■管理図 目次 ★管理図とは ★工程のバラツキについて ★管理図の種類 (1) 統計量による分類 (2) 使用目的による分類 ★データの性質と管理図の選択 ★管理図の見方 (1) 統計的管理状態の判断 (2) 統計的管理状態にない場合の判定基準 (3) 工程の変化と 管理図の点の動き方 (4) 参考 8つの異常判定のルール 実現確率について ★管理図の使い方 ★規格と管理図との関係 -1- ★管理図とは →目次へ “管理図”は,「工程を管理または解析する道具として,アメリカの統計学者であるシューハート (W.A.Shewhart)によって考案された.これは,工程の異常を検出するため,工程が偶然原因によっての みばらつく状態(安定状態という)であるか否かを統計的に見分けるものである」. 管理図では,工程が安定状態であるかどうかを見極めるための判断基準である管理限界が設けられる. いずれの管理図においても管理限界は, (平均値)±3×(標準偏差) によって計算され,3 シグマ法の管理図といわれる. シューハート管理図は,ほぼ規則的な間隔で工程からサンプリングされたデータから作成される。こ の間隔は,時間(例えば1時間ごと)又は量(例えばロットごと)によって決める。サンプリングされ たデータのかたまりを群といい,それぞれの群は,同じ測定単位で群の大きさが同じ製品又はサービス からなる。各群から,平均値 X と範囲R又は標準偏差sのような群についての一つ以上の特性値を得る ことができる。 シューハート管理図は,群番号の順に打点した群の特性値のグラフで,中心線(CL)の両側に統計 的に求められた上方管理限界(UCL),下方管理限界(LCL)の二つの管理限界がある。この管理限界 線は対象として取り上げた特性値の中心線の上下にその特性値の標準偏差の3倍の幅をとっているこ とから,3シグマ法管理図ともいわれている。このように管理限界を設定すると,約 99.7%の打点値が 限界幅の内側に入ることが統計的に知られている。 安定状態又は統計的管理状 態とは,見逃せない原因が取り 除かれ,偶然原因のみによって 品質特性にばらつきが生じて いる状態をいう。 ★工程のバラツキについて →目次へ 工場などで製造される製品の品質は,必ずばらつきをもつ.工程において,品質のばらつきをもたら す原因には多くのものがある.これらの原因には偶然原因と異常原因がある. (1) 偶然原因によるばらつき ・原材料,作業方法,機械・設備などについて,技術的に十分検討した標準に基づき製造してもなお, 発生するばらつき. ・技術的にも経済的にも,これを除去する必要のないばらつき.不可避な原因によるばらつき. (2) 異常原因によるばらつき ・標準通りの作業ができていない,標準が適当でないなどのために生ずるばらつき. ・技術的にも経済的にも,これを見逃すことのできないばらつき. (3)自然のばらつきと異常原因によるばらつき 工程から生み出される製品の品質特性は,必ずばらつきをもっている。これは,その品質特性に影響 を及ぼす要因がばらつくからである。品質特性に影響を及ぼす要因は非常にたくさんあるが,及ぼして いる影響の程度,すなわち寄与率は大小いろいろである。そこで,通常我々は品質特性のばらつきをあ る値以下に抑えるために,影響の大きい要因をあるばらつき以下に抑えこみ,影響の小さい要因は自然 のばらつきのままに放置して作業を行っている。この場合に品質特性に生じるばらつきをやむを得ない ばらつきといい,このばらつきが生じる原因(要因と同じ)を偶然原因(chance cause) ,不可避原因, 突き止められない原因という。 また,あるばらつき以下に抑えこむことに決めた要因が,その位置を超えてばらついたり,自然のま まに放置することを決めた要因が,実は寄与の大きい要因でときたま大きくばらつくなどのばらつきを “いつもと違った,意味のあるばらつき”といい,このばらつきが生じる原因を突き止められる原因 (assignable cause) ,見逃せない原因,異常原因という。 -2- ★管理図の種類 →目次へ 管理図は,統計量および使用目的から一般的に次のように分類される。 (1) 統計量による分類 →目次へ 管理図は使用する統計量によって、次のように分類される。 データの種類 使用される管理図の種類 計量値 の場合 計数値 の場合 長さ・重さ・時間 強さ・成分・収率 純度etc. 不適合品率(不良率) 不適合品数(不良個数) 不適合数(欠点数) 単位当たりの 不適合数(欠点数) 平均値( X )と範囲(R) ~ メディアン(中央値) ( X ) と範囲(R) 個々のデータ nが一定でないとき nが一定のとき 欠点の現れる範囲の大きさが 一定のとき 欠点の現れる範囲の大きさが 一定でないとき 理論分布 X R 管理図 メディアン管理図 (Me管理図) X-Rs 管理図 p 管理図 np 管理図 正規分布 二項分布 c 管理図 ポアソン分布 u 管理図 (2) 使用目的による分類 →目次へ 管理図には,工程の現状把握や要因解析などに用いる解析用管理図と,工程の管理に用いる管理用 管理図がある. 管理図は使用目的によって次の2種類に分類される。 (a) 標準値が与えられていない場合 (解析段階の管理図) (管理線を工程の測定データから求めた値を用いる) 工程から生み出される製品の品質特性と,その特性に影響を及ぼす要因との関係を明らかにするこ とを工程解析という。この工程解析に用いられる管理図が解析段階の管理図である。 また,管理のための管理図を計画する段階で,層別や群分けのやり方,管理限界線の決定など, 管理のやり方を決めるために作られる管理図も,解析段階の管理図といわれる。 (b) 標準値が与えられている場合(管理段階の管理図) (管理線を過去の実績による平均値又は目標値±3シグマ(μ0±3σ0)を用いる) 管理図によって工程を管理するために用いられるもので,管理図本来の目的に沿った管理図である。 解析用管理図は標準値の与えられていない管理図,管理用管理図は標準値が与えられている管理図と いえる.標準値が与えられているとは,工程平均やばらつきの値が与えられている,またはわかってい る場合をいい,管理用管理図は解析用管理図からその値が与えられていると考えればよい. 1枚の紙に解析用と管理用の管理図を並べて書くなど二つを区別する必要がある場合には,解析用管 理図の管理限界線と管理用管理図の管理限界線は区別しておいたほうがよい。一般には,解析用管理図 の管理限界線は破線で,管理用管理図での管理限界線は一点鎖線で記入する。ただし,中心線は両管理 図とも実線とする。 -3- ★データの性質と管理図の選択 →目次へ 管理図は、品質特性を表わすデータの性質と群の大きさに応じて、次のように選択される。 → 計量値 → 群の数 (試料数) n → n=1 n≧2 → → → → → → → → X の計算が → 不適合品(不良品) の場合 → Rs:移動範囲 → ~ X R 管理図 (Me-R管理図) → No X R 管理図 Me:メディァン → n=一定 → 不適合品数 (不良個数) → np 管理図 → n=不定 → 不適合品率 (不良率) → p 管理図 → 範囲=一定 → 不適合数 (欠点数) → c 管理図 → 範囲=不定 → 単位当たりの 不適合数 (欠点数) → u 管理図 計数値 → Yes 面倒か? n:群の大きさ(試料数) → → X-Rs 管理図 不適合数(欠点数) の場合 n:群の大きさ(検査試料個数) -4- 範囲:欠点の現れる範囲 * X R 管理図 品質特性値が計量値で,比較的データが数多く得られやすい工程を管理する場合に用いる。例えば, 1日に5個のデータを採り,この5個のデータの平均値( X )と範囲(R)を求め, X 管理図で工程平 均の変化を,R管理図で工程のばらつきの変化を管理するのに用いる。この2つの管理図を併用して 用いることが一般的であるため,通常, X R 管理図と呼ばれている。工程についての情報が最も多 く得られる管理図である。 各群ごとに取られるサンプル数が大きいときには, X R 管理図ではなく, X s 管理図を用いる ことがある。 X s 管理図は X R 管理図の R の代わりに標準偏差(s)を用いたもので,おおむね n=10 以上であれば X s 管理図がよい。 *Me-R 管理図 ~ X R 管理図の X の代わりに Me(メディアン)( X )を用いたもので, X の計算がいらないという 便利性がある。メディアン管理図も X R 管理図と同様に R 管理図を併用する。 * X Rs 管理図 X R 管理図と同様に計量値のデータであるが,破壊検査を伴うなど、データの数が多く得られな い場合,群の内部が均一で多くのデータを得てもあまり意味の無い場合,又は測定値を得るのに時間 がかかるため,1個の測定結果でできるだけ早く工程の安定状態の判定をしたい場合などに用いられ る。 生データを用いてX 管理図として工程平均の変化を管理し,また,生データの移動範囲(Rs )を用 いてRs 管理図として工程のばらつきの変化を管理するのに用いる。移動範囲とは互いに隣あった2 つのデータの差である. *np 管理図,p 管理図 製品を1個ごとに適合品,不適合品に判別できる場合,サンプル全体の中に不適合品数 (不良品数) (np)または不適合品率 (不良品率) (p )の値を用いて工程を管理する場合に用いる。 サンプルの大きさn (適合・不適合の判別の対象となる製品の数) が一定で、不適合品数(不良品数) (np)で工程を管理する場合にはnp 管理図を用いる。 サンプルの大きさn が一定ではなく、不適合品率(不良品率) (p)で工程を管理する場合にはp 管理 図を用いるとよい。 *c 管理図,u 管理図 塗装むら,織物の織りむら,電線のピンホールなど製品の中のキズの数、電気製品のはんだキズの 数、設備のトラブル回数など不適合数(欠点数)によって工程を管理する場合に用いる。 製品のサンプルの大きさ(検査範囲) が一定 の場合には、不適合数(欠点数)で管理するc 管理図 を用いる。 製品のサンプルの大きさ(検査範囲) が一定でない場合には,単位当たりの不適合数(欠点数)に換 算した値(1単位当たり不適合数)で管理するu 管理図を用いる。 -5- ★管理図の見方 →目次へ 工程の管理では,管理図によって工程が統計的管理状態にあるかどうかを正しく判断することが重要 であり,異常が発見された場合は,すぐにその原因を調査し,処置をとる必要がある.以下に管理図の 見方を述べる. (1) 統計的管理状態の判断 →目次へ 管理図から工程の安定状態(統計的管理状態)を判断する基準は以下の二通りである. ① 点が管理限界線の外に出ない(管理はずれの点がない) 。 ② 点の並び方にくせがない。 注) 点が管理限界線上にある場合は外に出たものとみなさない。 管理図に打点した点のほとんど全部が,管理限界内におさまっており,点の並び方にくせがない状態 を安定状態又は統計的管理状態という。工程が安定状態というのは,工程に偶然原因のみが生じていて 突き止められる原因が生じていない状態のことをいう。 一方,点が管理限界線の外側に出た場合,及び/又は、点が管理限界線の内側でも点の並び方にくせ がある場合には,工程は管理されていない状態,または“工程異常”といい,異常になった原因を追究 し,除去し,工程を安定状態に戻すことが必要である.このように工程の異常を示す点のことを,管理 外れ,管理アウト,あるいはアウト・オブ・コントロールという. 上記の“管理限界外の点”の見方では,次のような場合に,工程は安定状態にあると判断する。 ① 連続 25 点全部が管理限界内にある場合 ② 連続 35 点中管理限界外の点が 1 点以内である場合 ③ 連続 100 点中管理限界外の点が 2 点以内である場合 ただし,上記の点数以内ならば点が限界外に出ても,原因探究をしなくてもよいということではない。 管理限界外に点が出た場合には,いかなる場合でも,その原因を探究し,処置をとらなければならない。 3 シグマ法の管理図では, 「工程に異常がないのに,異常があると判断してしまう誤り(第 1 種の誤り という)」は非常に小さく(約 0.3%)抑さえてあるので,打点が限界外に出た場合は異常があると判断し てほぼ問題ない.しかし一方, 「工程に異常があるのに,異常がないと判断してしまう誤り(第 2 種の誤 りという)」もあるので,この誤りを小さくするために,点の並び方やちらばり方のクセによる判断を行 う. (2) 統計的管理状態にない場合の判定基準 →目次へ 管理図から工程の状態を判断する基準(判定ルール)は,JIS Z 9021:1998「シューハート管理図」に, ( X 管理図の例として)8つのルールがあることを示している.そのルールは以下に記する. ただし,これらの判定ルールはあくまでも一つのガイドラインである.自社で判断ルールを決めると きには,工程固有の変動を考慮して決めることが望ましいとされている. シューハート管理図"では,点の動きのパターンを解釈するために,次の8つの異常判定のルールを 示している。上方管理限界と下方管理限界は中心線から3シグマの距離にあるので,ルールを適用する ために,次の図のように上方管理限界と下方管理限界の間を 1 シグマ間隔で6つの領域に分け,その領 域を上方管理限界から順に A,B,C,(中心線),C,B,A とする。 以下のルールは、 X 管理図とX 管理図に適用できる。これらの基準は正規分布を仮定している。 -6- 図 突き止められる原因による変動の判定ルール(JIS Z 9021:1998) 正常で安定した工程で、ルール1の管理アウトの発生する確率は 0.27%であり、非常に低い確率であ るから、管理アウトが発生した場合には、工程は統計的管理状態にはないと判断する。 他のルール2~7についても、正常で安定した工程では、その発生する確率は、ルール1と同様に非 常に低い確率である。 -7- ルール 1 管理アウト又は管理外れ 点が管理限界線の外に出た場合 点が上方管理限界線より上側,または下方管理限界線より下側に出た場合は,工程は異常と判 断する. ルール 2 9の連 点が中心線に対して同じ側に連続して現われる場合 「点が中心線に対して同じ側に連続して並んだ状態」を“連”といい, 「連を構成する点の数」 を“連の長さ”という.長さ 9 の連が現われた場合に工程は異常と判断する. ルール 3 傾向 点が上昇または下降傾向にある場合 点の並び方が,次々に前の点より大きくなる,または小さくなる場合,その工程に傾向がある と判断する.連続する 6 点が増加または減少している場合に工程は異常と判断する. ルール 4 14 点が交互に増減 点が周期的に上下に変動する場合で,14 点が交互に増減する場合に工程は異常と判断する. ルール 5 限界線に接近 点が管理限界線に接近して現われる場合 安定状態の場合には,点が管理限界線の近くに現われる確率は小さい.3 シグマ管理限界線に 接近しているという判断基準として 2 シグマを超えているかどうかで判断する.したがって, 2 シグマと同じ側の 3 シグマ限界線との間に,連続 3 点中 2 点以上が現われる場合に工程は異 常であると判断する. ルール 6 点が中心線のまわりに少ない場合(5 点中 4 点が領域 A,B にある) 点が中心線のまわりに少ない場合は,群間のばらつきが群内のばらつきに比べて大きすぎるこ とが考えられる.群分けのやり方を工夫するとよい.連続する 5 点中 4 点が同じ側の 1 シグマ を超えた領域 A,B にある場合,工程は異常と判断する. ルール 7 中心化傾向 多くの点が中心線の近くに集まる場合 点が中心線の近くに集まる場合は,群分けのやり方が不適当で,群内に異質なデータが混在し ている場合が多い.連続する 15 点が 1 シグマの領域(領域C)にある場合に工程は異常と判 断する.データの分布からいって一番内側の中に多くの点が入るのは当然のことではあるが, 連続 15 点以上も集まるというのは逆に異常である.群内に(各群の中に)異質なデータがないか, 層別しなくてはならないかを考える必要がある. ルール 8 点が中心部にない場合 連続する 8 点が 1 シグマを超えた外の領域 A,B にある場合は,通常では確率的に非常に低い 値であり、工程は異常であると判定する. その他の見方として、週単位で大波のある場合などの周期的な変動がある。 -8- (3) 工程の変化と X R 管理図の点の動き方 →目次へ X 管理図は工程平均の変化を,R管理図は工程のばらつきの変化を表す.工程の変化と X R 管理図 の点の動き方との関連を図に示す. この図を理解しておくと,管理図を見て工程の管理状態を判断することに役立つ. (a) 工程が安定状態の場合 工程平均も工程のばらつきも変化しない.安定状態の場合でも, X R 管理図の点は管理限界 線内で適当にばらつく. (b) 工程平均のみが変化した場合 工程のばらつきは変化しないで工程平均だけが下がった場合,R管理図は安定状態であるが, X 管理図の点は中心線の下側に連が出るようになり,下方管理限界線から飛び出すものもある. (c) 工程のばらつきのみが変化した場合 工程平均は変化しないで工程のばらつきが大きくなった場合,R管理図では中心線の上側に連が でき,上方管理限界線から飛ぴ出す点も出てくる.同時に X 管理図でもばらつきが大きくなり, 時には管理限界線から飛び出す点もある. (d) 工程平均も工程のばらつきもともに変化した場合 X 管理図,R管理図ともに点が管理限界線から飛び出すようになる. (e) 工程が傾向を持った場合 工程のばらつきは変化しないで,工程平均のみが段々と上昇する傾向がある場合,R管理図は安 定状態を示すが, X 管理図の点が段々と上昇する. -9- (4) 参考 8つの異常判定のルール 実現確率について →目次へ 管理図から工程の状態を判断する基準(判定ルール)は,JIS Z 9021:1998「シューハート管理図」に, ( 管理図の例として)8つのルールがあることが示されている。 統計的管理状態にある安定な工程では、工程のデータは次のように正規分布し、各領域の確率は次の 図のようになる。 統計的管理状態にある安定な工程では、工程のデータは正規分布をしていると考えると、異常判定ル ールが実現する確率は、上図の分布確率を利用して、次表のように計算される。 異常判定ルール ルール 1:管理アウト ルール 2:連続 9 点の連 ルール 3:連続 6 点の増加または減少傾向 ルール 4:連続 14 点が交互に増減 ルール 5:連続 3 点中 2 点が限界線と 2σ の間 ルール 6:連続 5 点中 4 点が限界線と 1σ の間 ルール 7:連続 15 点が中心線から 1σ の間 ルール 8:連続 8 点が中心線から 1σ の外 実現確率 0.0027 0.0039 - - 0.0009 0.0012 0.0032 0.0001 計算式 ±3σを超える確率 2×0.59 - - 2×0.02152 2×(0.0215+0.1359)4 0.682615 (1-0.6826)8 このように、異常判定ルールに相当する事象が発生した場合には、管理アウトと同じような低い確率 の事象が発生したと考えて、工程は安定し状態ではないと判断する。 ★管理図の使い方 →目次へ (1) 群分けの工夫 群分けの良し悪しが,使える管理図になるかどうかのポイントといえる.管理図は偶然原因によ るばらつきを基準にして異常原因によるばらつきを判断することを目的としている.したがって, 群内のばらつきが偶然原因によるばらつきだけで構成されるように,同じ日などの短い期間のデー タをまとめて群にしたり,作業が同じ条件で行われているロットからのデータをまとめて群にした りする. (2) 層別 管理図においても,同じ製品を複数の機械や何人かの作業員が製造している場合には,機械別, 作業員別に層別すると,工程の解析や管理が容易になる. - 10 - ★規格と管理図との関係 →目次へ 工程を解析し,さらに管理をしていく場合,管理図を作成し解析するとともに,計量特性値の場合に は,さらに個々のデータを使ってヒストグラムを作成し,規格との比較を行い,できたら,工程能力を 求め工程の現状が満足すべき状態か確認してみると,工程管理に有効な情報が得られることが多い. そこで,この管理図とヒストグラムとの解析結果を,図のように大きく四つに大別して考える, 参照資料:日本規格協会 新版 QC 入門講座 7 管理図の作り方と活用 工程を解析した場合,またこれから工程を管理していこうという場合,図において最も望ましい状態 D の状態である.すなわち,データは規格を十分満足し(工程能力指数で 1.3 以上が望ましい),しか は○ も管理図は管理状態であるという状態である. A○ B○ C○ D のいずれの状態にあるのか,現状の確認を したがって,工程を解析した場合,大別して図の○ A →○ B →○ D の順序で進めるのが望ましい. してみる.工程改善のプロセスとしては○ 上図の各段階での処置方法に関する基本的な事項を以下に示す. 段階 工程の 管理状態 規格値の 満足状態 ロットの処置 管理図/規格値の検討 D ○管理状態 ○規格値を満足 無検査 チェック的抜取検査 Cp>1.6 なら 管理図の廃止を検討 C △非管理状態 ○規格値を満足 抜取検査 管理アウトの原因追及 B ○管理状態 △不良品発生 抜取検査 全数検査 管理限界線の引き直し A △非管理状態 △不良品発生 抜取検査 全数検査 公差の拡張の可能性検討 - 11 -
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