚)を表しています。
と
きん
しゃち
関連事業のお知らせ
人間とコウノトリの共生(豊岡市内にて)
豊岡市立歴史博物館のご利用案内
むかし
■おはなし会「どうぶつたちの昔ばなし」
とうじょう
むかしばなし
かみ
平成 27 年 4 月 1
日、 館名が変わり
ました!
え ほん
どうぶつたちが登場する昔話を、紙しばいや絵本
よ
き
たの
の読み聞かせで楽しみましょう!
日 時:平成 27 年 10 月 31 日(土)
午前 10 時~
会 場:豊岡市立歴史博物館 映像ホール
講 師:豊岡市立図書館日高分館職員
*中学生以下は無料(保護者は入館料が必要です)。
*予約は不要です。
■学芸員講座「暮らしの中の動物たち
~その歴史を紐解く~」
会 期:平成 27 年 10 月 31 日(土)
午後 1 時 30 分~
会 場:豊岡市立歴史博物館 映像ホール
講 師:前岡孝彰(当館学芸員)
*聴講には入館料が必要です。予約は不要です。
*講座終了後に、特別展の展示解説をおこないます。
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博物館キャラクター
たじまろ・くにひめ
■開館時間 午前 9 時~午後 5 時(入館は閉館 30 分前まで)
■休 館 日 水曜日(祝日は開館し、翌日休館)
年末年始(12 月 28 日~ 1 月 4 日)
■入 館 料 一 般 500(400)円
高 校 生 200(150)円
小中学生 150(100)円
*( )は 20 名様以上の団体料金
* 県内小中学生は無料(ココロンカードを提示してください)
* 65 歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方は半額
■ 最新情報はホームページをご覧ください。
http://www3.city.toyooka.lg.jp/kokubunjikan/
■ facebook ページ公開中!
http://www.facebook.com/tajima.kokubunjikan
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