【HESDフォーラム】琉球大学

琉球大学における ESD 推進の取組みと今後の方向性
大島 順子
(琉球大学観光産業科学部・ESD 検討ワーキンググループ)
1.はじめに
琉球大学では、2011 年 8 月より教育担当理事
副専攻」が 2013 年度に設置された。
3.ESD の推進と今後の方向性
の諮問のもと、持続可能な社会を構築するため
ESD の位置づけとして、2012 年度より 21
の担い手を養成することを目的とした ESD の
世紀型市民を育成するための学士教育プログラ
活動を推進する方策を検討してきた。「琉球大
ム(URGCC)がスタートしたが、ESD の推進は
学が推進するにふさわしい ESD とは何か」を
これを補完するものであり、学内の諸活動
検討するための意見交換会及び勉強会という位
(EA21 や各副専攻)における取組みと連携し、
置づけで設置された ESD 検討ワーキンググル
琉球大学の基本理念や中長期目標等に貢献する
ープ(WG)でまとめられた琉球大学における
ものである。学内において ESD という単語に
ESD 推進の今後の方向性について報告する。
対する認識は低いものの、その定義にあてはま
2.ESD 検討 WG の設置と活動
る活動は極めて多方面において行われていると
各部局の教員 13 名で構成された WG は、以
いうことが明らかになり、それらの活動を如何
下の 4 項目について議論を深め、 2012 年 12
にまとめ、わかりやすいものにするかという点
月まで計 7 回の会合を持った。
が求められている。
◆ 教職員・学生の啓発(認知度の向上)
具体的な今後の活動推進は、1)学内におけ
◆ 必要となる調査及び事業の企画・実施
る活動と、2)地域や国際機関との連携活動か
◆ 推進の方向性と具体的な方策の検討
ら整理された。学内における活動については、
◆ 推進に当たっての課題の抽出
ESD を全学で取り組むのか、あるいは部局毎に
WG では、議論の過程で浮かび上がった課題
取り組むのか、という体制を検討する必要性が
等について検討、また、推進に向けて整理して
挙げられた。学生有志を対象とした ESD 活動
おく必要のある情報を調査し、担当理事への答
の促進と支援は、継続していくことになった。
申における具体的な提言内容について、論点を
地域や国際機関との連携活動の点からは、2014
整理しながら 2013 年 3 月に報告書を取りまと
年度文部科学省に採択された「ちゅら島の未来
めた。主な取組みとして、ESD 勉強会の開催、
を創る知の津梁(かけ橋)
」事業を通し、地域と
学生課外活動団体との意見交換、ESD 関係組織
の連携が重要視される沖縄で、COC(Center of
への視察訪問、HESD フォーラム等の研修 会
Community)機能の強化との関連から、ESD 活
参加、大学等訪問(三重大、岡山大、岡山市役
動が大きなプロジェクトになりうる可能性があ
所) を実施した。また、学生を対象とした ESD
ることが確認された。国際機関との関わりでは、
リーダーシップセミナーの開催、ESD に関する
ユネスコスクールへの参加や国連大 学による
全学アンケート調査、そして ESD に関する講
ESD に 関 す る 地 域 の 拠 点 (RCE: Regional
演会(琉大 21 世紀フォーラム) を実施した。
Centre of Expertise on ESD) として登録され
全学的な教育課程への反映として、琉球の特性
ることの可能性も検討すべき重要事項となった。
を学び普遍的な価値を身につけた 21 世紀型市
今後は ESD としての組織体制の可視化と、島
民として、地域の持続発展可能な社会づくりに
嶼という特性を生かしアジア太平洋地域との連
貢献する人材養成を主たる目的とした「琉球学
携を視野に入れた推進体制の構築が期待される。