中村 崇(なかむら たかし) 所属:遺伝子多様性グループ 専門

中村
崇(なかむら
たかし)
所属:遺伝子多様性グループ
専門分野:サンゴ礁生物学
所属学会:日本植物生理学会、日本サンゴ礁学会、
国際サンゴ礁学会
学部・修士: George Washington Univ. BS
琉球大学海洋自然学科・理学(生物学)
博士:琉球大学理工学研究科・海洋環境学専攻
学位:博士(理学) 2004 年 3 月
学位論文:Water flow effects on reef-building corals
主な職歴:日本学術振興会特別研究員 (DC, 2003 年 4 月−2004 年 3 月, PD, 2004 年 4 月
−2005 年 3 月) ・琉球大学遺伝子実験センター、遺伝子機能解析分野
【これまでの研究】
造礁サンゴ類はその多くが海底に固着した生活を送っているために、急激な海
水温の変化、紫外線の増加、海洋汚染などに伴う周辺環境悪化の影響を如実に表す
生物である。近年、沖縄近海をはじめとした世界中のサンゴ礁域で、劇的な環境変
化にともなうサンゴの大量死が世界中で報告さている。これまでの研究ではサンゴ
とその共生光合成藻類が受ける環境ストレスの影響とその抑制・緩和を念頭に入れ
た研究をおこなってきた。そのなかで適度な水流が高水温時の白化によるサンゴの
死亡率を低減すること、一度白化したサンゴにおいてもその回復が早まることなど
を見出した。また、サンゴ共生藻の光合成にかかる環境ストレスが水流によって抑
制されうること、長期的な生存率・群体の成長を高めることを明らかにした。これ
らの研究成果は、サンゴ白化現象の解明にとどまらず、人工的なサンゴ白化抑制技
術・飼育・増養殖などの分野での応用が期待できると考えている。
【本プログラムにおける研究テーマ】
サンゴ(刺胞動物)と共生藻(植物)の複合体である造礁サンゴがサンゴ礁内に存在
する時間・空間的に多様な微細環境の変化(温度・光・流れなど)に対してどのように
生理学的・生態学的に対応しているかを理解することで、多様なサンゴ種が持続的に共
存できる環境の模索を進める。本 COE プログラムではサンゴ礁の浅海域での波面変化に
よるレンズ効果を伴った光のちらつきがサンゴの共生関係に及ぼす影響を光合成系の
測定、代謝・成長解析などを用いて明らかにする。
【研究業績】
1.中村 崇・神木 隆行・山崎 秀雄 (2003)
地球温暖化 温暖化の影響と対策「海洋生態系への影響 -サンゴ礁生態系を中心として」
大政謙次、原沢英夫(編集)生物の科学 遺伝 別冊 17 号 裳華房. p128−136、p. 173
2. Nakamura, T., Van Woesik, R., (2001)
Water-flow rates and passive diffusion partially explain different survival of corals during 1998
bleaching event.
Marine Ecology Progress Series
212, 301-304
3. Nakamura, T., Yamasaki, H., Van Woesik, R., (2003)
Water flow facilitates recovery from bleaching in the coral Stylophora pistillata.Marine
Ecology Progress Series
256, 287-291
4. Takahashi, S., Nakamura, T., Sakamizu, M., Van Woesik, R., Yamasaki, H., (2004)
Repair machinery of symbiotic photosynthesis as the primary target of heat stress for
reef-building corals.
Plant and Cell Physiology. 45 (2), 251-255
5. Nakamura, T., VanWoesik, R., Yamasaki, H., (2005)
Water flow reduces photoinhibition of photosynthesis in endosymbiotic algae of reef-building
coral Acropora digitifera (Scleractinia, Anthozoa). Marine Ecology Progress Series in press
6. Nakamura, T., Yamasaki, H., (2005)
Requirement of water-flow as an essential factor for growth of Pocilloporidae corals during
high temperature period. Marine Environment and Pollution in press
7. Tambunan, P., Baba, S., Kuniyoshi, A., Iwasaki, H., Nakamura, T., Yamasaki, H., Oku, H.
(2005) Light-dependent isoprene emission from 45 tropical tree species on Okinwa Island,
Japan.
Atmospheric Environment in press
連絡先
〒903-0213
沖縄県中頭郡西原町千原1番地
遺伝子機能解析分野
E-mail:
琉球大学遺伝子実験センター
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