国交職組ニュー ス229 2015人勧特集号

2015.
国交職組
8. 10
No.229
発行
国土交通省職員組合
〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
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月例給0.36%、1,469円UP
8月6日、昨年に続き改善勧告、一時金も0.1ヶ月UP
人事院は8月6日午後、内閣と国会に対して、国家公務員の給与を月例給0.36%、1,469円、
一時金を0.10月引き上げる勧告を行いました。
給与勧告は、連合の春季生活闘争の成果が築いた民間賃金相場を踏まえ、それをしっかり反映するこ
とを求めた国交職組・公務員連絡会の中央・地方が一体となった取り組みによって、「2年連続の改善勧
告」となったものです。
公務員連絡会は、勧告を受けて、「今後、政府に対して、勧告通り実施することを求めていく」ことを
確認しました。現在、延長国会のまっただ中であり、例年開かれる臨時国会の動向も不透明なことから、
確定期の取り組みについては、今後の情勢を見極めた上で、改めて協議することとしています。
組合員のみなさんには、「取り組みの成果としての改善勧告だということ」を認識いただき 、「勧告内
容を今一度確認すること」「確定期の取り組みに備えること」を重ねてお願いいたします。
※骨子概要は「国交職組ニュース」で、俸給表は「イントラ」で確認下さい。
写真上は、7.28公務員連絡
会中央行動で挨拶する石原議
長。右は、国交職組参加者で
左から、九州・白濱、近畿・
高橋、本部・加藤、東北・大
館。撮影:酒井
人事院勧告は、民間準拠が基本です。民間の相場は、
連合が春季生活闘争が大きな鍵を握っています。
国交職組は、春季生活闘争において、連合の取り組み
に積極的に参加し、全体の底上げ・底支えを合い言葉に
取り組みました。
そして、人事院勧告期においては、連合の成果を正し
く反映した改善勧告を求めて、公務労協・公務員連絡会
に結集して取り組みました。
これからは、完全実施に向けた取組です。引き続きの
参加をお願いします。
中央執行委員長 加藤順一
2015春季生活闘争・政策制度実現3.12中央集会
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◇◆◇給与勧告の骨子◇◆◇
1.民間給与との比較
<月例給>
○民間との較差 1,469円、0.36% 行政職(一)現行給与 408,996円、平均年齢 43.5歳
(較差原資の配分 本俸 280円、地域手当 1,156円、はね返り分 33円)
※はね返り分とは、俸給等の改定に伴い諸手当の額が増減する分
<ボーナス>
○民間支給割合 4.21月(公務の支給月数 4.10月)
2.給与改定の内容と考え方
<月例給>
俸給表◇行政職俸給表(一)の1級初任給を2,500円引き上げ、若年層についても同程度引き上げ。
その他は、給与制度の総合的な見直し等により、高齢層における官民の給与差が縮小することとなるこ
とを踏まえ、それぞれ1,100円の引き上げを基本に改定(平均改定率0.4%)。その他の俸給表について
は、行政職(一)との均衡を基本に改定。
地域手当 ◇給与制度の総合的見直しを円滑に進める観点から、支給割合について給与制度の総合的見
直しによる見直し後の支給割合と見直し前の支給割合との差に応じて、0.5%~2%引き上げ。
<ボーナス>
民間の支給割合に見合うよう改定。4.10月分→4.20月分。
(一般の職員の場合の支給月数)
6月期
12月期
H.27 期末手当
1.225月(支給済み)
1.375月(改定なし)
勤勉手当
0.75月 (支給済み)
0.85月 (現行0.75月)
H.28 期末手当
1.225月
1.375月
以降
勤勉手当
0.80月
0.80月
3.実施時期
<月例給>
<ボーナス>
平成27年4月1日
法律の公布日
☆ その他の課題
①配偶者に係る扶養手当
民間企業の家族手当の動向や、税制および社会保障制度に係る見直しの動向を注視しつつ、扶養手当
の支給要件等について、必要な検討。
②再任用職員の給与
民間企業の再雇用者の給与の動向や各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえ、引き続き、そ
の在り方について必要な検討。
■給与制度の総合的見直しに係る平成28年度の実施事項
①地域手当
平成28年4月1日から給与法に定める支給割合に引き上げ。
②単身赴任手当
基礎額を平成28年4月1日から4,000円引き上げ、30,000円に改定。
加算額の限度について、基礎額の引き上げを考慮して、平成28年4月1日から12,000円引き上げ、
70,000円に改定。
※広域異動手当
給与法の改正により、平成28年4月1日以後に異動した職員に係る支給割合が、異動前後の官署間
距離が300㎞以上の場合は10%に、60㎞以上300㎞未満の場合は5%に引き上げ。
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◇◆◇勤務時間に関する勧告の骨子◇◆◇
フレックスタイム制の拡充
○原則として、全ての職員を対象とし、適用を希望する職員から深刻が行われた場合、各省各庁の長は、
公務の運営に支障がないと認められる範囲内に於いて、始業および終業の時刻について職員の深刻を考
慮して、4週間ごとの期間に月1週間当たり28時間45分となるように当該職員の勤務時間を割り振
ることができる。医務は、月曜日から金曜日までの毎日5時間設定。
○育児又は介護を行う職員については、割振り単位期間を1週間から4週間までの範囲内において、選
択して設定できるとともに、日曜日及び土曜日に加えて週休日1日を加えることができる。コアタイム
は、毎日2時間以上4時間30分以下の範囲内で設定。
○実施時期 平成28年4月1日から実施
◆◇◆人事管理に関する報告の骨子◆◇◆
退職管理の見直しや宰予右翼政党により、40歳・50歳台の在職者の割合が20歳・30
歳台の割合を相当上回っており、国家公務員の人事管理に大きく影響することが懸念される。採用から
退職に至るまでの公務員人事管理全般にわたって、中・長期的視点も踏まえた総合的な取り組みを進め
ていく。
【提示されたメニュー】
1.人材の確保及び育成
①多様な人材の確保・・・・各府省と連携し、公務の魅力を積極的に発信。地方での誘致活動を拡充強化。
②女性の採用・登用の拡大・・・・より多く受験するよう誘致活動を強化。研修等を通じ、意欲と能力のあ
る女性職員の登用を促進。
③研修の充実・・・・Off-JTの役割が重要。外部有識者からなる研究会を開催するなど具体策を検討。
④能力・実績主義に基づく人事管理の推進・・・・人事評価結果が任免・給与等へ適切に反映されるよう各
府省に支援・指導。人事評価を通じた人材育成に向け、研修機会を提供。
2.柔軟で多様な働き方の実現と勤務環境の整備
①フレックスタイム制の拡充
②テレワークの推進
③長時間労働慣行の見直し・・・・事前の超過勤務命令等の勤務時間管理の徹底、管理職員の意識改革を含
めた業務の合理化・効率化等の推進による超過勤務の縮減。超過勤務の多い職員の健康管理の徹底、業
務の平準化や人員配置の工夫等に努める必要。
④仕事と家庭の両立支援の促進・・・・幹部職員からの働きかけ等による男性職員の両立支援制度の活用促
進。フレックスタイム制の活用状況を見ながら、育児のための両立支援策等の拡充について検討。民間
化の介護休業制度の見直しの動向も考慮しつつ、介護休暇等の在り方について検討。
⑤心の健康づくりの推進・・・・心の不調者の発生を未然に防止する1次予防を強化するため、各府省と連
携しつつ準備を進め、ストレスチェック制度を導入。
⑥ハラスメント防止対策・・・・職員が相談しやすいセクハラの苦情相談体制の充実を図るとともに、パワ
ハラに関する啓発資料の配付等、意識啓発を一層推進。
3.高齢層職員の能力及び経験の活用(雇用と年金の接続)
平成23年の意見の申出を踏まえ、適切な措置が講じられる必要。再任用職員の能力と経験を本格的
に活用する必要。このため、各府省は定員事情や人員構成の特性等を踏まえ計画的な人事管理に努める
等、一層の工夫が必要。本院は、関連する制度を含めた適切な措置がとられるよう引き続き必要な対応。
■補足説明
意見の申出は「年金支給開始年齢に見合った定年年齢の段階的引き上げ」が柱。この課題は、人事院
の意見の申出に対して、当面の弥縫策として「再任用」で対応している政府に大きな責任がある。
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公務員連絡会の声明
1.人事院は、本日、月例給を0.36%、1,469円引き上げ、一時金の支給月数を0.10月引き上げる勧告・
報告とフレックスタイム制を拡充する内容の勧告を行った。
2.2015人勧期の取組みについて、公務員連絡会は、民間等の賃上げ状況や物価の動向を踏まえ、月例
給、一時金のいずれについても引上げ勧告を実現するため、中央・地方、職場での取組みを進めてき
た。
6月18日の要求提出では、「給与制度の総合的見直しで影響を受ける職員が多いことについて、本年
勧告で留意すべき」ことを要請し、以降、幹事クラス交渉委員による職員団体審議官交渉、全国から
3,000名を結集した7.28中央行動を背景として書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交
渉を行うなど、人事院との交渉・協議を最終盤までねばり強く取り組んだ。
3.給与について、月例給及び一時金を2年連続で引き上げることとしたのは四半世紀ぶりのこととな
るが、組合員の期待に一定程度応えるとともに、民間の賃上げ動向を踏まえた当然の結果である。
給与制度の総合的見直しが段階的に進められ、現給保障が行われているもとにあって、俸給月額の
幅広い改善は現給保障解消後の給与水準を引き上げるものであり、経過措置廃止時の影響を緩和する
とともに退職手当に反映されることから、高齢層にも配慮したものと受け止める。一方、結果として
原資の多くを地域手当の4月遡及改定に充てたことは制度上やむを得ないとしても、不満が残るもの
であった。
一時金について、昨年に引き続き勤勉手当の引上げに充てたが、育児休業者や非常勤職員等への配
慮については課題が残った。
勤務時間関係について、超勤の縮減に積極的な姿勢を示したことは評価できるが、問題は、真に実
効性のある縮減策が具体化できるか否かにある。フレックスタイム制の拡充勧告は、働き方の幅を広
げるものであり、女性職員活躍、ワークライフバランス確保の推進等に資するよう、具体化されなけ
ればならない。
再任用について、職員の希望に沿ったフルタイム勤務重視を明確にしたことは当然のことであるが、
それを保障する具体策を提案しなかったこと、段階的な定年延長の早期実施に向け踏み込まなかった
ことは残念と言わざるを得ない。
4.以上のことから公務員連絡会は、今後、政府に対して、本年の給与改定及びフレックスタイム制の
拡充について、勧告通り実施することを求めていく。
さらに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の取組みにおいても、全
力で取組みを進めることとする。
2015年8月6日
公務員労働組合連絡会
編集後記
■6日午後、2年連続の改善勧告が出された。素直に喜びたい。連合の民間グループが真摯な交渉を経
て「民間相場」をつくってくれた。人事院が民間給与と国公給与を調べて出てきた較差は、連合の春季
生活闘争の成果でもある。ここはしっかりとおさえておきたい。
■国交職組は、公務労協・公務員連絡会に結集して、連合の成果をしっかり反映した人事院勧告を求め
てきた。若年層から高齢層まで、幅広く改善が行き渡った内容に正直安堵した。給与制度の総合的見直
しによる俸給表水準の引き下げの激変緩和措置である「現給保障措置」があるため、俸給表改善に伴っ
て発生する必要原資は結果として少なくて済む。配分280円で1,100円の改定が出来た「トリック」の
ような背景がここにある。
■フレックスタイム制の拡充は、現行の「早出・遅出」制度より効果が小さいように思われるが、育児
・介護職員のコアタイム等の設定は、当該職員にとって相当使い出があるのではなかろうか。人事管理
の検討課題である「テレワーク」とともに、今後の拡充によって両立支援、通勤負担の軽減に大きく寄
与する可能性を秘めたものとして期待したい。
■長時間労働慣行の見直しで、
「事前の超過勤務命令等の勤務時間管理の徹底」に触れたことも評価する。
併せて、超過勤務が例外的な勤務命令であり、「臨時・緊急」の場合のみ許される勤務命令であることを
繰り返し徹底して欲しいとの思いが残った。
■勧告は出た。完全実施をめざして、引き続きの結集をお願いする。
(J)
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