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第2学年C組
算数科学習指導案
授 業 者
研究協力者
1
単元名
平塚 定
杜 威,佐藤
学,山名
裕子
つくって広げよう~かけ算九九(1の段,6の段~9の段)
2
子どもと単元
(1) 子どもについて
「かけ算(2の段~5の段)」の学習では,同数累加で5の段,2の段,3の段,4の段
を構成することができた。かけ算のきまりとして,乗数が1増えると積は被乗数分だけ増え
ることに全員が気付くことができた。また,2の段から5の段までの表から,2の段と3の
段を合わせると5の段になっていること(分配法則)や,3×4と4×3が12になること
から,乗数と被乗数を交換しても積は同じになること(交換法則)を発見した。さらに,4
×1と4×9,4×2と4×8…とそれぞれ足すと全て40になることから,子どもたちは
それらの式を線で結んだ形を見て,このきまりを「バームクーヘンのきまり」と名付けた。
他にも「双子のきまり」や「合体のきまり」,「半分のきまり」など,見付けたきまりに名
前を付けることが学習の楽しさにもつながった。
たし算やひき算の単元では,答えが同じになる式からきまりを見付けた。さらにそのきま
りを活用することで,未習の計算であっても答えを求めることができることに気付き,計算
のきまりのよさについても考えることができた。
「仲間との対話」が生まれる,一人一人が考えをもつことが必要であるが,計算のきまり
を考える場面では,発見できなかった子どもが友達のヒントからきまりに気付くということ
があった。対話を通して新たな気付きが生まれたことで,算数に苦手意識をもっている子ど
もの発表の機会が増え,考えることの楽しさを感じられるようになった。
(2) 単元について
前単元で5の段,2の段,3の段,4の段を構成し,きまりについてまとめた。本単元で
は,6の段から始まり,7の段,8の段,9の段,そして1の段と構成する。次に倍概念に
ついて学習する。最後に九九の活用として,●を並べた図から,合計の数の求め方を式に表
したり,式から求め方を読んだりする学習を行う。
各段の学習は,同数累加や交換法則などの考えを基に構成した後,正確に唱えられるよう
に練習していく。こういった繰り返す学習の中に,既習を生かして未習を解決する重要な活
動があることを認識させるとともに,さらなる意欲を引き出すため,6の段から9の段まで
でかけ算のきまりを生かす段の構成や,それぞれの段の特徴を考える授業を設定する。
6の段の学習では,前単元で見付けたきまりをふり返り,6の段でも成り立つか確かめさ
せる。こうすることが,7の段や8の段ではどんなきまりがあるだろうかといった意欲につ
ながると考える。
9の段は,これまでに学習した全てのきまりを用いて構成する。その後きまりを考え,活
用して九九を広げる。
単元全体を通して,既習のかけ算を基に帰納的,類推的にきまりを考え,図や式を用いて
きまりが成り立つ訳を説明し,まとめるなどの算数的活動を重視していく。
(3) 指導について
九九の構成は,同数累加の考えを用いることで比較的容易にできる。しかし,数が大きく
なると,累加では繰り上がりの計算が多くなり,時間を要する。そのため,交換法則や分配
法則の使用によって既習が生かされ,速く簡単に構成できることに気付かせ,かけ算で考え
ることのよさにつなげていきたい。
各段の九九を構成した後,乗法の結果を容易に求めることができるように,唱え方を覚え
るための練習を行う。ペアで確かめ合ったり,九九カルタを用いたりするなどして,楽しみ
ながら確実に九九を覚えられるように工夫したい。
9の段の学習は,1の段以外の九九を構成する最後の学習となる。これまで見付けてきた
きまりが9の段でも成り立っているか調べ,改めてかけ算のきまりとしてまとめる。ここで
は,分配法則と交換法則の他に,一の位の数字が1ずつ減っていることや,十の位の数字が
1ずつ増えていることなどのきまりを見付けることが予想される。前単元で子どもたちは,
計算のきまりのよさとして計算が便利になることを挙げていた。このよさを基に,9×9よ
り大きなかけ算を作る。「仲間との対話」の場面では,ペアでの対話から始めるが,様々な
考えを交流させるめ,周りの子どもとも説明し合うよう促す。こうすることで,新たな気付
きが生まれ,9の段を広げて構成しようとする姿が期待できる。
3
単元の目標〈記号は本校の資質・能力表による〉
(1) 乗法について成り立つ性質やきまりを進んで見付け,九九を構成しようとする。〈ア-1・3〉
(2) 同数累加や交換法則,分配法則などを基に,九九の構成の仕方を考えたり,九九を広げた
りすることができる。
〈ア-1・3,ウ-A-9・11・12・13〉
(3) 6,7,8,9,1の段の九九を確実に唱えることができる。
〈ウ-A-9〉
(4) 乗法が用いられる場面の数量の関係や,倍はかけ算の式で表されることを理解することが
できる。
〈ア-3〉
4
単元の構想(総時数17時間)
時間
学習活動
教師の主な支援
評価
〈本校の資質・能力との関連〉
1
2
・
6の段の九九を構 ・ 既習のきまりとの類似性をイメー ・ 同数累加を基に6の
成し,きまりを考え
ジさせるために,図や式などを用い
段を構成し,6の段の
る。
てきまりが成り立つ訳を説明するよ
きまりを考えることが
う促す。
できる。〈ア-1,ウ-A-13〉
3
4
・
6の段の九九を練 ・ 2~5の段との関連に気付くこと ・ 6の段の九九を確実
習する。
ができるようするために,6の段を
に唱えることができる。
九九の表にまとめる。
〈ウ-A-9〉
5
・
7の段の九九を構 ・ 7の段の構成の仕方を全員がイメ ・ 同数累加や交換法則
成する。
ージできるようにするために,はじ
を基に,7の段を構成
めに7×3の答えの求め方を確認す
することができる。
る。
〈ウ-A-13〉
6
・
7の段の九九を練 ・ 正確に唱えられるか互いに確かめ ・ 7の段の九九を確実
習する。
られるようにするために,カードを
に唱えることができる。
用いてペアで7の段の九九を練習す
〈ウ-A-9〉
る。
7
・
8の段の九九を構 ・ 8の段の九九が確実に定着するよ ・ 同数累加や交換法則
成する。
うにするために,フラッシュカード
を基に,8の段を構成
を用いてランダムに唱えさせるよう
することができる。
にする。
〈ウ-A-13〉
8
・
8の段の九九を練 ・ 正確に唱えられるか互いに確かめ ・ 8の段の九九を確実
習する。
られるようにするために,カードを
に唱えることができる。
用いてペアで8の段の九九を練習す
〈ウ-A-9〉
る。
9 ・ 9の段の九九を構 ・ 九九への関心が高まるようにする ・ 既習のきまりを用い
本時
成し,きまりを考え
ために,既習のきまりを想起しなが
て9の段を構成し,9
て活用する。
ら,9の段のきまりを考え活用でき
の段のきまりを基に9
るように発問する。
×9より大きなかけ算
をつくることができる。
〈ア-1,ウ-A-11・13〉
10
11
・
9の段の九九を練 ・ 既習の九九を確実に唱えられるよ ・ 9の段の九九を確実
習する。
うにするために,9の段だけではな
に唱えることができる。
く,他の段も含めたカードを用いて
〈ウ-A-9〉
練習できるようにする。
12
・
1の段を構成し, ・ 九九の表を用いた次単元の学習へ ・ 1の段の九九を確実
練習する。
の関心を高めために,九九の表を完
に唱えることができる。
成させ,これまでの学習をふり返る
〈ウ-A-9〉
ようにする。
13
14
・
倍概念の基礎を理 ・ 学んだことを活用しようとする意 ・ 倍はかけ算の式で表
解する。
欲を高めるために,倍の考えを用い
されることを理解する
て3倍の長さのテープを作る算数的
ことができる。 〈ア-3〉
活動を設定する。
15
16
・
九九を活用する方 ・ 互いの考えを理解し共有できるよ ・ 九九を活用してもの
法を考える。
うにするために,●の数を求めるか
の数を求める方法を考
け算の式を考え,式を読む活動を行
えることができる。
う。
〈ウ-A-9・12・13〉
・
既習事項を使って ・ 一人一人の到達度を把握し,九九 ・ 学習したことを基に
問題を解く。
が確実に定着するようにするために, 確実に問題を解決する
学習状況に応じた問題を用意する。
ことができる。
〈ア-3,ウ-A-11・12・13〉
17
5
本時の実際 本時(9/17)
(1) ねらい
9の段のきまりを考え,見付けたきまりを活用して,9の段を広げて構成することができ
る。
(2) 展開
○:「対話」の機能を生かすための手立て
時間
学習活動
教師の支援
9 ① 9の段をつくる。
分
・ 9×4=36
9+9+9+9=36
9×4=4×9
評
価
・
交換法則が正しくイメージできるように,
アレイ図を用いて9×4と4×9の積が同
じであることを確かめる。
・ 本時の学習に見通しをもたせるため,き
まりを考えながら9の段をつくるよう促す。
9の段のきまりを見つけよう。
5 ② 9の段のきまりを考える。
・ 他の段との類似点や相違点をイメージで
分
ア 9ずつ増えている(減っている)
きるように,これまで見付けたきまりと同
イ 一の位の数字が9,8,7…となって
じであれば,「合体のきまり」や「バーム
いる。
クーヘンのきまり」などの名前をメモする
ウ 十の位の数字が1,2,3…となって
よう指示する。
いる。
・ 9の段への関心を高めるため,見付けた
エ 9×2と9×3を合わせると9×5に
きまりが他のかけ算でも成り立っているか
なっている。
調べるよう促す。
オ 9×1と9×9を合わせると90にな
っている。(9×2と9×8…も同様)
10 ③ 見付けたきまりを発表し,きまりのよさ ・ きまりの理解を確実にし,次の活動につ
分
を考える。
【仲間との対話】 なげるために,初めはペアで,次に全体で
エの説明
オの説明
説明し合う活動を設定する。
・ それぞれの考えを結び付けて考えること
ができるように,「似ているきまりはない
か」と発問する
○ 対話を活性化させ,式の見方を広げるた
めに,「きまりを使うとどんなよいことが
・ 計算が便利になる。
あるか考えよう」という視点を与える。
・ 9×9より大きいかけ算もできる。
きまりを使って9×9より大きなかけ算をつくろう。
18 ④ かけ算のきまりを使って,新しいかけ算 ・ かけ算の意味理解をより確かなものとす
分
をつくる。
【自分との対話】
【仲間との対話】 るために,アレイ図と式を関連付けて説明
・ 9×4 9×7→9×11
するよう促す。
図
○ 考えた式を発表するとき,互いの考えを
理解し,分かりやすく伝えようとする意識
をもたせるために,説明を途中で打ち切ら
せ,他の子どもに続きの説明をさせる。
・ きまりのよさを活用し,九九を広げよう
とする態度を育てるために,「他にどんな
式ができるかな」と発問する。
9×4
9×7
式
9+9+9+9+9+9+9+9+9+9+9=99
9×4
9×7
・ 9×11=9×9+9+9=81+9+9
3 ⑤
分 ・
9の段のきまりのよさを考え,乗数が1
増えると積は被乗数分増えることや分配法
則などを基に,9×11,9×12と9の段を
広げて構成し,式や図を用いて構成する方
法を説明している。〈ア-1,ウ-A-11・13〉
(ノート・発言)
学習をふり返る。
【自分との対話】 ・本時の学びをより実感できるように,「な
9の段にはいろいろなきまりがある。
るほどと思ったことを挙げて分かったこと
計算もできる。例えば…
をまとめよう」などのふり返りの視点を与
える。