20.ガン克服体験記 2015/1投稿

寺さんのもっと健康セミナー20
ガン克服体験記
ガン克服体験記
私は 2012 年 6 月に胃の噴門部(食道の近く)にガンがあることが分かりました。
それも早期を通り越して進行ガンに達していたため、腹腔鏡手術ではなく外科手術
にたよらざるを得ない状態であることがわかりました。
自覚症状としては食事を
飲み込んだ時に胸につかえることが時々あり、お茶を飲んで流し込むことがありま
した。 頻度は時々なのでそのうち医者で調べてもらおうと軽い気持ちでいました。 消化器クリニッ
クの内視鏡で腫瘍が確認され、すぐに病院で精密検査をしてもらう方がいいと勧められました。 そこ
からガンと戦うことになったのです。 痛みや違和感がないのでガンと言われても自分が病人とは思え
ませんでした。 現在日本では 50%の人がガンになるという統計があり、インターネットにもガン闘病
記録が多数掲載されています。 また退職した方でガンになった人、ガンで亡くなった人も多数見聞き
し、読者の中でも今後何らかのガンが見つかる方も出てこられると思います。 健康セミナーを行って
いる私としては、恥ずかしい思いをしていますが、今後ガンが見つかる人の参考になると思い、体験記
をまとめました。 まだ手術して2年余りしかたっていないので、克服したとはっきり断言できる段階
ではありませんが、今の私の状況は手術前の生活に戻ってきたと言えます。 いざとなった時に皆さん
の参考になれば幸いです。
目次
1.ガンの発症はいつ? ・・・・・・・・・・・・・・2ページ
2.ガンの特徴
・・・・・・・・・・・・・・3ページ
3.病院での治療方法
・・・・・・・・・・・・・・4ページ
4.栄養療法
・・・・・・・・・・・・・・6ページ
5.現在の状況
・・・・・・・・・・・・・・8ページ
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1.ガンの発症はいつ?
ガンはなぜ出来るかというと、活性酸素によって DNA が変異
を受けます。 (活性酸素が DNA の塩基から水素を奪う)
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日に数千個の DNA 変異が起きているようです。 DNA の変異は
通常なら DNA 修復酵素によって修復されたり、免疫細胞によっ
て異常細胞として食べられることによって、発生が抑えられてい
るのですが、栄養不足やストレス多寡によって、変異細胞が生き
延びてしまうことがあります。 この変異細胞がしだいに大きな
変異を起こし、ガンとなります。
1 個の細胞は直径 20um 程度ですが、1000 個になると直径
0.2mm、100 万個になると 2mm、10 億個になると 2cm の塊とな
ります。 直径1~2cm になると、検診でも発見できる大きさに
なりますが、この大きさになるまでに体内で約 15 年かかってい
ます。
(右図参照)
検診であれ、体の異常から見つかったものであれ、ガンが見つ
かるのは、野球でいえば 7 回ぐらいのゲーム終盤ということにな
ります。
残されたのはあと 2 回だけで、処置しだいでゲームの勝ち負け
が決まってきます。
図1
ガンの一生
さて直径 2cm を超えるとガン細胞が飛び散って、別の場所で新
しい腫瘍を作る「転移」が生じてきます。 転移したガンは元の
ガンよりたちが悪くなり、発育速度も速くなります。 従ってガンは転移を食い止めることが非常に
重要で、転移した腫瘍を小さいままで留めておくことができれば、次の転移の危険性を減らすことが
できます。 しかし大きさが 20cm 以上になると死の危険性が出てきます。
ガンが 2 倍になる時間をダブリングタイムと言いますが、常に理論値より長いため、活動期と休止
期があると考えられています。 抗ガン剤は活動期のガン細胞に効くけれども、休止しているものに
は効きません。 だから定期的に観察を続けていくことが大切で、この間ガンが大きくならないよう
なら、悪性度は低いといえます。 なお転移したガンのダブリングタイムは、元のガンより早くなり
ます。
ガンは血液から栄養分を摂りますが、塊が大きくなると血管(新生血管)を勝手に作ってしまいます。
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2.ガンの特徴
ガンの最大の特徴は転移です。 他の疾患では患部を治したらそれで終了になるのですが、ガンは
原発箇所を取り除いても、他の臓器に転移しているとそこで成長するからです。 しかも転移したガ
ンは活動が活発で、原発ガンより成長速度も速く、もたもたしていると全身に転移が進んでしまいま
す。
一般的に手遅れになるのは、転移が進んでいることを意味します。
さらにガンで亡くなった人を見ると、やせ衰えて骨と皮だけになった状態になっているということ
です。 そうなる前には激しい痛みに襲われることが多いです。 医者から「これ以上治療できない、
後はホスピスを紹介するだけ」と言われると、死を宣告されるのと同じです。
確かに近年ガンの治療方法は改善されてきましたが、抗ガン剤が十分に開発されたわけではなく、
また重粒子線治療も一部のガンには有効になっていますが、まだまだ現代医療で対応できない患者も
多くおられます。
最近少量の血液でガンを検知できる方法が開発されました。 一般に普及して毎年の検診に使えるよ
うになれば早期ガンの段階で対処できると思います。
ここでガンによる体内の変化を説明します。
図2
ガンによる体の変化
ガン細胞はブドウ糖をエネルギー(熱)源とし、その消費量は正常細胞の 6 倍にもなります。 糖
尿病のようにいつも血糖値の高い状態はガンが育ちやすい環境と言えます。 血液中のブドウ糖が減
ると肝臓はタン白質(アミノ酸)を糖に変える工程を働かせます(糖新生)
。
肝臓に蓄えられてい
るアミノ酸がなくなると、筋肉からアミノ酸を摂ってきて糖に変えます。
ガンが大きくなるにはタン白質が必要ですが、それは血液中のアルブミンとヘモグロビンからとっ
てきます。 アルブミンが減ると肝臓は筋肉からアルブミンの材料(BCAA というアミノ酸)をとっ
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てきてアルブミンを作ります。
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これらによって筋肉は痩せてきます。
ヘモグロビンが減れば(貧血)
、酸素供給不足となり、疲れやすくなります。
図2.エネルギー生産工程
(解糖、クエン酸回路、糖新生)
図2は炭水化物、脂肪、タン白質がどのような経路でエネルギーとなるかをまとめた反応経路です。
最終的には細胞の中のミトコンドリアという小器官に反応物が移動し、赤い円周で書いたクエン酸回
路に入って、一回りするうちにエネルギー(熱)が出ます。 反応に必要な補酵素が吹き出しに書い
てありますが、ほとんどビタミン B 群です。
ガン患者は食欲が落ちるため、ただでさえ少ないビタミン B 群の摂取量が落ち込み、エネルギー産
生回路(解糖、クエン酸回路)が進まなくなります。 つまり途中の反応工程で乳酸になってしまう
のです。 ガン細胞は乳酸により組織を酸性にし、正常細胞を働きにくくすると同時にガン細胞が働
きやすくする環境をつくるのです。
こういう工程を経て、ガンは患者の体がミイラになるまで筋肉のタン白質を食いつくし、患者を死
に至らしめるわけです。
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3.病院での治療方法(私の場合)
冒頭に書いたように、自覚症状は食べたものを飲み込んだ時、胸につかえることが時々あったこと
です。 最初の症状が出てから半年ほどすると頻度が高くなってきたので、思い切って消化器クリニ
ックで内視鏡検査を受けました。 退職してから 2 年ほどは、血液検査でいろいろな腫瘍マーカーを
調べてはいましたが、バリウム造影検査も内視鏡検査も受けてきませんでした。
内視鏡検査では食道と胃の間に腫瘍が見つかり、胃粘膜下腫瘍、胃ガン、食道ガン、リンパ腫が考え
られると言うことでした。 (生検で後日「低分化腺ガン」であることが分かりましたが、これは進
行ガンの場合悪性度の強いガンとのことです。
)
すぐに病院で精密検査を受けるよう薦められ、滋賀県の身近な病院に紹介状を書いてもらおうとし
たのですが、私が行ったクリニックは大阪の難波のため、滋賀県の病院のレベルが分からず、大阪の
病院を薦められました。 医師としては常日頃から患者を紹介している病院の方が、病院の質が分か
っているだけに、安心して紹介できるのでしょう。
ガン家系ではないのに、なぜガンになったのかを考えてみると、発症が 10 数年前なので、おそら
くリストラのストレスが原因だったと思われます。
60 歳を過ぎてからピロリ菌の除菌をしたり、
サプリで様々な栄養をとりはじめたのですが、この時にはガンを育てていたことになります。
各種腫瘍マーカーを含めた詳細な血液検査をしていたのですが、これでは見つからなかったのが
災いとなりました。
病院での検査はまずガンの進行度合いをみるため、内視鏡、CT、超音波内視鏡(EUS)
、PET の検
査を受けました。 その結果ガンの大きさは 5cm と早期を通り越していたため内視鏡による手術は
できず、外科手術で周辺の臓器(リンパ節、胆嚢、脾臓)も摘出すると言われました。 さらに腹膜
への転移を調べる為、腹腔鏡で調査手術を受けるはめになりました。 この検査で3期か4期かを切
り分けることになります。 腹腔鏡手術の結果では腹膜への転移は見つかりませんでしたが、胃の裏
側は開けてみないとわからないとのことでした。
近年手術せずに治療する重粒子線照射が話題になっていますが、胃ガンは症例数が少ないのか、治
療対象になっていませんでした。 重粒子線は食道ガンや前立腺ガン、乳ガンなど動かない臓器が対
象になっています。 これでは外科手術しか打つ手はありません。
治療の最初の抗がん剤投与は TS-1 とシスプラチンの組み合わせで手術の前に2クールをおこな
うことです。 ここでクールとは2~3週間抗ガン剤を投与することで、その後2週間ほど休み、再
び2~3週間抗ガン剤を投与すると2クールになります。 抗ガン剤のうち TS-1 は飲み薬のため自
宅で服用しますが、シスプラチンの点滴は腎不全を起こしやすいので入院となります。 このシスプ
ラチンは副作用として下痢・嘔吐などの被害を受ける人が多いようで、ネットのブログを見ると実に
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たくさんの人がどんなにひどい副作用を被ったかを書いており、自分もそうなるのかと戦々恐々の思
いでした。
この間に病院の検査結果を入手してセカンドオピニオンを得ましたが、標準治療(保険の効く治療)
しか知らない医者が、同じデータに基づいて判断するもののため、結局誰が行っても同じということ
が分かりました。
私の場合はクリニックから紹介された病院(大阪)に行きましたが、主治医が非常に優秀と感じた
ので、安心してその病院で手術を受けることに決めました。 病院の選択に関しては症例数の多い病
院ほど安心できるという考えがありますが、私の場合は医者そのもので決めました。
私は分子整合栄養医学会の会員であるため、ガンと分かってからはガン対策の栄養療法(基礎療法)
を行ってきました。 つまりガンの治療に耐えられる体をつくってから病院の治療に臨んだわけです。
入院前に具体的にとった栄養素:
1.筋肉が細くなるのを防ぐ
タン白質(ポリペプチド)
2.ヘモグロビンを増やす
ヘム鉄
3.副作用低減
グルタチオン、BCAA(アミノ酸)
4.炎症を抑える
EPA
5.NK 細胞を活性化させる
βグルカンとフコイダン
6.ガン細胞を死滅させ転移を防ぐ
ビタミン C、高濃度ビタミン C 静脈注射
このことは病院の医者には言っていません。 栄養学を学んでいない医者に話しても分かってもら
えないからです。 ビタミン C 静脈注射は病院から一時外出して、専門クリニックで点滴を受けるこ
とです。
入院の状況をまとめます。
1.病院の食事はご飯がどんぶりで出てきて、おかずは貧弱でとてもガンと戦えるものとは思えま
せんでした。 タン白質、ビタミン、ミネラルのいずれも不足しています。
不足分は持参していたサプリで補いました。 また手術前は一時外出して分子整合医学のクリ
ニックでビタミンCの静脈注射(点滴)も受けていました。
2.私が入院した病院は滋賀県ではなく大阪の北野病院です。 ここは大阪駅から歩いて15分ほ
どで行けます。 この病院で驚いたことは各職場の担当者が直接挨拶にくることです。 看護
師、薬剤師、麻酔医、手術担当看護師、ICU 担当看護師、リハビリ担当 というように次から
次へと挨拶にきてくれるのです。
これで手術前の不安がかなり解消されたのは事実です。
看護師はシフト勤務のため常時入れ替わっていますが、連絡はしっかりされていて、安心でき
ました。
3.余談かも知れませんが、病棟の看護師はいずれも美人ぞろいで驚きました。 どうしてこんな
になったのか聞いても分かりませんでしたが、これだけでも北野病院を選んでよかったと思っ
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た次第です。
4.手術から回復する途中腸閉塞を起こし、鼻から小腸までチューブをいれてガス抜きをして何日
も過ごしましたが、施術したのは主治医で、外来診察を中断して入院中の私の面倒を見てくれ
ました。
5.主治医の下に若い医者(30歳台)が付いていますが、彼はいつも病院にいて土曜日も日曜日
も患者の面倒を見ています。
ある時まったく違う診療科に散歩で行ったらそこにもいたの
です。 どういうことかと聞くと、休日は他の診療科でも緊急時対応のため、誰かがいなくて
はならないとのこと。 じつに献身的と思いますが、勤務医が過酷な状態に置かれていること
を実感しました。
これでは結婚相手を探す時間もありません。
6.看護師が患者に接するときは必ず保護手袋を変えます。 膨大な手袋が毎日消費されています
が、感染を防ぐ姿勢が見られました。
7.長いこと点滴だけの日がありましたが、成分はブドウ糖だけで、タン白質やビタミン、ミネラ
ルは入ってないことが分かり、保険薬の貧弱さがわかりました。 もっとも栄養素を入れれば
値段が高くなりますが、日本のガン死亡者数が常に増加しているのは、こんなところに原因が
あると思います。
8.消化器病棟に入院中の患者は75歳以上が多く、こちらから話をもちかけてもきちんと応対で
きる人は少なかった。
まれに元気な人が入院してきて、そういう人と食事を共にしました。
きちんと対応できない人はいつも一人でいるため、家でも同じ態度でいるのではないかと思わ
れます。 家で家族と付き合っている姿勢が入院生活にも出るはずですから。 私は高齢にな
ってもそういう風にならないよう努力をしようと思った次第です。
9.入院中は妻が家からいろいろ必要なものを補充してくれて助かりました。 ただ伴侶に先立た
れてからの入院は頼れる人がいないと不自由になります。 これは高齢者施設に入っても同じ
と思います。
4.栄養療法
日本の保険治療は 手術、抗がん剤、放射線 の3つを標準治療としています。 保険外治療とし
て栄養療法や免疫療法、玄米療法、重粒子線治療など、いろいろあります。
私は分子整合栄養医学協会に入っているため、迷わず栄養療法を取り入れました。 これは標準治
療の前に基礎療法として治療に耐える体をつくること、そしてガンの転移抑制だけでなくガン細胞の
死滅をおこなうことでした。
この栄養療法の成果は国際論文誌に掲載された標準治療による胃がん患者の生存率と、免疫療法も
行った患者の生存率、栄養療法も行った患者の生存率を比較したグラフでよく分かります。 (図3)
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栄養療法群=標準治療+栄養療法
免疫療法群=標準治療+免疫療法
標準治療群=手術+抗ガン剤
図3 胃ガン(3期、4期)の生存率比較
標準治療だけの人の5年生存率は 55%に対し、免疫療法群は 70%、栄養療法群は 90%となって
います。 標準治療群の追跡調査は 7 年しかできませんが、栄養療法群は医学協会会員のため、観
察期間は 20 年に及び、20 年生存率が 70%と驚異的に高くなっています。 さらに 2000 年ころか
ら高濃度ビタミンC静脈注射が行われるようになりましたが、このグラフの患者にはまだ採用され
ていませんでした。 したがって静脈注射を加えれば生存率はさらに上がります。 私はこのグラ
フを見て、ためらうことなく安心して栄養療法を取り入れたわけです。 栄養療法は病院での治療
が終わっても毎日取り入れるもので、ずっと続きます。
その効果は次のようなものでした。
1.抗ガン剤対策をしていたため、抗ガン剤による副作用が非常に軽かった。 食事も普通に食べ
られて、下痢や嘔吐もありませんでした。 副作用対策というのは血液中のアルブミンという
タン白質の値が 4.0 以上になるようアミノ酸をせっせと摂ることです。
何の対策もしない人は私と同じレベルでも白血球が減りすぎたため、これ以上治療ができない
と言われた人がいました。 また知り合いが食道ガンで抗ガン剤のシスプラチンを投与されて、
下痢・嘔吐がひどく、2 度とこんな治療は受けたくないと言って、治療を拒否しました。
2.退院前に主治医から摘出した臓器の細胞診断結果を聞きましたが、当然転移しているはずのガ
ン細胞が胃の裏側や胆嚢、脾臓のどこにも見つからなかった。 これは病院では初めてのケー
スとのことでした。
この一言で栄養療法の成果があったと実感しました。 もっとも私が栄養療法を取り入れてい
るということは主治医には伝えていませんが。
3.時々病院で診察を受けるのですが、主治医からこんな元気な人はいませんと言われます。
4.友人の知り合いは、同じように胃の全摘を受けたが、退院してから野良仕事はできるようにな
ったものの、げっそり痩せこけている。 ところが私は少しづつ手術前の体に戻ろうとしてい
ます。
次の図参照
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上のグラフは毎日の体重を定点観測したものです。 2012 年 11 月の退院後は食事がとれず単
純に減少する一方だったのが、2013 年は平均 44.1kg で、2014 年は 45.9kg でした。 1 年で
1.8kg 増加したことになります。
毎日変動するけれども、こうして一年を通して比べてみると増えてきています。 手術前のよ
うになるには、まだ 3 年かかることが予測できます。
ただ体重は増えればいいというものでもなく、脂肪ではなく筋肉を増やす必要があります。
そのためにはまずもってタン白質をとること、そして定期的に有酸素運動をすることです。
どちらも現在の私には日常の習慣となっているので、うまく行くと思います。
5.現在の状況
胃を全摘出した後遺症はあります。
1.胃の代わりに小腸が膨らんでくるが、以前の 7 割程度の食事量となる。 つまり栄養不足に
なりやすい。
2.噴門がないので、ゲップが出やすい。
3.胃液がないことによる影響
・タン白質分解酵素ペプシンがないため、タン白質の消化が悪い。 したがってタン白質の
摂取量が減ってしまう。
サプリで補うしかない。
・ビタミン B12 と葉酸の吸収が悪くなり、赤血球が大球性血球となる。
このため毛細血
管の血流が悪くなり手の指が冷える。 何も対策しなければ手のしもやけはひどいものに
なるし、夏場は明け方に足がつって痛さに悩まされました。
・鉄とカルシウムの吸収が悪くなる。 サプリで補わなければ数年後に貧血になる。
・タン白質が未消化のまま大腸に入るので、腸内細菌による発酵で「おなら」がとても臭く
なる。 消化剤を飲んでもまだ臭いと妻に言われます。
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・胃酸がないため、殺菌ができず、下痢になりやすい。 細菌の多い食べ物には注意するこ
とです。
4.胃の蠕動運動を受けないため、飲み込んだものがそのまま十二指腸に入り込みます。 した
がってこれを補うため、食べ物をよく噛んで唾液で消化をさせてから飲み込むことが大切で
す。
唾液には胃酸ほどではないけれども殺菌作用があります。
5.食後はすぐ動けず、しばらくじっとしているのを好むようになります。 無意識のうちに眠
ってしまうことも多いです。
血糖値が急に上がるからかも知れません。
6.時々食べ過ぎのためか食後にお腹がおかしくなって横にならざるをえない時があります。
運の悪い時には戻してしまうこともあります。もっとも戻しても胃液がないので、気持ち悪
くなりませんが。
栄養療法で通常より元気になるのは事実ですが、手術で胃を摘出するのはどうみても損の方が多い
です。
なるべくなら臓器はすべて残しておきたいものですね。
不要な臓器などないのですから。
通常より元気になったとはいえ、まだまだ油断できません。 体に無理なことは控えるような習慣
が身についてしまいました。 今は病院での検査が半年に一回になりましたが、転移がないことを確
認しながら、QOL の高い生活をしていきたいものです。
後記
先日分子栄養学のディレクターになっている加藤久美子という方が東京から神戸に来られて、20 年
前に出版した本の改訂版を出したと説明をされました。
その方はなんと 82 歳です。
タイトルは「あなたもきっと 15 歳若返る」というものです。 82 歳といえばよぼよぼの感じと思わ
れますが、栄養を十分に摂っておられる人はこんなに元気なんだと驚きました。 後期高齢者とはとて
も思えません。
親鴨会の会合で見かける人よりずっと若い感じがします。
Amazon.co.jp で検索して調べてください。 そして興味があれば購入して読んでください。
きっとあなただけでなくご家族(子供、孫)の役に立つと思います。
私は加藤久美子さんのようになりたいと願って、とりあえず親鴨会野洲支部のホームページに健康講座
を開き、こうして拙いながらも執筆を始めた次第です。 まだ本を出版するには至っていないのが残念
ですが。
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